日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
最新号
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原著
  • 山田 祐揮, 廣瀬 雅宣, 片山 皓太, 井上 陽子, 本橋 伊織, 家 研也, 奥瀬 千晃, 大平 善之
    2025 年21 巻5 号 p. 147-156
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/10
    ジャーナル フリー
    背景:心理的安全性は研修医のメンタルヘルスや教育効果に影響を与えるが,その形成要因は十分にわかっていない。本研究では若手指導医と研修医の心理的安全性との関連を検討した。 方法:日本全国の基幹型臨床研修病院に在籍する臨床研修医(以下,研修医)を対象に,2024 年7 月から11 月に無記名のWeb 質問紙調査を行った。心理的安全性はO’Donovanの尺度を用いた。研修医が若手指導医を最も信頼することと,研修医の心理的安全性との関連 をマルチレベル解析で検討した。 結果:34 の基幹型臨床研修病院に在籍する計881 名の研修医に参加を依頼し191 名(21.7%)から回答を得た。心理的安全性尺度の平均値は7 点満点中4.2 点であった。研修医が若手指導医を最も信頼することと心理的安全性に有意な関連はなかった(調整後回帰係数= 0.1, 95%信頼区間-0.30-0.42)。 考察:日本の研修医は心理的安全性が低い可能性が示唆された。研修医が若手指導医を最も信頼することと,研修医の心理的安全性とに有意な関連はみられなかった。
  • 川先 孝幸, 東條 環樹, 橋本 直樹
    2025 年21 巻5 号 p. 157-164
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/10
    ジャーナル フリー
    広島県広島市内まで車で2 時間かかる山間部の僻地診療所において,総合診療医が外来を担当した6 カ月間の新患外来受診者478 名の内訳を調べた。内科領域以外の疾患が過半数を占め,整形外科・形成外科,皮膚科疾患の順で 多かった。実施された検査の内訳は,X 線撮影,採血,迅速抗原検査,超音波検査の順で多かった。また,縫合・創処置,トリガーポイント注射,鶏眼・胼胝・爪処置,鼻出血の止血など多岐に渡る外科系処置が実施されていた。内科領域の対応だけでなく,整形外科,形成外科,皮膚科領域などの内科領域以外の疾患においても基本的な対応を行うことで,約9 割の患者が当院のみで治療を完結できていた。僻地医療においては,内科領域以外の疾患も幅広く対応できる総合診療医が求められている。
  • 小尾口 優太, 藤原 蓮, 阿部 祥英, 川島 真美, 栗城 綾子, 森田 將, 大槻 克文, 横山 登
    2025 年21 巻5 号 p. 165-171
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/10
    ジャーナル フリー
    インシデントの分析は医療安全の質向上に寄与する。当院では臨床研修医からの報告数が少なく,2022 年度から研修の修了基準に年10件の報告が義務化され,その効果を分析した。 対象は2014~2023 年度の10 年間に臨床研修医が報告した742 件である。義務化前後で報告数は203 件(8 年間)から539 件(2 年間)に増加した。報告内容は「薬剤」,「治療・処置」,「検査」が上位の3 つを占め,義務化前後で変化はなかった。事象レベルは0 および1 の割合が67.0%から88.2%に増加し,3a の割合は7.9%から1.3%に低下した。報告の義務化によって軽微な事象を報告しやすくなった可能性がある。一方,年末,年度末の報告数が急増し,報告の目的が「安全管理の改善」ではなく「研修の修了」になった懸念がある。また,既報や当院の医師よりも10 倍多い報告を求められ,それが妥当かどうかは,今後の検討課題になる可能性がある。
研究短報
  • 野末 富男, 阿部 祥英
    2025 年21 巻5 号 p. 172-175
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/10
    ジャーナル フリー
    背景:近視は低年齢化重症化し,将来失明の増加が懸念されている。小学1 年生の近視の増加から就学前からの近視の増加が予測された。目的:6 歳をすぎた年長児の近視の増加を証明する。 対象と方法:8 カ所の保育園にスポットビジョンスクリーナーを持ち込み,同じ年長児253 名(男児109 名,女児144 名)を,2024年春と2025 年3 月に検査をした。また2025年の近視の頻度を園庭の有無で比較した。 結果: 近視は2024 年春の6 例(2.4%)から2025 年3 月の27 例(10.7%)へと4.5 倍増加した(p < 0.0005)。2025 年の近視の頻度は園庭のない保育園(4 園138 名中13.8%)が園庭のある保育園(4 園115 名中7.0%)に比べ2.0 倍高かったが有意差はなかった。 結論:近視は6 歳をすぎた年長児で急増している。保育施設で毎日2 時間以上の屋外活動等,具体的な近視対策の早急な導入が望まれる。
症例報告
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