耳鼻と臨床
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54 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 末田 尚之, 菅村 真由美, 坂田 俊文, 今村 明秀, 加藤 寿彦, 中川 尚志
    2008 年 54 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    2005年4月から2006年12月までの間に当科外来を受診し,末梢性顔面神経麻痺 (Bell 麻痺もしくはHunt症候群) の診断で,入院加療を行った16症例について瞬目反射検査を用いて予後判定を行った。R1反応を認めた9例すべてが著明改善または改善であった。一方,R1反応がみられなかった7例はすべて軽度改善にとどまった。R1出現の有無と改善度の間には有意な相関を認めた (p<0.01)。また,発症後7日以内に検査を行った6症例についても予後判定が可能であった。これらのことから瞬目反射検査は発症早期を含め末梢性顔面神経麻痺の短期予後を予測できる可能性があり,手術を含めた治療方針決定の一助になり得ることが示唆された。
  • 森満 保, 定永 正之
    2008 年 54 巻 2 号 p. 72-75
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小児期,多数回の中耳炎の既往あり, 15歳頃より耳管開放症のために鼻すすり癖がはじまり, 20歳で上鼓室型真珠腫が発見された23歳男性症例で,前鼓室開放術を行ったところ,経鼓室峡換気路は開存し,経耳管上陥凹換気路の閉鎖が認められた。本例での真珠腫発症機序を検討し,鼻すすり真珠腫でも,経耳管上陥凹換気路の閉鎖が発症の必要条件であることを報告した。
  • 佐々木 亮, 欠畑 誠治, 新川 秀一
    2008 年 54 巻 2 号 p. 76-81
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    非常にまれであると考えられる顎下部に発生した脂肪肉腫の一症例を報告した。症例は54歳の男性で,左顎下部の腫瘤を認めた。MRIにてT1およびT2ともに高信号域と低信号域が混在し,悪性腫瘍が考えられ,またbiopsy gunによる生検にて脂肪肉腫が疑われた。これらの結果から頸部郭清術による腫瘍摘出術を行った。術後病理診断では脂肪肉腫の中でも比較的予後良好とされるmyxoid typeであり追加治療は行わなかった。術後4年経過した時点では再発は認めていない。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 松原 尚子, 小宗 静男
    2008 年 54 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回は声帯内自家脂肪注入術の長期経過について検討を行った。対象症例は注入術後6カ月以上経過観察を行っている11症例で麻痺症例が8症例,萎縮症例が3症例である。また,前者は片側に,後者は両側に注入を行っている。結果としては,長期的にみてもMPTおよび音響分析の面からみて,改善を認めることが分かった。本術式は,術後時間が経過しても音声の改善が維持できる術式であることが示唆された。
  • 門田 英輝, 中島 寅彦, 福島 淳一, 小池 浩次, 小宗 静男
    2008 年 54 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    長径5cm以上の口腔底類皮嚢胞2症例を経験した。症例1は長径7cmの嚢胞で口腔底左側を中心に顎舌骨筋の上下へ進展しており,外切開法で手術を行った。症例2は長径5.5cmの嚢胞で口腔底正中,顎舌骨筋上に限局しており,口内法で手術を行った。2例とも術中,術後に合併症を生じることなく比較的容易に摘出可能であった。本疾患の治療は基本的に完全摘出であり,安全かつ容易に摘出するにはアプローチ法の選択が重要である。症例2のように顎舌骨筋上かつ正中に限局する症例では周囲の神経,血管等を損傷する可能性が少なく,ある程度の大きさであっても口内法で摘出可能と思われた。一方,症例1のように側方で顎舌骨筋の上下に進展する症例では近接する舌下神経,舌神経,ワルトン管等を損傷せず摘出することが重要であり,十分な視野を確保できる外切開法が第一選択と思われた。
  • 朝永 康徳, 坂口 喜清, 倉増 咲織, 仙波 治, 長原 昌萬, 鶴田 至宏, 清水 智之, 長谷川 太郎, 安井 俊道, 西村 洋, 土 ...
    2008 年 54 巻 2 号 p. 97-105
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1) 慢性中耳炎の急性増悪期および急性中耳炎に対し,LVFX1回200mg, 1日2回投与法と1回100mg, 1日3回投与法の治療効果を比較検討した。2) 全般改善度は, 1回200mg, 1日2回投与法が94.7%, 1回100mg, 1日3回投与法が78.8%であり,両群間に有意差はなかったが, 1日2回投与法がより高い改善度を示した。3) 両群ともすべての自他覚症状 (耳痛,中耳粘膜・鼓膜の発赤,耳漏の量,耳漏の性状) は有意に改善した。4) 8日間以内に治癒した症例は, 1回200mg, 1日2回投与法が77.7%, 1回100mg, 1日3回投与法が48.3%で,統計学的有意差 (p=0.02) を認めた。5) 有害事象は, 1回200mg, 1日2回投与法で1例あったが,軽微な湿疹であった。6) LVFX1回200mg, 1日2回投与法は,慢性中耳炎の急性増悪期と急性中耳炎に対して極めて有効かつ安全な治療法であると考えられた。
  • 生活背景を中心に
    松原 英俊, 井手 克行, 竹内 由紀子, 西山 順滋, 田中 努, 三ッ浪 健一
    2008 年 54 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症 (GERD) は消化器系の病態だけではなく,呼吸器,耳鼻科領域,睡眠障害など複数の科にまたがり,さまざまな病態を引き起こしている。前回の解析により咽喉頭異常感症と慢性咳嗽の2症状間でその病態に同じ胃食道逆流が関与しているにもかかわらず病態には共通点ばかりではなくいつかの相違点を見いだすことができた。今回このような相違点が存在するのは生活習慣などの外的因子が異なるのかどうかを理解するため,自験例の咽喉頭異常感を主訴とする13例 (咽喉頭群) と咳嗽を主訴とする29例 (咳嗽群) について治療前のアンケート調査から解析した。2群間の比較では咳嗽群において「香辛料を使った料理」,「酸っぱいもの」の摂取が有意に多かった。睡眠不足も咳嗽群で多く認められた。また,より詳細な生活習慣に対するアンケートを行い,解析症例数は少ないが,「寒さのストレスを受けている」「あまり歩かない」の項目が咽喉頭群で有意に多く認められた。これらの結果より,二つの症状の差は食生活や生活習慣などの外的因子が影響している可能性が示唆された。
  • 消化管運動機能不全症状の有無と治療効果
    山際 幹和, 藤田 健一郎
    2008 年 54 巻 2 号 p. 116-119
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    胸やけ・呑酸を訴えた咽喉頭異常感症患者48名 (男性23名,女性25名, 22-87歳,平均57.0歳) を対象として,lansoprazole (タケプロン®) を1回15mg, 1日1回, 2週間経口投与してその臨床効果を検討したところ,胸やけ・呑酸症状に対する有効率 (症状が50%以下に軽減した例の比率) は98%に達したが,咽喉頭異常感に対する有効率は60%であったことを既に報告した。今回は,解析対象患者をCMI健康調査表の質問49「食べるとよくおなかがはりますか?」に「はい」と答えた「消化管運動機能不全あり群」18名と「いいえ」と答えた「消化管運動機能不全なし群」29名の2群に分けて,lansoprazoleの効果を再検討した。lansoprazoleの胸やけ・呑酸症状に対する効果は2群間で差は無かったが,咽喉頭異常感に対する効果は「消化管運動機能不全なし群」(有効率76%) に比べて「消化管運動機能不全あり群」で不良であり (有効率39%),両群の間で統計学的に有意差があった (Mann-Whitney U検定: p=0.03)。胃食道逆流症 (GERD) と同時に消化管運動機能不全が疑われる例の咽喉頭異常感の治療に際しては,PPI単独療法が奏効しない例が少なからずあり,治療を行う上で工夫がいることが示唆されたので追加報告した。
  • 折舘 伸彦, 武田 宏司, 目須田 康, 西澤 典子, 森 美果, 浅香 正博, 福田 諭
    2008 年 54 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    世界各国の消化器内科専門医が胃食道逆流症 (GERD) のグローバルな疾患定義と分類を提唱した,いわゆるThe Montreal Definition and Classification of GERDが昨年公表された。その中には食道外症状として咽喉頭異常感,慢性咳嗽,嗄声などの耳鼻咽喉領域症状についての記載もあり,「胸やけも呑酸もないとき,原因が不明の喘息や喉頭炎がGERDと関係する可能性は低い」とのステートメントが盛り込まれた。この内容は,北海道大学病院での咽喉頭逆流症診療において,これまでわれわれが経験してきた印象とは異なるものであった。そこで今回われわれは,胸やけ・呑酸などの典型的胃食道逆流症状の有無での酸抑制治療による咽喉頭症状の改善についてレトロスペクティブな検討を試みた。自覚症状評価および治療効果解析には,昨年,一昨年の本誌において公表してきた自覚症状スコアの経時的評価を行い,Kaplan-Meier解析にて食道症状有無別の咽喉頭症状改善率を比較検討したので報告する。
  • 2008 年 54 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 平川 直也
    2008 年 54 巻 2 号 p. 130-131
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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