大学体育学
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10 巻
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総説
  • 兵頭 圭介, 鈴木 明
    2013 年10 巻 p. 3-11
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
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    大学生の健康に関する研究成果を調べた結果、保健行動、ライフスタイルや生活習慣病の予防、メンタルヘルス、喫煙・飲酒、エイズ予防等に関する研究・報告が多くみられた。その結果は、特に青年期に将来の健康と極めて関連が深い、栄養、喫煙、身体活動、休養等についての知識や関心が極めて薄弱で、望ましくない健康行動等のライフスタイルの問題点が多く指摘され、そのことがストレスの蓄積等、こころの健康にも影響を及ぼしていた。将来の健康にも不安があることから、健康に対する関心を高める意識改革や、個人のスキル向上、QOLを高めるための具体的指導などが重要であり、望ましい健康行動の習慣形成を実現するためには、ヘルスプロモーションの考えが浸透するように繰り返し健康教育を行う必要がある。したがって、今後はその効果を最大にするためより効果的な健康教育の具体的内容の検討が重要である。また保健体育実技科目が運動不足の解消や健康管理上必要な知識の習得だけでなく、交友関係の広がり・深化など、学生の身体・精神面での健康増進・疾病予防に関するニーズに応えており、実技種目に対する理解と充実も重要である。

原著論文
  • 鈴木 久雄
    2013 年10 巻 p. 13-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は双方向スポーツ教育活動として行っている学生のスポーツ指導およびスポーツ教室開催活動の,コミュニケーション能力に及ぼす影響について検討した。対象は中学校部活動指導群(A群),地域スポーツ指導群(B群),スポーツ教室開催・指導群(C群)の3群とし,指導前後のコミュニケーションスキルを調査した。講義群はスポーツ指導を経験していない学生であり,大学における授業(講義)前後に同様な調査を行った。その結果,講義群の授業前後のコミュニケーションスキル項目得点,因子得点は変化しなかった。双方向スポーツ教育活動であるA群・B群はコミュニケーションスキル因子および合計得点を有意に増加させた。一方,C群はスポーツ指導前後においてコミュニケーションスキル因子得点が増加しない因子がみられ,A群B群とは異なる傾向が認められた。C群はスポーツ教室開催に伴う事前打合せは9%の学生のみが行い,スポーツ教室開催のきっかけが監督等からの指示と答えた学生が82%であった。双方向スポーツ教育活動はコミュニケーション能力向上に貢献したが,学生の主体的な活動が重要であることが示唆された。

  • 平田 智秋, 増澤 拓也, 飯田 路佳, 山本 悟
    2013 年10 巻 p. 21-29
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    体育科目における3種類の授業形態に注目して,自己効力感や無気力傾向,満足度の経時変化を検討した.それらは学外集中科目,学内実技,そして身体運動科学についての講義であった.これらの科目において,事前・事後・1か月後の3期に分けて自己効力感,無気力傾向に関する質問紙調査を行った.結果,学外集中科目の事後には自己効力感が高まり,無気力傾向が緩和された.しかし,一ヶ月にその効果が持続したのは無気力傾向の緩和のみであった.定期的に身体を動かす実技は,授業の継続によって漸進的な自己効力感の向上,さらには対人回避の抑制がみられた.そして講義では自己効力感や無気力傾向に積極的な効果はみられなかった.しかし15回の講義終了後には,長期的な視野での満足感が認められた.これら授業形態の特性を理解し,それぞれの形態に対して適切な授業内容の提供が求められる.

  • 水野 哲也, 田井 健太郎
    2013 年10 巻 p. 31-40
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,大学における初年次教育として実施した「フィットネスマネージメント」授業の中で,大学生向けフィットネス教育用に試作されたシステム(TFAS(ver.1.0)を用いた教育プログラムが,学生のフィットネス獲得に効果があるかどうかを検討することである。TFAS(ver.1.0)は,心,運動,栄養,休養,メディカルという5つの評価軸をもつシステムで,各フィットネス評価軸別の設問等に答えることによって,その健康度が評価されるとともに簡単なアドバイスコメントを提供するシステムである。対象は2011年度にT大学の1年に在学した男女大学生287名であり,前期,後期各15回,毎週90分/回の実技プログラムの他に,1年間に計3回(5月、10月、1月)TFASを用いたフィットネスチェックを実施し,さらに年度末に“私のフィットネスマネージメント”と題したレポート作成を課せられた。TFAS を使用しなかった2008年度の学生と比較した結果,2008年度群では有意差が認められなかった6ヶ月後の食生活調査において,2011年度群では有意な得点の平均値の増加が認められた(t(2,475)=2.65,p<.01)。また,レポート採点結果の比較から,栄養の自己評価において2011年群の方が2008年度群より得点の平均値が有意に高かった(t (2,508)=7.10,p<.001)。これらの結果から,大学体育におけるTFAS(ver.1.0)の使用は,大学生の食生活の改善に有用であることが示唆された。

  • 山本 直史, 萩 裕美子
    2013 年10 巻 p. 41-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
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    本研究では,大学生を対象に筋力トレーニングを中心とした身体活動介入を組み込んだ体育の授業を実施し,それが筋力トレーニングの行動変容ステージ,およびセルフ・エフィカシーに及ぼす影響を明らかとすること,また,授業終了概ね1年後に追跡調査を行いそれらの影響の残存性についても検討することを目的とした.

    介入群は224名(うち,男性153名,女性71名),非介入群は172名(うち,男性137名,女性35名)であった.体育実技の内容は主にニュースポーツ,およびバドミントンを実施し,介入群に対しては授業時間の10~30分を用いて筋力トレーニングに関する介入を行った.主な介入内容は筋力トレーニングに関する知識提供,筋力トレーニングの実技指導,セルフモニタリングであった.評価指標として,筋力トレーニングの行動変容ステージ,およびセルフ・エフィカシーを測定した.

    介入群は非介入群と比較して,授業受講前後における筋力トレーニングの行動変容ステージの良好な変化が認められた.具体的には,介入群は非介入群よりも男女ともに授業受講前後においてステージが下降した者,もしくは前熟考期のままであった者が有意に少なく,さらに男子についてはステージが上昇した者,もしくは継続期のままであった者が有意に多かった.筋力トレーニング行動に対するセルフ・エフィカシーについては有意な介入効果は認められなかった.介入群の一部の者(男子48名,女子23名)を対象に授業終了後概ね1年後の追跡調査を行った結果,介入終了後から追跡調査時点において,男子では45.7%の者に,女子では65.2%の者に筋力トレーニングの行動変容ステージの逆戻り,もしくは前熟考期の維持が観察された.

    以上のことから,筋力トレーニングの介入を組み込んだ体育授業は,大学生の筋力トレーニングの行動変容ステージの良好な変化をもたらすことが明らかとなった.一方で,その効果の残存性については,さらなる長期間の追跡研究によって明らかにする必要性が考えられた.

研究資料
  • 石﨑 聡之, 浜野 学, 生方 謙
    2013 年10 巻 p. 53-60
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    The purpose of this study was to measure the physical load for the golf beginner students in summer golf class. The subjects were 15 university male students who were golf beginners. They played a round without a cart(Day 2)and with a cart(Day 3 and 4). During a round,their heart rate, steps, body weight, body temperature, drink intake, and sweat rate were recorded. In addition, WBGT was measured every 30 minutes during a round.

    As a result, WBGT in the golf class was 17.7~30.4℃. Steps during a half round were 6,709±719~8,678±405. As for the weight loss 0.6±0.5~1.1±0.4% was obtained. The body temperature was 0.3±0.3~0.8±0.5℃, and the drink intake was 54.4±16.2~75.5±18.7%. The drink intake(%)was significantly correlated with the weight loss(%)(r=‐0.86, p<0.05)and the body temperature (r=‐0.41, p<0.05).

    In conclusion, the golf class in this study was held in hot environment. It was found that instructors need to pay adequate attention to the methods, time, and drink intake to inhibit the physical load on the course.

  • -同一教員が担当した5大学における考察-
    北 徹朗, 山本 唯博
    2013 年10 巻 p. 61-70
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
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    本研究では、簡易的なフィールドや用具で実施されることの多い大学ゴルフ授業を対象として、異なる教場環境が受講後の学習効果やその後のゴルフ実施への意欲にどのような影響を及ぼすか検討しようとした。対象は、首都圏5大学でゴルフ授業を履修した330名であった。授業前および授業後に集団面接法によるアンケート調査を実施し、教場環境と受講後の意識の相違について検討した。その結果、実際のコースラウンドを伴う授業を受講した学生の多くは「授業内容」、「用具」、「施設」に対する満足度が高く、「今後本格的にゴルフを始めたい」と感じている比率が高かった。また、「エチケット、マナーの知識」についても多くのことが学べたと感じ、ゴルフの運動強度に対する理解も他の群に比べて相違が認められた。さらには、授業後の「ゴルフに対するイメージの変化」や「ゴルフに対する関心度」についても増加比率が高い傾向が認められた。他方、テニスコートにおいて穴あきプラスティックボールで実施されたクラスでは、「あまり楽しくなかった」との回答率が高く、「用具」や「施設」にも「不満である」との回答が多かった。ゴルフコースを利用した「ラウンドの経験」は、授業における満足度が高いだけでなく、今後のゴルフ実施に対する意欲を顕著に高めるものであった。他方、グラウンドに簡易コースを設置してコースを回らせる授業方法では、受講生の将来のゴルフへの取り組みに対する意欲はあまり養われなかった。打ちっぱなし練習が中心の授業でも同様であった。

  • 小林 勝法, 木内 敦詞
    2013 年10 巻 p. 71-77
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    近年では体育学専攻の大学院生の教員免許取得率が約4割と低下し、学士課程での専攻が必ずしも体育ではない。採用する側は大学教員数の減少や高齢化の進行により体育組織が弱体化し、分野別FDの必要性が増してきた。そこで、体育担当教員の採用と研修の実態を把握することを目的としてアンケート調査を行った。対象としたのは中規模以上の全国の大学(446校)および短期大学(101校)で、2012年3月下旬から5月下旬に質問紙を郵送して行った。有効回答数と率は、117大学(26%)、23短期大学(23%)である。回答から得られた主な結果は以下の通りである。

    (1)教養体育の担当教員を採用する場合、最も多いのは、「自校ホームページにて公募する」(57.2%)で、次いで、「JREC−IN(研究者人材データベース)にて公募する」で47.8%であった。私立大学と短期大学は、「公募するかどうかは状況により異なる」も多く、それぞれ34.7%、47.6%である。

    (2)採用条件として重視することは「研究業績」と「専攻領域」で、3番目として、国公立大学では「博士の学位」、私立大学と短期大学では「実技の指導力・実績」であった。

    (3)選考方法として最も多いのは、「面接」(98.5%)で、その次は「教養体育に対する抱負を書いた書面」(60.3%)であった。私立大学では「模擬授業」(38.7%)も比較的高い。

    (4)教養体育の教員研修に関して、「FDや実技研修会への参加経費は研究費が使える」のは79.9%で、次いで、「初任者教員に対して個人的あるいは組織的に指導・助言する体制や雰囲気がある」(52.5%)であった。私立大学では、「FDや実技研修会への参加経費は研究費のほかに使える公費がある」が39.8%と比較的高い。

    (5)「教養体育に関するFD研修会や授業研究会を非常勤講師も含めて行っている」は14.4%であった。

    (6)全国大学体育連合の事業について、「『大学体育』や『大学体育学』などを閲覧したことがある」が最も多く72.3%であった。

  • -体力自己評価と授業効果の指標として-
    森下 春枝, 功刀 梢, 益井 洋子
    2013 年10 巻 p. 79-86
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    女子学生にとって「背筋力」は、在学中の体力の維持・向上にとどまらず、その後の人生の健康全般においても重要な要因の一つである。本研究はこの背筋力に注目し、まず(研究Ⅰ)、勤務校の女子短期大学において1963年以来実施してきた体力測定記録の延長上に、(全国調査としては未実施の)直近10年間に渡る背筋力平均値の推移を捉え、次に(研究Ⅱ)、授業の工夫という実践的な観点から、週1回の半期科目「体育実技」が背筋力の維持・向上に及ぼす効果について検討した。この一連の研究を通じて、第1に、1994年と1999年と2010年の3年に限って比較したところ、空白の10年間に背筋力平均値が顕著に低下していることが推測された。これに2010年から2012年の低下傾向を加えると、その傾向は今後も続くことが予想される。第2に、2010年から2012年の体育実技受講者の背筋力を半期授業の開始時と終了時に測定したところ、両時点の平均値に差があったが、16種目を個別に比較した結果では種目ごとに大きな「ばらつき」が見られた。この点をその前後に行った健康意識調査と合わせて検討するなら、その背景として慢性的な「運動不足」の影響がうかがえる。以上の研究結果から、体力診断テストの一つとして30年以上の蓄積をもつ背筋力測定は、一方で女子学生自身が自分の体力水準や運動効果を簡便に確認するための、他方で教師側が授業の効果を評価してそれを授業の改善に役立てる(例えば、楽しく魅力のある授業を提供することによって、最低限の運動機会を確保するとともに、種目の内容や進め方についても体力の違いに応じてきめ細やかな工夫をおこなう)ための、有効な指標の一つとなりうることが示唆された。

  • -二つの授業形態における動作習得の差異に着目して-
    安井 年文, 井上 直子, 宮崎 純一, 北村 哲, 髙畠 瑠依, 副島 秀治
    2013 年10 巻 p. 87-94
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では大学体育授業として実施されている授業形態が異なるアドバンストスポーツ実習(前期週1回×13週の授業+4泊5日の集中授業)を履修した男子大学生11名とスポーツ運動実習(前期週1回×13週の授業)を履修した7名の男子大学生を対象にした。これらの両群間でゴルフでの技術習得のバロメーターとなりうる身体重心に焦点をあて、比較検討した結果として以下のような知見が得られた。

    身体重心の上下動の差においてアドバンストスポーツ実習を履修している学生の方がスポーツ運動実習を履修した学生よりも上下動はみられなかった。アドバンストスポーツ実習を履修した学生の方が上下動を極力抑えているということで技術習得がより進んでいることを示唆していると考えられた。

    また、時系列的に隣り合うスウィング局面での身体重心の変動差についてはダウンスウィングからインパクトの局面でのみスポーツ運動実習を履修している学生よりもアドバンストスポーツ実習を履修している学生の方が有意に低い値を示した。それにより、より確実にボールを打とうとしているスウィング動作を行っていると考えられた。

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