日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
4 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
小児アレルギー性鼻炎診療の手引き
総説
  • ―加齢性難聴の予防―
    岩井 大
    2024 年4 巻3 号 p. 113-121
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

    加齢の進行に免疫老化が深く関与していることが明らかになってきた。また,蝸牛老化にも同様の機序が存在することが報告されるようになった。そこには,慢性炎症(chronic inflammation)と加齢(aging)とを合わせたInflamm-Aging(加齢性慢性炎症)という言葉や,さらに,酸化ストレス(oxidative stress)を加えたOxi-Inflamm-Aging(加齢性酸化慢性炎症)という新しい考え方が示されてきた。

    本稿では,第4回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会学術講演会(2024年,大阪)にて筆者が行った会長講演の内容に沿い,免疫学的視点からの抗加齢に向けた基礎研究,特に免疫若返りによる加齢性難聴予防について紹介するとともに,臨床応用について考察する。

  • 熊井 琢美
    2024 年4 巻3 号 p. 123-126
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

    耳鼻咽喉科・頭頸部外科はアレルギー性疾患や感染症を日常診療として取り扱う。近年抗腫瘍免疫の臨床応用が進み,“免疫”はアレルギーや感染症に留まらず,頭頸部癌や血管炎など多岐に渡る疾患をつなぐ概念となった。自己から発生する癌は免疫の標的になりづらい一方で,炎症の惹起が腫瘍を縮小させることが19世紀から知られていた。腫瘍特異的T細胞を惹起する上で腫瘍抗原由来のエピトープの同定が必須であるが,頭頸部癌におけるエピトープはほとんど報告されてこなかった。頭頸部癌特異的免疫療法を開発するため,我々は抗腫瘍Th1細胞を惹起するエピトープを多くの腫瘍抗原から同定してきた。これらのエピトープは腫瘍特異的T細胞を増やす革新的癌ワクチンとして有用だが,生体内でT細胞を増やすには強力なアジュバントや投与方法の選定が必須である。我々はTLRリガンドやCD40アゴニストがTh1を効率的に誘導することを見出した。またワクチンの投与経路として静注や筋肉投与が有用であること,抗原提示細胞におけるType 1 IFNの必要性などを解明し,革新的免疫療法の開発が加速している。本ワクチンはあらゆる癌腫に応用可能であり,世界初となる“癌種横断的な癌特異的免疫療法”といった癌治療戦略のパラダイムシフトが期待される。

  • 倉田 宝保
    2024 年4 巻3 号 p. 127-130
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

    我が国における死亡原因の第一位は「がん」であり,がん治療は医療において非常に重要な分野の一つである。多くのがん腫において,早期の段階では外科手術や放射線治療を,遠隔転移を有する症例に対しては薬物療法が適応される。その中で薬物療法は殺細胞性抗がん剤から始まり,分子標的薬剤,さらには免疫チェックポイント阻害剤が開発され,以前とは比較にならないほど生存期間を延長させることに成功している。免疫チェックポイント阻害剤は他の2者と比較し,多くの点でこれまでのがん薬物療法の常識を覆している。殺細胞性抗がん剤や分子標的薬剤は転移を有する症例に対し,生存期間の有意な延長効果を示すが,治癒をもたらすことは難しい。一方,免疫チェックポイント阻害剤は限りなく治癒と思えるほどの長期生存を一定割合の症例で得ることが可能になった。そのほか,投与を中断しても再発なく治療効果が継続できる,副作用と効果が相関するなど他の種類の薬物療法とは異なる特徴を有している。そもそも免疫療法は効かないと以前は考えられていたが,免疫チェックポイント阻害剤は劇的な効果を示した。それはなぜなのか。本総説において,これまでの薬物療法の常識とはどんなものであったのか,そして免疫チェックポイント阻害剤はそれらの常識をどのように覆しているかを説明する。

  • ―病態・診断・治療―
    加藤 幸宣
    2024 年4 巻3 号 p. 131-138
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

    花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)は,特定の花粉抗原感作陽性者において,対応する食物との交差反応によって生じる食物アレルギーである。口腔症状に限局した症状であることが多いが,時に鼻炎症状・呼吸器症状・皮膚症状・ショックなどを生じる。PFASの病態は,IgE依存性のI型アレルギー反応であり,花粉抗原と相同性の高いタンパク抗原を含む食物を摂取すると,口腔粘膜に分布する花粉抗原特異的IgEと結合した肥満細胞が食物抗原と交差反応を起こし,口腔粘膜でアレルギー反応を起こす。PFASの有病率は生息する花粉の種類や花粉量の影響などによる地理的条件により異なる。シラカンバ非生息域でも,ハンノキ花粉やイネ科花粉など様々な原因花粉抗原があるため,PFASはあらゆる地域に存在する。PFASに関する基礎研究は病態解明や治療戦略に大きく寄与することが期待される。現在,PFAS患者が生食を安全に摂取できる有効な治療方法はなく,原因食物摂取の回避が予防の基本である。PR-10やprofilinは加熱処理により摂取可能となることが多いが,lipid transfer proteinsやgibberellin-regulated proteinsによるPFASは加熱処理に抵抗性であるため注意が必要である。PFASに対するアレルゲン免疫療法はまだ確立していないが,根治治療が期待できる方法であり,現在も様々な試みが行われている。本総説では,PFASの病態,疫学,臨床的側面に関する現在の研究状況を紹介し,PFAS患者の予後を改善するために取り組むべき課題を概説する。

  • 秋山 貢佐
    2024 年4 巻3 号 p. 139-142
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

    好酸球性副鼻腔炎(ECRS)の治療において内服ステロイド薬(OCS)は重要かつ必須となる薬剤である。OCSはECRSに著効し,使用後早期から病態を改善しうるが,反面過度な使用により生命予後にかかわるような重大な副作用が生じるリスクもある。ECRSに対するOCSに関しては明確な指標がなく,使用薬剤・用法用量・使用の適応基準などは各施設や医師により様々で統一されてはいない。近年,難治例に対して生物学的製剤の適応が追加されたこともあり,これまでのOCS使用方法が見直され,副作用の面から長期使用,頻回使用を避けるべきであることが再認識されてきている。OCSを上手に使う,とはOCSの盲目的・無駄な使用を回避し必要時に必要量のみを使用する,ということであり,そのためには手術を含めたOCS以外の治療選択や管理の工夫が重要である。本稿では1.合成ステロイドの種類,基礎知識,2.周術期のOCS使用,3.長期管理時のOCS使用について概説する。

  • 山田 智史, 三澤 清, 河崎 秀陽, 針山 孝彦
    2024 年4 巻3 号 p. 143-149
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

    組織の観察手法として主に光学顕微鏡を用いた免疫組織化学染色(IHC)やin situ hybridizationが用いられる。微細構造に迫る必要があれば電子顕微鏡が用いられる。本総説では,IHCの原理や手法,ナノスーツ-CLEM(光電子相関顕微鏡)法を用いた走査型電子顕微鏡(SEM)観察に関して解説を行う。また,耳鼻咽喉科医にとって馴染みの深いp16 IHCに関して自験例も提示を行う。

    IHCは抗原抗体反応を用いて,組織中の特定の蛋白質を染色する手法である。大まかな流れとしては,ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックからの薄切,抗原賦活化処理,非特異的な反応を無くすための処理,一次抗体および二次抗体反応,発色,封入である。それぞれの条件設定が難しいことがある。

    SEMは観察時に高真空を必要とするため,観察時の組織は乾燥させる必要がある。乾燥により組織は変形するため,変形を抑えるために様々な処理を要する。ナノスーツ法は,ハエの幼虫が高真空状態のSEMで生きたまま観察できることを利用した,SEM観察手法である。ナノスーツ溶液の塗布のみで,組織の乾燥なしに本来の構造を保持したまま,簡便にSEM観察が可能である。我々は,HPV-L1(カプシド蛋白)のIHC陽性部位をナノスーツ-CLEM法で観察しHPVウイルス粒子観察に成功した。また,他のウイルス粒子の可視化にも成功している。

    ナノスーツ-CLEM法は病理学的な手法と親和性が高く,幅広く応用が可能であり様々な研究に取り入れることが可能である。

原著論文
  • 花田 有紀子, 奥野 未佳, 河辺 隆誠, 川島 佳代子
    2024 年4 巻3 号 p. 151-156
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

    好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:以下EGPA)は,従来はChurg Strauss症候群やアレルギー性肉芽腫性血管炎と呼ばれていた疾患で,主要臨床所見としては(1)先行する気管支喘息またはアレルギー性鼻炎,(2)血中の好酸球増加,(3)血管炎による発熱や体重減少,多発性単神経炎が挙げられる。厚生労働省指定難病の一つで,予後不良の症例も散見されるため早期の診断および治療が望ましい。鼻症状が先行するケースがあり,我々耳鼻咽喉・頭頸部外科医にもEGPAに関する専門的知識が求められる。2017年4月から2022年12月の期間に当科を受診したEGPA 14症例について,患者背景,診断時の検査所見,治療などに関して後方視的に検討を行った。患者は中年の女性に多く,全例で気管支喘息と副鼻腔炎を合併していた。14例中4例で気管支喘息症状より鼻症状が先行し,先に耳鼻咽喉・頭頸部外科を受診していた。全例で末梢血中の好酸球は著明に増加しており,着目すべき所見と考えられた。血管炎症状のうち皮膚症状・神経炎症状・筋痛の出現頻度が高く,早期に認められた。これらの症状を認め,血中の好酸球数増加を認めた際にはEGPAを念頭に診療を行う必要があると考える。

臨床ノート
留学体験記
feedback
Top