日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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13 巻 , 3 号
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事例報告
  • 西村 裕之, 谷口 真菜
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 13 巻 3 号 p. 110-115
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2020/09/11
    ジャーナル フリー

     高知県立幡多けんみん病院では、2010年6月から情報通信技術を用いた地域連携システム「しまんとネット」を導入し、高知県幡多地域で用いてきた。「脳卒中地域連携クリティカルパス(脳卒中連携パス)」、「脳卒中病診連携クリティカルパス(病診連携パス)」、のインターネットでの運用と、電子カルテの連携施設への公開を開始した。1年間の運用で、「脳卒中連携パス」は247名に、「病診連携パス」は148名に適応、227枚が発行され、順調に運用されている。

     これまでの紙媒体の問題点が改善され、多職種が関わることが可能となり、記入される情報が充実、視認性、判読性が向上し、双方向にリアルタイムでの情報の共有が可能となった。

     当院入院中から転院先となる医療機関が決定した時点で、その医療機関において当院電子カルテの情報と地域連携クリティカルパスの参照が可能となり、より充実した情報の共有が可能となった。

  • 島ノ江 千里, 持永 早希子, 溝上 泰仁, 平野 和裕, 中野 行孝, 藤戸 博
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 13 巻 3 号 p. 116-122
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2020/09/11
    ジャーナル フリー

     近年、外来がん化学療法患者が増加しており、これらの患者の総合的な薬物療法管理を地域で行うことは薬剤師の重要な役割となってきている。本研究では、外来がん化学療法において薬物療法管理を薬剤師が行うための有用な対策を検討するために、病院薬剤師26名と薬局薬剤師69名を対象とした質問紙による調査のデータに基づいてポートフォリオ図を作成した。ポートフォリオ図では、薬局薬剤師と病院薬剤師におけるがん患者に実施する11項目の薬物療法管理業務に対する3つの障害要因(マンパワー不足、患者情報の不足、知識不足)の影響を示した。病院薬剤師において「マンパワー不足」と「患者情報の不足」への対策が必要な5つの業務と、薬局薬剤師で「患者情報の不足」への対策が必要な6つの業務が示された。これらの結果から、外来がん化学療法において使用する「薬物療法パスシート」を作成した。このシートは、薬剤師が患者や他の医療者と協働して、シームレスな副作用モニタリング、相互作用チェック、服薬モニタリングという薬物療法管理に活用できる可能性がある。

  • 嶋崎 明美, 清家 百合枝
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 13 巻 3 号 p. 123-126
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2020/09/11
    ジャーナル フリー

     退院支援への病棟看護師の関わりを推進する方法を明らかにするために、急性期病院一般病棟の看護師253名の意識調査を行った(回答率84.6%)。重回帰分析によると、退院支援の要否判断には介護認定の確認、療養上の問題点把握、病棟勤務年数が有意に影響していた。病棟勤務年数は、患者不安の傾聴、退院後注意点の説明、患者の退院を目標とすることと正の相関を示した。そして、退院を目標とする看護師は、統計上有意に家族構成・同居者および介護認定を確認せず、退院後生活の希望を尋ねず、退院後注意点の説明ができていなかった。実践できる能力があることと実践することは別であると示唆された。

     退院支援において、退院後の生活を考慮に入れた患者の情報収集と適切な退院指導は重要であり、継続看護の視点を持つことが求められる。退院支援の推進には、病棟看護師が患者の退院のみを最終目標としないことが大切である。

  • 飯田 修平, 西澤 寛俊, 長谷川 友紀, 小谷野 圭子
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 13 巻 3 号 p. 127-133
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2020/09/11
    ジャーナル フリー

     医療の透明性、質保証、安全確保などに関する社会の要請に対応するには、事実やデータに基づいた医療・経営(EBM:Evidence Based Medicine/Management)を導入し、効率と質向上を両立させなければならない。

     社団法人全日本病院協会(全日病)では、医療の透明性、質保証、安全確保などを目的に、臨床指標を用いた質評価事業、DPCデータを用いた分析事業(MEDI-TARGET)と国際的な質評価事業であるIQIP(International Quality Indicator Project)を実施している。

     全日病が実施している診療アウトカム評価事業およびDPCデータ分析事業を基に、2010年の厚労省の「医療の質の評価・公表等推進事業」を受託した。27病院が参加した。

     医療の質の評価・公表等推進事業の成果は、(1) 患者重症度、病院特性に対応した個別病院のデータ公表の仕組みを確立したことと、(2) 標準的な患者満足度、推奨度調査票の開発・導入・結果の公表の仕組みを確立したことである。

     今後の課題は、(1) 実務として事業を継続可能な仕組み・体制を構築することと、(2) 収集データの信頼性確保と、(3) 実務担当者の資質向上の為の教育・研修である。

  • 下村 欣也, 平松 治彦, 宮本 正喜
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 13 巻 3 号 p. 134-138
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2020/09/11
    ジャーナル フリー

     病院は一般企業と違い、行政の医療政策のもとで運営を行っていることから、相対的に大きな経済的リスクに直面することなく、運営できる状態であったといえよう。しかし、病院自ら組織を維持し発展させる為には、一般企業と同様の組織活動は行わなければならず、その為には、自らの力を適宜把握しておく必要性がある。そこで、病院運営も一般企業と同様に、財務データに集約される以前の定性情報の中に、病院の運営に影響を及ぼす重要な要因があるのではないかと考えた。本研究では、「定性情報による病院運営の要因」を、公益財団法人日本医療機能評価機構のデータを用いて数量的に評価し、定性情報の関連を明らかにすることにした。分析の内容は、「病院方針」と「病院環境」 が、病院の「運営管理」に影響力があると仮定し分析を行った。データには、公益財団法人日本医療評価機構の評価データを活用し、分析法には共分散構造分析を用いて分析を試みた。結果、モデルの全体的評価は、GFI=0.958、AGFI=0.941、CFI=0.865、RMSEA=0.044で十分な適合を示し、適合度は高度に有意であった。

     以上より今回の分析において、「病院方針」と「病院環境」は、「運営管理」に対して、影響を与える要因であるということが示唆されたといえよう。

  • 山中 英治, 西村 智子
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 13 巻 3 号 p. 139-144
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2020/09/11
    ジャーナル フリー

     咀嚼や嚥下の障害、体力の低下などにより普通の食事の摂取が困難な状態では、きざみ食やペースト食など(以下従来食)が提供されることが多い。しかしこれらの食事は外観が悪く、食欲が減退する。食は人生の楽しみであり、「美味しく食べる」ことはQOLにとって重要である。

     そこで、外観と風味は通常の食事に類似しているが、口腔内でペースト状になり容易に溶解する摂食回復支援食「あいーと®」が開発された。破砕されあるいは潰された形状の従来食を摂取している患者を対象として、「あいーと®」を3日間提供し、前後の従来食の摂取時と食欲や食事の感想、喫食率を比較検討した。

     さらに「あいーと®」と病院で調理する「きざみ食」の提供に要する作業時間と経費についても比較して費用対効果について考察した。

     「あいーと®」は従来食と同様に咀嚼困難患者にも安全に摂取できた。喫食率は「あいーと®」摂取前後で有意差を認めなかった。患者の感想としては「あいーと®」が従来食に比べて食事に対する満足度が有意に高かった。作業時間は「あいーと®」が短く調理の手間が少なかったが、食費としては高価であった。

     経費はやや高価になるが、外観の美味しそうな「あいーと®」は、「食べる喜び」を実感できるため、従来食よりも患者のQOLを向上させるので、提供する価値があると考えられた。

  • 鈴木 友美, 中島 誠
    原稿種別: 事例報告
    2012 年 13 巻 3 号 p. 145-150
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2020/09/11
    ジャーナル フリー

     国立病院機構長良医療センターでは、neonatal intensive care unit(以下、NICU)/growing care unit(以下、GCU)における薬学的管理事項を設定したうえで、2008年4月より薬学的管理を開始した。1名の薬剤師(以下、N担当薬剤師)が担当となり、NICU/GCU にて治療薬が投与された全患児の薬物投与量の確認を行った。N担当薬剤師は、他の業務と兼務しながら1日2時間程をNICU/GCUにおける薬学的管理に費やした。N担当薬剤師への医師および看護師からの問い合わせや実施した薬学的介入を解析した結果、薬物投与量の確認、点滴ラインの確認と適正化、エビデンスの確認と薬剤選択、therapeutic drug monitoring(TDM)の実施、薬剤の製剤学的特徴の情報提供に関するものが多かった。医師および看護師を対象としたアンケート調査では、薬物投与量の確認、配合変化の確認、家族に対する退院時指導が強く必要とされていた。また、薬学的管理開始後、NICU/GCU における薬剤に関するインシデント件数が経年的に低下した。

     本研究結果より、NICU/GCU において薬剤師が実施可能な薬学的管理事項、他の医療スタッフが必要としている薬学的管理事項が明らかになった。また、薬剤師の関与が、NICU/GCU における医療安全に繋がる可能性が示唆された。

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