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嘉数 光雄, 宇良 政治, 安田 忍, 真栄田 裕行, 野田 寛
2001 年47 巻1 号 p.
1-4
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
42歳男性の耳性小脳膿瘍を経験した。頭痛および右耳の違和感があり、近医耳鼻科で慢性中耳炎として加療されるも、歩行時のふらつき感が出現したため脳神経外科を受診し、頭部CTで小脳膿瘍を指摘された。水頭症の合併も示唆されたため、当院脳外科で緊急に膿瘍摘出術を施行された後、当科で乳突洞削開術および鼓室形成術を行い、術後の聴力も改善した。最近は、中耳炎などで早期から抗生剤が投与されるため、発熱などの炎症所見は乏しくなり、本症例のように持続する頭痛が続いていたにもかかわらず重症感に乏しく頭蓋内合併症の存在に気付かれない事がある。早期の発見のためには、神経症状に先立って持続する頭痛に注意して、常に頭蓋内合併症の危険性を念頭に置かなければならない。
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佐藤 美知子, 吉原 俊雄
2001 年47 巻1 号 p.
5-10
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
唾液腺腫瘍において筋上皮腫は1%以下とまれな疾患である。われわれの渉猟し得た過去10年の報告数は68例でそのうち耳下腺原発は10例である。今回耳下腺筋上皮腫を2例経験したので報告した。2例とも同様の所見、経過を示しており、主訴は無痛性の左耳下部腫脹、画像所見などから多形腺腫を疑われた。共に耳下腺浅葉部分切除術を施行され、病理所見および免疫染色所見から良性の筋上皮腫と診断された。2例共2年9カ月以上経過しているが、再発および悪性変化は認めていない。
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楠 威志, 沖田 有弘, 村田 清高
2001 年47 巻1 号 p.
11-16
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
1975年から1998年の間、当科で治療を行った口蓋扁桃癌26例 (扁平上皮癌24例、粘表皮癌1例、未分化癌1例) の臨床的観察を行った。stage分類ではIII、IVを示した進行癌が26例中23例 (88.5%) と大部分を占めた。なお、以下の治療成績の検討は扁平上皮癌症例で行った。その結果は、以下の通りである。I) 早期癌 (stage I、II) の2年粗生存率は100%であった。進行癌 (stageIII、IV) において、放射線治療単独および化学療法併用症例の2年粗生存率は40.0%であった。術前放射線治療 (術前化学療法との併用を含む) と手術併用症例の2年粗生存率は66.7%であった。II) 残存癌、頸部リンパ節再発に対して、積極的にsalvage手術および放射線治療を行い5例中4例が治療後5年以上生存した。III) 放射線治療を施行した22例中CRを示したものは15例であった。そのうち治療終了後5年以上追跡可能例で生存しているものは6例であった。これらとT、Nおよび分化度との関連性は認められなかった。IV) 治療中および手術死を除く原病死3例と担癌1例は共に高分化癌であった。
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菊地 俊彦, 高橋 優二, 梅木 寛, 馬場 保, 高野 潤, 高村 博光, 神田 幸彦, 小林 俊光
2001 年47 巻1 号 p.
17-21
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
鼻腔内にポリープ様の進展を伴った原発性節骨洞嚢胞の一症例を経験した。症例は、68歳、男性。鼻閉を主訴として来院。右鼻腔に白色のポリープ様病変を認め、内視鏡的副鼻腔手術を施行。右鼻腔内のポリープ様病変の一部に切開を入れたところ、内腔より粘膿性の液体の排出をみた。内腔は中鼻道から前節骨洞内まで続いており、ポリープと思われた部分は節骨洞内に生じた嚢胞性病変が中鼻道から鼻腔に進展したものであることが判明した。本症例においては鼻副鼻腔手術、外傷等の既往が無く、原発性の篩骨洞嚢胞と考えられた。本症例はかなりまれなものと考えられるが、鼻副鼻腔疾患の診療に当たり、念頭に置く必要があると考えられた。
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福永 博之
2001 年47 巻1 号 p.
22-31
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
上喉頭神経内枝電気刺激により反射性声門閉鎖を誘発し、この際活動した細胞をFos免疫染色で染色した。さらに甲状披裂筋の運動ニューロンをコレラトキシンにより免疫染色して二重染色を施行し、孤束核と疑核間の下部延髄における喉頭反射弓を検討した。Fos陽性細胞は主に孤束核、網様体、疑核で観察された。Fos陽性細胞数は、孤束核、網様体、疑核の順に数が多く、孤束核では刺激側のFos陽性細胞数が非刺激側より有意に多かった。潜時が9ms以下の反射性声門閉鎖では、孤束核と疑核の間に三個以下の介在ニューロンが存在すると考えられた。一側の孤束核からの両側疑核への直接投射、対側孤束核を介する投射、同側または対側の網様体を介する投射が孤束核と疑核間の経路として考えられ、一つの経路のみではなく、いくつかの経路が働いていると考えられた。
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山名 高世, 北嶋 和智, 小川 富美雄, 北西 剛, 花満 雅一, 片岡 英幸
2001 年47 巻1 号 p.
36-39
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
変声障害の1例に甲状軟骨形成術III型を行い、術前後の音声を分析した。術後、基本周波数FOは低下し、喉頭雑音も減少した。術前の喉頭雑音が大きい値を示す変声障害症例には、甲状軟骨形成術III型を積極的に考慮してもよいと考えた。また、どちらの軟骨を上に重ね合わせるか、の決定には術中の音声が参考になった。
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深浦 順一, 柴田 邦子, 恒富 今日子, 高木 誠治, 津田 邦良, 井之口 昭
2001 年47 巻1 号 p.
40-43
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
今回、visual analog scale (VAS) 法と4段階法のどちらが術前後の音声の評価に有用かということについて検討を行った。ラリンゴマイクロ手術を施行した後、さまざまな改善度を示した男性5例、女性5例の術前後の20個の音声サンプルを対象とした。言語聴覚士2名がVAS法で評価し、その4カ月後に4段階法で評価した。VAS評価点の変化が14点以上の症例で4段階法に変化がみられたが、1例のみ15点変化しても4段階法で変化がみられなかった。PPQとの関係からは、4段階法で10個中4例の患者がPPQの変化と一致せず、VAS法は3例で不一致がみられた。今回の結果から、VAS法はVAS評価点で14点未満の小さな変化を反映する可能性が示唆され、治療前後の評価には有用であることが示唆された。
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免疫学的手法による確定診断と治療経過
坂本 菊男, 森 一功, 内田 直美, 橋本 隆, Kim B. YANCEY, 中島 格
2001 年47 巻1 号 p.
44-49
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
喉頭に初発した抗エピリグリン瘢痕性類天疱瘡の1例を報告した。本症例は気管開窓術により呼吸困難を除いた後、声門上狭窄部の生検組織の蛍光抗体法所見と免疫沈降法による抗原の同定により確定診断された。狭窄部位のCO2レーザーによる切除とテトラサイクリン、ニコチン酸アミドの併用内服療法により気管日を閉鎖することができた。今後、抗エピリグリン瘢痕性類天疱瘡の治療においてテトラサイクリンとニコチン酸アミドの併用内服療法を考慮すべきである。
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本吉 和美, 佐藤 英光, 兵頭 政光, 河北 誠二, 湯本 英二
2001 年47 巻1 号 p.
50-53
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
甲状腺癌術後に喉頭の前後径が著しく短縮し、両側仮声帯が喉頭腔へ突出したため呼吸困難を来したと思われる2症例に対し、甲状軟骨形成術IV型を施行し良好な結果を得た。症例1では両側喉頭麻痺、症例2では一側喉頭麻痺と術直後の声門浮腫のため気管切開が行われた。気管切開孔閉鎖目的に症例1ではEjnell法などの声門開大術を行い、症例2では保存的治療にて声門浮腫の軽快を待ったが呼吸困難は改善しなかった。このため喉頭の前後径を長くし、仮声帯の突出を軽減する目的で甲状軟骨形成術IV型を行い、気管切開孔を閉鎖することができた。本法は本来、声帯の緊張を高め声を高くすることを目的とした音声外科手術法であり、呼吸困難の改善を目的とした手術法ではない。しかし、甲状軟骨と輪状軟骨を接近させ喉頭の前後径を延長させることにより、仮声帯の喉頭腔への突出が消失し、呼吸困難を改善することができたものと考える。
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田中 信三, 與那嶺 裕, 箕山 学, 田辺 正博
2001 年47 巻1 号 p.
54-57
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
喉頭癌の拡大前側方切除において新声帯の隆起が十分に形成され長期にわたって保たれる再建法として、折り畳み皮弁による声門再建術を新たに考案した。本法は頸部健側に作成した有茎皮弁の遠位側1/2を“denude”として内側に折り込み新声帯の隆起を形成する方法である。本手術を2例の喉頭癌症例に行い、良好な結果を得た。
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岩田 義弘, 大山 敏廣, 斉藤 正治, 高須 昭彦, 竹内 健二, 門山 浩, 加藤 久之, 堀部 晴司, 戸田 均, 岡田 達佳
2001 年47 巻1 号 p.
58
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
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塚原 清彰, 中村 一博, 大塚 康司, 鈴木 伸弘, 渡嘉敷 亮二, 山口 宏也, 廣瀬 肇
2001 年47 巻1 号 p.
61-65
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
1997年9月より1999年11月の間に、東京専売病院耳鼻咽喉科にて胃食道逆流症と診断された134例中、音声障害を認めた45例について検討した。8週間のPPI投与により45例中19例に自覚的な音声障害の改善を認め、GERDによる炎症が原因で微細な音声障害が引き起こされる症例があると考えられた。しかしながら、45例中27例はGRBAS評価により、grade (0) であり、この点については今後の研究が必要であると考えられた。音声障害を訴え、咽喉頭所見および胃食道内視鏡検査により逆流性食道炎が疑われる症例では音声治療とともに胃食道逆流症に対する治療が必要であると思われた。
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2001 年47 巻1 号 p.
66-67
発行日: 2001/01/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー