耳鼻と臨床
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50 巻, 2 号
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  • 浜野 巨志, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 多田 直樹, 小野 あゆみ, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2004 年 50 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    抗甲状腺薬 (propyltyiouracil: PTU) を服用している左突発性難聴を経験した。患者は41歳の男性で約7カ月前に右の突発性難聴に罹患していた。両側難聴となったため入院加療とした。初診時より尿検査で潜血と蛋白尿が認められた。治療中に熱発などが続き、PTUによる顕微鏡的多発1血管炎が疑われた。PTUの中止にて難聴をはじめ、さまざまな症状が軽快した。MPO-ANCAが高値であったがPTU中止後に正常値に復した。顕微鏡的多発血管炎はPTUの副作用として発症することが多く、さまざまな症状が出現することが知られている。その中に本症のように突発性難聴として発症するものがある。耳鼻科医にとって示唆に富んだ症例であり報告した。
  • 安達 一雄, 山本 智矢, 小山 徹也, 熊本 芳彦, 中島 寅彦, 小宮山 荘太郎
    2004 年 50 巻 2 号 p. 122-129
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは鼻咽腔血管線維腫の1例を経験した。症例は43歳の男性。画像評価の後、栄養血管の塞栓術および腫瘍摘出を行ったが、全摘できず、放射線治療およびホルモン療法を行うも、腫瘍は増大した。その後も数回の摘出術および放射線治療 (計100.5Gy)、化学療法を行うもコントロールできず、悪性転化した。その後IL-2およびサリドマイドによる治療を行ったが、増大を防ぐことができず、不彰な転帰をたどった。治療は外科的切除が原則であり、あくまでも根治的な手術を目指すべきであったと思われた。
  • -鼻症状とQOLからみた抗アレルギー剤の有用性-
    松原 篤, 池野 敬一, 新川 秀一, 高坂 知節
    2004 年 50 巻 2 号 p. 130-138
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    東北地区144施設176名の医師の協力を得て、2001年8月から2002年1月にかけて、体調、鼻症状、QOL(quality of life)、局所所見、および薬剤の投与状況からなる調査表を用いてアレルギ-性鼻炎の調査を行った。総症例1,596名のうち通年性アレルギー性鼻炎940例について、鼻症状とQOLの相関について検討したところ、通年性アレルギー性鼻炎では、鼻閉が最も日常生活を障害する因子であることが示唆された。また、調査期間中に2回の回答が得られた通年性アレルギー性鼻炎635例を対象として、鼻症状とQOLの観点から抗アレルギー剤による治療効果についても検討した。抗ヒスタミン剤にロイコトリエン受容体拮抗剤を併用された群の方が抗ヒスタミン剤単独で治療された群よりも、鼻汁と鼻閉が有意に改善していた。また、鼻症状の改善に伴いQOLの改善も認められ、鼻症状に合わせて薬剤を選択することがQOLの改善に重要であると考えられた。
  • 藤森 正登, 榎本 冬樹, 市川 銀一郎
    2004 年 50 巻 2 号 p. 139-147
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    大量飛散の年であった2001年に、スギ花粉症におけるペミロラストカリウムの飛散前投与群と飛散後投与群で鼻症状スコア、重症度スコア、medication score、symptom medication scoreを用い比較検討した。ペミロラストカリウムは特に飛散量が最も多い時期において飛散前投与群で飛散後投与群より有意にスコアを抑制した。比較的副作用も少なく受容体拮抗薬とは異なり、より上流でケミカルメディエーター遊離を抑制するペミロラストカリウムはベース薬として予防的に用いても有用な薬剤であることが示唆された。
  • 木西 實, 高雄 真人, 李 佳奈
    2004 年 50 巻 2 号 p. 151-154
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    声門後部または披裂部粘膜の発赤に注目し、胃食道逆流症によると考えられる慢性咳症例20例に対し、ランソプラゾール30mg/day×8 weeksを投与した。咳嗽が消失したのは9例、咳嗽が軽快したのが7例で、4例は不変であった。胸やけを自覚していた15例では8例で咳噺が消失し、6例で咳嗽が軽快し、有効率は93%であった。一方、胸やけを自覚しなかった5例では咳嗽が消失および軽快したのはそれぞれ1例で、有効率は40%にすぎなかった。胸やけを自覚し、声門後部または披裂部粘膜の発赤を認めた慢性咳噺症例に対し、プロトンポンプインヒビターであるランソプラゾール30mg/day×8 weeksの治療は有用であった。
  • 三枝 英人, 愛野 威一郎, 岩崎 智治, 粉川 隆行, 中村 毅
    2004 年 50 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症 (GERD) により咽喉頭異常感を呈した小児3例 (8歳女児、8歳男児および16歳男児) を経験した。全例とも特記すべき既往歴、家族歴を認めなかった。しつこい咳払いや異常感を訴えており、当初、心因性咽喉頭異常感症やチックとの鑑別が難しかった。しかし、喉頭内視鏡所見で披裂間部粘膜の発赤、腫脹を認め、さらに喉頭内視鏡の先端で同部位の触診を行うと、異常感を訴える部分と一致した。そこで、GERDにより咽喉頭異常感が発現している可能性を疑い、食道透視検査、上部消化管内視鏡検査を行ったが異常は認められなかった。このため、プロトンポンプ阻害剤 (lansoprazole 10-15mg/day) による診断的治療を行ったところ (8週間継続投与)、全例、喉頭内視鏡所見ともに症状の改善を認めた。小児においても、GERDにより咽喉頭異常感を呈することがあることが判明し、今後注意が必要であると思われた。
  • -ランソプラゾールを第一選択薬としたステップアップ方式の導入-
    山下 弘之, 久保 和彦, 壁村 哲平, 松本 真裕, 落合 敏彰
    2004 年 50 巻 2 号 p. 161-164
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症による咽喉頭異常感症症例6名に対しランソプラゾールあるいはランソプラゾール+クエン酸モサプリドの内服による治療を行った。まず、すべての症例に対しランソプラゾール30mgを4週間投与した。症状の改善を認めた3名にはランソプラゾール30mgをさらに4週間投与し治療を終了した。ランソプラゾールが有効であった症例は逆流物による化学的な食道粘膜障害が異常感の原因であると思われた。症状の改善を認めなかった3名にはランソプラゾール30mg+クエン酸モサプリド15mgを4週間投与し2名に改善を認めた。クエン酸モサプリドの併用が有効であった2名は逆流による機械的な刺激によって異常感が発生したと思われた。
  • 松原 英俊, 田村 祐樹, 寺田 雅彦, 三ッ浪 健一, 大脇 成広, 片岡 健一, 片岡 英幸
    2004 年 50 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉頭異常感症は外来で多く認められる症状であり、咽喉頭および上部消化管の明らかな局所病変がない場合、胃食道逆流症は最も考えるべき咽喉頭異常感症の病因の一つである。診断法としては現時点では治療的診断法が最も感度が高く一般外来で有用である。しかし治療的診断法はその治療が不十分である場合には診断できないことがあり、治療反応性が悪いのは、正しい診断ではなかったのか、不十分な治療がなされているのか判断できない。また本邦では十分量のプロトンポンプ阻害剤が使えないなど保険診療の限界もあり診断困難な疾患である。今回われわれはプロトンポンプ阻害剤の投与歴があり無効であったにもかかわらず、多剤併用療法を用い、さらに当科独自の症状日誌を有効活用し生活習慣改善を指導し、長期間かけ治療することで奏功した2症例を経験した。咽喉頭異常感症を治療するに当たっては薬物療法のみに頼らず、個人の生活習慣に応じて包括的な医療を施し、客観的に症状経過を観察する必要があると考えられた。
  • 小村 伸朗, 柏木 秀幸, 矢永 勝彦
    2004 年 50 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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