耳鼻と臨床
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46 巻, 5 号
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  • 井上 裕章, 宗 信夫, 竹田 和夫, 篠隈 淳, 宇佐神 篤
    2000 年 46 巻 5 号 p. 363-367
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中耳局所でのスギ花粉に対する1型アレルギーの存在が初めて確認されたアレルギー性中耳炎の1症例を報告した。症例は44歳女性。主訴は両側耳漏および難聴。1年半の間、両耳漏の持続と難聴の悪化があり、スギ花粉による鼻アレルギー症状の出現する時期に一致して両耳漏が増加した。両鼓膜穿孔、岬角粘膜の蒼白腫脹および吸引しづらい粘稠耳漏が認められた。血清スギ特異IgE抗体高値、耳漏中好酸球 (2+) および耳漏中スギ特異IgE抗体陽性であった。これらのことから本症例では中耳局所でのスギ花粉に対するIgEを介したI型アレルギー反応の存在が考えられ、スギ花粉によるアレルギー性中耳炎と診断した。治療抵抗性であったが、抗アレルギー剤 (ケミカルメディエータ遊離抑制薬)、ステロイド剤内服および鼓室内注入により耳漏は減少し、鼓室腫脹粘膜切除と簡易鼓膜形成術により耳漏停止し難聴も回復した。
  • 高原 幹, 安達 俊秀, 野中 聡, 原渕 保明
    2000 年 46 巻 5 号 p. 368-372
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    再発性多発性軟骨炎は、系統的に全身の軟骨組織を侵す自己免疫疾患で、臨床的には耳介軟骨炎、角膜炎、鞍鼻、気道症状、内耳症状など多彩な症状を呈する比較的まれな疾患である。最近筆者らは91歳で発症した再発性多発性軟骨炎と思われる症例を経験した。比較的早期に診断することができ、現在経過良好である。本疾患は早期発見、早期治療が原則であり、本症例のような耳介の炎症所見を両側に認める症例には、本疾患を念頭に置き早めに生検などを施行し診断を確定した後、ステロイド剤の内服など早期の治療に踏み切ることが重要であると考えられる。
  • 丸笹 直子, 中川 のぶ子, 南 豊彦, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2000 年 46 巻 5 号 p. 373-376
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    興味ある味覚性発汗の2例を報告した。症例は26歳と55歳の男性で、主訴は共に小児期よりの食事中の両側の耳漏。視診上は異常なく、ヨード澱粉反応を応用してその実態を確認した。耳下腺の手術およびその周囲の外傷の既往はない。出生時の鉗子分娩が味覚性発汗の原因とする報告があるが、症例1は鉗子分娩を受けており、症例2はその疑いがあった。鉗子分娩による味覚性発汗の多くは幼児に発症するなど一致しないところもあるが他に原因もなく鉗子分娩による味覚性発汗と診断した。耳介側頭神経は外耳道入口部の耳垢腺にも分布しているのでauriculotemporal syndromeの一つと考えている。
  • 三保木 美子, 橋本 清, 黒木 岳人, 伊藤 信輔
    2000 年 46 巻 5 号 p. 377-380
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    正常成人9人を対象とした。能動的回転として、遮眼下に開眼した状態で半径1mの円周上を各被験者の通常歩く速さで2周右回りに歩行させ、回転中の眼振と回転後眼振を両眼誘導でテレメーターを用いて観察、記録した。次に受動的回転として、同じ円周上を車椅子に座らせて歩行と同じ速さで2周右回りに回転させ、同様に観察、記録した。最後に能動的円周歩行を再度行わせた。その結果、能動的回転では受動的回転に比べて回転中の眼振はより活発で、回転後眼振は逆に抑制されることが明らかになった。福田、森本らが既に詳述しているように、回転中の眼振は網膜に映る像を静止させて物を明瞭に見るために必要であるが、回転後眼振はその目的には添わず、不必要なものである。能動的運動の場合には受動的運動に比べ、迷路反射はより目的にかなった働きをすると考えられる。
  • 田中 剛, 佐藤 慎太郎, 鈴木 久美子, 溝上 宏幸, 宮崎 純二, 深浦 順一, 高木 誠治, 津田 邦良, 井之口 昭
    2000 年 46 巻 5 号 p. 381-384
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科で神経耳科学的検査を行った聴神経腫瘍症例15例 (男性6例、女性9例、平均年齢55.0歳) について、その検査結果を検討した。異常所見陽性率は、標準純音聴力検査80%、注視眼振20%、内耳道単純撮影87%、ABR100%、温度眼振検査80%、自記オージオグラム11%であった。一側性感音難聴や耳鳴などから聴神経腫瘍が疑われた場合、first-line検査には聴力検査、単純内耳道撮影が有用であり、その後の二次スクリーニングにはABRおよびMRIの精度が高いと考えられた。
  • L型セラミックス人工耳小骨の応用
    酒井 昇, 大橋 正實, 菊地 秀樹, 石川 和郎, 寺山 吉彦
    2000 年 46 巻 5 号 p. 385-388
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    キヌタ骨長脚欠損に対し、挿入法としてL型 (セラミックス人工耳小骨) を新しく開発した。L型を臨床応用した1症例の結果について報告した。キヌタ骨長脚欠損に対する耳小骨連鎖再建術を文献的にまとめ、それぞれの長所と欠点について言及した。L型の特徴を述べ、その最大の利点はキヌタ骨長脚欠損端とアブミ骨頭の固定が確実に行える点であることを強調した。
  • 真栄田 裕行, 宇良 政治, 我那覇 章, 安田 忍, 野田 寛
    2000 年 46 巻 5 号 p. 389-395
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    椎骨脳底動脈循環不全 (vertebro-basilar artery insufficiency: VBI) は、耳鼻咽喉科領域におけるあまいの原因疾患として比較的遭遇するものである。しかしその症状は一過性であることも多く、初診時に他覚的所見が得られず、診断に苦慮する例や、また病歴や平衡機能検査の結果のみから漠然と診断されていることも多い疾患であると思われる。循環不全の原因や、狭窄した血管の責任部位、程度を把握するためには、血管造影が有効であると考えられるが、手技が侵襲的で危険を伴うこともあり、実際に施行される例は多くはない。それに対しMR angiography (MRA) は簡便で時間も掛からず、非侵襲的で安全に施行できる有用な方法であると考えられる。今回われわれは病歴や平衡機能検査の結果からVBIが疑われた12例に対しMRAを施行し、6例に椎骨脳底動脈系における狭窄、閉塞の責任部位を同定し得た。
  • 執行 寛, 斎藤 滋, 高橋 光明, 原渕 保明
    2000 年 46 巻 5 号 p. 396-398
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    KTPレーザー治療を行った口腔内多発性血管腫の1例を報告した。症例は8歳男児で下口唇、左頬部、舌に多発生の血管腫を認めた。治療は全身麻酔下に出力3WのKTPレーザー照射 (連続モード) にて施行した。レーザー照射後、下口唇および頬粘膜の表在性の血管腫は白変すると同時に急速に縮小し、出血は全くみられず、煙の発生もなく短時間で手術を終えることができた。また、比較的浸襲が小さいことや術後の疼痛および瘢痕形成が少ないということが確認できた。経過は良好で表在性血管腫は術後1カ月目には完全に消失した。この結果より、KTPレーザーは表在性血管腫の治療には効果的であることが示唆された。
  • 渡邊 健一, 陣内 賢, 森下 まき, 中嶋 博史, 斉藤 明彦, 島田 健一, 粉川 隆行, 後藤 穣, 秋元 利香, 大久保 公裕, 八 ...
    2000 年 46 巻 5 号 p. 399-403
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    町立八丈病院耳鼻咽喉科外来の統計的検討を行った。年齢別では10歳未満が最も多く、20歳代が少なかった。月別では6月に患者数が多かった。疾患別には滲出性中耳炎、慢性副鼻腔炎および耳垢が多数を占めた。他院へ紹介した患者の紹介内容は手術目的が80%であった。
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