イメージ心理学研究
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原著論文
  • ―内的統制感およびフロー体験との関連性―
    山崎 有望
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 17 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/03/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,空想傾性(日常生活において空想や想像に深く入り込む傾向)が,どのような人格特性および条件下でフロー体験とwell-being に促進的作用をもたらすかについて,大学生を対象とした質問紙調査を行い検討した。研究1 では,空想傾性と内的統制感がどのようにフロー体験に影響を与えるかについて検討した。その結果,空想傾性および内的統制感が高い人ほどフローを多く体験すること,空想傾性が高くかつ外的統制感が高い人はフローを体験しにくいこと,空想傾性が低ければ統制の位置はフロー体験に影響を与えないことが示された。研究2では,共分散構造分析によって空想傾性と内的統制感がフロー体験に影響を与えることでwell-being を促進するという因果モデルの作成を試み,そのモデルが感情的(快楽志向的)well-being と認知的(意味志向的)well-being の場合でどのように異なるか比較検討を行った。その結果,感情的well-being の促進には内的統制感の高さやフロー体験の頻度が関わってくるが,認知的 well-being への到達にはフローの体験頻度ではなくフローを体験しやすい人格特性が関わってくるなどwell-being への関与の仕方に差異が認められた。

特別寄稿:展望論文
  • ―主観的イメージテストの予測力にもとづく同定―
    畠山 孝男
    原稿種別: 総説
    2020 年 17 巻 1 号 p. 13-36
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/03/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,自己報告型の主観的イメージテストを用いた多くの研究がなされ多くの知見が蓄積されているにもかかわらず,イメージ能力の機序がイメージ研究者の間でほとんど問題にされてこなかったことを指摘し,畠山(2018b)によるイメージテストの認知的課題・事象に対する予測力に関する広範で詳細な研究の展望をもとにして,イメージ能力の鮮明性,統御性,常用性(表象型),没入性の各次元について機序の同定と,各次元の中心的特性の提示を試みる。同定された機序は次の通りである(アスタリスク()はそれぞれの次元を成り立たせると考えられる機序,無印はその次元がもたらす効果としての機序)。鮮明性:神経心理学的基盤,知覚的入力情報の豊富さ,長期記憶の知覚的情報の豊富さ,視覚的ワーキングメモリ容量の大きさ,刺激の細部への注意,イメージの情報量の豊富さ,イメージ生成の速さ,知覚との機能的等価性,自発的なイメージ方略の使用,イメージ符号化による記銘,生理的反応の制御。統御性:認知的・適応的柔軟性,イメージ生成の柔軟性,注意の配分と切り替えの効率,長期記憶の知覚的情報の幅広い活用,イメージの情報量の豊富さ,自発的なイメージ方略の使用,イメージ教示の忠実な実行,場面や話の展開の符号化,イメージ符号化による記銘。常用性:神経心理学的基盤,表象型に合致する符号化,知覚的入力情報の豊富さ,長期記憶の知覚的情報の豊富さ,長期記憶の知覚的情報の幅広い活用,視覚的ワーキングメモリ容量の大きさ,知覚との機能的等価性,自発的なイメージ方略の使用,イメージ符号化による記銘,生理的反応の制御。没入性:想像活動への関与の強さ,弛緩状態の惹起,生理的反応の制御。またそれぞれの次元の中心的特性として,鮮明性はイメージの持つ情報量の豊富さと維持しやすさ・頑健さ,統御性は認知的・適応的柔軟性,常用性は刺激入力時の符号化とそれ以降の処理の仕方を方向づける性質,没入性は想像活動への関与の強さと弛緩状態の惹起しやすさが提示される。各次元の機序間に一定の重なりがあることについて考察がなされる。本研究が提示した各次元の中心的特性と機序の活用によって,認知的課題・事象とイメージテストの関連の有無について,解釈や予想が可能になることが主張される。

シンポジウム-話題提供論文
  • 井上 和哉, (筑波大学)
    2020 年 17 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/03/05
    ジャーナル フリー

    The mere exposure effect is a phenomenon in which repeatedly presented stimulus are evaluated positively than unrepeated stimuli. The purpose of this article is to discuss the importance of internal representation in the mere exposure effect. At first, I briefly reviewed previous studies of the mere exposure effect in the viewpoint of a perceptual fluency model. Then, I introduced the classical and recent studies showing the importance of internal representation in the mere exposure effect. Finally the importance of internal representations were discussed based on our recent study indicating the mere exposure effect for visual image.

  • ―ワーキングメモリが視空間イメージの保持にどのようにかかわっているのか?―
    成本 忠正
    2020 年 17 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/03/05
    ジャーナル フリー

    The present study investigated whether a mentally created visual image is retained in a visuospatial sketchpad or an episodic buffer in a multi-component model of working memory(Baddeley,  1986). Functions of the episodic buffer require cognitive resources of the central executive. Four experiments were introduced here. Results in these experiments showed that a mentally created visual image was retained in the episodic buffer, not in the visuospatial sketchpad. On the other hand, perceptually encoded visual information was retained in the visuospatial sketchpad. Interestingly, even though both the created image and the perceptual information are to be retained in the form of visual representation, each type of visual representation involves different component. It could be argued that retaining a mentally created visual image continually requires mental manipulations(e.g.,  adjusting the size to fit in a mental space). However, mental manipulation during the retention of perceptually encoded visual information would not be required if the information is recalled just as it is. This may be the reason why the created image is retained in the episodic buffer.

特別講演論文
  • 今野 義孝
    2020 年 17 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2021/03/05
    ジャーナル フリー

    近年,マインドフルネスによる実行機能の改善が注目されている。マインドフルネスは,注意のコントロールや反応の抑制,意思決定,ワーキングメモリなど実行機能の改善をもたらすと考えられる。しかし,実行機能課題遂行中の体験様式についてはほとんど明らかにされていない。そこで,本研究では大学生の研究協力者において,とけあい動作法によるマインドフルネスと実行機能課題遂行における心身の体験について,鏡映描写課題,ストループ・テスト,弦楽器の演奏課題を用いて検討した。その結果,鏡映描写課題とストループ・テストにおいては,心と身体が調和したマインドフルな注意集中のもとで,頭で考えてから反応しようとする課題遂行様式(頭モード)  から解放されて,手や指が動く感じに任せる遂行様式(身体モード)  へのシフトが生じることが示唆された。弦楽器演奏課題においても,とけあい動作法後は「伸び伸びした演奏」,「演奏に没頭」,「曲に動きを感じる」,「楽器と自分の一体感」,「楽器と身体が一体になった演奏」などの体験が顕著になった。このことから,とけあい動作法は,弦楽器演奏においても頭で考えてから反応しようとする様式(頭モード)  から,心と身体が調和したマインドフルな体験のもとで手や指が動く感じに任せる様式(身体モード)  へのシフトの転換が生じたことが示唆された。

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