耳鼻と臨床
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43 巻, 4 号
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  • 岩元 正広, 井上 裕章, 安田 知久, 吉川 茂樹, 小宮山 荘太郎, 吉成 元孝, 横溝 由史
    1997 年 43 巻 4 号 p. 471-477
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    迷路機能高度障害例, 深部感覚高度障害例を対象に, 重心動揺検査を行い, 両者の重心動揺に質的な違いがある事を示し, 直立姿勢維持における迷路と深部感覚の役割について検討した. 迷路機能高度障害例では, 軌跡長より面積が大きくなつた. この結果から, 迷路は軌跡長よりも面積のモニターを主に行つており, 深部感覚は面積よりも軌跡長のモニターを主に行つていると考えられた.
  • 野田 哲哉
    1997 年 43 巻 4 号 p. 478-481
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    動揺病やめまいでみられる悪心や嘔吐に着目した. つわりでも悪心や嘔吐が現れるので, これと動揺病やめまいに関連があるかどうか検討した. 妊娠3カ月から4カ月の者, 45名を対象として, つわりの有無, 随伴症状, 乗り物酔いやめまいの有無, 妊娠後の増悪などについて, アンケート調査を行つた. つわりに顔面蒼白, 動悸, 冷汗, 頭痛, めまいなどを伴つており, つわりと動揺病は似ていると思われた. 興味深いことに, つわりの随伴症状として最も頻度が高かつたのはめまいであつた. 妊娠後に乗り物酔いやめまいが悪化する者が少なくなかつた.
  • 宿久 修, 小宗 静男, 井上 裕章, 平川 直也, 小宮山 荘太郎, 川口 博
    1997 年 43 巻 4 号 p. 482-486
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳硬化症54例に対してアブミ骨摘出手術を行い, 手術成績の検討・摘出アブミ骨の病理学的所見について検討を行つた. その結果, 聴力改善は94%の成功率が得られ, 満足のいく結果であつた. 硬化病変が認められた部位は卵円窓前方に認められることが多く, 従来の報告と同様であつた. さらに, 摘出されたアブミ骨の58%に組織学的に硬化病変が証明された.
  • 辻 剛二, 小宗 静男, 久 和孝, 中川 尚志, 君付 隆, 小宮山 荘太郎
    1997 年 43 巻 4 号 p. 487-491
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    癒着性中耳炎に対してはさまざまな手術方法が行われているが, いまだ決定的な方法は確定されていない. 本症例ではいかに中耳含気腔を形成するかという観点から, 意図的浅在鼓膜形成を行つた32例について, CT, および2期的手術において検討を行つた.
    その結果, 23例 (72%) に中耳含気化が形成され, また, 術後耳漏をきたしたのもわずか一例という良好な成績を示した. 本法の有用性について討論した.
  • 熊谷 雅彦, 田中 克彦, 西川 仁美
    1997 年 43 巻 4 号 p. 492-496
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    多発性脳神経障害を伴つた耳性帯状疱疹の2例を報告した. 最初の症例は72歳男性で, 第VII, 第IX, 第X脳神経障害が認められ, 耳介および喉頭蓋の発疹, 咽頭側索潰瘍を呈した. 二番目の症例は61歳男性で, 第V, 第IX, 第X脳神経障害が認められ, 耳介および喉頭蓋に水疱を呈した.
    ヘルペスによる障害部位は舌咽神経と迷走神経の支配領域に特に顕著に認められた. これらの症例では, 舌咽神経と迷走神経の障害が大きな役割を果たしていると思われ, 水痘帯状疱疹ウイルスはこれらの脳神経間の解剖学的な連鎖を介して広がつたものと思われた.
  • 服部 康夫, 鈴木 重剛, 上野 則之, 町野 満, 山本 薫
    1997 年 43 巻 4 号 p. 497-505
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中耳原発のカルチノイド腫瘍2例について, 透過電顕的に観察し, 以下の結果を得た.
    1. 切片上, 腫瘍胞巣 (tumor nest) は, 管腔様構造を持つ大きな部分, 半島状部分および数個の細胞よりなる島状部分からなつていた. 細胞分裂像はいずれの部分にも観察されなかつた.
    2. 腫瘍細胞は, 神経分泌顆粒を持つ細胞とそれを持たない細胞の2種に分類できた. 前者10に対し後者1の比率で見られた. 後者は島状部分に見られることが多く, 核細胞質比が大きく, 微細糸以外の細胞内小器官に乏しく, 重層扁平上皮や線毛円柱上皮の基底細胞に類似していた.
    3. 島状胞巣では, 細胞配列の乱れ, 核の大小不同, 基底膜の不明瞭化・断列が見られた.
  • 組織学的検討II
    竹田 節子, 竹田 泰三, 齋藤 春雄
    1997 年 43 巻 4 号 p. 506-515
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    岩様部枝遮断による虚血性顔面神経麻痺動物の組織的特徴を, 高度麻痺例を中心に経時変化も含めて検討し, 以下の結果を得た. 1) 神経の膨化が最大に達する遮断後3日目には, 膨化は麻痺度に比例して増悪した. 2) 高度麻痺例では, 著明な神経の膨化が, 遮断後1日目で神経管のほぼ全行程で認められ, 3日目から7日目の間に最大に達した. Fn/Fc比は60%以上で, 神経組織と骨組織の収縮差を考慮すると, 高度の絞扼が生じていたと考えられる. 遮断3日目では神経周膜や, 内膜で血管の観察は出来なかつた事からも, 高度な絞扼に陥つている事が傍証された. 3) 高度麻痺例では, 遮断後1日目で既に軸索, 髄鞘の障害が観察された. これら神経変性は経時的に増悪し, 3日目から 7日目には顕著になつた. 遮断後28日を経ても, 神経線維の再生は明らかではなかつた. 4) 高度麻痺で, 神経の膨化が消退しても麻痺が遅延するのは, 絞扼による神経変性が主因であると考えた.
  • 黒崎 貞行, 大塚 博邦, 波多野 吟哉, 渋谷 和俊, 直江 史郎
    1997 年 43 巻 4 号 p. 516-520
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    真菌による感染ではなく, 真菌に対するアレルギー反応の結果生じたと考えられるアレルギー性真菌性副鼻腔炎症例を報告した. 病理組織学的に, 上顎洞粘膜はアレルギー性副鼻腔炎の像を呈し, 洞内に充満していたムチン内には変性した好酸球の集簇と Charcot-Leyden結晶を認めた. 銀染色を行うことで, ムチン内の真菌要素が証明されたが, 粘膜内への真菌の浸潤は認められなかつた. 血液検査で好酸球増多を示し, 真菌類に対する特異的IgEは陽性であつた. また, それら真菌に対する皮内反応は, すべて即時型反応を示したことから, アレルギー性真菌性副鼻腔炎においては, 少なくとも I型アレルギー反応の関与が考えられた. また, 本疾患が成立する上で, III型アレルギーの関与が必要であることを文献的に考察した.
  • 通年性アレルギー性鼻炎に対して
    中田 道広, 後藤 昭一, 前田 学, 斉藤 稚里, 大内 伸介, 竹久 亨, 加藤 知之, 櫻井 康子, 山本 真美, 永野 稔明, 小川 ...
    1997 年 43 巻 4 号 p. 521-530
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1) 通年性アレルギー性鼻炎に対するレミカット (R) カプセルの臨床効果を, 総症例38 例 (男性18例, 女性20例) について, 特に効果発現日を中心として, 投与期間2週間の多施設共同試験を実施した.
    2) 最終全般改善度では「改善」以上が64.0%, 「やや改善」以上が96.0%であつた.
    3) 概括安全度は「安全である」以上が83.9%であつた.
    4) 有用度では「有用」以上が80.0%, 「やや有用」以上が96.0%であつた.
    5) 症状別改善度では自覚症状, 特に鼻閉に対する改善度が高い (「改善」以上58.3 %, 「やや改善」以上が75.0%) ことが特徴的であつた.
    6) 効果発現日については, 各症状に共通して, 早い症例では1~2日に効果が発現し, 3日後あるいは7日後に効果発現のあつた症例が多かつた. また症状の改善した症例は各症状とも3日後までに全体の症例のほぼ50%に達し, 効果のあつた症例の効果発現日平均は, くしゃみ発作3.7日, 鼻汁3.9日, 鼻閉5.7日, 自覚症状全般では4.6 日であつた.
    7) 副作用は5例 (13.2%) について認められ, ほとんどが眠気 (10.5%) であつた. 臨床検査値については, 特に投与前後において異常な変動が認められた症例はなかつた.
    以上の結果より, レミカット (R) カプセルは通年性アレルギー性鼻炎に対して効果の発現が早く, また鼻閉の症状によく効く有用な薬剤であることが認められた.
  • 宮城 千里, 加藤 寿彦, 矢野 玄, 檜垣 雄一郎, 中島 格
    1997 年 43 巻 4 号 p. 531-538
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    癌患者の予後を分析する上で, 従来のstageやTNM各因子だけでなく癌細胞のもつ細胞生物学的悪性度や患者側の因子が重要な役割を果すことが注目されている. 本研究では喉頭癌76症例を対象に摘出癌組織内のAgNORおよびS-100蛋白陽性細胞の分布を検討し, 予後や再発との関連を分析した. 進行癌や所属リンパ節転移陽性例の AgNOR数平均値は早期癌や所属リンパ節転移陰性例に比べて有意に高かつた. またN 3や遠隔転移症例 (M1) のS-100蛋白陽性細胞の分布密度はN0-N2やM0症例よりも有意に低かつた. AgNOR数平均値の高値群, 中間値群および低値群間の生存率に有意差が認められた. 再発症例の原発巣および転移リンパ節内S-100蛋白陽性細胞の分布密度は非再発例に比べて有意に低かつた. これらの結果はAgNORおよびS-100蛋白陽性細胞の分布が, 喉頭癌の予後を解析する上で重要な因子であることを示唆した.
  • 梅崎 俊郎, 渡辺 宏, 深浦 順一, 進 武幹
    1997 年 43 巻 4 号 p. 541-543
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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