日本医療マネジメント学会雑誌
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最新号
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原著
  • 内服薬と注射薬に焦点をあてて
    真下 綾子, 中谷 喜美子, 陣田 泰子, 市川 幾恵, 佐藤 久美子, 山元 友子, 坂本 すが
    原稿種別: 原著
    2016 年 17 巻 3 号 p. 109-116
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     看護実践能力と誤薬との関係を検証するため、「全看護職員数に対してより高い看護実践能力をもつ看護職員数の割合が高い病棟では誤薬の発生は少ない」という仮説を立てた。研究デザインは3回のデータを収集する反復調査研究とし、有害事象発生件数が多い時期と少ない時期を含めた2007年1月、2008年5月、7月を調査時期に選び、各1週間のデータを収集した。対象は機縁法にて抽出した急性期の6医療機関、対象病棟は一般病棟、46病棟である。対象者は看護師長を除く対象病棟の全看護職員とした。調査項目は、有害事象である「誤薬(内服)」「誤薬(注射)」とし、リスク調整のため「看護必要度」、「薬剤件数」さらに対象者の「看護実践能力」も調査項目に加えた。分析方法は、病棟単位の看護実践能力がより高い者の割合を算出し、「中レベル以上の看護師割合」と定義し、仮説の独立変数とした。次に、「誤薬(内服)」「誤薬(注射)」を1週間毎の単位で、各勤務帯に一般化推定方程式によるポアソン分布を用いた分析を行った。「誤薬(内服)」において日勤帯、準夜帯、深夜帯では、中レベル以上の看護実践能力の評価をうけた看護師割合との関連性はなかった。しかし、「誤薬(注射)」の日勤帯において、中レベル以上の看護実践能力の評価を受けた看護師割合が高いと誤薬(注射)の発生数は少ない傾向にあることが明らかになった。

  • 森脇 睦子, 梯 正之, 伏見 清秀
    原稿種別: 原著
    2016 年 17 巻 3 号 p. 117-122
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     医療施策として医療機能分化が進められ、大病院は外来機能を縮小・専門特化し、入院医療に集中することが求められている。本研究では、病院機能分化の1つである外来縮小に注目し、大病院の機能と地域の医療提供体制から軽症患者の大病院外来受診に与える影響を検討した。

     本研究は、2013年4月〜2014年3月の国立病院機構に属する一般病床200床以上の82病院を大病院とし、その病院のDPCデータおよび外来レセプトデータを分析した。まず、軽症患者を判定しその受診状況を明らかにした。次に、軽症患者受診割合に対する病院要因および地域医療提供体制要因の影響について重回帰分析を行った。なお、軽症患者は「診療所で可能な医療が提供された患者」とし、外来レセプトデータを使った判定方法を考案した。

     分析の結果、大病院を受診した軽症患者は38.1%(SD=9.2)であった。大病院の軽症患者受診に影響していたのは、化学療法実施率(入院)(β=-0.55、p<0.01)、手術実施率(入院)(β=-0.41、p<0.01)、効率性指数(β=-0.25、p<0.02)、一般病床>その他病床(β=-0.22、p<0.02)であり、このモデルではR=0.56であった。これらの変数は、入院における急性期医療の投入量を示すものであり、急性期の入院医療に資源が投入されている病院は、外来患者の受診を抑え機能分化が進んでいることを示唆した。

  • 小原 仁
    原稿種別: 原著
    2016 年 17 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     入院後に発症する誤嚥性肺炎は、追加的な医療資源量の増加をもたらす。しかし、こうした医療資源量を定量的に推定した報告は少なく、情報が不足している状況にある。そこで本研究では、入院後に発症した誤嚥性肺炎による追加的医療資源量を定量的に明らかにすることを目的とした。

     解析対象となるデータは、調査対象施設から直接収集したDPCデータを用いた。入院後に誤嚥性肺炎を発症した症例と病名、術式行為、患者属性が一致する対照群をマッチングさせ、このペア間の差の平均から在院日数と入院医療費の追加的医療資源量を推定した。

     推定の結果、入院後に発症した誤嚥性肺炎による在院日数の増加(95%信頼区間)は17.2日(11.6日〜22.8日)であった。また入院医療費(95%信頼区間)は61.9万円(39.7万円〜84.2万円)の増加が認められた。

     本研究によって、入院後に発症した誤嚥性肺炎の追加的医療資源量が定量的に明らかとなった。本研究成果は、入院後における誤嚥性肺炎の予防活動を支える医療マネジメントの基礎資料として、広く活用できると期待された。

事例報告
  • 高橋 健, 広瀬 洋, 森 憲司, 堀川 幸男, 野田 俊之, 白鳥 義宗, 冨田 栄一
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     岐阜二次医療圏(人口約80万人)では2006年から「岐阜地域医師会連携パス機構」のもとで多疾患の統一地域連携クリティカルパス(以下、連携パス)運用を進めてきた。「機構」は岐阜市医師会と病院連携部門ネットワークを基盤とし、専門医による心筋梗塞、ウイルス性肝炎、脳卒中、大腿骨頚部骨折、泌尿器疾患、5大がん、糖尿病、COPDの各々独立した連携パスワーキンググループが参加し構成されている。「機構」の事務局的組織として、各グループの代表が参加し統括する「運営委員会」と病院連携部門による運用支援ネットワークがある。また、連携パスコーディネーター養成講座を開催し推進を図っている。今回、発足9年目の状況を専門医と診療所間の循環型連携パスに関して報告する。全循環型連携パスの運用数は2015年3月集計で3207件であり、6か月で約400件増加している。近年、5大がん、特に胃、大腸、乳がんの増加がみられている。受け側診療所の連携パス参加状況では、地域内全606診療所のうち、大腸がんは31.8%、乳がんは31.5%の診療所が参加しており、全循環型連携パスのいずれかに参加経験のある診療所は56.4%(342診療所)と過半数を超えている。1診療所が連携パスで連携する病院数は1〜5(平均2.01)、1診療所が受けている連携パスの種類は1〜9(平均3.42)であり、地域内で連携パス医療が徐々に受け入れられてきた状況が確認された。今後の課題はアウトカム評価、「機構」体制の維持、さらに、地域包括ケアシステムへの展開と考える。

  • 髙尾 宜久, 麻生 美樹, 増本 憲生, 南 幸栄, 岩川 精吾
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 135-139
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     入院患者の転倒転落リスク要因について分析する目的で、市立川西病院入院中の入院患者を対象として3軸加速度センサーを用いた身体活動量計による24時間にわたる日常活動の身体活動量(METS)と歩数の変化について調査した。患者24名(男性14例、女性10例)を対象とし、年齢は中央値64.5歳(39歳から92歳)であった。入院時疾患は、肝障害5名、白内障4名、がん3名、糖尿病2名、感染症2名などであった。身体活動量計を患者腰部に装着し、身体活動量並びに歩数を退院前日まで1日24時間測定した。夜間12時間(18時から翌日6時)の歩数および静止時のMETSを差し引いた活動量としての夜間12時間の活動⊿METS量(実測METS-1.0)は、日中12時間(6時から18時)の値の半分程度であった。転倒転落危険度の低い患者では夜間⊿METS量と日中歩数の比(夜間⊿METS/日中歩数)の値は低値なのに対し、転倒転落危険度が高い患者では高値を示し、夜間活動性の高まりが転倒危険度と関連していることを認めた。さらに調査期間中に転倒した患者3例では(夜間⊿METS/日中歩数)は非転倒患者に比べて有意に高値を示し、(夜間⊿METS/日中歩数)が転倒転落危険度の指標となる可能性が示唆された。

  • 管理指標を用いた日常管理導入の試み
    坂田 一美, 佐野 雅隆, 佐藤 千明, 山本 雅博, 賀屋 仁
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 140-144
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     川口市立医療センター(以下、当センター)では、医療の質・安全層別研修を実施しており、医療の質・安全を維持・向上させていくための基本は「日常業務をしっかりと管理」できることであると考えている。「日常管理」は、各職場が常日頃行っている業務に対してPDCA(Plan-Do-Check-Act)を回していくことである。2012年から、当センターは方針管理を開始したのと並行して、「日常管理」の導入を図った。座学による研修と、研修の継続として面談を行い、「管理指標」を1年間測定した。その後、発表会を実施し、各部門の成果を共有した。その結果、56名の管理職者が、管理指標を用いた日常管理を実施することができた。また、面談を実施することにより、各管理者の抱える問題意識を共有することが可能となり、日常管理を効率的に推進できた。

  • 野口 智恵子, 永易 卓, 山脇 康弘, 井上 寛, 森 益規, 山中 英治
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     病院は大きな変革の時代を迎え、日々生じる問題点、課題を早期に解決しなければならない。そこで、病院経営に直面する様々な問題に対して迅速に対応すべく、毎週、経営改善と経営の質向上を目的に病院マネジメント会議を行い、組織的にPDCAサイクルを回してきた。週ごとにKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の変動を把握し、情報共有し、吐下血等の消化器疾患や脳卒中など、地域で不足する医療体制について専門医を確保し、救急医療体制を整備するなど、需要に応じた対策を講じてきた。需要の多い疾患に対する医療体制を確保することで複雑性指数が高くなり、後方連携の充実、早期リハビリテーション開始と逆紹介の推進で効率性指数も上がり、かつ再入院も少ないという質の良い医療の提供につながった。DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System)における機能評価係数 II が上昇した。なかでも平均在院日数や重症度を表す効率性指数、複雑性指数が上昇したことから、病院マネジメント会議は非常に有効な活動であると思われる。今後も様々な情報を集約し、分析データをもとに将来の病院機能について意思決定を進めていかなければならない。

  • 園田 美樹, 片渕 茂
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 150-153
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     国立病院機構熊本医療センターは、23診療科に対し43名の医師事務作業補助者(以下、ドクター秘書)が配置され、導入後6年が経過した。この間にドクター秘書の補助業務の到達レベルが十分把握できていないことに加え、医師の業務追加要望が不明であることが明らかとなった。現状の教育体制で医師の負担軽減に繋がっているかに加え、今後の業務拡大の内容を検討するため、ドクター秘書と医師へアンケート調査を行った。

     外来診療補助については、全体的には現在の補助割合も高く、将来補助可能な割合も高い結果であった。また、医師が最終時に入力した内容とドクター秘書の入力した内容を比較し、業務内容が8割以上正確だと回答した補助業務別の割合は、次回診察予約オーダと検査結果出力が85%、予約票出力が82%、検査結果貼付補助は74%、再診時診療記録の入力補助は72%、初診時記録の入力補助は67%だった。診察がスムーズに進むような細部までの気配りは81%、診察内容や患者の病態を考慮した予約調整は67%で秘書的業務も高評価だった。現状以上に補助可能と医師が考えているものは、高度な医学知識が必要なものが多く、さらなる知識・技能の向上が必要である。

  • 杉谷 孝, 金 聲根, 長谷川 将文
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 154-158
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     島根県立中央病院では、単回使用品の管理において、経済的な理由から「体内・血管内に留置される材料」「償還価格がある材料(保険請求できる材料)」「単回使用品の使用期限切れ材料(未使用品)」「単回使用品の再生品の使用期限切れ材料」「再生(洗浄・滅菌)に危険性のある材料」などは再生を行わないが、それ以外は再滅菌使用することを可能と判断し、管理を行ってきた。しかし2014年6月に「単回使用医療機器(医療用具)の取り扱い等の再周知について」(医政発0619第2号)が公布され、診療材料の添付文書に従って、該当品を全面単回使用運用とした。運用変更によって単回使用とした診療材料は73品目、年間の実績増加金額は1,674万円で、試算増加金額4,032万円よりも少なく、全診療材料費に占める割合は0.93%であった。今回の検討で全面単回使用変更の影響は明らかにはならなかったが、昨今の診療報酬改定や消費税増税、医療情勢の変化により、病院経営が切迫する中で、診療材料費を抑制することは有益であり、今後は、「使用方法の検討」、「価格交渉」、「リユース品への切り替え」などを継続的に取り組んでいきたい。

  • 鴨志田 敏郎, 青山 芳文, 丸山 常彦, 平井 信二, 奥村 稔, 岡 裕爾
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 159-162
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     de novo B型肝炎予防システムを構築しアウトカム評価を行った。従来よりde novo B型肝炎予防のためHBV-DNA陽性時に主治医連絡を行い、講演会での啓蒙も行っていたが、2014年1月のガイドライン遵守率は20.3%と低かった。2014年6月より電子カルテ上へのアラートを開始したところ2014年8月には34.2%と改善した。2015年1月より紙カルテへもde novo B型肝炎注意喚起文書を挟み込むことで2015年4月には63.8%まで改善した。de novo B型肝炎予防システム稼動後HBV-DNAが一定量以上検出され核酸アナログ製剤を開始された症例が3例認められ全例でHBV-DNAの陰性化が得られており、de novo B型肝炎予防システムは一定の効果を上げていると考えられる。今後もチームで取り組み、治療前に主治医へ連絡し検査を徹底することによりガイドライン遵守率を向上させde novo B型肝炎予防システムの更なる改善を目指したい。

  • 多胡 雅毅, 河本 健太郎, 織田 良正, 織田 正道, 山下 秀一
    原稿種別: 事例報告
    2016 年 17 巻 3 号 p. 163-167
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     祐愛会織田病院では、2012年より講義形式の一次救命処置(Basic Life Support:以下 BLS)研修(以下旧研修)を年に一度行ってきたが、その効果は判定されていなかった。

     新たに施行したBLS研修(以下新研修)では、旧研修と同じ職種を対象として医師以外の全職員に対する3〜4人のグループ実習形式へ変更した。新研修では心肺蘇生シミュレータと自動体外式除細動器を用いた実技、院内急変における各職員の意識改革に重点を置いた講義、グループでの院内急変シミュレーションを実施した。新研修前後で13項目・11段階のBLS手技に関する知識、意欲、自信についてのアンケートを行った。また、新研修前後で1度ずつ院内急変訓練を実施し、その様子をビデオ撮影して新研修前後の変化について評価した。

     対象者239名中220名(92%)が新研修に参加した。新研修前後のアンケートでは、職員のBLS手技に関する知識、意欲、自信に関するスコアが有意に改善した。新研修後の院内急変訓練では、研修前には実施されなかった呼吸の確認が行われ、胸骨圧迫までの時間が2分28秒から25秒と短縮した。

     以上の結果より、少人数制でより実践的なBLS研修は、病院職員の院内急変時の対応を改善することが示された。

紹介
  • 青山 百合枝, 小手川 雄一, 櫃本 真聿
    原稿種別: 紹介
    2016 年 17 巻 3 号 p. 168-172
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

     高齢化が進む昨今、入院による安静臥床を主たる原因とする入院関連機能障害(Hospitalization-Associated Disability:以下 HAD)の予防が高齢者の生活の質を維持あるいは向上させるための重要な要素となっている。HADは、急性期病院に入院した高齢者の20〜40%程度発症するという報告があり、一度HADを発症すると改善が困難であるという報告もあることから、HAD発症の予防に対する取り組みは急務の課題である。そこで、HADハイリスク者を同定するためのスクリーニング “入院関連機能障害評価シート” を作成した。シートは、除外基準、判断基準、介入方針の3つの要素から構成された。スクリーニングシートに基づき、患者は、問題なし群、看護師によるパンフレットでの説明とセルフリハビリテーション群、理学療法士介入群の3つのいずれかに割り当てられるようフローチャートが作成された。セルフリハビリテーションのプログラムは、整形外科医、認知症専門医、看護師、理学療法士が協働して作成した運動プログラムを取り入れた。また個人でも実施できるように、リハビリテーションプログラムのツールとして、パンフレット及びDVDを作成した。

     このような急性期病院における入院前からのHAD発症予防のための組織的な取り組みについて報告する。

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