耳鼻と臨床
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37 巻, 4 号
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  • 前原 法文, 進 武幹
    1991 年 37 巻 4 号 p. 771-776
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは交通外傷後の中部気管狭窄の1症例を経験し, 以下のような結論を得た.
    1. Nd-YAG laserを用いることにより, フレキシブルファイバースコープ下に狭窄部を充分観察しながら狭窄部の拡大が行える.
    2. T-tube留置術は, 留置期間が長期にわたることが欠点であるが, 気管端々吻合術と比較すると開胸の必要がなく容易で安全な方法である.
    3. Nd-YAG laser T-tube留置術の併用は気管狭窄の治療に極めて有効であると考えられる.
  • 川井田 政弘, 福田 宏之, 甲能 直幸, 川崎 順久, 犬山 征夫
    1991 年 37 巻 4 号 p. 777-781
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    59歳男性の喉頭蓋喉頭面に生じた喉頭腺癌の1例を経験した。咽喉頭異常感を主訴として来院し, 喉頭内視鏡検査では喉頭蓋喉頭面の右側に表面平滑で半球状の腫瘤性病変を認めた. 全身麻酔下に行つた直達喉頭鏡を用いた喉頭顕微鏡下手術で生検を施行したところ, 病理組織学的診断は中等度分化型腺癌であつた。引き続いて, 声門上喉頭水平部分切除術 (両側仮声帯直上部で切除) による手術治療がなされた. 術後約7ヵ月間経過して再発や転移の徴候はみられていない. 喉頭に腺癌が生じることは非常に稀である. 本症例を報告するとともに, 治療法を中心に文献的考察を行つた.
  • 3例の症例報告および文献的考察
    近 芳久, 小原 能和, 小笠原 眞, 宍戸 潔, 加藤 良平, 氏家 隆, 問間 信博, 菅井 有, 笹生 俊一, 高山 和夫, 堀 晃, ...
    1991 年 37 巻 4 号 p. 782-792
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔原発の悪性線維性組織球腫 (MFH) の3症例を報告するとともに, 鼻副鼻腔の MFHの文献報告例について検討を加えた. 結果は以下の通りである.
    1. 好発年齢は60歳台, 次いで50歳台で, 性差はみられず, 大多数が上顎洞 (含上顎骨) 原発であつた.
    2. 局所再発が40%, 転移が31%にみられた. 予後は極めて悪く, 2年生存率52%, 5年生存率19%であつた.
    3. 治療成績は広範切除に放射線照射, 化学療法を併用した場合が最も良好であつた. 根治手術不能例に対する化学療法の確立が望まれる.
  • 水谷 陽江, 山本 信和, 吉原 俊雄, 児玉 章
    1991 年 37 巻 4 号 p. 793-796
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    63才男性の両側耳下腺及び一側顎下腺に生したワルチン腫瘍の1例を報告した. ワルチン腫瘍は耳下腺に多くみられ顎下腺では極めて稀である. 術前検査ではGaシンチ陰性Tcシンチ陽性であり, 超音波でhypoechoic, 内部エコーは一部不均一であつた. 摘出後, 両者について光顕ならびに電顕的な検討を加えたが同様の所見であつた.
  • 滝沢 昌彦, 間口 四郎, 熊谷 雅彦, 三井 博文
    1991 年 37 巻 4 号 p. 797-800
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小児頸部の胸鎖乳突筋から発生したと考えられるinfiltrating lipomaの1例を報告した. 頭頸部領域におけるこの腫瘍は非常にまれであり, 本邦においてははじめての報告と思われる. この腫瘍は一般の脂肪腫に比べて再発率が高く, 取り残しなく十分に摘出することが重要である. まれな症例であるため術前診断が困難であるが, CTにおける網状様構造のなかのlow density areaが-70から-90の脂肪の吸収値を示すことが大きな特徴と推察され, 鑑別診断上重要と考えられた.
  • 堤内 邦彦, 田中 省三, 野崎 信行, 高橋 学
    1991 年 37 巻 4 号 p. 801-804
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    65歳, 男性の右上顎洞真性癌肉腫症例を報告した.
    試験開洞時の生検では多数の肉腫様変化のみられる未分化癌であつたが, 動注, 放射線治療中に癌肉腫との確定診断を得た. 真性癌肉腫とspindle cell carcinoma, pseudosarcomaとの鑑別は必ずしも容易ではないが, 近年, 電顕検査や免疫組織化学検査によつて両者の鑑別は可能である。本例は免疫組織化学検査により真性癌肉腫と確定診断された。
    検索し得た範囲では, 本例は, 上顎洞の真性癌肉腫としては6例目である.
  • TMI (TOHO MEDICAL INDEX)を用いて
    高須 毅, 高木 摂夫, 間口 四郎, 福田 諭, 犬山 征夫
    1991 年 37 巻 4 号 p. 805-809
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻過敏症における, 心因, 自律神経の関与について知るため, 鼻アレルギー患者47名, 血管運動性鼻炎患者15名に, TOHO MEDICAL INDEX (TMI) を施行し, 以下の結論を得た.
    1. 鼻アレルギー患者と血管運動性鼻炎患者との間には, 神経症的傾向, 自律神経失調症的傾向に差は見られなかつた.
    2. 鼻過敏症患者は, 全身的な自律神経失調状態に傾いている傾向を見せた.
    3. 鼻過敏症患者では, 自覚症状が強い程, 自律神経性愁訴, 精神性愁訴が多く, 自律神経的, 精神的背景が自覚症状の重症化に関与している可能性があると思われた.
    4. 重症化, 難治化している鼻過敏症患者の状態を把握し, 治療方針を決定する上で, TMIは簡便で有用である.
  • 川井田 政弘, 甲能 直幸, 川崎 順久, 福田 宏之, 藤井 正人, 犬山 征夫
    1991 年 37 巻 4 号 p. 810-816
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Oral florid papillomatosisは口腔内に生じる多発性ならびに融合性の乳頭腫症であり, 臨床的には悪性腫瘍を疑わせるが, 良性腫瘍の範疇に含まれるものである. 本症の発症機序は不明ながらも発生母地のひとつとして, 従来から口腔扁平苔癬が指摘されている. 今回, 多数の歯科金属による歯冠修復処置後に口腔扁平苔癬を生じ, さらに続発して生じた本症の1例を経験した. 歯科金属の除去を行うとともに, VCRならびに MTX, PEPによる多剤併用療法 (VMP療法) を2コース施行し, 引き続きUFTの内服を行つたところ, 病変は消失した。約2年4ヵ月経過し, 再発をみていない。本症例を報告するとともに発症機序や治療法の観点から考察を行つた. VMP療法と後続して UFT内服を行うことは本症の治療法のひとつとして試みる価値のあるものと考えられた.
  • 大山 勝, 内薗 明裕, 島 哲也, 河村 正三, 市川 銀一郎, 板橋 隆嗣, 渡辺 洋, 和田 昌士, 椿 茂和, 三宅 浩郷, 新川 ...
    1991 年 37 巻 4 号 p. 817-832
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    我々は扁桃炎, 咽喉頭炎, 化膿性唾液腺炎, 感染性口内炎に対するfleroxacinの有効性と安全性を全国31施設, 94例において検討した.
    扁桃炎患者72例, 咽喉頭炎患者16例, 化膿性唾液腺炎患者4例, 感染性口内炎患者2例に本剤を原則として1日200~300mg7日間投与した. 臨床効果は扁桃炎88.9%, 咽喉頭炎100.0%, 化膿性唾液腺炎75.0%, 感染性口内炎100.0%の有効率であつた. 細菌学的効果は扁桃炎93.7%, 咽喉頭炎91.7%, 化膿性唾液腺炎100.0%, 感染性口内炎100.0%の消失率であつた. 副作用は咽喉頭炎2例にみられた. 1例は嘔気・腹痛, もう1例は浮動感で, 投薬中止により消失した. 臨床検査値異常は扁桃炎1例, 化膿性唾液腺炎1例に共に軽度の肝機能検査値異常が認められた.
    以上の結果からfleroxacinは扁桃炎, 咽喉頭炎などに対して, 1日1回200~300mg投与で臨床的に有用性の高い薬剤であるといえる.
  • 馬場 駿吉, 小林 武弘, 伊藤 晴夫, 海野 徳二, 長野 悦治, 坂本 伸雄, 高坂 知節, 鈴木 守, 遠藤 里見, 桜田 隆司, 河 ...
    1991 年 37 巻 4 号 p. 833-850
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    CMX鼻科用剤の上顎洞内局所投与による副鼻腔炎に対する薬効評価を多施設同一プロトコールに基づいて検討し, 以下の成績を得た.
    1. 臨床効果は, 有効以上の有効率で, 主治医判定83.3%, 委員会判定81.1%で, 極めて優れた成績であつた.
    2. X線所見による効果判定は, 有効以上の有効率で, 主治医判定60.3%, 委員会判定で59.3%であつた.
    3. 細菌学的効果は, 陰性化率で87.1%であり, 細菌学的にみても極めて優れた成績であつた.
    4. 安全性評価採用例140例において副作用は認められなかつた. 以上の成績より, CMX鼻科用剤は副鼻腔炎に対する局所治療剤として有用性の高い薬剤であることが確認されたものと考えられる.
  • 馬場 駿吉, 小林 武弘, 海野 徳二, 熊井 恵美, 坂本 伸雄, 高坂 知節, 鈴木 守, 桜田 隆二, 佐々木 豊, 遠藤 里美, 河 ...
    1991 年 37 巻 4 号 p. 851-880
    発行日: 1991/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎のネブライザー療法による1%CMX鼻科用剤の有効性, 安全性および用量について客観的に評価するため, Well Controlled Studyによる比較試験を実施した.
    1. 臨床効果は, 担当医判定による有効以上の有効率で20mg群72.7%, 40mg群84.2%と40mg群の方が優れる傾向を示したが, 委員会判定では20mg群72.7%, 40 mg群64.5%と両群間に有意な差は認められなかつた.
    2. X線所見による効果判定は, 主治医判定では20mg群55.2%, 40mg群74.2%と40mg群の方が優れる傾向を示したが, 委員会判定においては20mg群64.2%, 40mg群74.2%と両群に有意な差は認められなかつた.
    3. 細菌学的効果は20mg群56.6%, 40mg群75.5%と40mg群の方が優れる傾向を示した.
    5. 副作用は20mg群において1例見られたが, 投与中止により消失し, 特に重篤なものではなかつた.
    以上の成績は, 従来の抗菌化学療法剤, 消炎酵素剤等の全身投与による治療効果に比べ, 同等あるいはそれ以上の成績であり, CMX鼻科用剤はネブライザー療法においても優れた有用性のある局所療法剤であると考えられた.
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