異なる色相のトレイに載せた病院食の写真について、産婦人科患者35名と一般女性35名を対象に、味覚や印象にどのような違いがみられるか調査した。トレイの色はpaleトーンに統一し、画像編集ソフトを用いて10色相に変化させた。味覚については、色相Red Purpleにおいて、入院患者群は一般女性よりも有意に甘味の印象を抱いた。因子分析の結果、「食環境の適切性」、「食の雰囲気」、「性差・世代別の食」の3因子が抽出された。「食環境の適切性」と「食の雰囲気」を満たすトレイは、paleトーンのRed Purpleであった。「食環境の適切性」の因子において、同一色相で入院患者群と一般女性群を比較するとpaleトーンのOrange、Yellow、Yellow Greenは、一般女性群の方が入院患者群よりも平均因子得点が有意に高かった。陽気で躍動感があり、健康をイメージする色は、産婦人科の患者にトレイ色として好まれない傾向にあることが認められた。また、「食環境の適切性」については、入院患者群の平均因子得点は一般女性より低かったことから、入院患者の食環境つくりの重要性が示唆された。
自動車室内の換気方法について、前方の交通流を監視して制御する方法について検討した。車両前方の監視は、カメラで行うことを想定し、車体点数と影響度から交通流点数を定義し、その値により換気のON/OFFを行った。制御のフローは、車室内のCO2濃度データや乗員数からあらかじめデーブルを準備し、経過時間により判断する方法とした。車室内の空気質は、光学式のCO2計、酸化物半導体ガスセンサ、および乗員の臭気検知により測定した。市街地走行による実験を行った結果、全時間換気しない場合は顕著にCO2濃度が上昇し、一方、全時間換気した場合は、排ガス流入と思われる臭気検知が多数あった。本研究の換気方法を用いた場合は、1500ppm程度の平均CO2濃度を維持しつつ、排ガス流入を抑制できることがわかった。
本研究の目的は、冬期における高齢者の健康関連QOLと住環境要因との関連について、前期高齢者ならびに後期高齢者別に明らかにすることである。調査方法は、山口県東部に住む65歳以上の高齢者を対象としたアンケート調査である。その結果、後期高齢者では、住環境の満足度が健康関連QOLと少なからず関連していることが明らかになった。後期高齢者では、居間の日当たりや照明による室内の明るさなどの光環境に関する満足度が低いほど精神的な健康関連QOLは低く、室内の掃除や手入れのしやすさ、洗濯物の干しやすい場所があることなどのスペースに関する満足度が低いほど身体的な健康関連QOLは低いことが確認された。以上のような関連性は、後期高齢者においてのみ認められたことから、健康関連QOLの面でも、加齢変化に伴い、住環境の影響を受けやすくなることが示唆された。
異なる色相のトレイに載せた病院食の写真について、女子大学生30名と男子大学生30名を対象に、味覚や印象にどのような違いがみられるか調査した。トレイの色はpaleトーンに統一し、画像編集ソフトを用いて10色相に変化させた。女子学生群、男子学生群ともに、先行研究(奥田ら2002)で明らかにされた、暖色系に加えて、色相Red、Purple、Red Purpleに甘味の印象を強く感じていた。近年、紫色の食品が多くみられ、それを食した経験が味覚の印象に影響し、時代による食品や流行などから味覚に関する印象も変化していると推察された。塩味では、色相Yellow Greenにおいて、女子学生群は男子学生群よりも有意に塩味の印象を抱いていた。このことは、黄緑のパッケージの新商品を想起するなど、女子学生群の食に対する関心の高さが影響していると推察された。因子分析の結果、「安寧な食環境」、「清潔感のある食」、「若者向けの食の魅力」の3因子が抽出された。paleトーンのRed、Orange、Yellowの3つの色相は、男女ともに推奨できるトレイであることが明らかになった。豊かな食環境を実現するためには、色の象徴性やイメージを活用できることが示唆された。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら