ドセタキセル (DOC) と放射線治療の同時併用に関してDOCの至適投与量と投与スケジュールを決定し、その効果と副作用を検討するために臨床第I/II相試験を行った。頭頸部癌扁平上皮癌症例に対して1日2 Gyで合計60 Gyの照射を行い、DOCを毎週1回放射線療法終了まで合計6回点滴投与した。第I相試験では、level 2であるDOC 15mg/m
2において用量規定因子であるgrade 3/4の粘膜炎、grade 3の疼痛が6例中4例に発現し、level 2が最大投与量と判断された。そこで推奨用量をlevel 1の10mg/m
2として第II相試験を行った。第1相試験ではstage II以上で35例の適格例に対し3例は副作用のために放射線療法が中断されたため効果判定を行わず32例 (91.4%) で評価可能であった。全体の奏効率は96.9%でCR率は50.0%であった。grade 3以上の副作用はリンパ球減少が64.7%, で粘膜炎が41.2%であり食欲不振が20.6%であった。DOCと放射線療法の同時併用は低容量のDOCにもかかわらず優れた効果を示し、また治療完遂率も90%以上であり今後期待の持てる治療法であるがさらに長期成績を検討すべきと考えられる。
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