耳鼻と臨床
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36 巻, 1 号
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  • 土屋 幸造, 中川 千尋, 和田 広巳, 西本 喜胤, 鯨井 和朗, 小河原 昇, 長原 太郎, 山崎 健, 澤木 修二
    1990 年 36 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    過去10年間に当科で診断, 治療を行つた外傷性鼓膜穿孔133例について検討し, 以下の結果を得た.
    1. 原因は直達性外傷が71耳で, 大半が耳垢除去時の損傷であり, 介達性外傷は57耳で, 殴打, 打撲などが多い.
    2. 9歳以下の幼少児は耳かき, 綿棒などの直達性外傷, 10歳代は殴打, 打撲などの介達性外傷が多い.
    3. 直達性外傷は女性に多く, 介達性外傷は性差がない.
    4. 初診時自覚症状は難聴51耳で, 以下耳痛, 出血, 耳鳴, 耳閉感である.
    5. 穿孔の小さいほど聴力は良い傾向である.
    6. 合併症は14%にみられ, 感染症13耳で, 以下味覚低下, 耳小骨離断, アブミ骨基底板内陥である.
    7. 穿孔の自然閉鎖日数は穿孔が小さいほど短いが, 大きいものは差がない. 穿孔閉鎖率は穿孔が大きいほど低い.
    8. 治療は自然閉鎖を第一に考えるが, 3カ月経過しても閉鎖しない症例では手術を考える.
  • 蔦 佳尚, 井野 千代徳, 山下 敏夫, 熊沢 忠躬, 泉 春暁
    1990 年 36 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    51歳男性の腎細胞癌の耳下腺転移の1例を経験した. 本症例を報告するとともに転移性耳下腺腫瘍および腎細胞癌の頭頚部領域への転移についても文献的考察を行つた.
  • 林 明俊, 森満 保
    1990 年 36 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    43歳女性の鼻腔内Fibrous histiocytomaの1例を経験した. 腫瘍は鼻中隔に発生しており, 被膜で囲まれ境界は鮮明で他の組織への浸潤もなく, 術後3年半経過後も再発なく良性と診断した. この腫瘍の病理学的分類や予後などについて考察した. 鼻中隔に発生した本腫瘍の報告は本邦で初めてである.
  • 近藤 隆, 長谷川 泰久, 松浦 秀博, 河辺 義孝, 森田 皓三
    1990 年 36 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    発癌に至る過程はある意味では壮大なドラマであり, その幕あけを待つて治療を開始したのでは遅きに失する. 今後はそれ以前の段階 (前癌状態, さらにはその前の状態) で治療を開始してゆくことも考えねばならない. それが不幸な早期死亡例を防ぐもつとも確実な道である. 着手の第1手段として今回は加療後極めて早期に死亡した症例を分析することにより, 早期診断を妨げる要因, 早期死亡をきたした要因を浮かびあがらせ, 今後の喉頭癌治療成績上昇への一助を得んとした.
  • 吉原 俊雄, 遊座 潤, 片桐 仁一, 広田 恒子, 林崎 勝武
    1990 年 36 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    36才女性の前頸部腫瘤として発見された胸腺嚢腫の1例について報告した. 本疾患は遺残胸腺組織より発生した胸腺嚢腫と考えられており, 甲状腺腫瘍, 脂肪腫, 正中頸嚢胞, リンパ管腫などの疾患との鑑別が重要である. 術前の鑑別診断および嚢腫の大きさ, 周囲組織との関係を知る上でCTスキャン, 超音波検査が有用であつた.
  • 調 賢哉, 調 信一郎
    1990 年 36 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小児副鼻腔気管支炎の成人例と比較した特殊性は,
    1. 過去3年間に27例の小児副鼻腔気管支炎を経験し, 主として上顎洞洗浄によつて治療し優れた治療成績を得た.
    2. 副鼻腔炎は全例限局化膿型であり, 上顎洞洗浄を行えばその洗浄液は化膿性が多いが, 乾酪性の症例もある.
    3. 気管支炎は遷延性気管支炎, 反覆性気管支炎の像を呈した.
    4. 数回の上顎洞洗浄および消炎酵素剤, 気管支拡張剤, 短期間の抗生剤使用によつて咳嗽. 喀痰は軽快消失した. 咳嗽・喀痰の消失は, 副鼻腔炎の治癒に先行した. 再発は割に少ないが, 上気道. 下気道の急性炎症により, 再発しても再び上顎洞洗浄を行うことにより治癒した.
    5. 成人の場合, 陳旧例が多く, 上顎洞洗浄を行つても小児における程効果的ではなく, さらに手術を行つても治らぬことが多いとされているので, 上気道・下気道病変がreversibleである小児期に上顎洞洗浄によつて治癒さすべきであろう.
  • 國本 優, 嶽 良博, 垣内 弘, 加藤 寛, 神人 崇, 田端 敏秀
    1990 年 36 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1984年1月より1987年12月までにabbott社ms-2を用いて耳漏細菌検査を施行した慢性中耳炎214耳, 378株の検出菌, 抗生剤感受性を調査し, 以下の結果を得た.
    1. 検出率において, P. aeruginosaは約25%, S. aureusは約18%であり, 年次別変化はなかった.
    2.4年間の菌種変化において, Proteus属の減少と, Corynebacterium, S. epidermidisの増加が目立った.
    3. 抗生剤感受性において, P. aeruginosa, S. aureusともに耐性株の出現を広域, 高頻度に見た. OFLXは, 広域耐性株に対しても高い感受性を示した.
  • 永井 知幸, 河野 浩万, 森満 保
    1990 年 36 巻 1 号 p. 37-39
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    腫瘍の周囲にインジゴカルミンを注射したところ, 健常部のみ青染し, 腫瘍は青染しなかつた. 腫瘍の周囲に色素を注射することは, 腫瘍の浸潤範囲の把握の一助となり, 外科的切除の確実性を増すと考える.
  • 平出 文久
    1990 年 36 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    突発的難聴を主訴として来科し, 初診時に突発性難聴と診断されたもののうち, その後聴神経腫瘍であると判明した症例が4例存在した. これは当科における突発性難聴の1.8%に相当した. 薬物療法により著明回復を示し, 臨床像からはほかの突発性難聴とは鑑別困難なことが多かつた. 最終的な診断の決め手となつたものはX線検査での内耳道の異常であり, 全例で反対側耳より2mm以上の拡大像が観察された. 聴神経腫瘍で突発的難聴が発現するメカニズムは腫瘍内出血により容積の限られた内耳道内で急激に腫大した腫瘍が内耳動脈を圧迫し, 内耳への血流障害をおこさせた結果であると推測した.
  • 岡崎 治, 倉田 忠司, 昇 卓夫
    1990 年 36 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    0.3%OFLXをモルモット中耳腔内に投与し, その体内動態を経口投与時のそれと比較することにより本剤の中耳から脳への直接移行の有無について検討した. その結果, 1) OFLX点耳後の脳内濃度は血清中濃度の約1/5~1/10であり, 経口投与時の濃度比とほぼ同じであつた. 2) オートラジオグラフィーの成績から本剤は中耳腔から直接脳内に移行しないことが判明した. 3) 中耳腔に投与されたOFLXは蓄積することなく, 尿中に排泄されることが判明した. 4) 以上の成績から, OFLXを中耳腔内に投与したとき, 本剤は投与部位から体循環血に入つた後脳内へ移行することが判明した. さらに, ヒトにおける点耳時の投与量が経口投与時より著しく少ないことから考慮し, 本剤を点耳薬として使用したとき中枢性の副作用を起こす可能性は極めて少ないと考えられる.
  • 馬場 駿吉, 小林 武弘, 加藤 真二, 伊藤 靖浩, 岩田 重信, 高須 昭彦, 八井田 昌志, 内藤 雅夫, 西村 忠郎, 八木沢 幹夫 ...
    1990 年 36 巻 1 号 p. 56-77
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    化膿性中耳炎 (急性および慢性の急性増悪症) に対するCAZの有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的でCTMを対照薬として比較試験を実施した. なお, 薬剤はいずれも1回1gを1日2回one shot静注し, 原則とし7日間連続投与することとした.
    1. 総症例における臨床効果は主治医判定ではCAZ群73.6% (64/87), CTM群62.9% (56/89), 委員会判定ではそれぞれ66.7% (58/87) および61.8% (55/89) の有効率であり, いずれの判定においても, 両群問で有意の差はみられなかつた. また, 患者背景因子別の臨床効果においても両群間に有意の差はみられなかつた.
    2.3日目および7日目における全般改善度および自覚症状ならびに他覚所見別に検討した改善度は両群間に有意の差はみられなかつた.
    3. 総症例ならびに慢性化膿性中耳炎急性増悪症例における細菌学的効果はCAZ群で有意に優れた効果を示し, 完全消失率 (菌交代を除く) もCAZ群で有意に高かつた. しかし, 菌交代を含めた消失率では両群間に有意の差はなかつた一方, 感染形態別にみると, グラム陽性菌およびグラム陰性菌の単独感染例においてCAZ群で有意に優れた細菌学的効果を示し, さらにグラム陽性菌単独感染例の完全消失率においてもCAZ群で有意に高かつた.
    4. 概括安全度は両群間で有意の差はみられなかつた. また副作用はCAZ群で90例中4例 (4.3%), CTM群で92例中2例 (2.1%) にみられ, 臨床検査値異常はCAZ 群で7件, CTM群で5件みられたが, いずれも両群間に有意の差はみられなかつた.
    5. 有用性は総症例でCAZ群71.6%, CTM群66.7%の有用率であり, 両群間に有意の差はみられなかつた.
    以上により, CAZはCTMと同様に化膿性中耳炎に対し有用な薬剤であると考えられ馬場他二化膿性中耳炎 (急性および慢性の急性増悪症) に対するCeftazidimeの薬効評価57た.
  • 山下 弘之, 宮崎 洋, 笠 誠一, 小宮山 荘太郎
    1990 年 36 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 咽喉頭異常感を主訴として当科外来を受診した15名 (男3名平均年齢59.7歳, 女12名平均年齢51.0歳) に対して胃透視用バリウム (100%W/V) と食道透視用バリウム (200%W/V) を用いて透視を行いビデオ録画した. その結果から正常型, 嚥下障害型および境界型に分類した.
    2. 咽喉頭異常感症症例1名に対しハイトラストと固形ハイトラストを用いて1. と同様の観察を行つたが, 異常所見はみられなかつた.
  • 稲木 匠子, 丘村 煕, 森 敏裕
    1990 年 36 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    私製の固形造影剤を用いbolusの違いによる嚥下動態の検討を試みた. 固形造影剤は潜在的および軽微な嚥下異常の検出に有効であると考えられた. 症例を提示しその有用性を報告した.
  • 堀口 利之, 近藤 玲子, 川端 五十鈴, 新美 成二
    1990 年 36 巻 1 号 p. 86-89
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 田中 英一
    1990 年 36 巻 1 号 p. 90
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 渡邉 宏, 進 武幹, 前山 忠嗣, 森川 郁郎, 松田 知愛, 仲秋 功司
    1990 年 36 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 宮崎 洋, 山下 弘之, 小宮山 荘太郎
    1990 年 36 巻 1 号 p. 96-98
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    唾液の分泌量と粘度を測定し正常例と嚥下困難を訴える照射例を比較した. 照射例の嚥下困難の訴えの原因の1つは唾液分泌量の減少であることが示唆された. 粘度については測定法などの問題があり詳細な検討は出来なかつた.
  • 森 敏裕, 丘村 煕, 稲木 匠子, 村上 信五
    1990 年 36 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下困難を主訴とした多発性筋炎の1例を報告した. いわゆる輪状咽頭筋アカラシアをきたす嚥下障害のタイプの中には, 今回報告したような多発性筋炎の限局型も存在するということを念頭に入れて対処する必要がある. 本症例の治療経験より, 高度の嚥下障害をきたしている多発性筋炎には, まず輪状咽頭筋切断術を行い嚥下を可能とし, その後ステロイドによる全身療法が患者にとつて有益な治療手順と考えられた.
  • 伊藤 裕之, 山口 龍二, 部坂 弘彦
    1990 年 36 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    神奈川リハビリテーション病院耳鼻咽喉科で経験した, 脊髄小脳変性症の嚥下障害症例から, 脊髄小脳変性症の嚥下障害の管理について報告した.
    嚥下障害をともなう脊髄小脳変性症では嚥下障害の適切な管理により, 全身状態を改善し, 嚥下障害の進行を遅くすることが期待できる.
    嚥下障害を合併する型の脊髄小脳変性症では嚥下障害管理プログラムを確立する必要がある.
    脊髄小脳変性症の嚥下障害の管理は, 病型や, 病状の進行を念頭に置いて行うべきである.
    脊髄小脳変性症の嚥下性肺炎を予防するためには, 最終的には喉頭閉鎖術, 喉頭摘出術などを行わざるをえない.
  • 前山 忠嗣, 福山 つや子, 森川 郁郎, 進 武幹, 阿部 雅光, 田淵 和雄
    1990 年 36 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    右前頭葉, なかでも中心前回最下部の障害によつて引きおこされたと考えられる嚥下障害の1例について検討を行つた. 中心前回最下部の障害においては嚥下第1期および随意的な嚥下第2期の惹起が障害され, 何らかの方法で食塊が咽頭に送り込まれれば反射性に嚥下第2期が惹起遂行されるものと思われる.
  • 黒岩 泰直, 吉田 哲二, 平野 実
    1990 年 36 巻 1 号 p. 113-116
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 中咽頭癌側壁型の術後の嚥下動態をX線ビデオを用いて分析した.
    2. 軟口蓋および咽頭側壁を一部切除しても術後の嚥下機能はほぼ正常に保たれる.
    3. 軟口蓋および咽頭側壁を広範囲に切除し, それに舌の切除も加われば. 術後重篤な嚥下障害を来す.
    4. 重篤な嚥下障害を来した症例に咽頭弁形成術を行うと, 嚥下機能は改善される.
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