耳鼻と臨床
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48 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 渡邊 健一, 欠畑 誠治, 鈴木 貴博, 日高 浩史, 横山 純吉
    2002 年 48 巻 5 号 p. 309-312
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    溶接火花による鼓膜穿孔および中耳異物を生じた1症例を報告した。鼓室内に侵入した鉄粉異物により、耳漏、味覚障害、伝音性難聴、一過性顔面神経麻痺といった多彩な症状が発症した。異物は上鼓室に存在し、摘出後に鼓室形成術を行った。中耳異物はまれではあるが、中耳病変を呈する外傷性鼓膜穿孔の場合、中耳異物の存在も念頭に入れて早急に診断をつけ、時には外科的手術による摘出が必要となることがある。
  • 大輪 達仁, 宇良 政治, 野田 寛
    2002 年 48 巻 5 号 p. 313-318
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1995-1999年に受診した高脂血症を有する耳鳴124例、めまい29例について検討した。高脂血症に対し薬物療法を行い、耳鳴124例中109例、めまい29例中23例で改善が認められた。全体でみると耳鳴は62例50%、めまいは11例37.9%で改善していた。そのうち、高脂血症治療に伴い耳鳴が改善したものは57例で高脂血症の改善した109例の52.2%、めまいは23例中11例で47.8%であった。パラメーターでみると耳鳴については中性脂肪が、めまいでは総コレステロールが有意に相関していた。耳鳴、めまい患者の一部において高脂血症の検索と加療は有用であると思われた。
  • 楠 威志, 森 一功, 村田 清高
    2002 年 48 巻 5 号 p. 319-322
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ポリープ様声帯により呼吸困難を認めた症例を経験したので報告した。本症例は紹介医でステロイドの点滴治療を受けたが、呼吸苦が改善しなかった。そのため、当科初診日に局所麻酔下にて気管切開を行い、気道を確保した。音声障害の改善を目指し、声帯粘膜をなるべく温存するたあに薬物治療で消炎を計った後、喉頭微細手術を行った。術後、声帯浮腫は消失し嗄声も改善した。本例において術前呼吸困難を来した原因として、ポリープ様声帯を伴う巨大声帯ポリープと喉頭披裂部腫脹が呼吸道である後部声門を狭窄したことが考えられる。
  • 森脇 計博, 坂田 義治, 加藤 崇, 長井 美樹, 宇野 敦彦, 森田 隆子, 山本 佳文, 久保 武
    2002 年 48 巻 5 号 p. 323-325
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は82歳男性。主訴は嗄声。現病歴は、1999年5月中旬より嗄声出現。同年6月下旬当科初診。初診時所見は、左声帯1/2前方から前交連にかけて、声帯から声門下に甲状軟骨の範囲で腫瘍病変があった。同年7月2目全身麻酔下にて生検術施行。病理診断で悪性リンパ腫疑いのため、THP-COP1クール施行した。しかし腫瘍は増大傾向で、軽度の呼吸困難を訴え始めた。検査にて抗HTLV-I抗体陽性で、病理確定診断もATL の診断を得た。全身検査 (CT、エコー、シンチなど) では喉頭以外の部位で異常所見は見られなかった。よって、喉頭原発ATL症例と診断し、VEPA+MCNU3クールと放射線治療40Gy施行した。経過良好のため当科退院となったが、残念ながら退院後他病死した。喉頭原発ATLは本邦でも報告は非常に少なく、若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 岸本 麻子, 浜野 巨志, 南 豊彦, 多田 直樹, 中川 のぶ子, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2002 年 48 巻 5 号 p. 326-330
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    反復性の耳下腺腫脹を主訴とした症例の中でも、アレルギーによるものは少ない。その中で、著者らは花粉症に関連したアレルギー性耳下腺炎を経験した。症例は38歳の女性で、花粉症により鼻閉が出現した後にしばらくすると左耳下腺が腫脹するという症状を認めた。患側の耳下腺から流出した唾液中には好酸球が多数認められ、アレルゲン検査ではスギ、ヒノキ、ブタクサが陽性であった。また、耳下腺造影ではステノン管の著しい拡張を認めた。本症例に対し抗アレルギー剤などによる治療を行い、今日まで約4年間にわたり良好なコントロ-ルが得られている。以上の経過より、この疾患の発生機序として導管の拡張によるアレルゲンの逆流を考えた。すなわち、鼻閉が出現した後にしばらくして耳下腺が腫脹する事実から、口呼吸により吸い込んだアレルゲンが口腔内に貯留して拡張した導管から逆流することにより耳下腺炎を生ずると考察した。
  • 赤木 博文, 木村 宣彦, 江谷 勉, 山下 安彦, 結縁 晃治, 小川 晃弘, 西崎 和則
    2002 年 48 巻 5 号 p. 331-335
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    上皮筋上皮癌は、全唾液腺腫瘍の1%以下を占めるにすぎないまれな唾液腺悪性腫瘍である。他院にて手術を受けるも再発を繰り返し、当科にて耳下腺全摘出術、顔面神経移植術を施行した、74歳女性の左耳下腺上皮筋上皮癌症例を報告した。術前から40点法で16点の左顔面神経麻痺が存在し、かつ術後放射線治療を行ったため、麻痺は6点までの回復にとどまっている。術後約3年経過して左頸部リンパ節転移を来し、頸部郭清術を施行したが、局所再発や遠隔転移は認めていない。この腫瘍は、局所周囲への浸潤傾向が強く高い再発率を認め、遠隔転移を来すこともあり、初回手術時に十分な拡大切除と厳重な経過観察が必要と考える。
  • 桜井 一生, 加藤 久幸, 小森 克彦, 竹内 健二, 内藤 健晴, 浦野 誠
    2002 年 48 巻 5 号 p. 336-340
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1985年から1997年までの13年間に当科で根治手術を行った下咽頭癌症例37例のうち、原病死した17例の臨床的検討を行った。術前照射群22例では10例の原病死例があり、うち5例が遠隔転移にて死亡した。術前化療群9例では4例の原病死例があり、うち2例が遠隔転移にて死亡した。術前治療の臨床的、組織学的効果と予後との関連は認められなかった。病理組織学的転移陽性リンパ節の個数が多い症例は予後不良で、遠隔転移も多く認められた。
  • 武田 秀隆
    2002 年 48 巻 5 号 p. 341-349
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    有毛細胞の代謝障害時は、細胞内のproton (H+) 産生が減少してATPの解離が悪く、陽イオン、特にNa+のくみ出しが不可能になる。それによる細胞内電位上昇 (細胞内外の電気化学的勾配の減少) が内耳性耳鳴の一因と推測される。従って有毛細胞内の修復と同時に、H+産生によるATPの解離が耳鳴治療に重要と考え、細胞外液および内液のモデル (類似) 溶液に日常治療で使用し、かなり有効であった3種の耳鳴薬を添加した際のH+産生 (pH低下) を測定した。1) 細胞内モデル液ではpH低下 (H+産生) が明らかであったが、細胞外モデル液ではH+産生はよくなかった。このことからNa+の K+比が少ないとH+は産生しやすく、Na+が多いとH+は産生しにくい。2) ATP、糖代謝ホルモン剤、複合ビタミン剤とも添加量とH+産生には相関性がなかった。これら3種の代謝促進剤は約2-8週間の臨床使用において、細胞再生、H+産生、細胞内電位の改善作用が推測され、その耳鳴治療効果は69.6%を認めた。内耳性耳鳴の原因が主に有毛細胞内へのNa+浸透と考えるならば、それは二次的なものでATPの働きを支配するH+の移動エネルギーの大小、つまりH+産生が一次的に重要と考えている。
  • 2002 年 48 巻 5 号 p. 353-367
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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