耳鼻と臨床
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40 巻, 4 号
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  • 岩井 大, 友田 幸一, 久保 伸夫, 名和 照晃, 山下 敏夫
    1994 年 40 巻 4 号 p. 539-542
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    後鼻漏を主訴として来院した67歳女性の瘻孔型トーンワルト病の1例を報告した. 切開術を施行したが効果なく, 経口蓋的に摘出術を施行し, 症状は軽快した. トーンワルト病は嚢胞形成型と瘻孔 (粘液嚢) 形成型に分類される. 手術的治療法は, おのおの型に従つて選択されるべきであり, 嚢胞形成型では切開術やアデノトミーを第一選択としても良いが, 本症例のような瘻孔形成型のトーンワルト病症例に対しては, 粘液嚢粘膜の完全除去が必要であり, 摘出術の適応であると考えた.
  • 原 由起代, 稲葉 順子, 東野 哲也, 鳥原 康治, 森満 保
    1994 年 40 巻 4 号 p. 543-547
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    後天性外耳道閉鎖症は, 炎症性, 外傷性, 術後性の3つに分類できる. 炎症性外耳道閉鎖症とは感染後に外耳道に線維性閉鎖を来たすものである.
    今回われわれは, 外傷や手術の既往のない後天性外耳道閉鎖症3例5耳を経験した. 3耳に中耳炎, 2耳に慢性外耳道炎の既往があつた. 今回の症例では真珠腫の合併例は認めなかつたが, 文献的には真珠腫合併の報告例があり, この場合早期に手術的治療が必要であると考えられた.
    病理組織学的には, 4耳中3耳に線維脂肪組織, 1耳に慢性炎症細胞の浸潤を認め, 両者は異なつた病態であることが示唆された.
  • 副鼻腔炎手術症例と鼻中隔・下甲介手術症例の比較
    石田 祐子, 小林 謙, 相原 康孝, 上村 敏夫, 井上 英輝, 佐久間 文子, 神尾 友和
    1994 年 40 巻 4 号 p. 548-550
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎手術例および鼻中隔・下甲介手術例の術前後の嗅覚検査を比較検討した. 術前の嗅覚検査は副鼻腔炎例では高度の嗅覚障害が多いのに対し, 鼻中隔・下甲介例では障害が軽度の例が多かつた. 副鼻腔炎例の術前と術後1カ月目の嗅覚検査を比較すると, 嗅覚障害の改善するものが多かつたが, 術後1年目に嗅覚障害が悪化する症例では鼻茸の再発する例が多いのに対し, 嗅覚障害の改善する症例では鼻茸の再発する例は少なかつた. 以上より副鼻腔炎例では嗅覚障害の原因は主に炎症によるものと推測された.
  • 西岡 聡子, 後藤 昭一, 永野 稔明, 増田 游, 中田 道広, 岡野 光博, 岡 鐵雄
    1994 年 40 巻 4 号 p. 551-554
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    岡山県南に植生するスギ科スギ, メタセコイアとヒノキ科ネズ花粉が飛散花粉の中に含まれることが報告された. われわれは, スギ科とヒノキ科植物から抽出した花粉を用いて鼻アレルギー患者にスクラッチテストを施行した. 44患者中スギ, メタセコイアおよびネズ花粉陽性者はそれぞれ26例 (59%), 4例 (9%) および6例 (19%) であつた. ネズ陽性者6例中1例 (17%) はネズ単独陽性であり, ネズ花粉による花粉症が示唆された.
  • 森満 保
    1994 年 40 巻 4 号 p. 555-563
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    各種中耳炎にたいする鼓室形成術において最終段階である鼓膜形成術についてその問題点を総論的に述べた.
    1. 鼓膜形成術に成功するために必須の5条件を挙げ, 各問題点と対策を述べた.
    2. 新鼓膜形成材料は同種移植ではKreutzfeld-Jacob diseaseが, 異種移植では拒絶反応があり, 自家移植をベストとした.
    3. 移植手技としてはsandwitch法が優れていることを述べた.
    4. 術後不良成績として6項目を挙げ, とくに翻転粘膜, 辺縁真珠腫, 鼓室内換気障害による新鼓膜内陥と真珠腫発生を説明した.
    5. 鼓室内換気の観点から耳管上陥凹や鼓室隔膜と含気化程度との関係を発生学や局所解剖学の立場から説明した. 6. 新鼓膜内陥の予防のために前鼓室開放術が重要であることを説明した.
  • 松田 圭二, 瀬川 祐子, 笠野 藤彦
    1994 年 40 巻 4 号 p. 564-570
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1991年4月から1993年3月までの2年間に国立都城病院耳鼻咽喉科で診断された悪性リンパ腫14例のうち半数の7例がリンパ腫型ATLであつた. このうち治療を行なつた2例を報告する. 1例は上咽頭・左扁桃に, もう1例は喉頭・左副鼻腔・肺に病変を有し, いずれも呼吸困難を主訴に来院した. 化学療法を行ない数カ月の小康を得たがそれぞれ5ヵ月, 8ヵ月で死亡した. 頭頸部領域の腫瘍としてのATLの診断は多発地帯の耳鼻咽喉科医にとつて必須事項である. 本疾患患者が初診することが少なくない耳鼻咽喉科医のこの疾患に対する認識と迅速な対応が重要である.
  • 糸数 哲郎, 古謝 静男, 神谷 聰, 真栄城 徳秀, 江洲 浩明, 山内 昌幸, 金澤 丈治, 野田 寛
    1994 年 40 巻 4 号 p. 571-574
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1976年から1991年までに, 琉球大学医学部耳鼻咽喉科で治療を行つた80歳以上の頭頸部悪性腫瘍症例, 58例について検討した. 疾患別では喉頭癌が18例, 口腔癌が12例, 下咽頭癌, 悪性リンパ腫がそれぞれ9例, 中咽頭癌が7例であつた.
    進行度は, Stage III, IVの進行例が63%を占めていた. 根治的治療は30例に行つた. 予後は生存13例, 腫瘍死32例, 他病死5例であつた. 80歳以上の高齢者といえども, 比較的高い割合で根治的治療が可能であるが, その余命を考えると, 治療方針の決定は家族の協力, 患者の疾患に対する態度, Quality of Lifeなどを十分考慮して決定する必要があると思われた.
  • 武田 秀隆
    1994 年 40 巻 4 号 p. 575-581
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1983年から1992年までの10年間の耳鳴患者25, 660耳にB群ビタミン剤をベースに, ステロイドの鼓室注入や磁気治療などの三者併用治療を行い, その78%に効果を認めた. また耳鳴耳は難聴耳の84%にみられ, 治療期間は3~6カ月が望ましいと考えた. 耳鳴患者のうちわけは内耳性が76%, 後迷路性が約24%であつた. 前者には三者療法がかなり有効だつたが, 後者は有効耳は少なかつた. 難聴の聴力像と耳鳴音は関連がみられ, 高音域低下では高調性, 低音域低下では低調性, 水平・谷型像では前二者の混合音が比較的多かつた. 新鮮耳鳴ほど治癒しやすかつたが, ステロイド鼓室内注入, 磁気治療は数年の古い耳鳴にも有効なものが少なくなかつた. 陽イオンに作用するこれらの治療から, 有毛細胞の膜電位やシナプス代謝の異常が耳鳴の原因の一つではないかと推測した.
  • 古川 政樹, 古川 まどか, 陰里 ゆうみ, 山本 博子, 佃 守, 伊藤 恵子
    1994 年 40 巻 4 号 p. 582-588
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    口腔および中咽頭領域の腫瘍に対し, 3種類の探触子を用いて超音波検査を行つた.
    1. 舌可動部の腫瘍はフィンガータイプ探触子 (A) による口腔内からの走査で容易に検出できた.
    2. 中咽頭のうち口蓋扁桃および軟口蓋の腫瘍についてはバーホール型探触子 (B) を口腔内から直接あてることにより, 腫瘍の深達度を知ることができた.
    3. 舌根部の腫瘍はリニア型探触子 (C) とフィンガータイプ探触子 (A) による頚部体表からの経皮的走査が有用であつた.
    4. 他の画像診断, とくにMRIと比較したUSの利点について述べた.
    5. USは探触子の種類や走査法を工夫することにより, 口腔・中咽頭領域腫瘍の評価に欠かせない検査法となることを強調した.
  • 特にベーチェット病に対する治療効果
    三邉 武右衛門, 小林 恵子, 添田 百枝
    1994 年 40 巻 4 号 p. 589-594
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    アフタ性口内炎は再発し易い疾患で, その病因には諸説があり, 治療にも区々のものがおこなわれている. MS-Antigen (以下MS-A) の臨床研究中, 頑固なアフタ性潰瘍に合併した蕁麻疹 (ビール, ブリ) に遭遇した. MS-Aは蕁麻疹症例に奏効した治験から, MS-A40mgを25回投与したところ, アフタも蕁麻疹も消退し, 頑固なアフタにも奏効することがわかつた. その後アフタ性口内炎を主症状の一つとする典型的Behcet病 (以下ベーチェット病) にMS-Aが奏効する可能性を考え, MS-Aを12回投与したところアフタが消退し, その後の投与で眼症状も消退して全治し再発をみない.
    その後ベーチェット病の4例について全治2例, 有効1例の成績を収め, 46例のアフタ症についてもみるべき成績を収めた. この46例のアフタ症について家族歴, アレルギーの合併症, 皮内テストなどからアレルギーを示唆する成績が得られた. MS-Aによるアフタ性口内炎の治験から, MS-Aの難病ベーチェット病に対する治療効果は検討する価値があるものと考え報告する.
  • 上顎洞X線陰影のデジタル化による定量的評価
    鳥原 康治, 春田 厚, 林 明俊
    1994 年 40 巻 4 号 p. 595-600
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    片側性慢性副鼻腔炎と診断された26例につきロキシスロマイシン (RXM) の2カ月にわたる長期投与を行い, 自他覚所見と顔面X線のデジタル化による客観的評価を行い検討した.
    1. RXMは片側性慢性副鼻腔炎に対しても確実で安定した効果が得られ重篤な副作用がみられないため, 慢性副鼻腔炎に対しての有用な保存的治療法のひとつになるものと考えられた.
    2. X線による上顎洞陰影の客観的評価としてのマイクロデンシトメーターによるM/O 比の定量化は, コンピューターを用いた陰影定量化とともに有用であることがわかつた.
  • 森 裕司
    1994 年 40 巻 4 号 p. 601-611
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    他覚的所見に乏しい軽症めまい患者のスクリーニングを目的として, インパルス負荷を与えた時の重心動揺を, 正常者群, 一側前庭障害群, 中枢障害群で減衰係数を指標として分析した. 強い衝撃の負荷 (撃振) では, その減衰係数値の平均は正常者群0.022, 前庭障害群では0.012, 中枢障害群では0.006であつて, 三群間には統計学的に有意の差を認めた. 衝撃緩衝力に優れたマットを重心動揺計上に敷き, 5. 傾斜させた状態から10/secの速度で平行位に復位停止させる負荷 (軽微なインパルス刺激) を与えると, 代償期にある一側性前庭障害群でも, 減衰係数値は, 患側向きへの復位刺激で有意に小さいかつた. 以上の結果より, インパルス負荷を加えた時の応答を, 減衰係数を指標として分析する方法は, 重心動揺計がスクリーニングとして臨床応用し得るための1) 検査が簡便である2) めまいを判別できる3) 明確な指標をもつという三条件を満たす検査法であると考えられた.
  • 瀬尾 徹
    1994 年 40 巻 4 号 p. 612-621
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭部の水平面での回転によつて生じる水平面前庭動眼反射は, 水平半規管の刺激により誘発され, 臥位で地表と垂直な面での回転で生じる垂直面前庭動眼反射は, 半規管動眼反射に耳石器動眼反射が加わつたものと考えられる. 両者の差異を検討することで耳石器系の動特性を求めると, いわゆるlow pass filter型の動特性をもつことがわかつた. このことは耳石器系は, 特に半規管系の動特性が低下する低周波域での動揺に対する固視機能の維持に, 重要な役割を演じると考えられた. また耳石器動眼反射は入力の位相が変化しても出力は一定であつた. 一側の前庭機能廃絶の見られた4例の聴神経腫瘍の患者と, 6例の良性発作性頭位めまい症 (BPPV) に対し本法を施行した. その結果, 耳石器系はその機能に障害があつても, 必ずしも一側の耳石器動眼反射の出力が低下するのではなかつた. またBPPVはなんらかの耳石器系の障害をもつと思われたが, 単一の病態ではない可能性も示唆された.
  • 小林 中, 井手 博子, 江口 礼紀, 中村 努, 吉田 一成, 林 和彦, 中村 英美, 山田 明義, 野崎 幹弘
    1994 年 40 巻 4 号 p. 623-626
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は50歳, 男性. 2型頸部食道癌および胸部中下部食道の表在癌を切除する事とし, 左開胸開腹喉頭温存食道全摘胸壁前下咽頭胃管遊離空腸移植術を1993年11月5日に施行. 術後経過順調にて同11月24日より経口摂取を開始し同12月4日に退院した. 2ヵ月後に嚥下機能を消化管透視・消化管シンチグラム・内圧測定の3項目について評価した. バリウムは嚥下時誤嚥せずスムーズに胃管まで流れ, シンチグラムでも下咽頭~遊離空腸間はすばやく通過し, 嚥下機能がある程度保持されていた. 内圧測定でも低い第 1次蠕動波を認め, 上部昇圧帯も存在していた。
    当院では頸部食道癌切除例88例のうち喉頭温存例が5例ある. 再建臓器に胃管のみを用いた3例では縫合不全・吻合部狭窄をきたしたが, 遊離空腸を使えば消化管の緊張がとれこの合併症が減ると思われた. 患者年齢が若く腫瘍の深達度が浅く咽頭気管浸潤のないものは, 患者のQOLを考慮して積極的に喉頭を温存すべきである.
  • 宮下 久夫, 池田 敦子, 関 守広, 真栄田 宗慶, 谷川 譲, 室井 正彦, 高橋 慶一, 太田 学, 小林 健彦, 佐々木 常雄, 上 ...
    1994 年 40 巻 4 号 p. 627-629
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    71歳男性, 右梨状窩原発で耳管隆起下部におよぶ下咽頭癌進展例 (T4N2M0, 扁平上皮癌) に, 術前放射線治療として41.2Gy照射後, 咽喉頭食道摘出術を施行し, 口腔側を開いたループ状に遊離空腸を移植した. 術後存在したハンモック状の窪みのため, 咽頭部に食物が停滞し, 食道吻合部が狭窄して嚥下障害が持続した. 後者の障害はブジーによる治療の反復により改善した.
    開腹時に骨盤に浸潤するS状結腸進行癌 (腺癌) がみつかり, 結腸切除後人工肛門を造設した. 骨盤内病変にはCDDP, LV, 5FUの化学療法と放射線治療512Gyを行なつたが, NCであつた. このような下咽頭癌進展例では術前に上部消化管のみならず, 下部消化管の検査が必要であると考えた.
  • 1994 年 40 巻 4 号 p. 630-631
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 大塚 明子, 草間 幹夫, 高野 淳志, 田澤 興平, 草壁 英子, 塚原 宏泰, 岸 豊子, 榎本 昭二, 吉野 邦英
    1994 年 40 巻 4 号 p. 632-639
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    近年, 口腔癌患者の術後の口腔機能についての報告がなされ, 様々な観点から検討されてきたが, 今回われわれは口腔機能を切除範囲, 再建方法により検討した. 舌および下顎の切除が行われた患者24症例の舌運動を調べるとともに咀嚼, 嚥下機能についてアンケート調査を行つた. その結果, 術後の口腔機能は舌の切除範囲の増大にともなって制限されていた. また, 口腔底の切除により舌運動に制限がみられ, 舌根切除により嚥下機能は制限されていた. 再建方法別では, 遊離皮弁, 有茎筋皮弁に差はみられなかった. 下顎骨辺縁切除症例の咀嚼機能は区域切除症例により良好であったが, 義歯の装着が関与していると思われた. われわれの結果では金属プレート再建例と骨移植例に差はみられなかったが, 再建方法は義歯による咬合回復に影響を与えると考えられた.
  • 1994 年 40 巻 4 号 p. 640
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 裕之, 加藤 孝邦
    1994 年 40 巻 4 号 p. 641-643
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下障害の症例では, 下咽頭に唾液や食物残渣が貯留し, これらの貯留物は少量ではあるが慢性的に気管へ流入する. 長期にわたる唾液や食物残渣の誤嚥は咳嗽反射を低下させ, 呼吸器合併症の原因となる可能性がある. 嚥下障害の呼吸器合併症を予防するには下咽頭貯留物を除去し, 下咽頭の衛生状態を良好に保つことが必要である.
    下咽頭貯留物を除去する方々にはいくつか考えられる. 広く行われているのは, 吸引による除去である. また, 呈示した症例でも明らかなように, 咳嗽によつて, 下咽頭に貯留した唾液を除去することができるので, 食事の後に, 咳嗽を行えば, 下咽頭に貯留した唾液は除去できる.
    嚥下障害のリハビリテーションロ腔衛生が重要であると言われるが, 下咽頭の衛生も重要であり, 吸引, 咳嗽, 含嗽などにより, 下咽頭の貯留物を除去する必要があり. なかでも, 含嗽による下咽頭の貯留物の除去は比較的容易に行えるので, 簡便な方法と考えられる.
  • 喉頭内視鏡検査を中心に
    川井田 政弘, 福田 宏之, 甲能 直幸
    1994 年 40 巻 4 号 p. 645-647
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    音声外科領域における診断法の変遷と展開として, 喉頭内視鏡検査を中心に述べた. 各種の喉頭内視鏡が開発されるとともに, ビデオシステムとの接続や高輝度喉頭ストロボスコープと組み合わせた喉頭ストロボビデオグラフィーも可能になつた. さらに, 鼻咽喉電子内視鏡まで開発されるようになつた. 経鼻挿入可能な外径5mmの鼻喉喉用電子内視鏡PENTAX VNL-1530が市販され, 本機種を用いた喉頭観察を行つた. 従来の軟性喉頭ファイバースコープとほぼ同様な操作性で, 高画質の動画像が得られたといえる. さらに今後の解決すべき問題点や展望について考察した.
  • 堀口 利之, 廣瀬 肇, 新美 成二, 川井田 政弘
    1994 年 40 巻 4 号 p. 648-650
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    音声外科領域における手術器具に関する変遷と展望として, 直達喉頭鏡を用いた喉頭顕微鏡下手術の器具類を中心に述べた. 各種の直達喉頭鏡や鉗子類が開発されるとともに, 手術用顕微鏡へのビデオシステムとの接続により, 術野をテレビモニターに拡大して複数の医師が同時に観察することも可能になつた. さらに, 従来の器具の使い方を工夫することにより幅広い応用も可能であると考えられた. さらに今後の展望について考察した.
  • レーザー手術を中心に
    中之坊 学, 北原 哲, 田部 哲也, 田村 悦代, 唐帆 健浩, 井上 鐵三
    1994 年 40 巻 4 号 p. 651-654
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    レーザーは, その特性により内視鏡手術とよく適合し, 音声疾患にも広く用いられるようになつてきた.
    レーザーを用いうる音声外科疾患としては, 声帯結節, 声帯ポリープ, ポリープ様声帯などの狭義の音声外科疾患のみならず, 広義には, 喉頭の腫瘍性疾患や狭窄性疾患も含まれる. しかしながら, これらはあくまでもレーザーを用いうるものであり, 必ずしもレーザーを用いることが, 唯一, 最良の方法ではない.
    本稿では, レーザー手術を中心とした, 内視鏡下音声手術の現状と展望について述べる.
  • 渡邉 宏
    1994 年 40 巻 4 号 p. 655
    発行日: 1994/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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