日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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10 巻 , 3 号
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教育講座
  • 井口 厚司
    2009 年 10 巻 3 号 p. 483-487
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     クリティカルパスを作成・運用することで医療の質が向上すると言われている。それ以上に大切なことは、作成した後に一定期間使用してみて検討し、見直して改訂する(PDCA サイクル)ことである。クリティカルパスを見直す方法としては、他院のクリティカルパスとの比較による見直し、EBM に基づいた見直し、DPC データに基づく見直し、そしてバリアンス分析による見直しなどがあり、それらの方法を習得し実践することがさらなる医療の質向上に有用である。
  • 君野 孝二
    2009 年 10 巻 3 号 p. 488-494
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     DPC対象病院の拡大により多くの医療機関より莫大なデータが集計・公開されるようになった。その結果、様々な情報の分析が行われ医療機関の間での比較が可能となり、診療の透明性・標準化が進む方向へと展開している。DPCが出来高で行われる診療と異なる点の一つは入院目的が明確であることがあげられる。クリティカルパスも具体的な入院目的に対して作成・運用され、標準化・効率化のために見直しが行われることが要求される。クリティカルパス見直しのツールとしてDPCベンチマーク分析は有用である。
  • 勝尾 信一
    2009 年 10 巻 3 号 p. 495-498
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     バリアンスは「アウトカムが達成されなかったとき」と解釈するのが最もわかりやすい。その前提として、アウトカムを定義する必要があるが、全国標準の定義があるわけではない。各病院で定義する必要がある。その定義に応じて、バリアンスの収集方法も決められる。収集されたバリアンスから、多職種による検討が必要なバリアンスを選択する。そして、多職種で検討されて改善点が提案される。クリティカルパスが改定されて、また新たに使用してバリアンス分析につなげていくことが、クリティカルパスにおけるPDCAサイクルを回していくことになる。
原著
  • 第 2 報 7 種類のクリティカルパスの検証
    藤本 俊一郎, 合田 雄二, 平井 有美, 大橋 智明
    2009 年 10 巻 3 号 p. 499-505
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     患者別原価計算のデータを集積し、診療科別原価計算と7種類のクリティカルパス使用患者でクリティカルパス別原価計算、DPC 分析、多施設間でのベンチマークの検討を行った。
     診療科別原価計算は8診療科で分析した。延べ入院日数、収入、利益(収入−原価)、利益率(利益/収入)、1日あたり1床あたりの利益の順位は項目により大きく異なる。高額な直接材料費を要する2診療科では収益率が低かった。
     クリティカルパス別原価計算の検討では未破裂脳動脈瘤クリッピング・頚動脈血栓内膜剥離術には問題点はなかった。ペースメーカー植込術・腹式単純子宮摘出術・幽門側胃切除術・乳房切除術(ドレーン挿入)ではDPC支払い制度改定に対応した在院日数短縮が必要であった。一方、大腿骨頚部骨折・ペースメーカー植込術では高額な直接材料費のために利益率が21.6%・24.1%と低かった。そこで心臓・血管関連材料・整形外科関連材料の標準化と、高品質の製品をより低価格で購入する取り組みを開始した。
事例報告
  • 清家 健作, 前田 真一
    2009 年 10 巻 3 号 p. 506-509
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     近年の前立腺がん患者の外来診察に占める割合は増加しており、これは当科の外来診療時間および待ち時間の延長にもつながっている。医師と患者双方の外来診療の負担軽減を目的に、内分泌治療施行中の安定した前立腺がん患者を対象とした循環型の地域連携クリティカルパスの作成と導入を試みた。患者への十分なインフォームド・コンセントと、かかりつけ医には統一された治療方針とアウトカムを設定することにした。患者の適応基準は①前立腺がんにて内分泌治療中の患者、②PSAが0.2ng/ml以下、③副作用を十分理解し、日常生活に支障を来していない、 ④①〜③を満たし 3 ヶ月以上安定している患者とした。また、かかりつけ医には、ア)当科からの引き渡し時の治療を継続してもらうこと、イ)PSA が0.5ng/ml以上となった時点で当科へもう一度戻してもらうこと、ウ)年に一度、患者誕生月には PSA 値に拘わらず当科外来に受診させること、の基準を遵守するよう依頼した。2008年 2 月に地域連携クリティカルパスの運用を開始して2009年 1 月までに28人に導入した。その結果を開業医へのアンケートで確認したが、患者は不安なくかかりつけ医で管理され、シンプルで管理しやすいクリティカルパスであるとの回答を得た。
  • 佐多 照正, 田中 和子, 岩下 佳敬
    2009 年 10 巻 3 号 p. 510-514
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     鹿児島厚生連病院では、化学療法手順書を独自のお薬手帳に貼付し、情報提供と副作用管理を可能とした。情報提供開始により、患者による治療の確認が可能となり、がん化学療法に関するインシデント・アクシデント報告は開始前後の 6 ヶ月間で 4 件から 2 件に減少した。また、副作用の管理が可能となり、内服 5-HT受容体拮抗型制吐剤の処方件数は開始前後 6 ヶ月間で約2.1倍に増加した。さらに、当院でもっとも使用されているパクリタキセル・カルボプラチン療法の副作用による投与継続が困難となった件数は、開始前後 6 ヶ月で 5 件( 3 件が食欲不振、悪心)から、開始後は好中球減少による 1 件に減少した。今回取り組んだお薬手帳を用いた情報提供は、がん化学療法を行う上で有用である事が示唆された。
  • − 薬剤師の観点から −
    平井 利幸, 関 利一
    2009 年 10 巻 3 号 p. 515-520
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     株式会社日立製作所水戸総合病院(病床数215床:以下、当院)では注射オーダリングシステムが稼動していない状況下で、薬剤師が全ての抗がん剤調製を行っていくための注射処方せんとシステムを構築した。それにより、抗がん剤投与当日の変更を処方せんに反映させることが可能となった。さらに、イントラネットに採用レジメンを掲載し、検索機能などを付けたことから、登録医師以外の医療従事者にもレジメンが閲覧しやすくなった。また、当院では外来がん化学療法開始当初から、薬剤師や看護師による継続した患者指導を行っており、その指導や看護内容を専用の記録用紙に記載することで、実施日ごとに各職種からの記録が1枚のシートにまとめられるようになった。
  • 池垣 淳一, 伊藤 由美子
    2009 年 10 巻 3 号 p. 521-525
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     緩和ケアを地域で提供するための病病連携を検討するにあたり、現時点で、どのようなことが問題となっているかについて調査する必要がある。連携先となる複数の近隣の中小病院のスタッフとグループワークによる検討を行い、問題点・解決案をKJ法により抽出した。患者、家族が抱える問題点として、病気についての不安、治療を諦められない思い、がん診療連携拠点病院(以下、 拠点病院)からの見捨てられ感と連携先の医療機関(以下、連携病院)への不安が挙げられた。連携病院の抱える問題としては拠点病院との医療の格差、拠点病院からの情報不足、転院するタイミングの悪さが挙げられた。一方、拠点病院側の問題としては、連携病院への関心の低さ、連携病院が必要とする情報を把握できていない事、さらには転院時の患者、家族への説明の不足などが指摘された。解決案については、患者の連携病院見学や退院前カンファレンスの開催、必要時に拠点病院へ転院できるシステム作りが挙げられ、医療機関同士が連携していることに加え、その繋がりの患者、家族への可視化も重要と考えられた。また今回のように問題点をグループワークで検討すること自体も地域連携には重要なプロセスであると思われた。
  • 秋山 美紀
    2009 年 10 巻 3 号 p. 526-532
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     山形県鶴岡地区で運用されている、非同期で記録の閲覧性や画像共有に優れた特性を持つメディアが、訪問看護師と在宅主治医のコミュニケーションや連携にどのような効果をもたらしているのかを明らかにすることを目的とした。この地区の主治医と訪問看護師の間で当該メディアを用いて情報共有されている患者(ネットワーク群)17名と、メディア非登録の患者17名(非ネットワーク群)について、14ヶ月分の訪問看護記録と付随するファクスや電子メールの通信記録を遡及的に分析し、情報伝達の頻度やその内容を比較した。また電子メディアの訪問看護師の主観的な効果とその効果がもたらされるプロセスについて検討するため、訪問看護師 9 名を対象にインタビュー調査を行った。その結果、訪問看護師から医師への情報伝達回数は、ネットワーク群が計453回、非ネットワーク群301回で、その差は電子的な情報伝達であった。またインタビュー調査から、電子メディアを用いることにより、訪問看護師が主治医へ報告・提案がしやすくなり、利用者に対する理解、知識習得、判断への自信にも寄与していると感じていることが示された。ネットワーク群患者は画像やバイタル変化等より多くの情報がタイムリーに主治医へ伝わっており、このことがタイムリーな処置等ケアの質向上につながっていることも示唆された。
  • 嶋崎 明美, 出口 直孝, 森内 ルミ子, 内海 寿子, 野村 千恵
    2009 年 10 巻 3 号 p. 533-537
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     1,000(研修医186、卒後 3 年以上の上級医814)冊の入院カルテを、診療情報管理士が院内監査した。医師記録監査は20項目について点数評価し、平均14.19±3.26(満点20)点、研修医が上級医より有意に好成績であった。看護記録については、5.1%に改善を要する記載を認めた。
     われわれは2005年より研修医のカルテ記載教育のために、体験学習「模擬カルテ開示」を行ってきた。監査点数の低かった上級医に模擬カルテ開示参加を求めたところ、研修医だけでなく上級医もカルテ記載が改善した。また、監査で改善を要すると指摘された看護記録、インシデント事例の看護記録を教材に用いてグループ討議する体験学習「看護師カルテ勉強会」を開催した。参加者の感想からも、適切なカルテを作成する重要性について意識改革するのに体験学習が役立つことが示された。
    カルテ監査で得られた結果を体験学習につなげることは、診療記録の改善に有用な方法である。
  • 鶴居 勝也, 三谷 和恵, 窪田 真弓, 山口 裕幸
    2009 年 10 巻 3 号 p. 538-543
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     患者への医薬品による医療事故を防止するため、薬剤師は薬剤科内および病院内の医薬品のリスクマネジャーとして積極的に関わらなければならない。薬剤科内の医薬品のリスクマネジメントでは、調剤過誤減少のために調剤のヒヤリ・ハットの内容と要因を分析して調剤過誤防止対策を見直し実施した。その結果、ヒヤリ・ハット総件数は有意に減少し、特に「計数の間違い」件数を有意に減少させることができた。また、今回実施した調剤過誤防止対策の 1 つである薬剤収納棚の配置や表示などの視覚的工夫は、調剤者への注意喚起とヒヤリ・ハット防止の意識改革に有効であった。一方、病院内の医薬品のリスクマネジメントでは、医薬品の不適正な管理や使用を減少させるために医薬品の破損・調製ミスの要因、件数、金額を調査した。そして、薬剤師が積極的に対策を立案し、病院全体で作業環境の改善および思い込みの排除や指示確認の徹底などの意識改革を実施した結果、医薬品の破損・調製ミスを減少させることができた。今回の薬剤科内および病院内の医薬品に関するリスクマネジメントは、作業環境改善と個々の医療従事者の意識改革という 2 つの対策を並行して実施することが有効であった。
  • 井上 由香, 渕上 謙二, 姫野 君江, 後藤 勝政
    2009 年 10 巻 3 号 p. 544-547
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2014/09/05
    ジャーナル フリー
     西別府病院では神経・筋疾患患者を中心に約70台の人工呼吸器が常時稼動している。人工呼吸器の使用を安全に行うためには、看護師に対しても専門的知識が必要になってくる。そこで、医師及び 3 学会呼吸療法認定士で構成される呼吸器管理チームが中心となり、2004年より人工呼吸器の知識・技術の向上を目指し、院内呼吸療法認定看護師制度(以下、「院内認定士制度」という)を導入し院内研修を行ってきた。
     3 年間の経緯として、1 年目は院内認定士制度の導入を行い、2 年目は、2 年間の研修参加状況や研修内容および実施方法などの検討を行った。3 年目は、スタッフの意識調査を行い、院内認定士制度の位置づけや役割について検討し、今後の課題を明確にした。
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