デジタルデバイド (digital divide) とはパソコンやインターネット等の情報技術 (IT) を利用する能力およびアクセスする機会を持つ者と持たざる者との間に情報格差が生じるとされる問題である。米国では既に1990年代半ばから論議されていたが、近年我が国でも一般IT分野ではその重要性が叫ばれている。
一方、急速に押し寄せた医療界のIT化の波に乗り遅れた医療機関にとってデジタルデバイドはまさに死活問題である。只でさえ医療制度改革の波に呑まれ厳しい状況に置かれている中小規模の病院では、大規模病院や公的病院と違って巨額を投じて電子カルテシステムやHIS-RIS-PACSなどの医療情報システムを導入することは容易ではない。しかしながら医療界のIT化の波は避けて通ることは出来ず、波に乗り遅れることは病院の生き残りを賭けた生存競争に敗れることを意味する。
当院では2000年より市販データベースソフトであるファイルメーカーProを用いた医療業務支援システムを病院全体に構築し、診療の質の向上、医療効率の改善、患者満足度の向上などに寄与してきた。
本稿では当システムを紹介し、その利点を述べるとともに、医療のIT化の嵐の中で中小規模病院の進むべき方向性にっいても考察を加えた。
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