耳鼻と臨床
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54 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 性差の観点から
    久保 和彦, 佐野 希久子, 櫻井 千恵, 小宗 静男
    2008 年 54 巻 6 号 p. 293-296
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    未成年者にはめまい疾患は少ないといわれているが、未成年といえどもめまいを起こす疾患は、成人と同じく多彩である。今回われわれは、1999年1月から2005年12月までに九州大学病院耳鼻咽喉科を受診して、ENGを施行した58名の未成年者について、性差の観点から検討を行った。患者数は男女同数であったが、疾患別では、起立性調節障害が女性に多く、中枢性疾患は男性に多かった。初診時にめまいを訴えたものは女性に多かったが、温度眼振検査やVEMPの異常出現率には性差を認めなかった。OKNの異常は男性に多かった。最近性差医療という概念が取りざたされているが、未成年者のめまいを診療する上でも、性差に注目する必要があるだろう。
  • 耳鳴の有無とオージオグラム
    坂田 俊文, 山野 貴史, 上野 哲子, 菅村 真由美, 末田 尚之, 中川 尚志
    2008 年 54 巻 6 号 p. 297-301
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    一側性の急性低音障害型感音難聴54耳において、耳鳴の有無によるオージオグラムの違いを検討した。初診時に耳鳴のある群では耳鳴のない群に比べて主に低音域の聴力閾値が有意に高く、聴力固定時に耳鳴のある群では主に高音域の閾値が有意に高かった。さらに、聴力固定時に耳鳴のある群は聴力固定までの日数が有意に長かった。これらの結果は、メニエール病における耳鳴の性質に矛盾しないものであり、病因の類似性を反映したものと思われた。本症において安定期に耳鳴が残存した場合には、聴力レベルが正常範囲内であっても、高音域への障害波及を疑うべきであると思われた。
  • 高野 信也
    2008 年 54 巻 6 号 p. 302-307
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Narrow Band Imaging (NBI) を鼻科領域に応用し以下の結論を得た。1) 正常嗅裂部粘膜ではNBIで浅めの血管として描出される。2) 鼻出血症例で出血部位を診断するのに NBIは有用である。3) 神経性嗅覚障害の嗅上皮粘膜では粘膜萎縮を来して、NBIで血管が描出されない。4) 嗅上皮性嗅覚障害では粘膜肥厚を認めるが、血管は網目状に描出される。5) NBIは内視鏡下鼻内手術で血管の走行を確認するのに有用である。
  • 宮地 英彰, 星井 嘉信, 菊池 奈美, 中島 寅彦, 小宗 静男
    2008 年 54 巻 6 号 p. 308-313
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    FDG-PET検査は、増殖速度が遅い腫瘍や、細胞の分化度が高い腫瘍や、細胞密度の低い腫瘍などでは偽陰性になりやすく、逆に甲状腺良性疾患で偽陽性になることがあることから、甲状腺分化癌においてはその応用法が研究課題となっている。文献的には未治療甲状腺分化癌症例でのFDG-PET検査での良悪性度判定の意義は低いとされている。一方で、甲状腺全摘後ヨード治療後の再発性甲状腺分化癌症例で、I-131で集積を認めないが、 Tg (サイログロブリン) 値が高値を示す場合、高率にFDGが再発部位に集積する傾向にあり、このような症例においては、FDG-PETは転移巣評価に有効であると報告されている。今回、FDG-PET陽性となった甲状腺全摘後ヨード治療後の再発性甲状腺乳頭癌1例を経験し、術前にFDG-PET検査を施行した未治療甲状腺分化癌の自験例3例を含む4例について検討を行った。4症例とも病理学的にはすべて高分化癌であり、細胞密度にも特徴的な差異は認めなかった。未治療甲状腺分化癌3例においてはFDGの集積を認めなかったが、Tg値が高値を示す再発性甲状腺乳頭癌1例において、FDG-PET検査は転移巣評価に有用であった。諸家の報告と同様に、甲状腺全摘後ヨード治療後に1-131の集積を認めないが、Tg値が上昇している症例においては、FDG-PET検査が有用であると思われた。
  • 坂田 阿希, 中原 はるか, 室伏 利久
    2008 年 54 巻 6 号 p. 314-317
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    顎下部に発生したsolitary fibrous tumor (SFT) を経験した。症例は80歳の女性で、全身麻酔下で上頸部郭清術を施行し、腫瘍を摘出し、2年経過しているが再発は認めていない。SFTは胸膜に起源をもつものとされてきたが、胸膜外における発生も明らかとなり、近年のWHO分類で定義が変更された腫瘍である。診断確定には病理学的、免疫組織学的検査に頼らざるを得ない腫瘍である。病理組織学的には良性を示しても悪性転化することもあるため、長期的な経過観察が必要である。
  • 吉川 沙耶花, 梅崎 俊郎, 松本 希, 瀬川 祐一, 小宗 静男
    2008 年 54 巻 6 号 p. 318-324
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    数年間、難治性の咽頭痛があった。診察上、肉眼的に喉頭蓋、披裂部に腫脹・浮腫を認めたが、他部位に異常所見はなかった。病理所見では非特異的炎症を認めたのみであったが、肉眼的に肉芽様であったことと、C-ANCAが高値であったことから、Wegener肉芽腫症を疑い、診断的治療としてステロイド治療を開始したところ、著効した。Wegener肉芽腫症とは、気道の壊死性肉芽腫性病変と壊死性血管炎を特徴とする、全身性の自己免疫疾患である。その多くが耳鼻咽喉科領域の、特に鼻を中心とした病変で発症する。しかし、鼻以外の多彩な上気道の症状や、他の臓器の症状で発症することもあり、診断に苦慮することが多い。今回、疑い診断ではあったものの、喉頭に限局した非常にまれな症例を経験し、早期治療によって改善をみたので報告する。
  • 冨山 道夫
    2008 年 54 巻 6 号 p. 325-332
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ペニシリン系抗菌薬が無効の膿性後鼻漏を認める急性細菌性副鼻腔炎症例72名に対して、garenoxacin (GRNX) 400mg/dayを投与し有用性を検討した。総投与例72名中副作用のためGRNXの投与を中止した1名を除いた71名を、有効性評価対象症例とした。自覚症状の改善率は85%、他覚所見の改善率は87%と高い改善率を示した。鼻レントゲン所見の改善率は68%と、自覚症状の改善率、他覚所見の改善率と比較し有意に低かった。細菌学的検討では、膿性後鼻漏より91株が検出されそのうちS. pnenmonin10株 (11%) 、 H. influenzae59株 (65%) 占めた。検出菌と自覚症状、他覚所見の改善度との関係は、複数菌検出例は単独菌検出例より若干低い改善率を示した。副作用では下痢1名、カンジダ性膣炎1名計2名 (2%) 認めた。ペニシリン系抗菌薬が無効の急性細菌性副鼻腔炎の主な起炎菌はH. iinfluenzaeであり、これに対する第二選択剤としてGRNXは高い有用性を持つことが確認された。
  • 君付 隆
    2008 年 54 巻 6 号 p. 334-337
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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