化膿性中耳炎に対するcefozopran (CZOP) の基礎的・臨床的検討を行い、次の結果を得た。
1. 化膿性中耳炎患者の分離菌に対するCZOPの感受性は, グラム陽性菌ではceftazidime (CAZ) より明らかに優れており, グラム陰性菌ではCAZと同程度であつた.
2. CZOP1.0g静注後の耳漏中濃度は投与0.5~6.0時間後で0.8~33.6μg/gであり, 中耳粘膜組織内濃度は投与後0.67~4.12時間後で8.1~57.9μg/gであつた.
3. 臨床効果は, 主治医判定による有効率が83% (38/46), 委員会判定では78% (36/ 46) であつた.
4. 細菌学的には, 52株中44株が消失し、消失率は85%であつた.
5. 副作用としては, 1例で軽度の発疹が認められた. 臨床検査値異常は白血球増多, GPT上昇, LDH上昇が各1例認められたが, いずれも軽度のものであつた.
以上の結果より, CZOPは化膿性中耳炎に対して有用性の高い薬剤と考えられる.
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