化膿性中耳炎 (急性および慢性の急性増悪症) に対するCAZの有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的でCTMを対照薬として比較試験を実施した. なお, 薬剤はいずれも1回1gを1日2回one shot静注し, 原則とし7日間連続投与することとした.
1. 総症例における臨床効果は主治医判定ではCAZ群73.6% (64/87), CTM群62.9% (56/89), 委員会判定ではそれぞれ66.7% (58/87) および61.8% (55/89) の有効率であり, いずれの判定においても, 両群問で有意の差はみられなかつた. また, 患者背景因子別の臨床効果においても両群間に有意の差はみられなかつた.
2.3日目および7日目における全般改善度および自覚症状ならびに他覚所見別に検討した改善度は両群間に有意の差はみられなかつた.
3. 総症例ならびに慢性化膿性中耳炎急性増悪症例における細菌学的効果はCAZ群で有意に優れた効果を示し, 完全消失率 (菌交代を除く) もCAZ群で有意に高かつた. しかし, 菌交代を含めた消失率では両群間に有意の差はなかつた一方, 感染形態別にみると, グラム陽性菌およびグラム陰性菌の単独感染例においてCAZ群で有意に優れた細菌学的効果を示し, さらにグラム陽性菌単独感染例の完全消失率においてもCAZ群で有意に高かつた.
4. 概括安全度は両群間で有意の差はみられなかつた. また副作用はCAZ群で90例中4例 (4.3%), CTM群で92例中2例 (2.1%) にみられ, 臨床検査値異常はCAZ 群で7件, CTM群で5件みられたが, いずれも両群間に有意の差はみられなかつた.
5. 有用性は総症例でCAZ群71.6%, CTM群66.7%の有用率であり, 両群間に有意の差はみられなかつた.
以上により, CAZはCTMと同様に化膿性中耳炎に対し有用な薬剤であると考えられ馬場他二化膿性中耳炎 (急性および慢性の急性増悪症) に対するCeftazidimeの薬効評価57た.
抄録全体を表示