耳鼻と臨床
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51 巻, 2 号
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  • 佐藤 慎太郎, 鈴木 久美子, 倉富 勇一郎, 井之 口昭
    2005 年 51 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    全唾液腺腫瘍の1%以下とされるまれな耳下腺筋上皮腫に、甲状腺濾胞腺腫を同時重複した1例を経験した。症例は61歳の女性である。主訴は前頭部腫瘤で、4年程前から前頸部の腫瘤を自覚し、増大傾向があるため当科を紹介受診した。初診時、甲状腺右葉とともに右耳下腺に腫瘤を触知した。画像検査や細胞診からいずれも良性腫瘍と考え、甲状腺右葉半側切除術と右耳下腺浅葉切除術を同時に施行した。摘出組織の病理診断は耳下腺腫瘍が筋上皮腫、甲状腺腫瘍が濾胞腺腫であった。術後再発などみられず、経過良好である。筋上皮腫と濾胞腺腫を合併した報告は渉猟し得た範囲ではほかにみられず、極めてまれな症例であると考えられた。
  • 綾田 寅之進, 倉富 勇一郎, 熊本 芳彦, 安松 隆治, 中島 寅彦, 松山 勝哉, 塩山 善之, 中村 和正, 小宗 静男
    2005 年 51 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部腺様嚢胞癌20症例について臨床的検討を行った。発生部位は大唾液腺が9例と最多であり、副鼻腔6例が続いた。T分類は大唾液腺では7例 (78%) がT1、T2であったが、副鼻腔は6例すべてT3以上の局所進行癌であった。頸部リンパ節転移を伴った症例は1例のみであった。全症例の死因特異的生存率は5年80%、10年62%であり、大唾液腺、口腔・咽頭症例に比べ副鼻腔、外耳道症例の予後が不良であった。手術症例18例のうち11例に再発がみられ、全例に局所再発を伴っていた。死亡例9例中8例の死因は局所浸潤による頭蓋底、頭蓋内再発。浸潤であり、局所制御の重要性が確認された。切除術に加え術後照射を行った群では、術後照射しなかった群に比べ、再発率そのものは低下しなかったが再発までの期間が有意に延長しており、術後照射の有用性が示された。頭頸部腺様嚢胞癌の治療は安全域をつけた確実な切除と放射線治療の組み合わせが推奨されるが、長期的な予後は改善されていない。今後は、より効果的な放射線治療手段として、重粒子線治療や動注化学療法併用放射線治療についても検討すべきである。
  • 田中 俊一郎, 稲木 匠子, 竹下 宗徳, 小宗 静男
    2005 年 51 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔気圧外傷が関与したと思われる前頭洞炎に合併した眼窩内骨膜下血腫の1例を報告した。症例は27歳白人男性で主訴は右眼痛、右眼瞼腫脹であった。CTにて右前頭洞、右眼窩内上内側に陰影を認めた。前頭洞病変、眼窩内病変に対してまず鼻内より開放を試みるも困難であったため、鼻外切開により前頭洞開放術を施行し、同時に眼窩内骨膜下血腫の除去を行った。術翌日には複視・眼球運動障害は消失した。症例は元来、軽度の副鼻腔炎を有しており、飛行機降下による気圧変動のためスクイーズを生じ、眼窩内骨膜下血腫が引き起こされたと考えられた。眼窩内骨膜下血腫は副鼻腔炎との病変の連続性がないため、副鼻腔炎の治療だけでは改善し難く、外切開による眼窩内病変の速やかな除去が望ましいと思われる。
  • 遠藤 芳彦, 菊池 淳, 関 博文, 菅原 孝行, 小川 欣一
    2005 年 51 巻 2 号 p. 120-123
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    開頭手術を要した鼻副鼻腔血瘤腫の2症例について報告した。血瘤腫の発生部位として、文献上ほとんどが中鼻道、上顎洞由来なのに対し、症例1は節骨洞、症例2は前頭洞付近から発生したと思われた。症例1は、頭皮冠状切開とmidfacial deglovngを併用することにより、顔面に外切開を入れずに摘出することが可能であり、優れたアプローチ法と思われた。2症例ともに頭蓋底、眼窩内側の骨欠損を来し、進行しているにもかかわらず、自覚症状に乏しく、見落とさないような注意が必要と思われた。
  • 澤津橋 基広, 鷲崎 政治, 柿添 亜矢, 織田 正道
    2005 年 51 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    近年、耳鼻咽喉科領域においてもクリニカルパスの導入が各病院において進んでいる。しかし、耳鼻咽喉科領域のパスのバリアンス分析に関する論文はほとんどない。今回われわれは、内視鏡下鼻副鼻腔手術パス (ESSパス) についてバリアンス分析を行ったので報告する。対象は、2004年2月から7月末までにESSパス (全麻8日入院) を使用した25症例である。各症例について、ガーゼ抜去日の変更、食事開始時の変更、内服開始日の変更、退院日の変更について、バリアンス分析を行い、ノンパラメトリック検定による2群間の比較による検討を行った。ガーゼ抜去日は術後4日目に設定していたが、パスどおり行われた症例は6例で、予定よりも早くガーゼ抜去した症例が19例であった。予定よりも遅れた症例はなかった。入院期間は8日間に設定されていたが、予定どおりの在院が10例、在院短縮症例は9例、目標在院日数を超えた症例は6例であった。目標在院日数を超えた理由としては、手術侵襲の大きさのためが1例、術後の続発症 (滲出性中耳炎) が1例、保険の都合が3例、他科手術待ちが1例で、合併症の有無は在院日数と統計上無関係であった。主治医別にガーゼ抜去日の変更について分析したところ、ガーゼ留置期間は主治医により有意差を認めたが (p<0-02、Mann-Whitney U検定) 、入院期間については主治医による差は認めなかった。今回のような検討により、よりエビデンスのあるパスへ改訂が可能である。
  • 君付 隆, 堀之内 謙一, 外山 勝浩, 春田 厚, 紀井 登志哉, 原 由紀代, 鳥原 康治, 松浦 宏司, 大迫 廣人, 竹中 美香
    2005 年 51 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳に掻痒感を訴える患者は多く、一般的にステロイド含有軟膏などの塗布が行われている。今回、耳掻痒感の訴えのある患者に抗ヒスタミン薬であるベシル酸ベポタスチンを投与し (T群) 、その効果をアンケート (かゆみスコア) により検討した。投与3日後、1週後で有意差をもってスコアが改善した。即効性の検討においては、服用後30分で既にスコアの改善を認めた。プラセボ群 (通常の治療群、P群) との比較においては、T群とP群の両群で1日後よりスコアの低下を認めたが、T群とP群間での差は認めなかった。
  • 3年間の治療前アンケート調査より
    松原 英俊, 西山 順滋, 田中 努, 寺田 雅彦, 三ッ浪 健一
    2005 年 51 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    GERDによる咽喉頭異常感症は欧米では少なからず認められ積極的に診断的治療が行われているが、本邦ではまれと考えられがちである。今回当科で経験したGERD治療反応群に対し治療前にアンケート調査することにより臨床像を明確化し治療前診断に有用な情報が得られないかを検討した。2000年1月より2002年12月までの期間に当科受診し治療前のアンケートの一番気になる症状欄に「のど」の症状を記載した23例につき解析を行った。治療無反応群は症状日誌導入前で4例中3例、導入後は19例中3例であった。このうち治療反応群10例における解析では以下のことが明確となった。診断に有用とされるQUEST問診表の陽性例は1例であった。肥満はなかった。GERDに特異的な症状である「胸やけ」は50%が経験していた。しかし症状の発現頻度で見てみると1週間に数回以上出ている症状としては「おくび」が40%と最も高率であり、「呑酸」は30%、「胸やけ」は0%にすぎなかった。併発症状としては咳などの感冒症状が30150%にあった。増悪因子としては、甘い物、コーヒー、速喰い、歯科的問題が30%以上認められた。以上から症状よりの積極的診断は困難であることが再確認された。設問としては胸やけよりおくびを聞く方が感度がよいと考えられた。また明らかな生活改善因子があり改善点が指摘しやすい症例がより治りやすいと思われた。生活指導も含めた治療と症状日誌の組み合わせにより高率に治療できる可能性が示唆された。
  • 三枝 英人, 中溝 宗永, 松岡 智治, 愛野 威一郎, 粉川 隆行, 中村 毅, 小町 太郎, 吉田 知之
    2005 年 51 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    最近、胃食道逆流症 (GERD) が声帯白板症や喉頭・咽頭の扁平上皮癌の誘因もしくは増悪因子になり得ることが報告されてきている。声帯白板症は、再発を繰り返すこと、細胞異型を伴う場合には癌化の懸念があることから臨床上注意を要する病態である。今回、われわれは再発を繰り返した非喫煙者の声帯白板症 (mild-severedysplasia) の1例を経験した。本症例では、問診で胸焼けなどのGERDに典型的症状は認めなかったが、両側声帯の白板病変のほかに披裂部粘膜の発赤・腫脹、披裂間部粘膜の肥厚、声門上部粘膜の血管拡張像を認めたことから、GERDとの関連を疑いプロトンポンプ阻害剤 (lansoprazole 30mg/day) の投与を行った。プロトンポンプ阻害剤内服開始3カ月後頃から徐々に白板の軽減を認め、16カ月後には白板は消失した。その後、プロトンポンプ阻害剤を半量 (lansoprazole 15mg/day) とし、8カ月間経過観察しているが、再発を認めない。再発を繰り返す声帯白板症の中にはGERDの関与するものが含まれていること、またその改善には長期間のGERDに対する治療が必要なことが示唆された。
  • 朴澤 孝治, 安達 美佳
    2005 年 51 巻 2 号 p. 149-152
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    酸逆流により、喘息、胸痛、咽喉頭異常感などの消化器症状以外の非定型的徴候を呈した症例を報告した。本症例の診断に下咽頭・食道内24時間pHモニターは有用であった。食道内とともに下咽頭にも明らかな酸逆流が観察された。また下咽頭では一回の酸逆流でもその後長時間にわたりpHの低下が持続し、下咽頭の酸排泄能が乏しいことが示唆された。非定型的症状を呈するGERDに対して、下咽頭・食道内pHモニターを行うのは重要で、下咽頭の長時間にわたる酸環境が証明されれば、PPIの内服が症状の改善に有用と考えられた。
  • 山下 弘之, 菅 孝文, 壁村 哲平, 落合 利彰, 伊原 栄吉
    2005 年 51 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉頭異常感症の病態は依然として謎が多いが、最近は原因として胃食道逆流症が注目されている。胃食道逆流症治療のガイドラインはある程度確立しており、プロトンポンプ阻害剤が有用である。胃食道逆流を証明するためには食道内のpHモニターが必要であるが、これを所有しない当科では上部消化管の内視鏡を行い、非びらん性胃食道逆流症や逆流性食道炎を認めた症例に対しプロトンポンプ阻害剤を投与するようにしている。プロトンポンプ阻害剤は国内でランソプラゾール、ラベプラゾールおよびオメプラゾールの3種類の薬剤が認可されているが、各薬剤の有効率については過去において本研究会でも報告した。一方でこれらのプロトンポンプ阻害剤によって症状が改善するも、投与中止後、再発する症例に遭遇することになった。2回以上再発した逆流性食道炎を難治性食道炎と定義し、その治療法について検討したので報告する。1999年2月から2004年1月までの5年間に当科を受診し逆流性食道炎と診断された257名から再発を認めた14名を対象とした。男性が10名で女性が4名であり、男性の方が多かった。再発した全例にランソプラゾール15mg/dayを30日分処方した。全例において症状の改善を認めたが再再発した2名の男性症例に対してはランソプラゾール15mg/dayを90日分処方した。現在のところ再発はなく経過は良好である。再発を繰り返す難治性の逆流性食道炎に対しては低容量のランソプラゾールの長期投与が有用である。
  • Michael F. Vaezi
    2005 年 51 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    At the end of this presentation the participants will be able to; 1) Better understand the controversial role of gastroesophageal reflux in patients with ENT complaints. 2) Appreciate diversity of patient complaints with GERD-related ENT disease. 3) Learn about possible laryngeal signs of GERD. 4) Appreciate the treatment difficulties in this disorder.
  • 2005 年 51 巻 2 号 p. 161-162
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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