耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
43 巻, 5Supplement3 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 杉原 三郎
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 709-712
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳介, 外耳道狭小の未熟児症例に対し, イヤモールドまたはシェル内に耳掛け型補聴器の内装イヤホンを組み込んで (シェル型イヤホンと称す) 小型化をはかつた補聴器の試作を行つた. このイヤホンは装着が容易で, 小型軽量のため外れにくく, いわゆるベビー型補聴器として使用するためハウリングにも有利であつた.
  • 橋本 好充, 竹内 裕美, 生駒 尚秋
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 713-716
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳鳴検査における耳鳴検査装置 (RION TH-10) と従来の純音オージオメーターとの比較検討を行い, その有用性について報告した. 耳鳴検査装置と純音オージオメーターのピッチマッチ検査の一致率は82%であつた. 両者におけるラウドネスバランス検査は, 良い相関を示した. TH-10の耳鳴検査の再現性は良好であつた. 耳鳴検査装置は従来の純音オージオメーターでは判定不能であつた症例に対してもさらに詳細な耳鳴検査が可能になり, 有用なものであつた.
  • 長谷川 賢作, 松田 英賢, 榎本 拓朗
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 717-721
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1990年8月より1996年8月までの6年間に経験した鼓室形成術92耳について, 聴力改善の程度を検討したので報告した.
    1. 術後聴力の判定基準では, 鼓室形成術I型が87%, 鼓室形成術III型変法が73%, 鼓室形成術IV型変法が56%の成功率であつた.
    2. 術後気導聴力レベルの改善は, 鼓室形成術I型が7.0±10.5dB, 鼓室形成術III型変法が13.1±19.5dB, 鼓室形成術IV型変法が9.5±16.0dBであつた.
    3. 術後気骨導差は鼓室形成術IV型変法で不良であり, 今後手術適応や術式決定に更なる検討を要する.
    4. 鼓室形成術III型変法・IV型変法では, 術後1年経過した時点でも聴力の変動を認めるため, 長期の経過観察が必要となる.
  • 高島 誓子, 竹内 裕美, 松尾 聡, 生駒 尚秋
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 722-725
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳漏を主訴とした左外耳道耳垢腺癌を経験した. HE染色で扁平上皮癌と診断されたが, その後の特殊染色で耳垢腺癌と確定された. 腫瘍は外耳道後壁から乳突蜂巣内に浸潤しており, 骨部および軟骨部の外耳道切除と乳突蜂巣の削開を行つた. 骨の露出した耳内には, 中間層植皮を行つた. 放射線治療は無効であつた. 手術範囲の決定にはCT所見が有用であつた. 術後2年経過した現在でも再発を認めていない.
  • 柴田 伊十児, 太田原 舜一
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 726-729
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Gradenigo症候群は, 中耳炎, 外転神経麻痺, 三叉神経痛を三主徴とするものである. 近年, 耳性頭蓋内合併症は少なくなり, さらに本症候群の発症は稀で最近の30年間で約12例の報告があるのみである. 症例は45歳男性で, 右顔面痛, 耳痛で発症し, 約2週間後に右外転神経麻痺を来した. CTにて錐体尖端部の膿瘍形成が疑われた. 保存的治療を行つたが効果なく, 中耳根本術, 錐体尖端部膿瘍開放術を施行した. 術後約2 週間で神経症状は消失し, 再発は認めていない. 過去の報告でも手術療法がほとんどの例で行われている. 高齢者の場合, 重篤な経過をとることもあり, 膿瘍形成があれば, 早期手術が必要であろう. また本例のように含気化良好耳では, 中耳炎は容易に頭蓋底まで進展することがあり得るので注意を要する.
  • 松尾 聡, 竹内 裕美, 生駒 尚秋, 白石 義光
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 730-734
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    前庭入力が自律神経系に影響を及ぼすことはよく知られているが, 前庭神経から自律神経への神経経路は明らかではない. 本研究は前庭から交感神経への神経経路を解明するために行つた. 麻酔したネコを用い, 上部胸髄に投射する後顔面神経核細胞と延髄縫線核細胞の細胞外記録を行い, 前庭神経の電気刺激に対する応答を調べた. 前庭神経の電気刺激で, 64個中6個の後顔面神経細胞が3.5~8.0mescの潜時でシナプス性に応答し, 44個中16個の延髄縫線核細胞が2.5~32.0msecの潜時で応答した. これらの結果から前庭神経から後顔面神経核細胞と延髄縫線核細胞への2または多シナプス性の神経経路が存在することが示唆された.
  • 松尾 聡, 竹内 裕美, 生駒 尚秋, 細貝 正江, 河本 勝之, 高橋 直子
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 735-738
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ネコの前半規管から賦活される抑制性前庭神経核2次ニューロンの中脳と間脳への軸索投射様式を電気生理学的に調べた. 前庭神経の電気刺激と頭部のnose-down回転により賦活され, 同側の内側縦束と動眼神経核から逆行性に賦活されるニューロンを前半規管抑制性前庭神経核ニューロンと同定した. 15個の同定したニューロンの軸索投射を系統的微小電流刺激法を用いて調べた. 15個のニューロンのうち9個のニューロンが動眼神経核の下直筋神経核の他に, 中心灰白質, カハル問質核から逆行性に賦活された. 残りの6個のニューロンは動眼神経核より吻側から逆行性に賦活されなかつた. これらの結果は抑制性前庭神経核2次ニューロンの一部が動眼神経核の下直筋神経核の他に, 垂直性眼球運動の核上性領域にも軸索投射していることを示唆している.
  • 鈴木 健男, 竹内 裕美, 松本 紀子, 樋上 茂
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 739-743
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鳥取大学耳鼻咽喉科で皮膚テストを実施した1547例のうち, イネ科 (カモガヤ, チモシー) 花粉に陽性であった401例 (男性234例, 女性167例) を検討した.
    1) カモガヤ (皮内テスト), チモシー (スクラッチテスト) の陽性率は12.0%, 21.7 %であった.
    2) 対象とした401例のカモガヤ, チモシーの陽性率は46.1%, 84.2%, ともに陽性の例は30.6%であった. ハウスダスト, ダニ, スギ, キク科花粉の皮膚テストがすべて陰性であった例は3.5%であった.
    3) カモガヤ, チモシー花粉のRAST陽性率は78.9%, 74.8%であった. 両抗原の RASTを実施した108例のRAST陽性率は, 88.0%, 91.7%であった.
    4) 花粉飛散期の症状増悪は32.7%に認められた. 20歳以上の群, RASTスコアが4 の群で飛散期の症状増悪を訴える例が有意に多かった.
  • 竹内 裕美, 鈴木 健男, 松本 紀子, 樋上 茂
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 744-748
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻アレルギー患者のイヌ. ネコ上皮の抗原特異的IgE値を測定し (AlaSTAT法), イヌ・ネコ抗原に対する感作状況を検討した.
    イヌまたはネコの飼育経験のある鼻アレルギー患者50例の検討では, ネコの飼育経験のある患者のうち, ネコ上皮の陽性例は27例中9例 (33%), イヌの飼育経験のある患者のうちイヌ上皮の陽性例は38例中1例 (3%) であった. 飼育期間が短か症例にも感作を認めた. 喘息の既往と感作の間には関連を認めなかった. イヌ上皮にくらベネコ上皮に感作された症例が多かった. また, ハウスダストとダニに感作されている症例に, ネコ上皮に対する感作例が多かった.
    ハウスダストとダニに強く感作されている鼻アレルギー患者51例の検討では, ネコ上皮の陽性例は31例 (61%), イヌ上皮の陽性例は7例 (14%) であった. この内, 6例はイヌ上皮とネコ上皮ともに陽性であり, イヌ上皮のみが陽性であったものは1例だけであった.
    鼻アレルギー患者のイヌ・ネコ抗原に対する感作状況は, 今までに報告されてかる喘息患者の感作状況と差がなく, イヌ・ネコ抗原は, 鼻アレルギーにおいても重要な原因抗原と考えられる. また, 飼育の有無にかかわらず, 日常生活の中で何らかの経路で, イヌ・ネコ抗原に感作されている可能性があり, 特に, ハウスダストとダニに強く感作されている個体は, イヌ・ネコ抗原に感作されやすいことが示唆された.
  • ヒノキ花粉との関連について
    石津 吉彦
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 749-753
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症患者を対象に, スギ・ヒノキ特異IgE抗体を測定した. 1995年の3月から4月に飛散した春期樹木花粉は, 12, 340個/cm2を記録し, スギ・ヒノキ花粉比は約1 対1.80で, スギ花粉症患者の80.0%に, ヒノキ特異IgE抗体 (CAP-RAST) が陽性であった. 鳥取県のスギ森林面積は, 1986年71, 146haであったが1996年には60, 587ha に減少し, ヒノキの植林が進んでいる. 現在鳥取県のスギ・ヒノキ森林面積比は, 2.12 対1であるが, 樹齢15年以下の森林面積になると1対1.72と逆転することより, 今後鳥取県において, ヒノキ花粉のアレルゲンとしての重要性が増すと考えられる.
  • 竹内 裕一, 生駒 尚秋, 竹内 裕美
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 754-759
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1981年8月から1995年7月までの, 鳥取大学耳鼻咽喉科学教室における前頭洞・鯖骨洞・蝶形骨洞嚢胞性疾患の102例について, 臨床的検討を行つた. 102例のうち, 77 例は術後性嚢胞, 23例は原発性嚢胞, 2例は外傷性嚢胞に分類された. 術後性嚢胞は原発性嚢胞と比べて発症年齢が低かった. 初診科は眼科と耳鼻科を受診することが多かった. 臨床症状は, 前頭洞嚢胞や前頭洞~鯖骨洞嚢胞では前額部腫脹と眼瞼浮腫が多く, 飾骨洞嚢胞や飾骨洞~蝶形骨洞嚢胞では眼球突出と視力障害が多く, 蝶形骨洞嚢胞では頭痛・嘔気・視力障害が認められた. 術後性嚢胞では20歳までに初回手術を受けていることが多く, 術後16~30年で嚢胞が発生する症例が多かった. 眼症状の術後改善は, 病悩期間が1カ月以内の症例で良好であった
  • 石津 吉彦
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 760-762
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    比較的希な, 上顎洞原発の骨腫症例を経験した. 症例は40歳女性で, 左頬部痛を主訴として耳鼻咽喉科を受診し, 単純写真で左上顎洞内側に境界明瞭な円形像を指摘されて当科へ紹介された. CT検査で, 骨と同じCT値を示したため, 骨腫と診断し, 経上顎洞的に摘出した.
    摘出標本は約13.5g, 直径約3cm大で, 組織学的診断は, 成熟した緻密な骨組織が認められ, ハーバース管と骨細胞もある完全型骨腫であった.
  • 高橋 直子, 竹内 裕美, 岸 邦子, 生駒 尚秋
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 763-765
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    13歳女児の鼻中隔膿瘍の1例を報告した. 症例は, 先行する急性上気道炎症状があり, 近医で抗生剤を処方されていたが, その後, 鼻閉, 鼻根部有痛性腫脹, 発熱が出現した. 鼻中隔膿瘍と診断後, 直ちに切開排膿と抗生剤の投与を行い, 症状は速やかに軽快したが, 治癒後に鞍鼻を生じた. 単純X線写真とCT scanで左側急性汎副鼻腔炎の所見があり, 鼻中隔膿瘍の原因と考えた.
  • 山田 理, 生駒 尚秋
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 766-769
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    腫瘍が嚢胞状を呈し, 嚢胞との鑑別が困難であつた腺様嚢胞癌を報告した. 症例は59歳男性で, 主訴は数日前よりの左耳下部腫脹であつた. 初診時左耳下腺部に弾性軟, 可動性比較的良好な腫瘤を認めた. 疼痛や顔面神経麻痺はみられなかつた. CTで左耳下腺内に周囲を強くenhanceされる境界明瞭な被膜構造を有する楕円形の腫瘤をみとめた. エコーでは耳下腺内に辺縁がsmoothな楕円形のlow echo lesionをみとめた. 穿刺吸引細胞診では, class Iであつた. 耳下腺腫瘍摘出術を行い, 病理組織検査にて腺様嚢胞癌と診断された. 耳下腺嚢胞疾患のなかには悪性腫瘍があるため, 積極的な外科治療が必要である.
  • 松本 紀子, 鈴木 健男, 竹内 裕美
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 770-773
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Castleman's lymphomaは, 胸腺腫に類似した組織像を示すリンパ節の過形成として1954年にCastlemanによつて最初に報告された. 本疾患は比較的まれな良性腫瘍で, 多くは縦隔に発生しその他の部位に発生することはまれである. 外科的摘出が唯一の治療法であり予後は良好とされている.
    しかし, 多部位に腫瘤がみられた例の報告や多発した例も報告されている.
    今回, われわれは両側顎下部に一定期間をおいて発生したCastleman's lymphomaの1例を経験した. いずれの腫瘤もhyaline-vascular typeであつた.
  • 中原 啓, 高橋 直子, 松尾 聡, 竹内 裕美
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 774-778
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    50年前の初回手術後に再発, 悪性化した耳下腺多形腺腫症例を報告した. 症例は72歳女性で, 50年前に耳下腺腫瘍摘出術を受けた既往があつた. 摘出術の20年後に再発したが, 腫瘤以外の自覚症状はなく, 再発後30年間放置していた. 1995年になつて腫瘤が急速に増大したため, 当科を受診した. 耳下腺多形腺腫の再発・悪性化を疑い, 腫瘍摘出術および頸部郭清術を施行した. 病理組織診では, 良性多形腺腫とともに低分化型扁平上皮癌が認められた. 術後, 現在まで再発・転移を認めていない.
  • 橋本 好充, 樋上 茂, 花本 美和子, 竹内 裕美, 生駒 尚秋
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 779-781
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌術後に, 形成した咽頭管の狭窄をきたした74歳女性で, 中心静脈カテーテル留置中に内因性真菌性眼内炎をきたした症例を経験したので報告した. カテーテル留置が原因と考えられるCandida性敗血症から血行性に両眼内に播種されたと考えられた. Fluconazole 400mg/dayの点滴静注が有効であつた. 重症の患者では, 全身症状が重篤であるため, 初期の軽微な眼症状を見過ごされる場合が多く, 診断が遅れがちになることが多いが, 失明に至る疾患でもあり, 積極的に眼底検査を行い早期発見に努めなければならない.
  • 松田 英賢, 長谷川 賢作, 樋上 茂, 鈴木 健男, 井上 雄一, 周藤 裕治
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 782-786
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    口蓋垂・口蓋・咽頭形成術の予定で経過観察中に意識消失をきたした閉塞性睡眠時無呼吸症候群の1例を経験した. 意識消失の翌日に行つた睡眠時ポリグラフでは, 中枢性無呼吸と不整脈を認めた. 低酸素血症により重篤な不整脈を生じ, 突然死のニアミス症例であつた. 重篤な呼吸障害の危険性を考慮して気管切開術を行い, 睡眠時無呼吸は消失した. その後, 全身状態の改善を待つて口蓋垂・口蓋・咽頭形成術と減量指導を行い, 気管切開口を閉鎖することができた. 重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者では, 急激に重篤な合併症を引き起こす可能性があり, 迅速な対応が必要である.
  • 河本 勝之, 中原 啓, 小川 真滋, 竹内 裕美
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 787-791
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小児のガス形成性咽後膿瘍の1例を報告した. 歯ブラシで咽頭後壁を損傷し, 小児科で保存的加療を施行したにもかかわらず, ガス形成性咽後膿瘍を生じた. 当科で直ちに経口的な切開排膿術と, 好気性菌・嫌気性菌ともに広範なスペクトルを持つIPM/CSを投与することで, 縦隔洞炎やDICを併発することもなく, 救命することができた.
    小児ガス形成性深頸部感染症においては, 歯ブラシなどによる咽頭外傷が原因となることが多く, 受傷後の加療については注意が必要である. 起炎菌として, 嫌気性菌の関与が高いことを念頭に置いた抗生剤の使用がよいが, 保存的療法には限界があり, 早期の切開排膿術が必要である.
  • 岸 邦子, 橋本 好充, 高島 誓子, 竹内 裕美, 鈴木 健男
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 792-794
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    8年間に4回の再発を繰り返した咽後膿瘍の1例を報告した. 症例は59歳女性で, 再発の度に, 切開排膿と抗生物質の投与で軽快していた. 造影によつて, 再発を繰り返す原因が死腔化した膿瘍腔であることが疑われたため, 膿瘍腔の前壁を口蓋扁桃を含めて広範に切除し, 死腔を消失させた. その後, 再発はなく経過良好である.
  • 石津 吉彦
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 795-799
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 興味ある経過をたどつた食道異物の2例と気道異物の1例を経験し, 報告した.
    2. 高齢者で中枢神経系疾患のある症例では, 入院を受け持つ医療施設での, 義歯の注意深い管理の必要性を感じた.
    3. 気道異物, 特にピーナツ異物では抗生物質のみでなく, ステロイドによる抗炎症作用を期待することも必要と思われた.
  • 橋本 好充, 松本 紀子, 竹内 裕美, 生駒 尚秋
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 800-803
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は, 85歳男性で, 主訴は左頸部腫瘤であつた. 病理学的免疫学的検討の結果, まれなB細胞由来のKi.l Lymphomaと確定した. 本症例は, 高齢であること, 腎機能の低下を認めたことより, stage IVであつたが初回治療として放射線療法を行つた. 放射線治療に対する反応は良好であつた. その後エトポシドの内服を行い, 薬剤に対する反応も良好であつたが, 初回入院より7カ月で死亡に至つた.
  • 小川 真滋, 藤田 和寿
    1997 年 43 巻 5Supplement3 号 p. 804-808
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小児慢性副鼻腔炎42例に対するクラリスロマイシンの少量投与をカルボシステインとの併用療法として行い, その有効性について検討した. 有効率は, 鼻内所見では鼻汁の性状で82%, 鼻汁の量で72%, 後鼻漏の量で100%, X線所見では77%であつた. クラリスロマイシン投与量は常用量の3分の1以下であつたが高い有効率が得られ, その効果発現機序は抗菌作用以外にあると推察された. クラリスロマイシン・カルボシステイン併用療法は小児慢性副鼻腔炎に対して臨床的に有効かつ安全であると考えられた.
feedback
Top