耳鼻と臨床
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52 巻, 6Supplement4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 喉頭閉鎖機能と嚥下反射を中心に
    森 正博, 島名 由加
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S243-S248
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ヒトをはじめ哺乳動物の摂食行動は、哺乳から咀嚼を伴う摂食行動へと発達する。哺乳行動は、吸畷と嚥下が組み合わさり、かつ呼吸とも連動する一連の運動である。今回、哺乳障害3症例で得られた嚥下透視検査と喉頭ファイバー検査の結果から、哺乳障害の病態について検討を行った。その結果、気道防御機構としての喉頭閉鎖機能の障害が、喉頭軟化症や嚥下反射遅延と一緒に存在すると、哺乳障害の原因になり得る。また、嚥下と呼吸の連動に支障があると、吸畷から嚥下までの一連の運動が崩れ、哺乳障害の原因になり得ることが示された。以上より、哺乳障害の病態を把握する上で、嚥下透視検査と喉頭ファイバー検査は重要である。
  • 飴矢 美里, 西窪 加緒里, 三瀬 和代, 本吉 和美, 兵頭 政光
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S249-S255
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    本研究では嚥下機能の加齢に伴う生理的変化について、健常高齢者47名 (男性10名、女性37名;年齢60-87歳、平均68.9歳) を対象として検討した。自己記入式問診票では、「飲んだり食べたりする際にむせることがある」が30%、「飲み込もうとする前にむせる」が23%、「以前と比べて食べたり飲んだりしにくい」が13%などであり、高齢者では潜在的な嚥下障害の存在が示唆された。嚥下内視鏡検査では喉頭蓋谷・梨状陥凹の唾液貯留、声門閉鎖反射・嚥下反射の惹起、3nteの着色水嚥下後の咽頭クリアランスを0-3の4段階にスコア化して評価した。その結果、スコア2および3の嚥下機能低下を示した例がそれぞれ19%、13%、25%に認められた。嚥下造影検査では、舌骨および喉頭挙上距離には加齢による変化がなかったものの、咽頭通過時間および喉頭挙上遅延時間が延長した。これらの変化は70歳以上の高齢者において、より顕著であった。以上より、高齢者では咽頭期を主体とする嚥下機能が低下することが示された。
  • 谷口 洋, 藤島 一郎, 大野 友久
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S256-S262
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下への咽喉頭感覚の関与はいまだに不明な点が多いが、その一因は咽喉頭感覚の検査法が確立していないことである。今回われわれは、内視鏡による新しい感覚の検査法を開発した。同検査法の有用性について検討したので報告する。嚥下障害のない健常若年者9人と健常高齢者9人を対象とした。探触子孔を有する喉頭内視鏡: XENF-DPと先端に太さの異なるナイロン糸を装着した4種類の探触子を本研究のためにオリンパス社と共同開発した。鼻腔へ局所麻酔した後に内視鏡を中咽頭まで送り込み、探触子孔から探触子を挿入して先端のナイロン糸を喉頭蓋の喉頭面と披裂部へ接触させた。接触を感知したかは自覚所見と他覚所見 (喉頭内転筋反射) で判定した。細いナイロン糸から検査を始めて、感知できる最も細いナイロン糸を感覚閾値とした。若年者、高齢者とも検査部位によって感覚閾値に差はなかった。高齢者は若年者に比べ喉頭蓋で有意に感覚閾値が高かった。自覚所見と他覚所見は高い一致率を示した。有害事象は認めなかった。本法は簡便で臨床的に実施可能な感覚検査と思われた。今後は臨床場面で嚥下障害例に使用して検討を重ねたい。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 清原 英之, 小宗 静男
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S263-S269
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当院では2005年4月より嚥下サポートチームが結成されたが、その後の経過および問題点について検討した。現状では、患者数の増加を認めるものの、チームメンバーとの連携が不十分であり、今後症例が増えるとともに、マンパワーの問題が生じる可能性があると思われた。
  • 山脇 正永
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S270-S275
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    目的・背景: 光トポグラフィー装置 (NIRS: near-infrared spectroscopy) を用いて、種々の摂食・嚥下関連動作について脳血流NIRS信号の解析を行う。対象・方法: 右手利きの健常男性16名 (年齢20-42) を対象とし平素の摂食嚥下動作と同様にして行った。NIRS信号計測には日立メディコEGT-4000を用いた。摂食・嚥下運動の各時間的マーカーは、ビデオ撮影システム用インターフェースによる同時記録を用いて決定した。結果: 咀嚼、口輪筋、舌、嚥下運動時の分析では、それぞれNIRS信号分布が異なるパターンを示した。随意嚥下運動時の比較では、自然嚥下運動時に比べてNIRS信号の広範な上昇を認めた。考察: 摂食・嚥下運動時のNIRS信号を測定することにより、嚥下障害の機能評価、リハビリテ-ション評価に応用可能と考えた。
  • 術後嚥下機能の改善経過
    福島 慶, 片岡 英幸, 河本 勝之, 藤原 和典, 北野 博也
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S276-S279
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭癌に対する放射線治療後の再発例に対し、喉頭部分切除を行い、術後の嚥下障害を来した症例を経験した。高齢で重度の心肺合併症があり、嚥下訓練に長期間を要したが、当科嚥下チーム、言語聴覚士、栄養サポートチーム (NST) の協力で嚥下訓練、栄養管理を行い、約3カ月後に嚥下障害が改善した症例を経験したので報告する。
  • 横山 純吉
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S280-S285
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    舌癌の進行癌に対して広範囲切除後、遊離皮弁で再建することが多いが、皮弁のボリュームが小さいため口腔内保持不良により嚥下障害が出現した症例に局所麻酔下に拡張子を挿入し、最適な部位と大きさを決定後、1週後全身麻酔下で大網採取し、最適な形態を付与後充填することにより嚥下障害の改善した症例を報告する。大網は血管に富んだ脂肪組織で形態形成が可能で、大量に採取できる。本術式は簡便で手術侵襲が少なく術後の安静も不要である利点がある。この術式により舌癌術後の嚥下障害に対する改全例の報告はなく、有効な治療と思われるので報告する。
  • 目須田 康, 本間 明宏, 西澤 典子, 折舘 伸彦, 堂坂 善弘, 古田 康, 福田 諭
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S286-S290
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    近年上咽頭癌放射線治療後晩期に嚥下障害を来した例を3例経験した。症例は男性2例女性1例で、治療時年齢は20-41歳。2例は上咽頭癌に対する標準的な放射線治療を、1例は放射線化学併用療法を受けており、治療後8-15年で嚥下障害を発症した。全例両側舌下神経麻痺を中心として咽喉頭の感覚運動障害を有し、1例では補助栄養として間欠的口腔食道栄養法 (OE法) を指導し、1例では誤嚥性肺炎をコントロールするため誤嚥防止手術 (喉摘) を必要とした。末梢神経線維は一般に放射線抵抗性とされるが、過去の報告では放射線障害による脳神経障害に起因した誤嚥性肺炎で死亡する例も存在する。近年上咽頭癌に対し放射線化学併用療法が積極的に行われており、予後の改善と引き換えに晩期脳神経障害を背景にした嚥下障害が増加する可能性があることを、嚥下障害を担当する医療者や頭頸部腫瘍治療担当者は銘記する必要があろう。
  • 香取 幸夫, 小倉 正樹, 渡邊 健一, 小林 俊光
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S291-S295
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    誤嚥症状を伴う一側性反回神経麻痺症例16例に甲状軟骨形成術1型を施行し、術後の嚥下の改善について検討した。喉頭内視鏡検査と嚥下造影検査に加えて、誤嚥および摂食状況の評価にそれぞれ、才藤らの「摂食・嚥下障害の臨床的病態重症度」と藤島らの「嚥下障害グレード」を用いて検討した。16例中14例において誤嚥症状の改善が認められ、12例において摂食状況の改善が認められた。術後の最大発声時間の長い症例では誤嚥症状が改善している傾向があった。甲状軟骨形成術1型は気息性唄声を改善する方法として広く行われる趨勢にあるが、嚥下機能改善にも高率に有用であることが確認された。
  • 棚橋 汀路
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S296-S298
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    重症咽頭期嚥下障害の治療目標は、誤嚥の寛解と嚥下能力の再獲得である。誤嚥防止を目的として喉頭気管分離術を行ったとき、術後の音声機能喪失は大きなマイナスである。今回この手術の術後に音声機能保存の目的で、喉頭気管分離術変法を行った。原法では縫合し閉鎖する喉頭側気管断端を開放しておいて、カブ付きチューブを装着した。このチューブと気管口とをスピーチバルブをもった呼吸管にて接続し、呼気を送って発声させ、家族との会話をする能力を持たせることができた。
  • 原 浩貴, 竹本 成子, 今手 祐二, 山下 裕司
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S299-S303
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児6例に対する喉頭気管分離術の効果について、患者と家族のquality oflife (QOL) の向上の有無を含めて検討した。喉頭気管分離術により肺炎罹患回数は減少し、呼吸状態、栄養状態、炎症状態の改善が得られた。また術後には一日の吸痰回数が減少し、介護者の負担も軽減した。さらに6例中5例では喉頭気管分離術後に、家族の希望する形で、在宅あるいは長期療養型児童福祉施設への転院が可能となった。患児・介護者のQOLを低下させるような術後合併症は見られなかった。以上より、喉頭気管分離術により患児と家族のQOL向上が得られたと判断された。
  • 中平 光彦, 中谷 宏章
    2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S304-S306
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1999年から2005年までの7年間に高知大学医学部附属病院耳鼻咽喉科で誤嚥防止手術を9症例に施行した。誤嚥発症から手術までの期間は全例1年以上で音声機能は喪失していた。誤嚥防止手術例の特徴として術前の栄養不良、咽頭の耐性菌の存在を認めた。それらに誤嚥防止手術を行った結果、全例で誤嚥は消失した。術式別に検討してみると、当初採用した喉頭気管分離・気管食道吻合術で術後合併症を多く認めた。われわれが改良したステイプラーを用いた喉頭全摘出術では術後合併症は認めず良好な結果を得た。
  • 2006 年52 巻6Supplement4 号 p. S307-S328
    発行日: 2006/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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