日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
1 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
  • ―私たちの経験と英知を結集して―
    舘田 一博
    2021 年1 巻2 号 p. 89-92
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/30
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  • 加藤 幸宣
    2021 年1 巻2 号 p. 93-97
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/30
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    花粉-食物アレルギー症候群(Pollen-food allergy syndrome:PFAS)は,吸入花粉抗原によって引き起こされる口腔アレルギー症候群であり,原因となる果物を摂取後,数分以内に口唇・口腔の掻痒感,しびれ,粘膜浮腫をきたす疾患である。重症例ではアナフィラキシーを生じることもある。我々はPFASの病態を解明するためにモデルマウスを作製した。シラカンバ花粉で免疫したマウスにリンゴエキスを経口投与すると,口かき回数の有意な上昇を認めた。FcεR1a欠損マウス,肥満細胞欠損マウスでは,野生型マウスに比べて口かき回数は有意に低下した。シラカンバ花粉で免疫したマウスへのリンゴエキス経口投与は,口腔粘膜への好酸球浸潤や,口腔粘膜局所のTh2細胞活性化を認めなかった。Bet v 1特異的IgEとリンゴエキス由来のアレルゲンとの交差反応によるIgEシグナリングを介した肥満細胞の活性化が,PFASの即時相としての口腔症状を誘発する。一方で,一般的なアレルギー反応でみられる遅発相としての口腔粘膜局所でのTh2/好酸球性炎症は,アレルゲンの刺激によって誘導されない。PFASモデルマウスを利用した基礎研究は,PFASの病態を明らかにし,PFASに対する有効な治療法を供給できる可能性が期待できる。本稿では,モデルマウスを用いたPFASの病態について解説する。

原著論文
  • 堀内 辰也, 坂本 要, 代永 孝明, 五十嵐 賢, 田中 翔太, 上條 篤, 櫻井 大樹, 増山 敬祐, 松岡 伴和
    2021 年1 巻2 号 p. 99-104
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/30
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    背景:皮下免疫療法は一世紀以上前からアレルギー性鼻炎に対し行われてきた治療法であるが,副反応の頻度が高いことが問題であり,皮下注射の約0.2%で全身性副反応が生じている。近年,舌下免疫療法が確立され,より安全に免疫療法が行われるようになったが,適応疾患やコンプライアンスの問題によりSCIT(Subcutaneous immunotherapy)の適応となる症例も存在する。今回当院でSCITを行った患者を調査し,安全性を検討した。

    対象:2011年11月~2018年9月において当科でダニおよびスギ花粉アレルゲンエキスによるSCITを行った症例について診療録から検討を行った。

    結果:5才から58才までの44例がRush法または100%増量法によるSCITを行い,全身性副反応を認めたのは9例(20.5%)である。ダニアレルゲンエキスのみの投与の2例と,スギ花粉とダニアレルゲンエキスの両方を投与した7例に全身性副反応を認めた。増量期と維持期で比較すると増量期で有意に全身性副反応が多かった(p<0.01)。全身性副反応を起こした全例に全身性の皮疹を認め,次に呼吸器症状が多かった。全例適切な処置がなされ回復している。

    考察:スギ花粉,ダニアレルゲンエキスを用いたSCITによる全身性副反応の頻度は他施設の報告と同程度に認められた。

症例報告
  • 佐藤 将盛, 中村 真浩, 小島 雅貴, 塩沢 晃人, 肥後 隆三郎
    2021 年1 巻2 号 p. 105-110
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/30
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    深頸部膿瘍の原因は様々であるが,今回,経食道心臓超音波検査が契機で発症した深頸部膿瘍の1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。症例は73歳,男性。主訴は咽頭痛。当科受診3日前の20XX年2月下旬に上記検査施行後から咽頭違和感が持続し,咽頭痛の増強及び呼吸困難感も出現したため当科受診となった。食事摂取不良,頸部皮膚発赤,腫脹,頸部伸展困難,含み声を認め,喉頭内視鏡検査では咽喉頭全周性に発赤,腫脹,気道狭窄傾向,痰,膿貯留を認めた。頸胸部CTで右側内臓間隙に低吸収域,右側優位に含気があり,採血では著明な炎症反応の上昇を認めた。気道狭窄を伴う深頸部膿瘍の診断となり,緊急で気管切開術,膿瘍ドレナージ術を施行した。術後の瘻孔造影検査や上部消化管内視鏡検査で咽喉頭と食道に穿孔がないことを確認し,気管孔の縮小傾向をもって第36病日に退院した。重篤な深頸部膿瘍をきたす症例は,迅速に治療を行い,病歴を確認すべきである。本症例は,必要性のある検査を注意深く施行し,帰宅後の注意喚起を行っていても不幸で回避しにくい合併症を発症したと考える。頸部痛,嚥下障害,発熱,呼吸困難などの症状が出現した場合は,早期に医療機関(耳鼻咽喉科)を受診することを啓発したい。

  • 賀屋 勝太, 楠 威志, 本間 博友, 城所 淑信, 荒井 慎平
    2021 年1 巻2 号 p. 111-115
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/30
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    細菌性髄膜炎を合併し,鼻内視鏡手術により診断された未治療の下垂体腺腫の一例について報告する。患者は68歳女性。数日前から左耳の違和感と頭痛が出現し,改善しないため近医へ救急搬送された。頭部MRIにて左乳突峰巣と副鼻腔に炎症性変化を認め,副鼻腔炎もしくは中耳炎からの細菌性髄膜炎の疑いにて当院へ転院搬送となった。受診時には意識状態の低下があり,身体所見から先端巨大症が疑われた。造影CTにて左篩骨洞から蝶形骨洞にかけて造影効果を伴う病変と,頭蓋底の骨欠損を認めた。鼻性頭蓋内合併症や副鼻腔腫瘍,脳腫瘍の鑑別を早急に行い,髄膜炎の原因となる感染源があれば取り除くために,緊急で鼻内視鏡下に生検と必要に応じての排膿術を予定した。術中,後篩骨洞を開放した際,淡血清かつ一部白く濁った液体が排出され,辺縁が不正な腫瘤を確認したので生検を行った。開放創部は下鼻甲介粘膜を充填して終了した。術中の創部培養からは黄色ブドウ球菌が検出され,病理結果より下垂体腺腫の確定診断が得られた。術後,速やかに意識状態の改善が得られた。以上より,本症例は下垂体腺腫の増大による篩骨洞天蓋の骨破壊のため細菌性髄膜炎を発症し,速やかな鼻内視鏡手術によるドレナージが有用であったものと思われた。

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