耳鼻と臨床
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45 巻, 1 号
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  • 山本 貴義, 福島 邦博, 野宮 重信, 結縁 晃治, 赤木 博文, 西崎 和則, 増田 游
    1999 年 45 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    マイコプラズマ肺炎に続発した難聴で、一側性の高度感音難聴をきたした小児例を経験した0症例は9歳の男児。マイコプラズマ肺炎の診断で加療中、突然左難聴を自覚した。聴力検査で左高度感音難聴を認めたため、マクロライド系抗生剤を内服させながらステロイド剤などを点滴したが、左難聴は改善しなかった。なお経過中に髄膜炎、中耳炎の合併は認めなかった。マイコプラズマ肺炎に続発した感音難聴は報告例も少なくまた病態も明らかでないため、今後も症例の検討が必要であると考えた。
  • 楠 威志, 村田 清高, 竹田 泰三, 中谷 宏章
    1999 年 45 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    open methodは良好な術視野が得られる反面、外耳道に開放された乳突削開開放創の上皮化が遷延したり、痂皮の蓄積により感染を繰り返し、耳漏を伴う不良肉芽を認めることがある。このような、いわゆるcavity problemをおこした症例に対し、今回は積極的に術前創面の不良肉芽を除去した。その際、上皮化を促進させるため骨面露出をできるだけ避け、上層部の不良肉芽のみ除去した。その結果、開放創全体が速やかに上皮化し耳漏が停止した。初回手術で乳突削開開放創の骨面を露出させた症例では良性肉芽が十分に創面を覆った後、計画的にpinch graftを2次的に施行した。その結果、pinch graft施行後2週間で植皮片が生着、上皮化し、入院日数の短縮が期待出来た。open methodによる術後cavity problemの対処または予防に対し、今回行った不良肉芽除去およびpinch graftは極めて有用な方法であると考える。
  • 第2編: モルモット蝸牛血流量の観察
    鄭 鴻祥, 大崎 勝一郎, 李 東軍, 伏谷 秀治, 水口 和生
    1999 年 45 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    丹参注射液のモルモット蝸牛血流量におよぼす影響を検討した。実験群 (n=7) は注射用丹参1.5g/kgを、また対照群 (n=8) は注射用ATP (adenosine triphosphate disodium) 8mg/kgを動注した。レーザー. ドップラー血流測定法を用い、薬物注射前後の蝸牛血流量と血圧を測定した。その結果を以下に記す (時間と測定値は平均値)。丹参では注射開始直後より蝸牛血流量は緩徐に上昇しはじめ、10.8分後には注射前の179%とピークを示した後、徐々に低下し21.5分後には140%と安定した。ATP群では、注射直後より蝸牛血流量は急速に低下しはじめ、0.51分後に注射前の39%と最低値を記録した。その後、急速に上昇し、1.59分後に158%とピークに達した後、3.46分後に、ほぼ注射前の正常なレベルまで低下した。Arpを投与した際、蝸牛血流量の反応と血圧はかなり艮好な相関性 (r=0.63) を示し、蝸牛外側壁の1血流量は血圧依存性であることが示唆される。他方、丹参では蝸牛血流量と血圧の間には相関性が認められなかった (r=0.32) ことより考えて、丹参注射の蝸牛血流量への影響は血圧依存性でないことが示唆される。
  • 嶋崎 孝嗣, 吉田 義一, 中島 格, 森園 哲夫, 池田 研, 清澤 博
    1999 年 45 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭に炎症性肉芽病変を認めたGERD (gastroesophageal reflux disease) の1症例を報告した。患者は59才の男性、感冒に罹患後嗄声が続くと紹介を受けた。左声帯に腫瘤を認め喉頭微細手術を行ったが、1カ月後より再び嗄声を自覚した。2カ月後の再診時に前回とほほ同じ部位に腫瘤を認めたため、GERDを疑って詳細な病歴の聴取を行った。患者は最近胸やけ、激しい咳発作、胃酸のような変な味を感じていたことがわかった。さらに食道内視鏡検査で食道粘膜に潰瘍所見、24時間pHメーター検査で、5分以上の逆流エピソード回数49回、pH4未満の合計時間は543分で37.7%とGERDとしての所見を得た。そこでプロトンポンプ阻害剤を投与したところ、2カ月後には喉頭の肉芽病変はほぼ消失し、嗄声、胸やけなどの自覚症状も消失した。自験例をもとにGERDの報告数、症状、発症機序、診断、治療について文献的考察を行った。
  • 内シャントチューブの応用
    山里 将司, 真栄田 裕行, 又吉 重光
    1999 年 45 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頸動脈小体腫瘍は、これまでに諸外国で約1000例、本邦でも100例余りの報告しかない比較的まれな腫瘍である。今回われわれは頸動脈小体腫瘍の、Shamblin分類group2 怪進行例の一例を経験した。これは本来、頸動脈合併切除の対象例であったが、本症例の術中頸動脈断端圧 (stump pressure) は50mmHgであり、単純結紮では術後の脳血管障害のおこりうる可能性があった。このような場合、頸動脈を温存しつつ腫瘍を剥離摘出できる手技の一つとして、これまでに内シャントチューブの使用が報告されている。われわれは内シャントチューブを用いることによって、頸動脈再建を行うことなく、安全かつ確実に腫瘍を摘出することが可能であった。術後の脳血管障害などの合併症は認められなかった。また病理学的診断はlow-gradeの悪性頸動脈小体腫瘍であった。
  • 工藤 貴之, 菊地 俊彦, 香取 幸夫, 藤原 浩子, 志賀 伸之, 湯田 文朗, 野村 隆, 遠藤 里見
    1999 年 45 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    甲状腺髄様癌は比較的稀な腫瘍である。その特徴として、カルシトニンやcarcinoembryonic antigen (CEA) を分泌すること、家族性の発症、多発性内分泌腫瘍症 (MEN) の2 型の合併などが知られている。今回われわれは甲状腺髄様癌の症例を経験した。症例は 41歳、女性で腫瘍は甲状腺両葉に多中心性に発生しており、頸部リンパ節転移も認められた。甲状腺全摘と右側頸部郭清術を施行した。本症例においては甲状腺腫の家族歴があり、遺伝性の髄様癌が疑われた。現在では甲状腺髄様癌の原因遺伝子が同定されており遺伝子診断が可能であるが、実施にあたっては倫理的および社会的要因を熟考する必要がある。
  • 高木 誠治, 津田 邦良, 大谷 信二, 鷲崎 政治, 佐藤 慎太郎, 進 武幹
    1999 年 45 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    深頸部感染症は近年では抗生物質の発達により頻度は減少してきたといわれるが、ひとたび発症し縦隔洞まで炎症が波及すれば致死的な疾患である。今回われわれは深頸部膿瘍の3症例に外科的治療を行い良好な経過を得たので報告した。膿瘍の確認には、CT が必須であり、治療経過の把握にも有用であった。治療は抗生物質の投与に加えて外切開による排膿を施行し、術後は開放創による空気への曝露と局所の洗浄を繰り返し行うことが重要である。
  • 岸本 麻子, 稲村 達哉, 中川 のぶ子, 井野 素子, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    1999 年 45 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    一般に小児の唾液腺腫瘍は少ないが、その中でも極めて稀な顎下腺に発生した mucoepidermoid carcinomaを経験した。症例は12歳男児で、右顎下部腫瘤を主訴に来院した。術前、炎症性皮下腫瘤と診断して摘出術を施行したところ、顎下腺から発生した腫瘍であったため、顎下腺を含めて完全摘出を行った。病理組織はmucoepidermoid carcinomaであった。しかし、low grade malignancyであり、周囲組織への浸潤も認めてなかったため、手術のみで経過観察を行っている。現在術後約3年を経過しているが、再発は認めていない。
  • 佐藤 慎太郎, 草場 靖, 古川 満
    1999 年 45 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    結節性筋膜炎は主として浅在性筋膜に生じ、周囲の皮下組織に浸潤性に急速に発育して孤立性の結節を生じる稀な疾患で、その発育の速さや病理組織学的所見からしばしば悪性腫瘍、特に肉腫と誤られることがある。しかし、その本態は線維芽細胞の増殖を主体とした反応性の良性腫瘤で、その多くはヒ下肢あるいは体幹に発生しており、頭頸部領域では稀な疾患である。今回われわれは、頬部に発生した結節性筋膜炎の・症例を経験した。症例は27歳女性で、右頬部腫瘤を主訴に当科を受診した。外科的摘出を行い、術後の病理診断にて結節性筋膜炎の診断を得た。外科的摘出のみで現在まで再発を認めていない。渉猟しえた範囲では、自験例は頭頸部領域における本邦での37例日の報告となる。
  • 古川 太一, 田村 悦代, 小倉 雅實, 北原 哲
    1999 年 45 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    片側反回転神経麻痺に対する声帯内注入療法に、コラーゲンが用いられるようになってから、約10年が経過した。この間におこった問題点は、コラーゲンの抗原性と注入後の効果の持続性である。すなわち、現在市販されている注入用コラーゲンは、ウシ真皮より抽出されたものであるため、酵素処理されてはいるものの、その抗原性やある種の感染症に関する不安は皆無ではない。そこで、自己組織由来のコラーゲンを注入用に調整することができれば、抗原性や感染症に関する問題を解消でき、優れた注入材料となる可能性がある。そこで注入材料を自己の皮膚に求めることを想定し、皮膚の酸膨潤処理により注入物質を作製後、注入後の組織内での安定性に関与するといわれるコラーゲン分子の状態を電子顕微鏡にて観察した。その結果、酸膨潤処理した皮膚のコラーゲンの状態は、従来優れているとされる架橋型アテロコラーゲンに類似していた。
  • 内藤 理恵, 小河原 昇, 栗田 宣彦, 岩村 忍, 大石 公直, 肥後 隆三郎, 手塚 克彦, 松崎 真樹, 田山 二朗, 新美 成二, ...
    1999 年 45 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1999/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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