耳鼻と臨床
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37 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 冨山 道夫, 大滝 一, 柳澤 晴子, 佐藤 斎, 北条 和博
    1991 年 37 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    補聴効果を認めた感音難聴症例37名を対象として, 補聴器装用による子音異聴の変化を有声子音, 鼻音群と無声子音群にわけて比較検討した. その結果有声子音, 鼻音群は無声子音群に比べ異聴が改善しにくく中音域の実耳挿入利得との相関も認められなかつたが, 無声子音群は高音域の実耳挿入利得が20dB以上の症例でほぼ全例が異聴の改善を示した. 有声子音, 鼻音群の異聴については不明な点が多く, 今後はさらに症例数を増やし実耳挿入利得との関係を検討する必要があろう.
  • 下咽頭癌と焼酎泡盛
    古謝 静男, 真栄城 徳秀, 知念 信雄, 宇良 政治, 楠見 彰
    1991 年 37 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 沖縄県における地域別下咽頭癌発生率を算出した結果, 宮古地域において最も高いことがわかつた.
    2. 沖縄県における地域別1人あたりの泡盛推定消費量を算出した結果, 宮古地域において最も多いことがわかつた.
    3. 下咽頭癌発生率と泡盛消費量との間には高い正の相関が認められた.
  • 吉崎 智一, 滝元 徹, 梅田 良三
    1991 年 37 巻 2 号 p. 146-149
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. plunging ranulaの1症例について報告した.
    2. 顎舌骨筋は, 口腔底の完全な横隔膜ではなく, 諸家によつて多少頻度は異なるが, 正常人の2から3割は, 裂隙を持つていると考えるべきである.
    3. plunging ranulaを疑つた場合, 超音波検査は非常に有効である.
    4. 治療は, 舌下腺摘出術が理論的であると考える.
  • 柘植 勇人, 鈴木 賢二, 板谷 純孝, 馬場 駿吉
    1991 年 37 巻 2 号 p. 150-152
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    44才, 男性の右上顎洞, 及び右眼瞼のNHLに対しVEMP療法施行, 一旦は, 寛解を得たが約1年後, 右眼窩内に再然を認めた. そこでsalvage療法として, MTX, ET, CDDP, LVを併用したMEC-LV療法を開発施行, 完全寛解を得た. 標準的多剤併用療法に耐性を示すNHLに対し, 本療法は有用な治療法であろうと考えられる.
  • 加藤 寿彦, 木村 謙一, 曽田 豊二, 白石 君男, 江浦 陽一
    1991 年 37 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小脳橋角部腫瘍の再発および残存腫瘍の増大を繰り返した2症例のABRを脳神経症状とCTとともに長期に観察した.
    患側ABRにおいて, 純音聴力が聾であるにもかかわらず明瞭な1波を認めたり, 純音聴力が比較的保存されているのに明瞭な波形が得られない場合もあつた. 手術後2~3週間で記録した患側ABRは2症例とも不明瞭な波形しか得られなかつた.経過観察中, 患側耳の反対側から記録されたABRにおいて, 小脳橋角部から下位脳幹に進
    展した副神経腫瘍症例は変化を認めず, 小脳橋角部から上位脳幹に進展した髄膜腫症例はIII-V波, I-V波間潜時に変化を認めた. これらの結果は脳幹聴覚路の機能異常や進展状況を示唆するものと考えられ, 小脳橋角部腫瘍症例ではCTや脳神経症状とともにABRによる経過観察が必要と思われた.
  • 高岡 哲郎, 大熊 敦子, 井上 泰宏, 酒匂 司
    1991 年 37 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれはPEPが原因と考えられる2例の肺線維症による死亡例を経験したので報告した. PEPの総投与量は症例1が60mg, 症例2が50mgと低く, PEP肺障害に対する高感受性群があることが示唆された. 2例共70歳以上の症例であり, 投与法は5時間点滴静注と筋注投与が行われており, bleomycin (BLM) 同様70歳以上の症例には十分注意が必要であり, 投与法は急激なPEPの肺濃度の上昇を避ける持続皮下注投与が望ましいと考える. PEP肺線維症は一旦発症すると治療が困難であり予防と早期発見が重要である.
  • 立木 孝, 後藤 昌代, 村井 盛子
    1991 年 37 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    いわゆる若年性一側聾の聴力は, 通常JIS規格のオージオメーターでは全周波数スケールアウトを示すが, それが実際に全聾であるのかまたは幾許かの残聴があるのかを調べる目的で, 28例についてRionAA71型オージオメーターを用いて検査を行つた. 検査に際しては対側を60, 70, 80dBの帯域雑音で遮蔽して3個のオージオグラムを得, その成績を比較検討した.
    その結果多くの例では100dBから130dBに至る間で何らかの反応を示したが, その反応の内容について質すと, その多くは振動感を感じているものであり, またそのレベルはいわゆる触覚閾に相当するものであることなどから, その反応は聴覚ではないと考えられ, 若年性一側聾は本来完全聾であろうと結論した.
  • 丹波 さ織, 山本 信和, 児玉 章, 石井 哲夫, 大川 智彦
    1991 年 37 巻 2 号 p. 176-179
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1978年9月から1988年3月までに当科で治療した上顎洞癌27例の治療成績を検討した. 全症例のKaplan-Meier法による5年生存率は56.9%であつた. Adriamycin動注と照射の同時併用による抗腫瘍効果は27例中7例に有効で有効率25.9%だつた. 上顎部分切除術を追加した初回治療での腫瘍制御率は81.5%だつた. 再発は14例に認め, 再発例の5年生存率は34.3%だつた. 今後初回治療の強化が必要と考えられた.
  • 平 俊明, 小宗 静男, 井上 裕章, 上村 卓也
    1991 年 37 巻 2 号 p. 180-184
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中耳結核の4症例を報告した. この4例は従来の報告と異なり, 滲出性中耳炎と類似の病像を呈して発症しているのが特徴的であつた.
    一見滲出性中耳炎と思われる症例であつても, 1. 漿液性耳漏が自発的に出現したり, 2. 治療に抵抗性で鼓膜所見が増悪するようであれば中耳結核を念頭に置き, ツ反を行い, 早期発見に努めるべきである.
  • 渡辺 晋, 菅野 久信
    1991 年 37 巻 2 号 p. 185-190
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    健常者と問歌期メニエール病を用い, 水平面上と傾斜面上における重心動揺を解析し, 以下の結果を得た.
    1. 水平面を基準とした各方向別の動揺面積変化率を解析すると, メニエール病群が健常者群より有意に動揺が増大した.
    2. 60秒間の動揺面積の時間経過を解析すると, メニエール病群は健常者群よりも有意に不安定で, 直線的な増加がみられた.
  • 唾液腺症について
    井野 千代徳, 松山 浩吉, 渡辺 尚代, 川崎 薫, 中川 のぶ子, 井野 素子, 牛呂 公一, 山下 敏夫, 熊沢 忠躬
    1991 年 37 巻 2 号 p. 191-196
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    唾液腺症の唯一の症状である耳下腺腫脹を唾影像で捉えることを試み, それが唾液腺症の診断に有効であるか否かを検討した. 対象は, 唾液腺症が疑われた17症例で, 方法は, リピオドール約1.5mlをstenon管開口部より注入し, 一定の体位でFFDを70cmと定め撮影した. 得られた写真で, 下顎骨外側縁より主管の最遠位までの距離を「突出度」として耳下腺腫脹の指標とした. 正常30例の検討より「突出度」が1.9cmを越える例を異常と決めると対象とした17例中11例がその値を越えた. aspirationbiopsyを17例中7例に施行したが, 5例が唾液腺症と診断された.「突出度」が1.9cm越えた症例では, 4例が施行され, 全例が唾液腺症と診断された. 一方, 「突出度」が, 1.9cm未満の症例では, 3例が施行され, 1例のみが唾液腺症と診断された. 本検査方法は, 再現性もあり, 唾液腺症に時に認められる再発性も客観的に捉えることが可能でもあり, 唾液腺症の診断に有用であると判断した.
  • 久保田 彰, 大橋 校, 長原 太郎, 澤木 修二, 澤木 誠司, 中川 千尋, 谷内 晶子, 和田 廣巳, 中村 陽子, 西本 嘉胤, 湯 ...
    1991 年 37 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 化膿性中耳炎症例においてNFLXとSCMCを併用することの意義をNFLX単独投与群37例, SCMCを併用する群24例につき検討した. 著効率は単独群40.5%, 併用群45.8%で, 有効率は単独群67.6%, 併用群75.0%であり, ともにSCMC併用群が良好な結果を示した. なお併用効果はとくに急性例で認められた.
    2. 中耳分泌物の性状では著効率, 単独群55.6%, 併用群69.6%, 有効率, 単独群77.8%, 併用率82.6%, 中耳分泌物量でも著効率, 単独群55.6%, 併用群65.2%, 有効率, 単独群88.9%, 併用群95.7%で, ともに併用群が良好な結果を示した.
    3. NFLXとSCMCの併用により化膿性中耳炎の早期治癒の可能性が示唆された.
  • 杉原 三郎, 愼野 博規
    1991 年 37 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    バクシダールを中耳炎31例, 副鼻腔炎20例に投与した. 中耳炎では77.4%, 副鼻腔炎では85.0%の有効率であつた. 中耳炎の主な起炎菌は黄色ブドウ球菌と緑膿菌であつた. 緑膿菌に対する有効率 (感受性) が高率であつたことは注目に値する. 副作用は中耳炎の1例に悪心が認められたが, 軽度であつた. 以上の結果より, バクシダールは中耳炎, 副鼻腔炎の治療に有用な抗菌剤であることが明らかになつた.
  • 山際 幹和, 坂倉 康夫, 間島 雄一, 鵜飼 幸太郎, 斎田 哲, 稲垣 政志, 杉山 洋子, 八木 研三, 荘司 邦夫, 谷口 強, 谷 ...
    1991 年 37 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    めまいあるいはめまい感を訴えて受診した患者にフマル酸プロビンカミンを4~8週間単独あるいは他薬剤と併用投与し, 以下の成績を得た.
    1. 有効性の判定が可能であつた46例で, 著効率50%, 有効率33%で無効率は17%であつた.
    2. 末梢前庭系の障害によるめまいに対しても極めて有効で, メニエール病およびその類似疾患の87%と良性発作性頭位めまい全例が有効と評価された.
    3. どの病期のめまいにもほぼ同等の効果を発揮し長期投与によるめまいの反復の制御が期待出来た.
    4. 症状別の消失率をみると, いわゆる急性めまい症状の消失率が高く, 耳鳴, 首肩こりの改善率は低かつた.
    以上の結果により, フマル酸プロビンカミンはあらゆるめまいの治療に於いて重要な位置を占める薬剤であると結論した.
  • 安田 宏一
    1991 年 37 巻 2 号 p. 211-220
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    難聴のあるメニエール病患者30例47耳に対し, 聴力回復を目的として, アデポス1日量300mgを2カ月以上投与した. その結果125,250,500, 1,000, 2,000, 4,000, 8,000Hzの7周波数の和 (総聴力レベル) において一40dB以上の改善があつたものが23耳 (49.0%), ±35dB以内の不変のものが20耳 (43.0%), +40dB以上悪化のあつたものが4耳 (8.0%) であつた. 実測値の推移についても1カ月, 2カ月ともに有意の減少が見られた. アデボス投与前の聴力総レベルの推移との比較については推計学的に有意にアデポス投与に伴う聴力総レベルの改善効果が勝つていた (x2test, p<0.001). これらの結果は, メニエール病の難聴に対し進行を抑え, さらには改善も行うものとしてアデポスは有効であると考えた.
  • 今野 昭義
    1991 年 37 巻 2 号 p. 221-237
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ホスホマイシンNaの3濃度 (1, 3, 5%) 溶液とコントロールとした溶解液 (注射用水) を各群5名の4群の男子健常成人に1日4回, 連続15日間, 計60回, 右側鼻腔に点鼻して, 鼻腔通気抵抗値, サッカリンクリアランスタイムを計測してホスホマイシンNaの鼻粘膜腫脹度および鼻粘膜粘液繊毛機能に与える影響を検討した. また同時に薬剤の血清中移行, 自他覚症状, 全身に及ぼす作用等を検討した. その結果, 5%までの濃度と60回までの連続投与であればこれ等に対する影響は認められなかつた.
  • 鈴木 賢二, 伊藤 靖浩, 国井 博史, 伊藤 志のぶ, 柘植 勇人, 馬場 駿吉
    1991 年 37 巻 2 号 p. 238-244
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    最近開発された耳毒性のない抗生物質あるいは抗菌剤であるセブメノキシム (CMX), ホスホマィシン (FOM), オフロキサシン (OFLX) 点耳薬の長期連用における有効性と副作用について, 検出菌動態の面から検討し報告した.
    それらの成績を総合すると, 点耳薬としてのCMX, FOM, OFLXは有効性, 安全性, 有用性とも極めて高いといえるが, その投与は2週間以内とし, やむなく2週間以上投与する場合は3週間までを限度と考えた方がよく, さらに連続投与開始後2週間目には検出菌が大きく変化する可能性があるため, 必ず細菌検査を実施すべきであろうと思われた.
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