耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
49 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 坂田 俊文, 樋口 仁美, 森本 久美子, 高岡 晶子, 谷口 和子, 陣内 淳, 加藤 寿彦
    2003 年 49 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    一側性急性感音難聴症例227耳 (急性低音障害型感音難聴47耳、突発性難聴180耳) に対し、耳閉塞感とオージオグラムとの関係を解析、検討した。また、聴力固定後2カ月まで経過を追い、聴力予後別に耳閉塞感の推移を観察した。この結果、初診時における耳閉塞感の発現頻度はどの聴力型でも約8割で有意差が認められず、聴力レベルとも関連性が認められなかった。また、聴力予後の良いものほど初診時における耳閉塞感の随伴率が高い傾向にあったが、消失率が高く早期に減少した。以上から耳閉塞感が単に有毛細胞の変性、破壊の程度を直接反映するものではなく、間接的に引き起こされた現象であると思われた。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 藤 賢史, 辻 剛二, 新里 祐一, 小宮山 荘太郎
    2003 年 49 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    高度嚥下障害例に対する術式の一つとして喉頭気管分離術がある。今回われわれは、高位気管切開の施された、小児の高度嚥下障害症例に対し、喉頭気管分離術の一つであるKrespi法の変法を施行した。術後経口摂取が可能となり、嚥下性肺炎もなく、患者のQOLは改善したため報告する。本術式は、喉頭と食道とを側々吻合するものであり、侵襲はそれほど大きくはない。また、喉頭摘出を行わない術式であるため、特に小児例では、社会的な面でも受け入れやすく非常に有用な方法であると思われた。
  • 三枝 歌子, 佐藤 美知子, 篠 昭男, 吉原 俊雄
    2003 年 49 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    剣道の試合中に竹刀による頸部打撲が誘因となり発症したと考えられる頸部縦隔気腫の1例を経験した。気腫は頭蓋底から縦隔にかけて広がっていたが、安静および保存療法にて1週間で軽快した。頸部の鈍的外傷による気管損傷が疑われる場合、明らかな症状および損傷部位が認められなくても、縦隔気腫へと発展する可能性があるため、単純レントゲン、CT検査などを行い、気道確保を念頭に置いた注意深い経過観察が必要である。
  • 平木 信明, 宇高 毅, 塩盛 輝夫, 森尾 崇, 藤吉 達也, 吉田 雅文, 牧嶋 和見
    2003 年 49 巻 2 号 p. 94-100
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部に発生したキャッスルマン病の3症例 (3組織型) を経験した。症例1は70歳男性のPC型、症例2は24歳女性のHV型、症例3は72歳男性の混合型であった。症例1は非典型例であったが、症例2は典型例であった。症例3では肺癌の頸部転移との鑑別が問題となった。文献的には、発生部位は頸部が、組織学的にはHV型が最も多かった。臨床所見ではHV型の33例中4例に全身症状や血液学的異常等を認めていた。一方PC型では文献報告例全例に血液学的異常を伴っていたが、本報告のPC型では血液学的異常を伴っていなかった。以上より、キャッスルマン病の診断に当たっては、従来の報告と異なる臨床像を呈する症例も存在することを念頭に置く必要があると考えられた。またCTで強い造影効果を示すリンパ節病変ではキャッスルマン病を念頭に置く必要があると考えられた。
  • 岸本 麻子, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2003 年 49 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    6カ月間の日常診療において、一人の医師が喉頭ファイバースコープ検査を施行した患者の中で、甲状軟骨土角内側変位を認めた症例数は24例であった。それらの症例に対し、咽喉頭異常感症との関連性について調査した。甲状軟骨内側変位は右側に多く、両側の場合でも程度は右側に強い傾向があった。24症例の中で1咽喉頭異常感を訴えて受診した患者は6例であったが、内側変位の部位とは一致しなかった。そして、マイナートランキライザーの内服により症状が軽快していることより、両者の関連性は低いと考えた。
  • 浅野目 充, 安達 俊秀, 原渕 保明
    2003 年 49 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    神経鞘腫はSchwann細胞由来の良性腫瘍である。頭頸部領域では聴神経での発生が多く、鼻中隔にみられることは極めてまれである。今回筆者らは、鼻中隔に発生した神経鞘腫の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。症例は10歳男児で、鼻前庭後方に鼻腔を閉塞するようにして表面平滑で乳白色の腫瘤が存在していた。診断的治療のため、鼻内内視鏡下に腫瘍を切除した。腫瘍は左鼻腔内に限局し、鼻中隔の前部上方より細い茎を持って発生していた。病理組織学的に、Antoni A、B混在型の神経鞘腫と診断した。現在まで再発は認められていないが、再発を繰り返した例や一部に悪性変化の疑われた例も報告されており、今後も経過観察が必要である。
  • 森川 敬之, 吉原 俊雄, 後藤 さよ子, 河野 聖美
    2003 年 49 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻腔悪性腫瘍において、神経内分泌顆粒を有する嗅神経芽細胞腫や神経内分泌癌は比較的まれである。過去当科において経験した4症例について報告した。症例1は50歳、男性。主訴は右鼻出血。中鼻甲介と鼻中隔の間に存在するポリープ様腫瘤の免疫組織学的検査はNSE、S-100、EMA、CKが陽性で、神経内分泌癌と診断した。症例2は83歳、女性。主訴は右鼻出血、嗅覚低下。右総鼻道に充満する赤褐色腫瘤の免疫組織学的検査にてNSE、S-100が陽性で、嗅神経芽細胞腫と診断した。症例3は73歳、男性。主訴は右鼻閉、鼻出血。右鼻腔内に充満するポリープ様腫瘤の免疫組織学的検査でNSE、S100、EMA、CKが陽性であり、神経内分泌癌と診断した。これらの3症例と既に報告した1症例を加え診断、治療も含め検討した。
  • QOLに対する効果
    荻野 敏, 武田 憲昭, 原田 保, 中村 克彦, 田村 公一, 記本 晃治, 立花 文寿, 近藤 昭男, 戸田 直紀, 関根 和教, 北村 ...
    2003 年 49 巻 2 号 p. 118-124
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症に対する塩酸セチリジンの有用性について、花粉飛散ピーク時の患者QOLを比較することにより検討した。大阪、徳島、岡山の3地区において2001年3月5日からの2週間に受診したスギ花粉症患者のQOLを国際的な健康関連QOL測定法の一つであるSF-36を用いて測定し、来院時点以前より塩酸セチリジンを服用している症例を投与群、無治療で来院した症例を非投与群として比較した。最終的な解析対象症例数は投与群で73例、非投与群で210例の合計283例であった。その結果、精神および身体機能に大きく関係しているSF-36の八つのすべてのサブスケールにおいて、投与群ではスコアは高値を示し、特にRP (日常役割機能: 身体)、VT (活力)、RE (日常役割機能: 精神) では有意であった。また、投与群において塩酸セチリジンの投与期間別に解析したところ、投与期間が長ければ長いほどQOL改善度も高い傾向が見られた。以上より、スギ花粉症に対する塩酸セチリジンの初期投与は患者QOLを改善することを確認した。
feedback
Top