耳鼻と臨床
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52 巻, 2 号
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  • 賀数 康弘, 梅崎 俊郎, 安達 一雄, 垣内 康徳, 中川 尚志, 小宗 静男
    2006 年 52 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    癲痛重積発作を来した無菌性脳炎髄膜炎の患者に行われた気管内挿管下呼吸管理後に、喉頭に発生したchondro-osteoplastica (COP) による声門下高度狭窄例を経験した。声門下腔に肉芽増生と粘膜下化骨化病変を伴った隆起性病変を認めた。喉頭戴開術とコアモールドおよびTチューブ留置による段階的手術を行ったが、コアモールドの脱出で喉頭フレームワーク自体の狭窄を来したため、輪状軟骨後方拡大術 (posterior cricoid split) を行い、再度コアモールドとTチューブを留置して気道スペースを確保した。コアモールド留置後は、気管内の処置が容易で清掃も簡便な、われわれが作成した特製 Tチューブを留置し、3カ月後に外来で抜去した。現在、音声、嚥下ともに良好であり再狭窄を認めない。本症例では、癲痛重積発作による激しい体動が声門下腔粘膜とカブとの間に機械的刺激を引き起こし、声門下腔粘膜に炎症状態が恒常化して肉芽が生じ、これにさらに感染などの増悪因子が加わって、軟骨部の壊死と化骨化が生じて高度狭窄に至った、喉頭限局のCOPと考えられた。気管内挿管期間は19日間と、「長期」とは言い難い期間であっても、炎症が遷延化することでこのような高度狭窄を来したことから、挿管期間の長短にかかわらず、抜管後の呼吸困難症状の出現に留意すべきであると考えられた。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 松原 尚子, 小宗 静男
    2006 年 52 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科で行った気管切開症例について検討した。切開は基本的に気管に横H字切開を加え、この気管切開孔の断端を上下左右から皮弁にて被覆する術式で行った。術後気管孔周囲に肉芽を形成するような合併症はなく、本術式にて行った9症例とも経過は良好であった。気管切開を行う際にはその患者の状況、予後といったことも検討し、術式を決定すべきであると思われた。
  • 岸本 麻子, 金 義慶, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 多田 直樹, 井野 千代徳
    2006 年 52 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    真性唾液過多症の1例を報告した。患者は24歳の女性で15歳頃より唾液過多を自覚していた。今日まで心因性のものとして加療されてきたが効果なく当科を紹介受診した。安静時唾液量は5分間で9-10mlと非常に多く、RI検査では両側の顎下腺で集積が低下していた。これは分泌に集積が追い付かない現象と理解した。唾液腺造影ではワルトン氏管の拡張が認められた。これは恒常的に多量な唾液が分泌されての現象ととらえた。顎下神経節をブロックして唾液量が著しく低下したことより顎下腺が責任腺と考えた。治療として抗ヒスタミン剤、マイナートランキライザー、H1受容体ブロッカー、カルバマゼピンを選択し投与した。結果、カルバマゼピンにてやや有効と判定された。最終的に左顎下腺摘出術を行ったが、結果は予想以上に良好で手術後49日目の安静時唾液量は1.5mlで、自覚的にも有効と判定された。
  • 金 義慶, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 多田 直樹, 井野 千代徳
    2006 年 52 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嗅覚・味覚障害と微熱を主訴としたサルコイドーシス症例を経験した。症例は27歳、女性で診断のきっかけは患者もあまり病識を持っていなかった下口唇の小結節の生検にあった。Gaシンチを行ったがそこで両側耳下腺に集積が認められた。サルコイドーシスに嗅覚障害が合併する症例は極めてまれであるが、合併する症例のほとんどが両耳下腺腫脹を特徴とするHeerfordt症候群である。本症例には顔面神経麻痺は認められなかったが、その病態に近い疾患であったと思われた。嗅覚・味覚障害はサルコイドーシスの治療に従って漸次軽快し完治した事実はそれら症状もサルコイドーシスの関連症状であったと捕らえている。口腔内には全身疾患を反映する所見がいくつか知られているが口腔内を慎重に観察し、それらを確認することは患者をより深く理解する上で極めて重要であることを実感した。
  • 荻野 敏, 竹田 真理子, 入船 盛弘, 菊守 寛, 馬場 謙治, 瀬尾 律, 玉城 晶子
    2006 年 52 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    精製長鎖炭化水素を成分とする鼻用クリーム (商品名: 鼻スッキリ生活) は、鼻前庭への塗布により、鼻腔内へのアレルゲンの侵入を低減させる作用が期待される。大阪府の耳鼻咽喉科7施設に来院したアレルギー性鼻炎患者31例を対象に、その有用性を検討した。その結果、鼻症状の軽減作用が認められ、副作用はなかった。鼻用クリームの塗布はアレルゲンの鼻腔内への吸入を減少させ、アレルギー性鼻炎症状の緩和に役立つと考えられた。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 小宗 静男
    2006 年 52 巻 2 号 p. 119-122
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科における喉頭肉芽腫症例について検討した。挿管後の症例まで含め、29症例存在し、24症例で肉芽腫は消失した。発生原因、自覚症状を検討してみると、胃酸の逆流が発生原因として関与していると思われるものは9症例であったが、実際にPPIが有効であったものは1症例のみであった。このことから、GERDが関与する喉頭肉芽腫は実際はそれほど多くはないと推測された。
  • 小山 新一郎, 濱島 有喜, 渡邉 暢浩, 村上 信五, 鈴木 元彦
    2006 年 52 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    近年、喉頭肉芽腫と胃食道逆流症 (GERD) との関連が注目されている。われわれは喉頭肉芽腫患者に24時間食道pHモニター検査を行いGERDの合併の有無を検討した。対象は、2003年1月から2年5カ月間に名古屋市立大学病院耳鼻咽喉科を受診した挿管性を除く喉頭肉芽腫患者8例である。この8例に24時間食道pHモニター検査を行った。下部食道のpH4未満時間比率が24時間の4%以上の場合をGERDと診断した。8例中6例75%がGERDと診断された。その6例に逆流性食道炎治療薬のプロトンポンプインヒビター (PPI) を最長12週間投与し、効果を検討した。4例では肉芽腫が消失したが2例では治癒しなかった。治癒しなかったのは下部食道逆流時間比率が20%以上の高度な逆流例であった。PPIは有効であったが、重症なGERD症例にはPPI単独での効果は不十分であると考えられた。
  • 山際 幹和
    2006 年 52 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症 (GERD) の定型的症状である胸やけ・呑酸症状が全くなかったにもかかわらずプロトンポンプ阻害薬 (PPI) であるlansoprazole (タケプロン®) が奏効した挿管後の喉頭肉芽腫症患者 (女性、24歳、Marfan症候群があり、急性大動脈剥離の全身麻酔下手術と術後管理のため22.5時間の気管内挿管を受けた後に右披裂軟骨声帯突起部に肉芽腫が発生) を経験した。本例の治療経験から、挿管による組織傷害は肉芽腫の発症のきっかけにはなるが、肉芽腫の形成に大きく関与する要因として、不顕性に食道や咽喉頭へ逆流する胃内容物の反復的な物理的・化学的刺激が重要であると推察した。筆者は、本例や類似症例の治療経験から、難治性の挿管性肉芽腫症患者に対しては、明白なGERDや咽喉頭逆流症の自覚症状がなくても、PPIを試用する価値があると考えている。
  • 松原 英俊, 西山 順滋, 田中 努, 三ッ浪 健一
    2006 年 52 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症における咽喉頭異常感症の病態はいまだ十分解明されておらず、咽喉頭異常感についても、咽喉頭に逆流した胃液の刺激を異常感と感じているのか、下部食道などの限局的な逆流を迷走神経などの神経を介した働きにより咽喉頭部で感じているのかいまだ結論が出ていない。当科ではパニック発作後に引き続いて発症した咽喉頭異常感に対し、治療的診断目的に水酸化アルミニウムゲル剤を使用し効果を見た症例を経験した。酸中和剤が有効であることより本症例の咽喉頭異常感が胃食道逆流によるものであると考えられた。本症例では坐位の腹部診察時に強度の心窩部圧痛と同時に咽頭異常感を感じた。解剖学的に心窩部は食道に間接的に圧刺激を加えることが可能な部位であり、心窩部の圧迫は下部食道に圧刺激を加える可能性があった。このことは咽頭異常感が咽喉頭だけで感じるのではなく下部食道でも感じている可能性があると考えられた。
  • 折舘 伸彦, 目須田 康, 西澤 典子, 森 美果, 古田 康, 武田 宏司, 浅香 正博, 福田 諭
    2006 年 52 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉頭異常感は胃食道逆流症の食道外症状の一つと考えられるが、咽喉頭酸逆流症状のほかの自覚症状や他覚所見と咽喉頭異常感との関連を詳細に検討した報告はまだない。北海道大学病院耳鼻咽喉科では咽喉頭酸逆流症状を訴える患者に対して、Belafskyらの提唱したreflux symptom indexおよびreflux finding scoreを改変した独自の自覚症状・他覚所見スコアを用いて診断・治療に供している。本研究では当科を受診した咽喉頭酸逆流症状をもつ患者85名を対象として、咽喉頭異常感を訴える患者に特徴的な臨床因子の検討を試みた。咽喉頭異常感を訴えた患者は63名 (74.1%)、そのうち主訴が咽喉頭異常感であった例が31例 (全体の36.5%) であった。これらの患者を咽喉頭異常感のある群 (63例) と咽喉頭異常感のない群 (22例) に分け、患者背景、自覚症状、他覚所見、酸抑制治療への反応性につき検討した。
  • ランソプラゾール内服と睡眠内容の検討
    岩田 義弘, 大山 敏廣, 門山 浩, 三村 英也, 小串 善生, 桜井 一生, 内藤 健晴, 戸田 均
    2006 年 52 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    近年、胃食道逆流症 (gastroesophageal reflux disease: GERD) と閉塞型睡眠時無呼吸 (O-SAS) の関係が注目されている。咽喉頭異常感と睡眠障害のない正常男性5例にランソプラゾール15mg/day、7日間内服を行い、睡眠障害パラメーターの変化を検討した。epworth sleepiness scale (ESS) は全員スコアの減少を認めた。睡眠時無呼吸検査ではapnea-hypopnea index: AHIの減少を認めた。特に閉塞性無呼吸の減少と鼻腔抵抗の減少を示した。咽頭食道は逆流胃酸等攻撃因子と唾液等中和する因子が拮抗していると考えられた。今回の検討は正常例において攻撃因子を減少し、中和などの防御因子を優位にした状態を作り出したと考えた。結果、正常例においても胃食道逆流は存在する可能性を示したと考えた。また、GERD治療を行うに当たり、攻撃と防御因子の双方を考え治療する必要性を感じた。
  • 2006 年 52 巻 2 号 p. 152-153
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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