近年、レセプトコンピューター (レセコン)、オーダリング、電子カルテと進んできた医療界のInformation Technology (IT) 化は、いよいよ医療の質の標準化を目指して電子クリティカルパスの時代を迎えるに至った。しかしながら、レセコン、オーダリングまでは事務サイドのIT化の側面が強く、その延長線上に発展してきた電子カルテでは医療者のニーズに的確に応えられるものは少ないのが現状である。
クリティカルパスは医療現場でのノウハウを集約した医療者の知識の結晶だが、紙ベースで素晴らしいクリティカルパスの運用が出来ている施設が電子化した途端に運用に困難を来す例は枚挙に暇がない。
電子カルテや電子クリティカルパスを導入する際には、医療者のノウハウをシステム化するために仕様書の形でシステムエンジニア (SE) に伝える必要があるが、仕様書作成に不慣れな医療者は業務フローやアイデアを文字で表すことに困難を感じる。一方、SEは顧客である医療者の要求が充分把握できず不十分な医療現場の知識をもとにシステム作成を行わざるを得ない。その結果、医療者の思うようなシステムは作られず、システムベンダーに対する不満が募ることとなる。
この問題の一つの解決法として、現在、様々な医療現場で医療者による自作ソフトウェアが作成され活用されている。
今回、ファイルメーカーProによる電子クリティカルパスを含めた診療支援システムの概要を紹介し、医療界の電子化に一石を投じたいと考える。
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