本研究は、看護学実習における下肢のむくみの発生状況とその要因を明らかにするために、看護学実習生12名を対象に実習日、非実習日(通常授業日)の活動前後に、下腿体積、下腿周囲径、インピーダンス値、主観評価を測定し、活動中の歩数、水分摂取量、筋肉量についても調査した。その結果、実習日は、非実習日に比べ、脛骨粗面部は増大し、インピーダンス値は低下し、下腿のむくみ感や疲労感などの感覚が有意に高くなることが示された。下肢のむくみには、歩数、筋肉量が有意に関連した。以上のことから、看護業務を模した看護学実習における長時間立位活動により、下肢のむくみが、客観的にも主観的にも発生することが認められ、下肢のむくみには歩数および下肢筋肉量の関与が示唆された。
本研究は伝統的農家住宅の緩衝空間の構成について、用いられている要素を調査し、緩衝空間として表出する形態と意匠が気候風土性に適応していることを明らかにすることを目的とする。江戸中期から明治初期までの中部地方8県にある住宅114軒を対象とした。緩衝空間の要素は、縁側(内縁)、ぬれ縁、土縁、土庇、出入口、開口部、壁とした。これらの要素の出現頻度、正面長さに対する比率を分析対象とした。気候データとしては各県4カ所の観測所の降水量、気温、風速、日照時間、積雪に関するデータを用いた。県別の住宅緩衝空間のデータについて、クラスター分析を行った。太平洋側の愛知県・静岡県と隣接する山梨県が一つの群、中部山岳に位置する長野県・岐阜県の群、日本海側の富山県・石川県・新潟県の群に分類された。地域的特徴を示す分類結果が得られた。県別気候データについてクラスター分析を行った。この分類結果は、住宅の分類にほぼ対応した。伝統的農家住宅の緩衝空間は、地域的な気候条件に適応して備えられていることを示すことができた。
本研究の目的は、中強度の短期間自転車トレーニングが身体組成及び骨格筋内脂肪量に及ぼす影響を明らかにすることであった。被験者は、65% VO2maxの自転車トレーニングプログラムを行い、人体計測、身体組成及び超音波による筋厚(MT)、筋輝度(EI)及び腹部脂肪厚(腹膜前脂肪厚:PFT及び復壁皮下脂肪厚:SFT)をトレーニングの前後に測定した。その結果、MT、SFT、体脂肪率及び皮下脂肪厚には有意な変化が認められなかったが、EI及びPFTが有意に減少した。これらの結果は、骨格筋内脂肪を示すEI 及び内臓脂肪蓄積を示すPFTが全身脂肪及び皮下脂肪と比較して、エネルギー基質としての利用優先度が異なる可能性があり、これらは運動トレーニングによって優先的に減少する可能性が示唆された。
食欲の低下した患者の病院食に適した皿の大きさや形状を明らかにするため、大きさの異なる「丸皿・リム無」、「丸皿・リム有」、「正角皿・リム無」、「正角皿・リム有」の皿にハンバーグを盛り、量感(大きさ)や美味しさ感などの印象に違いがみられるか検討した。デルブーフ錯視の効果により皿の直径および1辺に対するハンバーグの直径比が0.45~0.55付近を境に、大きい皿ほどハンバーグは小さく見え、小さい皿ほど大きく見えると評価された。同じ大きさの皿では、リム有よりリム無の方が、正角皿より丸皿の方が、ハンバーグはやや小さく見えると評価された。ハンバーグの大きさ(量感)、完食しやすさ、バランスの良さ、美味しさの4項目の評価が総じて高い皿は、「丸皿・リム無」の直径比0.50、0.55、「丸皿・リム有」の直径比0.40、0.45、「正角皿・リム有」の直径比0.45であった。これらの皿は、入院患者の食欲低下の改善に適した皿の大きさや形状である可能性が示唆された。
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