耳鼻と臨床
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37 巻, 5 号
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  • 高岡 哲郎
    1991 年 37 巻 5 号 p. 913-917
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    比較的まれな52歳女性の右上顎洞内結石症の1例を経験した. 右上顎洞粘膜は慢性副鼻腔炎の像を示し, 結石は直径約1cmの球状で淡黄白色を呈し, 成分分析の結果リン酸カルシウム96%, 炭酸カルシウム4%から構成されていた. 診断にはレントゲン検査, CTスキャンが有用であつた.
  • アスピリン喘息と好酸球
    荻野 敏, 入船 盛弘, 原田 保, 阿部 能之, 菊守 寛, 野瀬 道宏, 松永 亨
    1991 年 37 巻 5 号 p. 918-921
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息では, 鼻茸の合併率のきわめて高率なことと, 鼻茸中, 末梢血中の好酸球の著明な増加が特徴としてあげられる. 好酸球の増多はIgEなどアトピーとは関係無く, ECFに対する検討が, 鼻茸の成因の解明だけでなく, AIAの発症機序の解明にもきわめて役立つものと思われた.
  • 高岡 哲郎, 行木 英生
    1991 年 37 巻 5 号 p. 922-929
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    右上顎洞中等度分化型扁平皮癌に対して眼摘を含む拡大上顎全摘術を受けた患者において, 11年後第2癌として左上顎洞未分化癌が出現したため, その機能と形態の温存をはかり種々の治療を行つた. しかし, 局所再発を繰り返すため254-Sを投与したところ, 前治療でCDDPを投与した後の局所再発であるにもかかわらずpartial response (PR) となり, 以後良好な結果を得たので報告した.
  • 堤内 邦彦, 田中 省三, 野崎 信行, 高橋 学
    1991 年 37 巻 5 号 p. 930-933
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    稀な疾患である下咽頭血管腫症例を経験したので報告する.
    症例は43歳, 女性, 主婦. 2年来の嚥下時異物感を主訴として当院外科を受診し, 食道内視鏡検査で左下咽頭腫瘤を指摘されて当科へ紹介, 受診した. 下咽頭直達鏡検査で左披裂部から輪状後部に広基性, 薄紫色, 桑実様の腫瘍を認めた. 全身麻酔下に左側側咽頭切開術を施行し, 腫瘍を摘出した. 腫瘍は輪状後部の左側に見られ, 15×10mm, 広基性で柔らかく, 薄紫色, 桑実様であつた. 術後経過は良好で, 腫瘍の再発は見られない.
    組織学的には海綿状血管腫であつた.
    本例は, 渉猟し得た本邦の下咽頭血管腫症例としては18例目である.
  • 鼻茸とアラキドン酸代謝物
    荻野 敏, 入船 盛弘, 原田 保, 杉本 和彦, 芦田 健太郎, 石田 稔, 田矢 直三, 奥村 新一, 尾崎 康弘, 尾崎 正義, 浅井 ...
    1991 年 37 巻 5 号 p. 934-940
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻茸の成因解明のため, 鼻茸中のアラキドン酸代謝物 (PGE2, 6-ketoPGF1α, TXB2, LTB4, LTC4/D4/E4) を測定した。アレルギー合併の有無から検討すると, 一般にアレルギーを有する鼻茸ほどアラキドン酸の代謝は充進しているようであつた. また上顎洞粘膜との比較では, アレルギー (+) ではほとんどのアラキドン酸代謝物は鼻茸で高値を示しアレルギー (-) 症例では逆に, 上顎洞粘膜で高値を示した. すなわち, アレルギーを有さない通常の副鼻腔炎では, 上顎洞粘膜でアラキドン酸代謝が鼻茸よりも亢進している傾向を示した. 以上より, 通常の副鼻腔炎に合併する感染性の鼻茸と, アレルギーに合併する鼻茸では, 多少, 成因が異なるように思われた.
  • 内薗 明裕, 島 哲也, 大山 勝, 深水 浩三, 宮崎 康博, 清田 隆二, 鯵坂 孝二, 馬場 駿吉, 小林 武弘, 宮本 直哉, 丸尾 ...
    1991 年 37 巻 5 号 p. 941-948
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 耳鼻咽喉科感染症患者47名にSparfloxacin (SPFX) を投与し, 同薬剤の組織および体液中濃度をbioassay法により測定した.
    2. 上顎洞粘膜中の濃度は, 内服後1.5-7.63時間で0.041-1.38μg/gであり, 移行率は平均1可36であった.
    3. 口蓋扁桃中の濃度は, 内服後1.5-5.5時間で0.308-2.05μg/gであり, 平均移行率は1.45であつた.
    4. 鼻汁中濃度は, 内服後4.83可6時間で0.112-0.955μg/gで, 平均移行率は0.95であつた.
    5. 耳漏中の濃度は, 内服後4可6時間で0.2-1.89μg/gであり, 平均移行率は0.81であつた.
    6. 鼻汁における経時的な検討では, 投与後10時間でもなお有効な血清中, 鼻汁中濃度が検出された.
    以上のように, 本剤は耳鼻咽喉科領域組織中に良好な移行性を示すことが確認されたことから, 耳鼻咽喉科領域感染症に対して臨床的にも有用であることが示唆された.
  • とくに扁桃炎, 咽喉頭炎について
    馬場 駿吉, 河村 正三, 市川 銀一郎, 和田 昌士, 渡辺 洋, 板橋 隆嗣, 三宅 浩郷, 新川 敦, 小川 裕, 木村 栄成, 小林 ...
    1991 年 37 巻 5 号 p. 949-960
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Sparfloxacinの扁桃炎などに対する有効性, 安全性および有用性を検討した. SPFX は1日量100~300mgを1日1~2回に分割経口投与した.
    1. 主治医判定による臨床効果は扁桃炎で97.9% (47/48), 咽喉頭炎で92.3% (12/ 13), 外耳炎で100% (14/14), 急性化膿性唾液腺炎で100% (3/3), 耳痩孔化膿症で100% (1/1) の有効率であった.
    2. 統一判定による扁桃炎の臨床効果は83.3% (40/48) の有効率であつた.
    3. 細菌学的効果はグラム陽性菌で97.5% (39/40), グラム陰性菌で100% (16/16), 嫌気性菌で100% (5/5) の消失率であつた.
    4. 副作用は4.6% (4/87) に, 臨床検査値異常は1例のみに認められた.
    5. 有用率は91.4% (74/81) であった. 以上の成績より, Sparfloxacinは1日量100~200mgの1~2回分割投与により, 扁桃炎などの耳鼻咽喉科感染症の治療剤として高い有用性が期待できる薬剤と考えられる.
  • 大山 勝, 河村 正三, 市川 銀一郎, 和田 昌士, 渡辺 洋, 板橋 隆嗣, 三宅 浩郷, 新川 敦, 小川 裕, 木村 栄成, 馬場 ...
    1991 年 37 巻 5 号 p. 961-973
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Sparfloxacinの副鼻腔炎に対する臨床検討を行い, 以下の結果を得た.
    1. 主治医判定による臨床効果は全例では80可5%と高い有効率が得られた.
    2. 統一判定による臨床効果は, 急性副鼻腔炎87.0%, 慢性副鼻腔炎急性増悪症66.7%, 慢性副鼻腔炎66.7%, 全例では78.0%と高い有効率であった.
    3. 細菌学的効果は全株では94.4%と高い消失率であつた.
    4. 副作用は86例中5例, 5.8%に, 臨床検査値異常は3例に認められたが, 特に重篤なものはなかつた.
    5. 有用性は急性副鼻腔炎85.1%, 慢性副鼻腔炎急性増悪症63.0%, 慢性副鼻腔炎66.7%の有用率であり, 全例では75.9%であつた. 以上の成績より, Sparfloxacinはグラム陰性菌はもとより, グラム陽性菌による感染症に対しても優れた有効性を示し, しかも1日200~300mgの1~2回分割投与で高い効果が得られることから, 副鼻腔炎に対し有用性の高い薬剤と考える.
  • 大迫 茂人
    1991 年 37 巻 5 号 p. 974-986
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    大阪市立小児保健センター・耳鼻咽喉科に訪れた30例の小児のアレルギー性鼻炎患者について, セルテクト1回0.5mg/kg (ドライシロップとして25mg/kg) 1日2回の投薬による有効性と安全性の検討を行い, 次の結果を得た.
    1) 有用性および全般改善度は, 有用以上および中等度改善以上で, 両者とも76.7% と優れたものであつた.
    2) 自覚的症状である重症度, くしゃみ, 鼻汁, 鼻閉, 嗅覚異常および日常生活支障度については, ほとんどの症状が投薬2週目において, また, ほぼすべての症状が4週目において改善した.
    3) 他覚的所見である下鼻甲介粘膜の腫脹, 色調, 鼻汁量および鼻汁性状は, 鼻汁性状をのぞいて各所見は投薬4週目において改善された.
    4) 以上より, 本剤は4週目以上の長期間の投薬が臨床効果を高めると考えられる. そのために問題となる本剤による副作用は, 1年以上の長期投与例を含めて1例も認められなかつた.
    5) セルテクトは小児アレルギー性鼻炎に有用な薬剤と考えられた.
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