耳鼻と臨床
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57 巻, 1 号
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原著
  • 久保 和彦, 山口 英里, 大橋 充, 柴田 修明, 上野 知香, 嶽村 俊治, 正木 公子
    2011 年 57 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/01
    ジャーナル フリー
    Respiratory syncytial virus (RSV) 感染症は中耳炎を合併しやすく、RSV 感染症児が受診する小児科医が中耳炎を合併しているかどうかを見極める臨床的マーカーがあると有用である。そこで、2007 年9 月 - 2009 年8 月に千鳥橋病院小児科に入院した 0 歳の RSV 感染症患児について検討した。中耳炎を合併していたのは 52 名中 15例 (28.8%) だった。患児の月齢では 4 カ月以上児の方が中耳炎を合併しやすかった。白血球数、好中球比率、CRP 値は中耳炎合併群と非合併群の間に有意差を認めなかったが、LDH は合併群で高い傾向を示した。また、モラキセラ・カタラーリスが鼻咽腔から検出された症例は中耳炎を合併しにくい傾向を認めた。これらの結果から、4 カ月以上の 0 歳 RSV 感染症患児で LDH の高い症例であれば、積極的に耳鼻咽喉科医と小児科医が連携を取ることで中耳炎の早期発見・治療を行えると思われる。
  • 小田桐 恭子, 濱田 昌史, 飯田 政弘, 矢作 栄一郎, 松山 孝
    2011 年 57 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/01
    ジャーナル フリー
    ハント症候群は、水痘帯状疱疹ウイルス (varicella-zoster virus : 以下 VZV と略) の再活性化によって発症するとされるが、時にウイルス血症を引き起こし汎発化する。比較的まれな汎発性帯状疱疹を伴ったハント症候群の 1 例を経験した。本症例では、皮疹は耳介部が最も重篤でかつ初発部位であり、耳痛や顔面神経麻痺の合併あることから、VZV 再活性化による耳性帯状疱疹がウイルス血症を起こし、糖尿病、悪性腫瘍の既往歴があること、74 歳、男性で比較的高齢であることなどを要因とした細胞性免疫の低下を背景に全身に播種したと考えた。また、重症である汎発性帯状疱疹であるため、アシクロビル点滴を検討したが顔面神経麻痺の治療効果については議論があり、安全性を考慮しバラシクロビル内服を選択したが麻痺の改善は遅延した。VZV 再活性化およびハント症候群のより詳細な病態解明と有効な治療法の確立が急務である。
  • 正垣 直樹, 吉川 構, 森 一功, 土井 勝美, 林 秀敏
    2011 年 57 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/01
    ジャーナル フリー
    Ewing 肉腫は小児期に好発する比較的まれな腫瘍で、主に大腿骨、肋骨、骨盤などに発生し、頭頸部領域に原発する例はまれである。今回われわれは、34 歳男性の左上顎骨原発の Ewing 肉腫の症例を経験した。化学療法・手術療法・放射線療法を施行し、発症より約 2 年が経過したが、局所再発および遠隔転移もなく小康を保っている。
  • 正垣 直樹, 村本 大輔, 土井 勝美, 木村 雅友
    2011 年 57 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/01
    ジャーナル フリー
    Alternaria によるアレルギー性真菌性副鼻腔炎の 2 例を経験したので報告した。アレルギー性真菌性副鼻腔炎は比較的まれな疾患であり、病理診断においてもその疾患を疑わない限り診断は難しい。難治性の疾患であり、副鼻腔炎の治療の際は当疾患の存在を念頭に置き治療することが肝要である。
  • 樋口 仁美, 坂田 俊文, 菅村 真由美, 中川 尚志
    2011 年 57 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/01
    ジャーナル フリー
    抗菌剤や副腎皮質ステロイド剤の使用頻度や糖尿病罹患者や高齢者などの免疫能の低下を有する人口などの増加に伴い、近年、副鼻腔真菌症の症例数が上昇傾向にあるとされている。今回われわれは、眼窩内・頭蓋内合併症を生じ、悪性腫瘍と類似した予後不良な疾患である鼻脳型ムーコル症を経験した。鼻脳型ムーコル症に対し、リポソーマルアムホテリシン B を 約 6 カ月間使用し、治療開始から 1 年半にわたり進行を抑止できた 1 例を経験したので、報告する。
臨床ノート
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