耳鼻と臨床
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46 巻, 6 号
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  • 菊地 俊彦, 高橋 千穂, 鈴木 雅明, 青葉 道子, 本間 理香子, 池田 勝久, 稲村 直樹, 高村 博光, 小林 俊光, 高坂 知節
    2000 年 46 巻 6 号 p. 443-447
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    イチゴを摂食した後に高度のアレルギー反応を来したoral allergy syndrome (OAS) の1症例を報告する。イチゴを摂食後、頸部に高度の腫脹が見られ、近医受診。ステロイド剤の投与を受け、直ちに東北大耳鼻咽喉科紹介となった。初診時には口腔底粘膜に高度のびらんが見られ、さらに、頤下部、両側顎下部に至る著明な浮腫を認めた。直ちにステロイド剤を投与したところ、著明な改善がみられた。本症例においてイチゴ、リンゴ等のバラ科果物、およびハンノキ、シラカンバ、ブナ、コナラの花粉に対する特異的IgEが高値を示しており、本症例においてはイチゴに対するOASが惹起されたものと考えられた。また、本症例においては、過去にアンギオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害剤による血管浮腫の既往もあり、ACE阻害剤による血管浮腫の病態を考える上でも非常に興味深い症例といえよう。
  • 中江 香, 南 豊彦, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2000 年 46 巻 6 号 p. 448-451
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は25歳男性で咽頭痛、発熱を主訴に当科入院目的で紹介となった。初診時所見として軟口蓋から被裂喉頭蓋ひだにかけ円形の潰瘍を多数認めた。同時に陰部潰瘍、手足には紅斑も認められていた。当初よりベーチェット病を強く疑い、ステロイドと少量の抗生剤投与を行うも軽快せず、入院翌日より激烈な右下腹部痛も出現した。レントゲン上消化管穿孔疑われ、外科にて緊急手術となった。腸管ベーチェットはベーチェット病の中でも1-2%と比較的まれな疾患であるとされているがベーチェット病を扱うことのある耳鼻咽喉科医にとって、念頭に置いておくべきであると思われた。
  • 王子 佳澄, 佐々木 亮, 二井 一則, 橋本 敏光, 新川 秀一
    2000 年 46 巻 6 号 p. 452-455
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    上位頸髄由来の神経鞘腫は頸椎内外でダンベル状の形態となることが多く、前頸部まで及ぶことはまれである。このため耳鼻咽喉科医が日常診療で頸髄由来の神経鞘腫の症例を経験することはほとんどないと考えられる。今回われわれは顎下部腫瘤として触知された第2頸神経起始部を起源とする脊髄神経鞘腫の1例を経験した。患者は73歳、女性。初診時、左耳下腺直下から顎下部にかけて30×35mmの可動性良好、表面平滑、弾性硬な腫瘤を触知した。頸部のCT、MRIにて顎下部から頸椎に及ぶ境界明瞭な30×40mmの腫瘍を認め、1999年7月、全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した。術中、腫瘍が環椎-軸椎間の椎間孔に連続している事が確認されたが腫瘍を前方へ引き出し全摘し得た。術後3ヵ月のMRIで再発を認めず、問題となる神経脱落症状もなく経過良好である。
  • 森川 敬之, 吉原 俊雄, 石井 哲夫
    2000 年 46 巻 6 号 p. 456-460
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマによる頸部リンパ節腫脹の一例を経験したので、報告する。症例は26歳、女性。主訴は右頸部の多発性リンパ節腫脹。右頸部のリンパ節腫脹に気付き、精査目的にて当院呼吸器内科を紹介される。頸部CTを施行し、右後頸部にリンパ節腫脹を複数認めたため、さらに当科を紹介された。当科初診時、右後頸部に母指頭大に腫大したリンパ節を1個、小指頭大に腫大したリンパ節を3個触知した。頸部CTでは、右後頸部に多発する、径約1cm、円形、平滑で、造影剤にて均一に造影されるリンパ節腫脹が認められた。頸部リンパ節生検を施行し、病理医よりトキソプラズマ症が疑われるとの報告であったため、トキソプラズマ抗体を検査したところ高値を認め、トキソプラズマ症による頸部リンパ節腫脹と診断した。アセチルスピラマイシン800mg分4にて内服を施行したところ、リンパ節腫脹は消失した。
  • 調 賢哉, 調 信一郎
    2000 年 46 巻 6 号 p. 461-465
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    36歳、女性、吐血と喉頭および胸部痛で入院した。初診時、半透明な白い索状物を吐出した。その病理学的所見は食道粘膜の表層であり、扁平上皮を含んでいた。その索状物は、きれいな均一な灰白色羊皮紙様であり、悪臭はなかった。患者は急速に完全に回復した。表層性食道粘膜剥離症は、それ自体まれであるが、ほとんど尋常性天疱瘡に合併している。尋常性天疱瘡に合併していない特発性食道粘膜剥離症、しかも出血を伴った症例は、極めてまれである。出血を来した理由としてはMallory-Weiss症候群と同じ機転が考えられる。同様な食道壁損傷である食道粘膜剥離症、Mallory-Weiss症候群、食道破裂症について述べその鑑別を行った。
  • 浜野 巨志, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 中江 香, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2000 年 46 巻 6 号 p. 466-469
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    まれな成人の舌根部嚢腫を経験した。患者は29歳女性で咽喉頭部の異常感を主訴として来院した。喉頭ファイバーにて喉頭蓋を後方へ圧排する腫瘤性病変を認めた。CT、MRIでは舌根部正中に嚢胞性病変を認めた。舌根部嚢腫として外切開による全摘出を行った。術中嚢腫に連続する索状物は確認できなかった。病理学的に嚢胞壁には上皮は全く認められなかった。術後約1年が経過しているが再発は認められていない。本症例は甲状舌管由来の疾患として位置付けられているが、小児例との相違と正中頸嚢胞との組織的な差について検討した。
  • 渡邉 昭仁, 川堀 眞一, 長内 洋史, 市川 良之, 小林 智, 神 和夫
    2000 年 46 巻 6 号 p. 470-474
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    北海道の代表的花粉症である、シラカンバ花粉症に飛散前レーザー治療を行い、その有用性について検討した。レーザー治療後の1998年シラカンバ花粉飛散時期の鼻症状はくしゃみ、鼻汁、鼻閉ともレーザー治療前年度に比して有意に症状の改善が認められた。効果持続年数については今後の課題であると思われた。
  • スギ花粉症の飛散期、非飛散期での比較
    荻野 敏, 入船 盛弘, 坂口 喜清, 竹田 真理子, 馬場 謙治, 三宅 陽子, 原田 隆雄
    2000 年 46 巻 6 号 p. 475-480
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    同上症例においてスギ花粉の飛散期と非飛散期でのQOLの変動をSF-36調査表を用い検討した。全症例242名に対し6月末に調査表を郵送し、71.5% (173名) の回収率を得た。全体的には、非飛散期には症状の改善とともにQOLの改善もみられ、特に精神機能でその改善は著しかった。性別では女性での改善が著明で、非飛散期では精神機能に関係したサブ・スケールでは男女差が無くなる傾向がみられた。合併症でも、非飛散期にはほとんどのサブ・スケールでQOLスコアは上昇していたが、合併症を有する群のほうが常にQOLスコアは低かった。年齢では、29歳以下では非飛散期でかえってQOLスコアは低下する傾向がみられ、反対に高齢者ではQOLスコアは高値を示した。全体的には非飛散期にはQOLは改善するが、悪化する項目もあり、そのような因子を検討することがスギ花粉症患者の治療、経過を観察していくことに当たって重要であると思われた。
  • 井之口 昭, 本多 一至, 増田 玄彦, 増田 孝, 益田 明典, 宗 信夫, 辻 剛二, 横光 智, 小宮山 荘太郎
    2000 年 46 巻 6 号 p. 481-488
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    花粉の量に応じた治療法を検討する目的で、花粉量の比較的少ない1998年にはトシル酸スプラタストによる飛散前・飛散後投与のみを、飛散量の比較的多かった1999年はトシル酸スプラタストによる飛散前・飛散後投与に加え、飛散後にステロイド点鼻剤を併用した。その結果、1998年の抑制率は63%で、飛散量の比較的多かった1999年は飛散後にステロイド点鼻剤を加える事により75%の高い抑制率が得られ、花粉量に応じた治療法の工夫が必要と思われた。症状別の臨床効果では、鼻閉の抑制率が高かった。2シーズンの同一症例の検討では前シーズン有効であった症例は次シーズンも同様の成績が得られ、トシル酸スプラタストに感受性の高い患者がいる事が示唆された。
  • 仙頭 哲夫
    2000 年 46 巻 6 号 p. 489-490
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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