2014年度診療報酬改定で新設されたADL維持向上等体制加算の病院経営への影響を明らかにすることを目的に、加算点数実態調査と分析をおこなった。対象は、2015年12月からの1年間に、病棟専従理学療法士を配置した病棟(専従病棟)1,558例と、後に病棟専従配置を検討しているシミュレーション病棟(SIM 病棟)1,140例である。入院延べ日数からADL維持向上等体制加算除外日数を引いて加算点数を算出し、疾患別リハビリテーション点数と合わせて患者カルテから後方視的に比較検討した。専従病棟とSIM病棟でそれぞれ、入院延べ日数、12,996日と12,076日が算出され、15日以上の入院日数2,084日と2,842日、疾患別リハビリテーション日数1,356日と595日、病棟専従理学療法士非勤務日数1,772日と1,926日が算出された。加算日数は、7,784日と6,713日が算出され、加算単独の年間点数は622,720点と537,040点、疾患別リハビリテーション点数は、135,080点と72,860点であった。総合計点数は、専従病棟757,800点、SIM病棟609,900点で、専従病棟が147,900点多かった。ADL維持向上等体制加算に準ずる病棟専従理学療法士の配置は、リハビリテーション関連点数の増加を認め、専従理学療法士の人数や非勤務日数、リハビリテーション運用が同様な病院では、経済的に優位な点が認められる。
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