某大学において,平成13年5月25日より6月8日までの間に開講された全てのスポーツ実習(体育実技)の授業に対して,満足度に関する質問紙調査が行われた。本研究では,その調査により得られた1009名分の回答を分析対象とし,大学体育の意義を検討した。
授業の満足度に関する質問の回答を因子分析した結果,5つの因子が抽出された。以下にその5つの因子とそれぞれを構成する質問を示す。
1.スポーツの楽しさの因子…「この種目が好き(質問1)」など
2.教員指導性の因子…「適切な指導だ(質問4)」など
3.友人関係の因子…「友人ができた(質問10)」など
4.出席意欲の因子…「しっかり出席した(質問8)」など
5.第5因子は属する質問が一つしかないため命名しなかった。
次にこの5つの因子と性別,学年の7変数を目的変数,授業に対する最終判定と考えられる「この授業を評価すると,最高点がつけられる(質問13)」に対する回答を目的変数としてLogistic回帰分析を行った。その結果,5つの因子は全て最終判定に対して大きな影響力を有していた(全てp<0.01)。また,性別は最終判定に影響しなかったが,学年は影響しており,2年次は1年次より授業に満足していた(p<0.05)。
これらの結果から,大学生はスポーツ実習に対し,楽しさや新しい友人関係を結ぶことに意義を感じていることが示された。そのため,大学体育では,生涯スポーツへの導入や人間関係の構築を通した心と体の健康づくりに意義をおくべきであると考えられた。
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