日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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14 巻 , 1 号
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原著
  • 丹内 智美, 浜野 公明, 佐々木 美奈子, 比江島 欣慎, 坂本 すが
    原稿種別: 原著
    2013 年 14 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     地域連携クリティカルパスを使用したがん診療が患者中心であるかを評価する目的で、乳がん患者を対象にして満足度に及ぼす影響を検証した。

     手術を受けた原発性乳がんの女性患者385名を対象とし、受診、診療の質、医師及び乳がん診療全体に対する満足度について、自己記入式質問紙調査を行った。患者を、クリティカルパスを使用した連携診療を受けたか否かによって、地域連携群と拠点病院群の2群に分類し、比較した。また、各項目が乳がん診療全体への満足度に及ぼす影響について検証した。

     質問紙は地域連携群86名、拠点病院群151名から回収した。地域連携群は、拠点病院群に比べ、乳がん以外の診療を受けていた患者が多く、受診及び医師についての満足度が高かったが、検査が予定に沿って実施されているとの認識度が低かった。乳がん診療総合的満足度は2群間に有意差を認めなかった。また、乳がん診療総合的満足度と医師についての満足度は高い相関性があった。さらに、再発の発見がすみやかになされるとの認識度が乳がん診療総合的満足度に最も強く影響を及ぼしていた。

     地域連携クリティカルパスを使用したがん診療は、医師及び受診に対する満足度を高め、乳がん診療に対する患者満足度の向上に寄与していると考えられた。

  • 福岡県私設病院を対象とした1998年・2012年の繰り返し調査から
    加藤 尚子, 近藤 正英, 大久保 一郎, 長谷川 敏彦
    原稿種別: 原著
    2013 年 14 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     一連の機能分化施策に対する私的病院の反応を検討するために、機能分化施策が強化された1990年代後半から今日までの私的病院の病院形態の変遷を、特定地域における繰り返し調査を基に分析した。福岡県下の医療法人と個人病院を対象に、1998年と2012年に実施した質問紙調査において、現在と将来の病院形態および機能分化施策についての見解を尋ねた。回答のあった90施設を分析した結果、1998年から2012年までに約4分の1の病院の形態が変化していた。しかし、全体の形態の割合には大きな変化はなく、私的病院が機能分化施策に敏感に反応したとは言い難い結果になった。もっとも、形態が変化した病院の方が機能分化施策を肯定する意見が多く、施策を受け入れる傾向が認められた。機能分化施策に迅速に反応して形態を変化させる病院がある一方で、施策への反応が慎重な現状維持のケアミックス型病院が多数を占める、という二層構造が想定できる。

  • 濃沼 政美, 中村 均
    原稿種別: 原著
    2013 年 14 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     我が国の病院薬剤師916名に対し郵送調査を行い、病院薬剤師の就業に対する基礎データを収集するとともに、転職経験者に共通する傾向について探索した。調査項目は、回答者の個人属性、勤務施設、就業変化などとした。転職の有無に関連する因子を探索するため多重ロジスティック回帰分析を行った。調査票の回収率は52.5%であった。回答者の現勤務先での平均勤務年数は、10.2±9.1年であり、35.3%が転職経験者であった。また、転職経験者の前勤務先は、 薬局が38.8%、病院が35.3%であった。解析の結果、転職経験者ほど、年代が高く、病床数が少ない施設に勤務し、現施設への勤務年数が少なく、専門・認定薬剤師などの資格を有することがわかった。転職経験者ほど、病床数が少ない施設に勤務していた理由は、中小施設ほど中途採用という雇用システムが一般的であること、また専門資格を有していた理由は自立性やキャリア向上の意識が高いことが考えられた。

事例報告
  • 川本 俊治, 橘高 清, 奥村 和恵, 秋月 まなみ, 松田 守弘, 田村 律
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     虚血性心疾患に対して多くのガイドラインが過去15年にわたり公表されているが、患者教育やカウンセリングの順守度は極めて低いと指摘されている。本研究は虚血性心疾患・地域連携クリティカルパス(liaison critical pathway for coronary artery disease:LCP/CAD)が看護師や医療関係職の患者指導に変化をもたらすかを明らかにする。

     国立病院機構呉医療センターでは2007年から2011年までにLCP/CADを603名に適応した。今回、循環器病棟看護師を対象にLCP/CADの導入時、半年後、2年後、4年後にアンケート調査を実施した。導入時には LCP/CAD の評価は情報共有、指導、治療目標の明確化に有効と評価されたが、疾患の知識、医療関係職の患者に接する機会、患者への積極的な指導、医師の指示、亜硝酸剤服用指導、心臓リハビリテーションの知識は低値であった。運用年数が増えるに従い、医師のLCP/CAD指示の遅れは改善し(p<0.0001)、医療関係職が患者と接する機会が増加(p=0.0006)、患者へ積極的指導が向上(p<0.0001)、疾病知識が向上(p=0.0004)した。看護師は心臓リハビリテーションの知識が向上(p<0.0001)した。

     地域連携クリティカルパスを活用することで、看護師や医療関係職が患者指導に積極的に関わるようになり、看護師や医療関係職の医学知識も向上する。

  • 新人看護職数の増加に着目して
    南須原 康行, 佐久嶋 研, 奥原 芳子, 渋谷 かをり, 伊藤 陽一, 石川 誠, 宝金 清博
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     北海道大学病院における2003年度から2009年度までの7年間にわたるインシデントレポートの中から、 看護職によって報告されたものを抽出し、報告者の経験年数、レポート件数、場面などについて分析を行った。7年間で看護職から報告されたインシデントレポート総数は12,798件であった。7対1看護の導入により2007年度に145名の看護職の増員があり、総看護職の増員が22.0%であったのに対し、インシデントレポート件数は33.0%の増加であった。2007年度は総看護職数における1年目看護職数の割合が高く、1年目看護職による報告件数の占める割合が他の年度と比較して高かった。一方、1年目看護職1人あたりの平均年間報告件数の経年変化をみると、2007年度はそれ以前に比べて増加していなかった。看護職の増員は、看護職1人あたりのインシデントレポート件数の減少には繋がらなかった。看護職1年目ではインシデント全体に占める処方・与薬の割合が、2・3年目、4年目以上と比較して有意に大きかった。その内訳では、末梢静脈点滴なかでも投与速度に関するものの割合が、1年目および2・3年目は4年目以上に比べて有意に大きかった。看護職の新人教育においては、新人が関与する可能性の高いインシデントに重点をおいた教育が必要であろう。

  • 南須原 康行, 佐久嶋 研, 伊藤 陽一, 奥原 芳子, 渋谷 かをり, 石川 誠, 宝金 清博
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     転倒・転落予防のための病院の注意義務については厳しいものが求められており、入院時に転倒・転落の危険度を予測し、それに基づく説明・対応を行うことが一般的になっている。北海道大学病院でも「転倒・転落アセスメントシート」を用いているが、その有効性などについての検証は行われていない。また、入院時における書類や手続きの増加により、アセスメント自体が看護師の負担にもなっている。そこで、当院で用いられているアセスメントシートの妥当性を検討した。2009年度に当院の脳神経外科・神経内科病棟に入院した成人患者532名を対象とした。転倒・転落の発生率は7.5%(40件)であり、I:2.7%、II:5.3%、III:15.3%と危険度に応じて上昇していた。転倒・転落の有無の2群間で入院期間を考慮したCox単回帰モデルでは、感覚障害、認識力、性格については両群で有意差を認めなかった。また、年齢も有意差を認めなかった。入院期間を考慮したCox重回帰モデルの結果で有意に残ったのは、転倒の既往と薬剤使用の2項目であった。転倒の既往も薬剤使用のいずれも該当しない群、どちらか1項目のみ該当する群、両方とも該当する群の3群に分類すると、転倒・転落発生率は、現在使用している8項目に基づく危険度分類によるものとほぼ同等の結果であった。当院の成人用転倒・転落アセスメントシートは、転倒・転落の危険度の予測として概ね妥当であった。

  • 相談の傾向と病型との関連
    神部 陽子, 今井 尚志, 椿井 富美恵, 大隅 悦子
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     全国の難病相談支援センターの相談記録5,145件を調査し、相談件数の多い10疾患2,033件の内容を検討した。最も相談件数が多い疾患はパーキンソン病関連疾患(PD)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)で、次いで潰瘍性大腸炎(UC)であった。PDとUCはいずれも約10万人の認定患者数(医療受給者証交付数)を有するが、ALSの認定患者数は約8,300人で10疾患中最も少なく、認定患者数と相談件数に有意な相関はみられなかった。一方患者本人からの相談に着目すると、認定患者数と患者本人からの相談件数には有意な正の相関を認めた(p<0.05)。

     相談者はALS以外の9疾患では患者本人が49.3〜81.4%を占めたが、ALSでは支援者(保健医療福祉の専門職)が48.4%、家族が26.7%、本人は8.4%であった。相談事項の傾向から10疾患は(1)就労相談型(UC等5疾患)、(2)患者会活動型(PD等4疾患)、(3)療養環境調整型(ALS)の3型に大別され、病型との関連が示唆された。

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