-
吉田 知之, 市村 彰英, 中村 一博, 渡嘉敷 亮二, 井上 斉, 伊藤 博之, 伊藤 直記, 小槻 泰三, 鬼塚 俊朗
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S1-S7
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
Seldinger法による超選択的CDDP大量動注療法をわれわれの施設でも1997年より導入後、CDDPのdosee scalationを行い1回投与量を200-300mg/m2に設定した。これはCDDPの効果が容量依存性であり、選択的に大容量を使用すればより高い抗腫瘍効果が期待でき、STSの投与にて非蛋白結合CDDPを中和することにより副作用を軽減できると考えたからである。現在まで進行頭頸部癌40例に対して行った結果、CRは40例中11例 (27.5%) 、PRは23例 (57.5%) 、奏功率は85.0%であった。またgrade3以上の副作用の出現率は22.5%であったがgrade4の副作用は3例のみであった。この方法はneoadjuvant chemotherapyの効果を向上させ、従来の化学療法の無効例や再発症例に有効であるとともに、臓器温存に対する期待が高まる治療法といえる。
抄録全体を表示
-
渡邉 睦, 鹿野 真人, 松井 隆道, 野本 幸男, 大谷 巌
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S15-S20
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
1998年11月から2001年10月までの3年間に福島県立医科大学耳鼻咽喉科において超選択的動注療法を施行した頭頸部悪性腫瘍患者67例、総動注回数182回を対象として、治療に伴い生じた有害事象について検討し報告した。全身性有害事象はgrade3の血小板減少の3例で手術が延期された以外には、治療に支障を来す有害事象は認めなかった。一方、局所性有害事象では、浮腫、壊死、縫合不全などで治療の中断や再手術を要した症例が存在した。本療法で問題となるのは、頻度は少ないながら局所性有害事象であり、今回われわれの経験した症例を呈示するとともに、原因の一つと考えられる血管内皮障害に対し、現在試みている予防法についても言及した。
抄録全体を表示
-
秋定 健, 原田 保
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S21-S25
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
川崎医科大学耳鼻咽喉科で行ってきたCDDP・CBDCA併用動注群と現在進行中のdocetaxe1 (TXT) の動注群に分けて、超選択的動注療法の有害事象・問題点について検討した。前群においてはCBDCA投与量が400mg/body以上の場合の血小板減少、 CDDPによると思われる一過性の意識障害・四肢麻痺・迷走神経麻痺・反回神経麻痺などの神経障害が問題となった。後群においてはTXT投与量が40mg/m
2を超えた場合の白血球 (好中球) 減少と放射線併用に伴う皮膚反応・粘膜反応が問題となった。それぞれの対応策を検討し、超選択的動注療法施行前にはその効果とともに、発生し得るすべての有害事象を文書で説明し同意を得ることが重要である。
抄録全体を表示
-
橋本 省, 横山 純吉
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S26-S27
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
-
甲能 直幸, 吉田 知之, 遠藤 壮平, 渡邉 睦, 秋定 健, 橋本 省, 横山 純吉
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S28-S30
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
-
志賀 清人, 千葉 敏彦, 松浦 一登, 橋本 省, 小林 俊光
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S31-S35
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
当科では過去16年間に26例 (女性14例、男性12例) の超高齢者 (85歳以上) の頭頸部悪性腫瘍患者を経験した。部位は喉頭が6例で最も多く、中咽頭、上顎が各々3例でこれに次いでいた。組織型では扁平上皮癌が18例で最も多かったが、腺様嚢胞癌、悪性黒色腫、悪性リンパ腫が各々2例あった。TNM分類ではT2N0、T4N0が各々5例で最も多く、64% (14/22例) がNOであった。既往歴のない症例が10例あったが、高血圧症が12例、心不全が4例、糖尿病と前立腺肥大が各々3例で、完全房室ブロックでペースメーカーを装着していた症例が1例あった。手術を行った8例の入院日数は平均34日で、ほとんどが既往歴を有していたが術後に合併症を起こしたのは1例のみであり、せん妄など不穏状態を示した症例はなかった。放射線治療を行った16例のうち12例が当科管理であり、そのうち根治線量まで継続できたのは8例 (CR5例) で入院日数は平均89日であった。4例が種々の理由で中途で治療を中止していた。超高齢者の頭頸部悪性腫瘍患者の治療は治療効果ばかりではなく入院日数の短縮も考慮すべきであり、われわれの経験では手術症例は入院期間も短く、比較的合併症も少ない傾向にあるので、可能な限り手術療法を選択すべきと考えられた。
抄録全体を表示
-
朝蔭 孝宏, 海老原 敏, 林 隆一
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S36-S39
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
今日の高齢化社会では高齢者の頭頸部癌患者の治療に携わる機会が増加してきている。85歳以上の頭頸部扁平上皮癌症例19例について治療の実態を把握することを目的として検討を行った。年齢、既往歴により何らかの治療の制約を受けた症例は6例あった。stage Iの8症例では治療の制約を受けた症例は認あなかった。しかしその他の11例のうち治療の制約を受けた症例は6例であった。治療の制約を受けた6例の治療後の生存期間の中央値は12カ月であったのに対して、治療の制約を受けなかった5例は治療後の生存期間の中央値は59カ月であった。以上より患者や家族の希望を踏まえた上で、全身状態が許せば中高年の患者と同様に根治を目指した治療を行うべきであると考えた。
抄録全体を表示
-
85歳以上の症例について
山本 智矢
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S40-S44
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
近年高齢者の頭頸部腫瘍の症例が増えており、治療に難渋することが多い。九州大学医学部耳鼻咽喉科では、87歳の下咽頭癌症例に対し喉頭全摘出術と下咽頭部分切除によって4年以上にわたって良好な予後が得た。また93歳の甲状腺進行癌症例では甲状腺ホルモンによる抑制療法によって6年以上の良好な予後が得られた。85歳以上の超高齢者の治療方針の決定には年齢より全身状態、合併症、痴呆、家族のケアの状態を参考とすることが重要である。
抄録全体を表示
-
西川 邦男
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S45-S48
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
高齢者の癌治療に関して、放射線療法や保存的加療などさまざまな意見があるが、当科では根治治療を原則とし、病期が進行したものについては外科的治療の適応を第一選択としている。今回、94歳、男性、右上顎歯肉癌症例に手術加療を施行した。術後経過は良好であったが、老人痴呆の発症と同時に高度の誤嚥性肺炎を来し、MRSA肺炎にて死亡に至った。超高齢者の誤嚥対策として、制御できるまで気管切開孔を閉鎖しない、もしくは、喉頭摘出も検討すべきであると思われた。また術後の譫妄を予防するために早期離床を促しているが、長期入院に伴う失見当識の発現予防にも注意を払う必要がある。
抄録全体を表示
-
橋本 省, 志賀 清人, 朝蔭 孝宏, 山本 智矢, 西川 邦男
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S49-S50
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
-
上村 裕和, 吉野 邦俊, 藤井 隆, 赤羽 誉, 佐藤 武男
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S51-S54
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
当科で治療を行った梨状陥凹扁平上皮癌一次根治例のうち、臨床的に健側頸部リンパ節転移が認められない (健側NO) と評価された77例について検討を行った。T1-2の健側N0頸部に対しては厳重な経過観察を行い、T3-4の健側N0頸部に対してはlateral neckdissectionを施行するのでよいと思われた。梨状陥凹内側を中心とした腫瘍はT1-2でも健側転移の危険性があると考えられた。梨状陥凹外側を中心とした腫瘍ではT3-4で健側転移に対する注意を要すると考えられた。
抄録全体を表示
-
中咽頭癌の場合
苦瓜 知彦, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 保喜 克文, 三谷 浩樹, 吉本 世一, 米川 博之
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S55-S59
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
1980年から1996年の期間に癌研究会附属病院頭頸科で治療した未治療の中咽頭扁平上皮癌194症例の健側頸部リンパ節転移について検討した。初診時に健側頸部に転移を認めた症例は194例中36例 (186%) であった。後発転移や再発などを含めた全経過中では47例 (24.2%) に健側転移が出現した。初診時には健側転移がなかった症例で後に出現する頻度は約7%であった。健側転移の頻度は、T病期が進むほど高く、前壁型と上壁型で高く、原発巣が正中に及ぶと高くなった。転移部位は上頸部と中頸部が多かった。初診時に健側頸部転移を認めた36例中の28例に頸部郭清が施行された。予防的郭清は、 NOからN2bまでの154例中17例 (11.0%) に行われた。最終的に頸部が制御できなかった症例は34例あったが、その中に健側頸部の再発が3例に認められた。全症例の頸部制御率は76.4%であった。
抄録全体を表示
-
石川 紀彦
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S60-S62
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
-
林 隆一, 海老原 充, 上村 裕和, 苦瓜 知彦, 石川 紀彦
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S63-S67
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
-
遠藤 壮平, 木田 亮紀, 鈴木 伸, 弘重 光一, 安孫子 譲, 野村 泰之, 氷見 和久, 竹本 明子, 田中 良明
2003 年 49 巻 4Supplement1 号 p.
S8-S14
発行日: 2003/07/20
公開日: 2013/05/10
ジャーナル
フリー
1996年4月より2001年7月31日までの5年4月間に当科で施行されたSeldinger法による超選択的動注療法は、174例 (175疾患) に対する400回であった。その合併症として、顔面神経麻痺3例、腕神経障害1例、反回神経麻痺5例、脳梗塞1例、肺炎による死亡1例であった。脳梗塞例以外の合併症は動注動脈に特異的であった。選択的動注療法にも合併症が存在し、その適応に関しては合併症の可能性も考慮すべきと考えられる。
抄録全体を表示