大学体育学
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11 巻
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原著論文
  • 櫻井 健太, 奈良 雅之, 柴田 景子
    2014 年11 巻 p. 3-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は、M大学保健医療・看護学部卒業生に行った調査結果から保健医療・看護学部の大学教養体育授業の内容を検討することである。2011年度までに卒業した全卒業生(799名)に対して郵送によるアンケート調査を行った。195通が回収され、回収率は26.5%であり、有効回答数は189通となった。調査内容は現在の運動習慣と在学時に受講した授業についてであった。その結果、M大学保健医療・看護学部卒業生は十分な運動習慣がなく、自身の運動習慣や運動量を不足と感じていた。その大きな理由は仕事による時間のなさであった。在学時代の大学教養体育授業にはおおよそ満足しているが、それは授業の楽しさと仲間との交流による影響が大きく、知識の教授や技術の向上などといった点は貢献できていない。授業が現在に及ぼした影響では4割が影響なしと考えていて、卒業後の生活への貢献は十分にできていないことが明らかになった。再度入学すると仮定して受講したい内容をたずねたところ大きく分けて球技・身体と向き合う種目・学外活動種目が多く希望されており、それぞれに特徴的な理由が述べられていた。球技は学生時代の楽しさや経験によるところが大きく、チームを組むことで仲間との交流になることから選択されていた。残りの2つの種目は身体への効果や仕事への効果、趣味へのつながりなど保健医療・看護学部卒業生ならではの視点が反映されており、授業内容に反映させることで卒業後の生涯に渡るスポーツ習慣に貢献できる可能性があると考えられた。

  • ― 35年間の現役・浪人入学者の体力測定から ―
    田路 秀樹, 福田 厚冶, 荒木 香織, 内田 勇人, 西垣 利男
    2014 年11 巻 p. 13-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は大学受験生活が体格・体力に及ぼす影響を検討するため、1976年から2010年までの35年間における男子大学生現役入学者(以下、現役群)8130名、1年浪人入学者(以下、浪人群)2736名を対象として分析した。測定項目は、身長、体重、%FAT、握力、背筋力、垂直跳び、立位体前屈、反復横跳び、5分間走である。年代間の変化を検討するため、1976年から1980年までを1970年代、1981年から1990年までを1980年代、1991年から2000年までを1990年代、2001年から2010年までを2000年代の4つの年代に分類し、現役群と浪人群の年代別変化を2×4の二要因分散分析を用いて統計処理した。その結果、体格では体重と%FATに現役群と浪人群間に有意な差がみられ、長期にわたる浪人群の「過体重・高脂肪」が示唆された。体力では、垂直跳びと5分間走に現役群と浪人群に有意な差がみられ、特に5分間走の浪人群の著しい低下が認められた。

    以上のことから、長期の受験生活は肥満化をもたらし、体力面では筋パワーと全身持久性に悪影響を及ぼすことが示唆された。

  • ― 無作為割り付け介入試験 ―
    西脇 雅人, 木内 敦詞, 中村 友浩
    2014 年11 巻 p. 21-29
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,歩数計を用いた大学体育実技授業が受講者の授業時間内身体活動量に与える影響を,無作為割り付け介入試験によって検証し,大学体育授業時間内における身体活動量をより効果的に増大させる方法を開発・実践するために資する重要な基礎資料を得ることを目的として行った.159人を授業のクラスごとに無作為に対照群と介入群に振り分け,欠席やデータ欠損がなかった対照群43人,介入群62人を解析の対象とした.両群ともにサッカーの授業時に歩数計を装着させ,それぞれ4回の授業を行った.第1回目の授業はベースラインの測定として,両群ともに,歩数計のディスプレイをテープで隠し,学生が値を確認できないようにして歩数を計測した.対照群は全4回の授業において同様に歩数値を隠したのに対し,介入群の第2回目〜第4回目(介入1週目〜介入3週目)の授業では,学生が歩数値を授業中常時確認できるようにして,歩数と得点で試合の勝敗を決定する等,歩数や活動レベルを強く意識させ,競い合って活動量を増大させるように仕向けた.その結果,対照群と介入群におけるベースライン時の歩数データを比較すると,対照群の歩数は4571 ± 129歩,介入群の歩数は4502 ± 123歩であり,両者の間に統計上の有意差は認められなかった.しかしながら,対照群の歩数は経時的に有意な増減が認められなかったのに対し,介入群の歩数はベースラインから徐々に増加し,介入2週目(5189 ± 130歩)と介入3週目(5593 ± 119歩)の値はベースラインに比して有意に高い値であった.特に介入3週目の歩数は,ベースラインから26.9 ± 4.1%も増大していた.以上のことから,大学体育実技授業時に歩数計を用いて勝敗と歩数や活動レベルを関連させることでこれらを強く意識させ,履修学生同士における身体活動量の競い合いや励まし合い誘起させると,受講者の授業時間内の歩数が顕著に増大することが示された.

研究資料
  • 禿 隆一, 西脇 雅人
    2014 年11 巻 p. 31-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,歩数計を用いた大学体育バスケットボールの授業が受講者の歩数を増大させるか,さらに,歩数が増大するとすれば,得点や勝敗(勝ち点)に影響を及ぼし得るか,検討した.被験者は,一般教養科目としてのバスケットボールの体育実技を履修した大学1年生37名であり,合計4回の授業で歩数計を用いて歩数の値を計測した.歩数計を装着した1回目および2回目では,歩数計のディスプレイをあらかじめビニールテープで覆い,歩数の値を隠したSealed条件で授業を行った(S条件).これに対し,3回目および4回目の授業では,ディスプレイをビニールテープで覆うことはせずに,歩数を表示するOpen条件で授業を行った(O条件).また,授業中に実施した試合(ゲーム)の得点や勝ち点を記録し,各チームを歩数の値で歩数高値群と歩数低値群とに分けて解析を行った.その結果,S条件の歩数に比して, O条件の歩数は有意に増大した.さらに,O条件において,ゲームにおける得点や勝敗(勝ち点)を比較すると,歩数高値群の得点は,歩数低値群のそれよりも有意に高値を示した.しかしながら,勝ち点では歩数高値群の方が高値を示す傾向があったものの,両群の間で有意差は認められなかった.以上のことから,歩数計という補助的ディバイスを用いた大学体育バスケットボールの授業は,受講者が自身の歩数値をモニタリングすることによって確認可能となることから,授業内の運動量が増大することが示唆された.さらに,この授業内運動量の増大は,ゲームにおける得点を増大させ,チームの勝利する確率を高める傾向があるという点で有益なものである可能性が考えられた.こうした授業時の受講者の運動量の増大は,学生の挑戦達成や楽しさ実感の機会を増やす等,授業運営という観点からもより一層の教育効果を有する授業実施方法である可能性が高く,今後の継続的な実践とさらなる詳細な検討が期待されるところである.

  • ― 保健体育科教員を目指す学生を対象として ―
    瀬尾 賢一郎, 永山 寛, 深江 久嗣, 藤井 雅人, 田中 守, 築山 泰典
    2014 年11 巻 p. 39-45
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は体育科教員を目指すF大学スポーツ科学部の4年次生を対象に、教育実習による教員としての資質能力の変化を検討するため、教員資質能力自己評価尺度を用いて教育実習前後での変化を検討した。その際に、F大学スポーツ科学部において教職履修者を対象に選択科目として開講している学内実習(教職事前実習)の受講者と非受講者別で検討することとした。また、教職事前実習の成果を明らかにするために、教育実習前における教員資質能力自己評価尺度の構成因子を受講者と非受講者のグループ間で比較することによって、教職事前実習による成果と今後の課題を明らかにすることを目的とした。その結果、実践的指導力と自発的行動力では、教職事前実習の受講グループ、非受講グループともに教育実習前後で有意な得点の向上がみられ、教育実習期間中の授業計画の作成や授業の実施、またそのなかで経験する担当教員や他の実習生などとの積極的な交流や発言力などがこれらの向上に影響したものと推察される。グループ間の教育実習前における比較では、実践的指導力と対人関係能力において有意な差がみられ、教育実習の前に教職事前実習を体験したことで、実際の教育現場における教育活動を経験した分だけ自信として表れたものと推察される。教育実習期間中における実践的指導力や自発的行動力の向上に対人関係能力が影響を与えている可能性が示唆されたことから、これからの教職事前実習の指導上の課題としては、担当クラスの受講生や担当教員と積極的なコミュニケーションを図らせ、同時にクラスを担当し授業を行なうことへの責任感や緊張感を持たせる指導を、担当教員の指導上の留意点として認識しておく必要性が示唆された。

  • 高橋 京子
    2014 年11 巻 p. 47-55
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
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    本研究は,南インド,ケーララ州Keralaを発祥とし伝承される身体技法のカラリパヤットKalarippayattuを対象とする.カラリパヤットが伝承地ではどの程度心身へ効果があると認識され伝承されているのかを整理したうえで,大学体育での実技授業において,エクササイズが日本の大学生の心身へどのような効果をもたらすのかを,実験から明らかにすることを目的とする.研究方法は現地調査に加え,2012年度後期の授業内で一過性感情尺度WASEDAを用いた質問紙調査,心拍数計測,長座体前屈計測である.現地調査から対象には身体の柔軟性向上や身体のリラックス,脳の活性化など,心身への良好な効果があることが指摘されてきた.実験の結果,感情についての変化が明らかになった.なかでもエクササイズにより,活性感情を示す高揚感,落ち着きリラックスした状態を示す落ち着き感が増加した.これは伝承地で指摘されてきたエクササイズによる脳の活性化,および身体のリラックスや心身の調整機能に一致する効果であると考えられる.カラリパヤットが健康的な身体技法であると伝承者らが信じているのは,具体的には心理状態を活性化させると共に,より落ち着きリラックスした状態にさせることと示唆された.

  • 中井 聖
    2014 年11 巻 p. 57-63
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,体育系学科に属する大学生を対象として大学での水泳授業実施前の水泳に対する好き嫌いと得意不得意の度合い,授業実施前と7回の授業実施後のクロール,背泳ぎおよび平泳ぎ50m全力泳の泳記録を調査し,それらの関係について検討した.その結果,本研究の被験者は水泳に対する好き嫌いについて偏向した感情を有していないが,全体として泳能力が低く,水泳をやや不得意に感じていた.また,小学校から高等学校にかけて獲得された泳能力が優れているほど水泳をより得意と感じ,水泳がより好きであることが明らかとなった.加えて体育系大学生に対する水泳授業においては,泳記録や泳距離の向上を目指し,各泳法の基本技能を確実に習得させ,十分な量の泳距離を確保した授業を行えば,高等学校までに獲得された泳能力が低くても泳能力を改善することが可能であることが示唆された.

  • ― 授業終了1年後の学士力関連スキルと運動行動に着目して―
    中山 正剛, 田原 亮二, 神野 賢治, 丸井 一誠, 村上 郁磨
    2014 年11 巻 p. 65-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
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    【目的】本研究は,大学体育授業の長期的効果について調査することを目的とした.

    【方法】対象者は,大学体育授業に参加した学生224名だった.その対象者は介入群104名(男性49名,女性55名)と非介入群120名(男性52名,女性68名)に分けられた.すべてのデータは,質問紙とインタビュー調査から抽出され,質問紙は個人的属性,学士力に関連するスキル(コミュニケーションスキル,チームワーク,問題解決力,リーダーシップ),運動行動(運動行動ステージ,運動自己効力感,意思決定バランス)から成っている.調査時期は,授業開始時,授業終了時,終了1年後であり,介入群には,コミュニケーションプログラムと行動変容技法を用いた授業を実施した.

    【結果と考察】介入群の授業開始時と終了1年後の運動行動ステージを見てみると,向上した者の割合が56.7%,維持した者の割合が25.0%,低下した者の割合が18.3%という結果となった.また,授業終了時と終了1年後では,向上した者の割合が34.6%,維持した者の割合が37.5%,低下した者の割合が27.9%という結果となった.次に,介入群の身体活動量と学士力関連スキルの持続性を一元配置の分散分析を用いて調査した結果,「意思決定バランス(恩恵)」,「適切伝達力」,「チームワーク」,「リーダーシップ」において1年後の持続性が確認された.さらに,介入群と非介入群の終了1年後の結果をt検定を用いて分析した結果,「運動自己効力感」,「意思決定バランス(恩恵)」,「身体活動量」,「チームワーク」,「リーダーシップ」において有意差がみられた.これらの結果は,コミュニケーションプログラムと行動変容技法を用いた大学体育授業の効果が,「意思決定バランス」,「チームワーク」,「リーダーシップ」において,授業終了1年後も持続していたことを示唆している.さらに,インタビュー調査からは,「介入授業の何がきっかけで,運動行動や学士力関連スキルの変容が起こったのか」が明らかになった.

  • 奈良 雅之, 小林 勝法, 嵯峨 寿, 山里 哲史
    2014 年11 巻 p. 79-86
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は、大学体育教員の職場環境の変化にともなう適応過程とキャリア意識について検討することである。30歳代後半から50歳代前半の大学体育教員14名を対象として、半構造化インタビューを実施した。聞き取った内容は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下;2003)を参考に、質問への回答を分析・解釈し、概念化を試みた。対象者は研究領域から「基礎系」と「応用系」の2群に分類し、それを独立変数として分析結果を検討した。

    その結果、「大学体育教員になろうと思ったきっかけ」と「教育と研究の重要度」の2つの意識や態度は、基礎系と応用系という領域で内容が異なっており、それは研究領域の違いを反映しているものと考えた。一方、「職場環境の変化への対応」と「自分は体育教員だと思う瞬間」は、基礎系、応用系両群とも実技授業・指導に関する場面を多くあげていた。

    以上のことから、一般体育実技指導に関するキャリア意識を持つことは、大学体育教員にとって重要ではないかと考えた。

  • 西脇 雅人, 木内 敦詞, 中村 友浩
    2014 年11 巻 p. 87-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,ワークブックを使用する大学一般教養体育授業が受講者の主観的な理解度や健康行動の実践度に関する質問項目のスコアをより効果的に高め得るか,Faculty Development(FD)委員会が実施している授業アンケートの観点から検討することを目的とした.調査対象者は,大阪工業大学において2012年度に「健康体育Ⅰ・Ⅱ」を受講した2,060人の大学生とし,各学科別に学生の選択希望種目を基にして無作為に,通常授業群(N群,996名)とワークブック授業群(W群,1064名)に振り分けた.最後(15回目)の授業時(講義)に,無記名選択式の調査用紙を用いてFD授業アンケート調査を実施し,アンケートを回収することができた1,899名分のデータ(N群900名,W群999名)を解析対象とした.その結果,授業時間外学習の項目(問4, P < 0.01),理解度への配慮(問7, P < 0.01)や教員の声の聞き取りやすさ(問8, P < 0.01),黒板やスクリーンの文字等の見やすさ(問9, P < 0.01),主観的な理解度(問12, P < 0.01),健康行動の実践度(問13, P < 0.01),交友関係の開始や深まり度(問14, P < 0.01)といったW群の7つの質問項目のスコアは,N群のそれに比して,有意に高値を示していた.また,全質問項目(14項目)の平均スコア,FD委員会の授業アンケート11項目の平均スコア,研究室が独自に設定した質問3項目の平均スコアも,W群の値の方が有意に高かった(すべてP < 0.01).以上のことから,ワークブックを使用する大学一般教養体育授業は,通常の体育授業に比して,授業時間外学習を増大させるとともに,受講者の主観的な理解度や健康行動の実践度,交友関係の開始や深まり度をより効果的に高める得ることが,FD委員会の授業アンケートの観点から明らかとなった.

  • ― 女子学生を対象に ―
    平工 志穂, 曽我 芳枝
    2014 年11 巻 p. 95-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は大学体育におけるGボール運動を用いた授業の教育効果について、主に心理的側面から明らかにすることである。対象は女子学生とし、大学体育で教材として一般的に用いられているトレーニング、バレーボール、バドミントンによる教育効果と比較することによって検討を行った。

    研究Ⅰでは、Gボール運動には比較的高い気分改善効果があることが明らかになった。

    研究Ⅱでは、Gボール運動はトレーニングに比べて対人関係促進・気分の向上効果が高く、ダイエット効果が低いこと、ストレス反応については身体的反応が比較的出にくい傾向があることが示された。また好き、得意、楽しいという好意的、意欲的な評価を持たれる傾向が高いことが明らかになった。

    大学体育においてはGボール運動の心理的効果を踏まえた上で教材として用いることが望ましいと考えられる。

事例報告
  • 石垣 享
    2014 年11 巻 p. 105-110
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本取り組みは、スキー実習現場でiPadを使用して、その場で受講生に動画を提示する視覚的イメージによるスキー指導法を開発することを目的とした。参加した学生を技能に従い、初心者班(9名)、初級班(3名)および中級班(3名)に分けた。実習中にiPadで撮影された動画は、現場で受講生に提示をし、同時に指導者からの動作等に対する示唆を受けた。実習最終日前夜の講義の時間を利用して、実習現場での動画提示におけるiPadの有効性について受講生からアンケートを採取した。初級および中級班は、ほぼ全員が現場での動画提示が効果的と回答したが、初心者群では実習後との半々に分かれた。実習後が有効と回答した者は、全員が冷静に観察できることを理由としており、現場と回答した者の理由の大半は改善効果と即時性であった。また、ほぼ全員が現場での動画提示にビデオカメラよりもiPadの方が良いと回答したが、iPadの画面の見づらさも示された。自身の技能の改善には、技能レベルとは関係なく自身の滑走を観察し、他者のそれと比較できることが有効であることが示された。スキーに限定せずにiPadによる指導現場での動画によるフィードバック指導は、全員が有効であると回答していた。この手法は、初心者での技能改善に効果的であると考えられた。本取り組みの動作直後の視覚的フィードバックは、知覚と運動の協応を密に高めることで動作の忠実な再現性を可能とするものに違いない。

  • 楠本 欣司
    2014 年11 巻 p. 111-115
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス

    ダンササイズとは,ダンスとエクササイズを掛け合わせできた造語である.本研究では,女子大学におけるダンササイズDVDを用いた授業形態を試みることで,授業実施前後の身体的および体力的効果について検証することを目的に行った.研究結果より,身体面においては体重,体脂肪率,BMIが有意に減少した.一方,体力面においては握力,上体起こし,長座体前屈,反復横跳び,20mシャトルランが有意に増加した.以上のことから,ダンササイズDVDを用いた授業形態は,女子大学生を対象とした体育授業において有効な運動効果を及ぼすことが示唆された.

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