日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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12 巻 , 4 号
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原著
  • 出口 貴行, 藤本 俊一郎, 大平 隆博, 平尾 寛子, 塩田 和代
    原稿種別: 原著
    2012 年 12 巻 4 号 p. 216-220
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     香川シームレスケア研究会は香川県中讃・西讃地域で2005年11月に設立され、エクセルベースで作成した脳卒中地域連携クリティカルパスが運用されている。インターネットで Kagawa Medical Internet eXchange(K-MIX)を用いたデジタル情報での運用が2009年1月から開始され、評価項目のデータ集計・分析が可能となった。

     今回、回復期病院から在宅復帰した271症例で、在宅復帰に関連する因子の重回帰分析、主成分分析を行った。Functional Independence Measure(FIM)、Barthel Index(BI)、modified Rankin Scale(mRS)などの評価は在宅復帰に強い関連があり、年齢、性別、世帯家族人数、日常生活機能評価、要介護度は関連が低かった。日常生活機能評価や要介護度は、年齢との関連が示唆された。FIMの項目では、運動項目で有意差があり、その中でも食事や更衣などのセルフケア項目に関連が見られた。

事例報告
  • 小玉 かおり
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 221-224
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     近年、医療機関の機能分化が進められ急性期病院の在院日数短縮の流れは加速しており、地域の医療、介護、福祉などの多機関多職種が連携し患者が円滑に在宅医療に移行するためのシステム作りが課題となっている。急性期病院では退院後の患者の生活をイメージできないまま医療や看護が行われ、退院支援・退院調整の必要な入院患者の特定が出来なかったり遅れたりする状況があり対策の必要性があった。

     今回、医師や看護師およびコメディカル等に退院後の患者家族の様子をフィードバックし、訪問診療医や訪問看護師等と意見交換する場としての退院後フィードバックカンファレンスを試みた。2009年度に2回開催したところ各回40名前後の参加があり、院外からは訪問診療医と訪問看護師およびケアマネジャーが参加した。診療科の特徴的な退院支援・退院調整事例を取り上げ退院後の様子を画像で伝えるなど、急性期病院の職員が患者の退院後の生活に関心を持ち理解しやすいように工夫した。その結果、急性期病院職員が退院後の患者家族の様子を知る機会となり、訪問診療医や訪問看護師等との相互理解や信頼関係構築に役に立つという結果を得ることができた。

  • 本手 賢, 厚谷 卓見, 藤兼 俊明, 黒田 健司, 西村 英夫
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 225-228
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     人工呼吸器に係る合併症や事故は時として致死的であり、安全使用のための知識や技術の修得が必須である。国立病院機構旭川医療センターの障害者自立支援病棟では、神経・筋疾患患者に対して常時10台前後の非侵襲的陽圧換気療法(NPPV:noninvasive positive pressure ventilation)機器が稼働している。そこで、NPPV機器の安全性向上を目的として管理マニュアルを作成し、それを基に当該病棟看護師に対して医療機器(ME:medical equipment)教育を行った。 ME教育実施前2年間に14件だったNPPV関連のインシデントが、実施後2年では1件と減少した。しかし、ME教育を実施してから約2年後に知識・技術を確認する試験を行ったところ、個人正答率および試験問題の正答率が50%に満たないものがあった。この結果から、表面上はインシデントとして発生していなくとも、医療事故が発生する可能性は潜んでいると考えられ、医療事故予防のためには、講習などのME教育と合わせて定期的に知識・技術を確認する試験を実施することが必要と考えられた。

  • 児玉 由美子, 村田 尚恵, 猪狩 圭介, 木下 美佐子, 田中 由利子, 矢野 いづみ, 松本 洋美
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 229-235
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     本研究は事故当事者の主観的体験から、事故後の当事者及び関係者へのサポートのあり方を検討することを目的とする。実際に影響レベル3b以上の事故に関与した当事者を対象に、公的医療機関に研究協力を依頼し、 回答が得られた43施設45名を対象とした。データは、記述式調査用紙で収集し、「事故後の周囲の対応についての当事者の思い」に関する記述内容を質的に分析した。

     分析の結果、事故後の対応についての当事者の思いは、≪その場の業務調整により乗り越えられた安堵≫ ≪気持ちにつきあってもらい楽になる≫ ≪ “あなただけの責任ではない” に救われる≫ ≪他者との省察により前向きになる≫ ≪繰り返される事実確認に対して負担感≫ ≪振り返りの場で沸き起こる後悔≫ ≪対応を一人で背負わされる困惑≫ ≪状況を知らされない不安≫ ≪二次的に波及する当事者間の軋轢への嫌悪≫ の9のカテゴリーが抽出された。これらにより、組織としての事故対応の方向性を明確にし、当事者が起こった事実と向かいあえるようなサポート体制や周囲の関係者も含めた支援の必要性と平素からの職場内コミュニケーションを高め、協力し合える職場風土を作り上げていくことの重要性が示唆された。

  • 石井 猛, 浜野 公明, 柳沢 由香理
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 236-239
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     病院情報システムの導入、保守費用について検討した。千葉県がんセンターは2006年4月病院情報システムの基幹システムとしてSSI(株式会社ソフトウエアサービス)社 e -カルテシステムを導入した。同システムのパッケージとして、オーダーエントリーシステム、電子カルテシステム、部門システムの、医事会計システム、検査システム、輸血システム、手術麻酔システムなどを導入した。他社製部門システムとして、PACS(picture archiving and communication systems)、画像診断部 RIS(radiology information system)、放射線治療部 RIS などを導入した。これらを対象とし、導入費用、5年間に追加した費用、保守費用に関し検討した。システム導入追加費用は総計69,910万円、年間13,980万円であった。また、保守費用の総額は年間4,190万円であった。したがって導入・保守費用は、年間18,170万円、年間医業総収入比2.2%、1病床あたり53.3万円と計算された。この費用額は、文献的データと比較し低額であった。その理由として、電子カルテシステムがパッケージ型である、部門システムをできるかぎり電子カルテシステムのベンダー製とした、端末追加費用が低額であった、以上が大きな要因として考えられた。

  • −データ伝送周波数の変更なくして病棟間移動を可能にする割り当て−
    大掛 馨太, 原田 武志, 植松 亜希夫, 石倉 祥之, 山中 若樹
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 240-244
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     病院内では重症患者や病態が急変する可能性がある患者に生体情報モニタ(モニタ)や医用テレメータ(送信機)を装着し、心電図・血圧・血中酸素飽和度など基本的なバイタルサインを連続的にモニタリングすることは日常的なことである。モニタリングされた情報は無線でナースステーションの多人数用生体情報モニタ(親機)に送られ、離れた場所でもベッドサイドの情報が把握できるようになっている。モニタ関連機器は稼動効率向上のために中央管理を行うことが望ましいが、無線を利用しているため病棟間移動に際しては混信を回避すべく、無線データ伝送周波数(チャンネル)の変更が必須である。その結果、中央管理には人材、時間、場所が必要とされる。またチャンネル変更ミスによる医療事故も報告されていることからモニタはゾーン管理され病棟固定で運用されることが多い。明和病院では従来、ゾーン管理で運用を行っていたため新館設立に伴う病棟の移動、再編成などでモニタ3台・親機3台・送信機4台の追加が申請された。そこで、われわれはチャンネル変更を行わずに病棟間でモニタを移動させても混信が起こらない新規システムを考案した。この方法によってチャンネル変更を行う人材と時間を削減できたうえ機器購入台数をそれぞれ1台・0台・4台に抑えることができ、大幅な経費削減となった。さらにチャンネル変更ミスによる医療事故も回避でき、医療安全も向上したので報告する。

  • −東京都内の医師事務作業補助体制加算届出病院の調査結果より−
    瀬戸 僚馬, 蓮岡 英明, 渡辺 明良, 武藤 正樹
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 245-249
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     外来業務における役割分担の現状を把握するため、東京都内の医師事務作業補助体制加算届出病院94施設に自記式調査票を郵送し、37病院から回答を得た。そのうち、病床数400床未満が24病院(64.8%)を占めた。外来部門における事務職員の配置は、看護職員4.46人に対し1人の割合であった。

     医師、看護職員および事務職員間で分担する余地のある24種類の外来業務を掲げ、当該業務をどの職種が行っているかを調査した。医師については、全回答病院で実施している業務には「処方箋の記載・入力」があり、いずれの病院でも実施していない業務に「検査室への案内・付添」があった。これ以外の業務は、医師は、看護職員や事務職員と分担して実施していた。

     また、役割分担通知に関する行政通知において事務職員に委譲できると明示された業務であっても、医師や看護職員が担っている現状が明らかになった。例えば、「次回診察の予約」は医師が担っているのが25病院(67.6%)、看護職員が担っているのが22病院(59.5%)に対し、事務職員が担っているのは21病院(56.8%)に過ぎなかった。同様の傾向が「診察に必要なカルテなどの準備」などでもみられた。

     事務職員が少ない病院では、これらの業務を看護職員が担う傾向があることも明らかになった。役割分担を推進するためには、外来における事務職員を拡充する必要があることが示唆された。

  • 勝尾 信一
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 250-254
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     新田塚医療福祉センターに勤務する医師48名に対し、委員会業務に対する意識をアンケート調査し、実態と絡めて検討した。31名の医師が延べ87委員会に所属していた。延べ81名(委員長30名、委員51名)から回答を得た。委員会業務を負担と回答したのは全体の42.0%で、特に委員長は70.0%と高率だった。委員会業務負担軽減の工夫をしていると回答したのは全体の24.7%で、特に委員長は56.7%と高率だった。61.8%の医師が委員を交代したいと回答した。委員会業務時間は年間平均29.5時間で、特に委員長は61.4時間と長かった。委員会業務時間と委員会業務負担は相関が見られたが、委員の交代とは相関がなかった。病院勤務医は、委員会の必要性は理解しているが、委員会活動が日常業務の負担の大きな要因となっている。そして、負担と思っている以上に委員を交代したいと思っている。しかし、委員長は高率に負担と回答したが、委員会出席率は高く、交代したいのは半数だった。診療業務に直結した委員会というのもあり、委員会業務に使命を感じていると思われる。委員会業務を軽減するために、医師事務作業補助者を有効に活用したり、他の委員会や部署と調整したりする必要がある。また、疲弊させないために、インセンティブを与えるのも一つの方法である。

  • 古川 恵美, 瀬戸 加奈子, 松本 邦愛, 長谷川 友紀
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 12 巻 4 号 p. 255-260
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     経済連携協定 (EPA:Economic Partnership Agreement) に基づき、 インドネシアとフィリピンから外国人看護師候補者が来日し、 全国の医療機関等に配属され教育・研修が行われている。 本研究では、 外国人看護師受け入れ施設を対象にアンケート調査を実施し、 受け入れ動機、 国家試験のサポート体制、 受け入れ施設の現状および今後の課題を検討することを目的とする。

     調査票は100施設より回収され有効回答率は65.8% (100/152) であった。 外国人看護師の受け入れ目的としては、 国際交流への協力、 国の政策への協力が多く挙げられ、 看護師不足への対策は少数であった。 受け入れ施設のデメリットとして、 指導の負担、 サポートがないことを訴えるものが多かったが、 メリットとしては施設の活性化が多く挙げられた。 国家試験合格への障害としては日本語能力が多く挙げられた。 日常会話能力は概ね問題がないのに対して、 看護業務遂行に必要な日本語修得には大きな障害があることが示唆された。

     今後は、 公的機関等の外部機関と受け入れ施設の役割分担を明確にした教育手法・教材の開発、 優れた実績を上げている受け入れ施設の事例研究に基づく知見の共有が重要であると考えられる。

紹介
  • 真鍋 健一, 片渕 茂, 清川 哲志, 野村 一俊
    原稿種別: 紹介
    2012 年 12 巻 4 号 p. 261-264
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     クリティカルパスを作るには手間がかからないことが一つの条件となっている。また電子化クリティカルパス作成の前準備として、プロセスの全体を見渡せるクリティカルパスの作成が必要とされている。そこでエクセルを利用したクリティカルパス作成ツールを開発した。クリティカルパス作成に必要な標準的な達成目標の用語を項目別にシートとし、クリティカルパスの作成がコピー・ペーストの操作で簡便に行えるように用語のリンク付けを行った。

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