耳鼻と臨床
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41 巻, 5Supplement2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 岩田 重信, 内藤 健晴, 井畑 克朗, 横山 尚樹
    1995 年 41 巻 5Supplement2 号 p. 839-851
    発行日: 1995/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭アレルギーについて実験的, 臨床的な面から検討した. 動物実験はOA感作モルモットを作製した上, 一部脱感作 (高木氏法) し, 正常群, OA感作群, 脱感作群につき, OA吸入域値, 血清PCA値, IgG1, IgG2を測定し, 組織学的には喉頭粘膜と鼻粘膜を同時に比較検討した. 組織学的には感作された喉頭粘膜, 特に披裂部粘膜内に軽度浮腫と好酸球, 好塩基球の浸潤を認めたが鼻粘膜の変化ほど著明ではなかった.
    臨床面では, 症状と喉頭所見につき, 鼻アレルギー患者137例を対象として, 花粉飛散期とそれ以外の時期で比較し, 喉頭アレルギーの診断基準を,(1) 咽喉頭部のイガイガ感, つまつた感じ, 異物感と, 暖声や呼吸困難をともなわない持続性の乾性咳発作 (主として夜間) が特徴的である.(2)喉頭所見は披裂部粘膜または喉頭粘膜のやや蒼白浮腫状腫脹を呈する.(3)アレルギI体質を有し, 皮内反応, RAST陽性を示すものと考えられた.
  • 前山 忠嗣, 南 仁成, 宮崎 純二, 高木 誠治, 進 武幹
    1995 年 41 巻 5Supplement2 号 p. 852-859
    発行日: 1995/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれは喉頭アレルギーの神経機構を明らかにする目的で免疫組織化学的手法を用いてイヌおよびネコの喉頭粘膜における各種神経ペプチド陽性線維の分布を検討し, また喉頭粘膜のヒスタミン刺激によって惹起される反応の電気生理学的観察を行った. Substance P (SP) 陽性の上皮内神経繊維が喉頭粘膜に認められ, また血管, 喉頭線の周囲にも存在していた. 上喉頭神経の求心性衝撃は喉頭粘膜のヒスタミン刺激により増加した. 喉頭アレルギーではSP免疫反応陽性の上皮内神経繊維がヒスタミンに反応し, 求心性衝撃を発生し, さらに神経原性炎症を惹起するものと思われる. 喉頭アレルギー患者のほとんどすべてが咳発作を訴えるが, ネコの喉頭粘膜のヒスタミン刺激によって連続する咳が誘発された. vasoactive intestinal polypeptide陽性線維が血管および腺の周囲に観察された. これらは恐らく非アドレナリン性, 非コリン性抑制神経機構に属するものであろう.
  • 石田 春彦, 岩江 信法, 天津 睦郎
    1995 年 41 巻 5Supplement2 号 p. 860-865
    発行日: 1995/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭における1型アレルギーの存在を示す目的で, ヒトおよびモルモット喉頭を用いて実験を行った.
    ヒト喉頭においては披裂部の上皮層および粘膜固有層浅部で粘膜肥満細胞の存在することが確認された. また抗ヒトIgE抗体を用いて染色すると, 大部分の肥満細胞が陽性を示し, IgEに対する受容体を有することが示された. 一方モルモット喉頭の肥満細胞の観察では, 感作群の声門下上皮層で非感作群より有意に多くの肥満細胞が観察された. また感作モルモットの喉頭を抗原に暴露し, その前後の喉頭灌流液中のヒスタミン濃度を測定すると, 抗原暴露直後にヒスタミン濃度の優位な上昇が認められた.
    これらの所見は喉頭においてもI型アレルギーが起こり得ることを示唆しているものと考える.
  • 中井 健, 坂倉 淳, 岡東 史之, 岡東 周一郎, 山本 祐三, 高橋 宏明, 本山 壮一
    1995 年 41 巻 5Supplement2 号 p. 866-870
    発行日: 1995/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    最近, 喉頭アレルギー研究会より提唱された診断基準案により, 喉頭アレルギーと診断された症例について臨床的検討を行った. 咽喉頭異常感を主訴とする男性1例, 女性18例, 年齢は23歳から71歳, 平均48.5歳を対象として, 抗アレルギー剤 (塩酸アゼラスチン) を14日間投与し, 咽喉頭異常感の変化を観察した. その結果, 79%の症例で症状の改善が認められた. さらに, 咽喉頭異常感と喉頭アレルギーの関係について検討を加えた.
  • 山下 利幸, 山口 幹夫, 武田 直也, 嶋田 高明, 堀 洋二, 立花 文寿, 記本 晃治, 竹内 紳一, 加島 健司, 木下 道子, 阿 ...
    1995 年 41 巻 5Supplement2 号 p. 871-877
    発行日: 1995/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭アレルギーの病態については不明な点が多い. 喉頭は解剖学的にアプローチ困難な部位であり, しかも呼吸にとって重要な役割を果たしている. このことにより局所におけるアレルギーの検査が容易でなく, 実地臨床の場で診断に苦慮することも多い.
    われわれは実験動物を用いた喉頭アレルギーモデルを作製した. さらに抗原粒子の喉頭粘膜への付着の可能性の有無およびヒスタミンの喉頭粘膜血流量に及ぼす影響について検討した. その結果動物において喉頭にアレルギー反応が存在しうるという結論を得たため臨床的な検討を行った. 臨床的に喉頭アレルギーが疑われる患者に対し, 抗アレルギー剤の投与を行い, 症状, 所見の改善を認めた. また一例において誘発反応を行い, 組織学的にアレルギー反応をとらえた. これらの結果を踏まえて喉頭アレルギーの存在を確認するとともに, 簡便に診断できるクライテリアの確立が喉頭アレルギー診療に寄与すると思われた.
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