人間‐生活環境系シンポジウム報告集
Online ISSN : 2434-8007
最新号
選択された号の論文の64件中51~64を表示しています
  • 宮本 征一
    p. 139-140
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
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    温冷感覚は、日常生活において曝露される温冷刺激の影響を受けて形成されると考えられる。そのため、温冷覚を知覚し始める温度や温冷覚を不快と知覚する温度には個人差が生じて、暑がり寒がりのような主観的な体質の認識に差異が生じると考えられる。そのため、関西または沖縄または北海道で生まれ育った被験者の温冷感覚の差異を把握してきた。しかし、北海道内の地域の気候の差異の影響の有無を確認するために、被験者実験を追加することとした。その結果、温冷覚の知覚開始温度差(閾値)と温冷覚の不快知覚温度差については、北海道内の地域の気候の差異や、暑がりまたは寒がりの自覚の有無の違いによる差異が見られた。
  • 宇野 勇治, 神谷 朋佳, 兼子 朋也
    p. 141-144
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    日本の伝統的な文化を深く理解し、将来につなげるうえで、江戸期の住環境や生活文化の実態を把握する必要がある。開国直後で他国の影響をあまり受けていない日本の状況を体験した外国人の紀行文を対象に、住環境と生活様式などに関する言説を抽出し、当時の衛生環境、環境調整、プライバシーなどについて考察をした。訪日外国人の言説は、明治初期の日本と欧米との生活の相違点などを中心に記載されていた。衛生環境や道路状況に関して地域差が見受けられ、都市部では極めて清潔に保たれていたなどの記載が多い一方で、地方ではネガティブな感想が多く見受けられた。防犯性、プライバシーの確保は難しかったが、人々の善意によって一定の治安が保たれる様子が表現されていた。住宅開口部を開け放すことをさほど気に掛けていなかったことがわかる。町の様子は無彩色ではあったが、統一され美しかったといった記述が見受けられた。
  • -長野市に位置する知的障害を有する特別支援学校を対象とした調査-
    山岸 明浩
    p. 145-148
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
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    本研究は,特別支援学校における学習活動と温熱環境のかかわりを明らかにし,実践的な温熱環境の調節手法について検討することを目的とする。本稿では,長野市に位置する特別支援学校を研究対象とし,2023年から2024年の測定データを基に夏季の温熱環境の実態と夜間換気の導入について検討を行った。その結果,①冷房運転により学習活動中の気温は調節されているが,非冷房時には室外よりも室内が高温となること,②建物仕様により温熱環境の状況はことなり,鉄骨造の体育館では冷房設備がなく日中は高温となっていること,③2階建ての建物では,1階に比べ最上階の2階フロアの気温が高温となること,④夜間換気を導入することにより夜間から明け方の室内気温が換気をしない場合に比べ1.5℃から2.0℃程度の低下することが,明らかとなった。
  • 土川 忠浩
    p. 149-150
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    地域の気候風土に配慮した住まいや住まい方を計画するには、敷地や建物周辺の微気候が必要とされる。特に風向風速について気象データ等から予測することが難しいので、実測によって明らかにすることが望まれる。本研究では、建物周辺の多地点を同時に測定できる比較的安価で簡便な風向風速計を自作した。この風向風速計は市販の熱線式風速計と小型IoT機器等を組み合わせて構成しており、デジタルデータで収録・保存が可能である。さらにこの装置の実用性についても検討した。
  • 山田 裕巳, 山野 裕美, 浜田 信夫, 林 基哉
    p. 151-152
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    ネコ共生住宅の衛生環境を調査した結果、付着ネコアレルゲンは、ダニアレルゲンに比較して高い値となり、ネコを入れない部屋においても観測されたことから、様々な経路での侵入が考えられた。気中ネコアレルゲン濃度は、空気清浄機により低下したが、建物内を開放した暮らしの中で条件別の濃度の差は確認されなかった。
  • 笠原 優子, 鈴木 咲希, 庄山 茂子
    p. 153-154
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    弁当の内容をより見やすくておいしそうに盛りつける方法を検討することを目的に、女子大生49名を対象に共通のおかずで配置の異なる弁当の印象を調査した。因子分析の結果、「食の感性」、「視認性」、「特別感」の3因子が抽出された。「視認性」、「特別感」の平均因子得点は、隣接するおかずやおかずカップなどの明度差・彩度差が小さくなるように盛りつけた弁当Aよりも、明度差・彩度差が大きくなるように盛りつけた弁当Bの方が有意に(p<0.05)高かった。弁当に盛りつけられたおかず名の選択問題の正答率は、弁当Bの方が高かった。
  • 異なる光源で照明した色覚検査表の見え方の比較
    大和 義昭
    p. 155-158
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    先天色覚異常者にとっての色の見やすさを目的として体系化されたカラーユニバーサルデザインへの光源の光色・分光分布の違いによる影響を考慮する必要性の有無を検討することを目的として,分光分布の異なる光源で照明した色覚検査票を撮影した画像について,画像のピクセル毎のR(赤),G(緑),B(青)の明るさレベルの数値化・グラフ化と,フォトレタッチソフトの校正機能を用いた色覚異常者の見え方のシミュレートをした. R,G,Bのうち短波長のBの明るさレベルが低くなる色温度の低い光源で照明した場合,色覚異常者は色を見分けづらい可能性があることが示された.原因として,色温度の低い光源の照明下では中波長の緑と長波長の赤の光の成分が多くなり,そのため短波長の青に高感度なS錐体の色の見分けへの関与が小さくなり,先天色覚異常者に欠損や変異が認められるM錐体とL錐体に大きく依ることが示唆される結果となった.
  • 池田 維, 松原 斎樹, 森下 正修, 田村 圭吾, 杉本 直子, 宗田 好史, 平本 毅, 大関 綾, 神代 圭輔, 古田 裕三
    p. 159-160
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    空間の快適性の研究では主として物理的要因が考慮されてきたが、文化的観点を考慮することも重要である。京料理店の空間は、そこで表現されている季節や季節感のような要素に関連した文化的な経験・知識によって個人ごとに評価が異なる可能性がある。本研究の目的は、伝統的文化活動の経験や季節に関する知識が京料理店の空間評価に及ぼす影響を調べることである。年代・性別を均等に割り付けたWeb調査で、参加者は実際の京料理店の写真を基に食体験の満足感や空間を評価した。分析の結果、床の間の有無、伝統的文化活動の経験、二十四節気の知識が空間評価に影響を及ぼすことが示された。特に、「居心地」「落ち着き」「料理との調和」が伝統的文化活動の経験、季節に関する知識と関連していることが明らかになった。この結果は、空間の物理的環境が同一でも、その空間に関連する個人の文化的な経験や知識によって評価が異なることを示唆している。
  • 今西 貴美, 堀越 哲美
    p. 161-164
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本論文は、住宅インテリアデザインに対するデザイナーとクライアントの共通理解の手法を探ることを目的としている。そのため専門家によるインテリア事例の評価実験を行った。評価データを用いて、住宅インテリア事例が分類され、その分類群のスタイル名称が判定され、それを特徴づける要素の特定が行われた。この要素は、判定されたスタイル名称と整合性を有していた。この関係を用いることで、共通理解へ繋がると考えられる。
  • 柳井 妙子, 柳井 徳磨
    p. 165-168
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    中山間地域では、急激な高齢化と過疎化が進行中である。2014年に日本創生会議(Japan Policy Council)が2010年から30年間で20-39歳女性が半減する地域を予測し、それを「消滅可能性地区」と定義し、何らかの対応の必要性を示した。2024年現在、その指摘地域の中で、生き残りと活性化を目指す自治体(地区)も現れた。今回、その活動事例として、島根県吉賀町、岡山県美咲町倭文西地区、広島県庄原市山内地区の三地区の取り組みを紹介する。その方向は、大きく分けてI・Uターンの促進による人口増加を図り地域の活力維持、あるいは住民への行政サービス、住民自治を維持しながら、秩序ある人口縮小のなか、住民が心豊かに過ごせるための方策を住民自助により目指すものである。それぞれの地域の取り組み方法は、地域環境に依存して異なるが、住民自らの手による地域活性化や生活手段の確保の試みが、地域コミュニティにおける人的な繋がりを強固にし、地域崩壊に歯止めをかけ、住みやすい環境づくりへ繋がると考える。
  • 開原 典子, 本間 義規, 林 基哉
    p. 169-170
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    高齢者は免疫力や環境適応力に個人差が大きく、高齢者施設の室内衛生環境には一層の配慮が必要である。日本の高齢者施設では、感染症対策として定期的な窓開け換気が励行されることで、冬季の室内が乾燥状態になっていることが少なくない。本研究では、高齢者施設の管理者等を対象に冬季の室内の湿度管理と高齢者の健康に関する質問紙調査を行った。室内湿度と高齢者の健康状態に関する結果から、室内湿度が低い場合において、介護スタッフや看護師は高齢者の健康が損なわれると感じているとともに、湿度を維持することが重要であるという認識が示された。
  • 大江 宮子
    p. 171-172
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    現在、我が国は世界のどの国も経験したことがない超高齢社会になった。また、全国の認知症高齢者の数も増え続け、2005年の205万人から、2012年には462万人になった。厚生労働省の推計によると認知症患者は予備群(軽度認知障害)を含めて800万人を超えるとされる。そうした状況を背景に、高齢福祉施設や、医療分野でも音楽療法や療育音楽が注目され、効果が期待されつつある。今回筆者は、高齢福祉施設で音楽療法空間の現状や設備について調査をし、また、音楽指導者に対する意識調査をし、そのデータを分析検討した。
  • 三坂 育正
    p. 173-176
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    暑熱環境下において、人の聴覚が熱ストレスに与える影響を明らかにすることを目的として被験者を用いた人体生理・心理反応に関する実験を行った。実験結果から、暑熱環境下における心理申告では、風鈴の音を聞いた場合には他条件よりも心理的に涼しく、逆にセミの音を聞くと暑く申告する傾向にあり、生理反応においては皮膚温度や心拍数の上昇に違いが生じる結果となった。これは、聞く音によって人の放熱機構に違いが生じたものと推察され、聞く音によって人の熱に対する感覚と実際の温熱環境との差が生じることで、熱中症のリスクが変化する可能性が示唆された。
  • 第2報 群衆の規模・疎密が内外の風環境に与える影響
    吉田 伸治
    p. 177-180
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/05
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    本論文では、群衆がその内外の流れ場、乱流場に与える影響を評価するための数値サブモデルを提案した。このサブモデルは、CFD解析技術に実装されることにより、群衆構成員の体型、群衆内の混雑度(配置密度)、気流方向が、風速低減、乱れの増加に与える影響を評価可能とするものである。提案するサブモデルを用いて、群衆内部の群衆密度、規模がその内部の風環境に与える影響を分析した。分析の結果、①群衆内の多くの領域の風速はその周囲に比べ非常に小さいこと、②この弱風域は夏季暑熱環境を悪化させる大きな懸念となること、が明らかとなった。群衆の形状、配置の種類を増やしたパラメトリックスタディの実施が今後の課題である。
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