耳鼻と臨床
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58 巻, Suppl.1 号
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第17回 頭頸部癌化学療法研究会
I. 頭頸部癌治療における分子標的薬の役割
  • 北野 博也
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S1-S2
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
  • 杉谷 巌
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S3-S9
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    全般に予後良好な甲状腺癌の中にあって、放射性ヨード療法が無効な分化癌(乳頭癌、濾胞癌)、低分化癌や未分化癌および局所進行・転移性髄様癌に対する新しい治療法としてチロシンキナーゼ阻害薬を中心とする分子標的治療が注目されている。髄様癌に対する vandetanib は phase III 試験における良好な成績に基づき、アメリカ食品医薬品局の承認を受けた。放射性ヨード抵抗性の分化癌を対象とした sorafenib、vandetanib による phase III 試験も開始され、日本からも国際共同試験に参加する施設が現れている。特異な副作用や作用機序の解明、効果を確実に予想できるバイオマーカーの開発など課題も多いが、今後の展開に期待が寄せられている。
  • 田原 信
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S10-S15
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    Cetuximab が、局所進行頭頸部扁平上皮癌の局所制御、生存への上乗せ効果、さらに遠隔転移再発頭頸部扁平上皮癌に対する生存への上乗せ効果を示した。FP 療法と FP + panitumumab とのランダム化比較試験(SPECTRUM 試験)における HPV 発現の有無による層別解析結果が報告された。PFS、OS ともに HPV 陽性患者では両群に差が認められなかったが、HPV 陰性患者では panitumumab 併用群において有意に優れていた。HPV 陽性頭頸部癌には EGFR 阻害剤は効果がないことが示唆される結果であり、今後の治療開発に大きく影響を与えるものと思われる。EGFR 阻害剤のみならずさまざまな分子標的薬剤の国際共同治験が行われている。海外とのドラッグラグを解消するためには、われわれも積極的に国際共同試験に参加すべきである。そのためには、国際共同試験に参加可能な施設も増やしていかなければならない。
  • 久保田 彰
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S16-S26
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌では高率に EGFR の発現を認め、予後不良因子とされている。EGFR の monoclonal 抗体である cetuximab は、再発あるいは遠隔転移で根治治療が困難な症例において cisplatin/5-FU との併用で、あるいは一次治療における放射線との同時併用が生存期間を延長したことから、頭頸部扁平上皮癌の標準的治療として採択された唯一の分子標的治療である。しかし cetuximab と放射線の同時併用の有効性は、subgroup 解析で中咽頭癌、米国内治療に限られることが示唆されたことから、今後さらに症例を重ねて解決しなければならない課題を抱えている。cetuximab 以外に phase III試験で primary endpoint を達成した分子標的薬はなく、分子標的薬が頭頸部扁平上皮癌に対する従来の治療法を凌駕するまでには至っていない。それに対して cytotoxic T cell antigen 4 の抑性剤である ipilimumab、BRAF mutation の抑性剤である vemurafenib は、悪性黒色腫の生存期間を延長したことから標準治療薬に採択された。今後従来の標準治療より頭頸部癌の生存期間を延長し quality of lifeを改善する多くの分子標的薬の登場が期待される。
  • 北野 博也, 杉谷 巌, 田原 信, 久保田 彰
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S27-S35
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
II. 切除可能 T3、T4 上顎洞扁平上皮癌における手術の位置付け — 当院における治療戦略 —
  • 林 隆一
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S36-S37
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
  • - 三者併用療法 -
    西野 宏
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S38-S43
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】上顎洞癌治療は根治性のみならず、視機能や咀嚼・嚥下などの機能の保存も考慮しなくてはならない。両者を両立させる治療体系を検討する。【方法】1979 年から 2005年の間、121 人(男性 77 人、女性 44 人、平均年齢 63 歳)に集学的治療(上顎部分切除、放射線治療、抗癌薬動注)を行った。頸部リンパ節転移を認める症例のみ、頸部リンパ節転移に対して治療を行った。【結果】平均観察期間は 79 カ月であった。症例全体の 5 年全生存率は 73%、5 年局所制御率は 72%であった。T 分類別の 5 年局所制御率はT2:71%、T3:88%、T4a:60%、T4b:56%であった。扁平上皮癌症例の 5 年局所制御率は 76%、非扁平上皮癌症例の 5 年局所制御率は 54%であり、両者には統計学的な有意差を認めた。【結論】本集学的治療は上顎洞癌に有効な治療と考えられた。
  • 宮崎 眞和, 林 隆一, 篠崎 剛, 富岡 利文
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S44-S51
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    1992 年 7 月から 2006 年 12 月までに当院で治療を行った上顎洞原発扁平上皮癌 T3、T4 一次例は 87 例であった。平均観察期間は 85.9 カ月で 5 年粗生存率は 47.3%で局所制御率は 60%であった。T3 症例では 5 年粗生存率が 59.0%で T4a 症例でも 51.6%であったが、T4b 症例では全例死亡しており、生存期間中央値は 9.1 カ月であった。治療の内訳は上顎部分切除を行った後に 5-FU による持続動注と放射線の同時併用を行う三者併用療法が 66 例で、上顎全摘出を主体とした一塊切除での手術療法が 20 例、その他 1 例であった。三者併用と一塊切除の比率は T3、T4b ではそのほとんどが三者併用療法で、T4a では 2:1 であった。一塊切除ではその多くが遊離皮弁での再建とともに術後照射を行い、三者併用と一塊切除の症例群で治療成績に差は認められなかったが、患側眼球の視機能温存率は一塊切除群では 25%、三者併用群で 42%であった。今後、更なる機能温存と T4b 症例での成績向上のため、超選択的動注併用の放射線療法も考慮される。
  • - 当院における治療戦略 -
    本間 明宏, 折舘 伸彦, 鈴木 清護, 鈴木 章之, 畠山 博充, 加納 里志, 水町 貴諭, 坂下 智博, 吉田 大介, 鬼丸 力也, ...
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S52-S56
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    大量シスプラチンの超選択的動注療法と放射線治療の同時併用療法を 1999 年から 2009 年までに北海道大学病院で行った上顎洞原発扁平上皮癌未治療例 41 例についての救済手術について検討した。原発巣が残存あるいは再発した例は 12 例あり、そのうちの 9 例に救済手術が行われた。9 例のうち 7 例は、その後、原発巣の再発なく経過し、原発巣の救済率は全体で 7/12 = 58.3%、T 別では T3:66.7%(2/3)、T4a:66.7%(4/6)、T4b:33.3%(1/3)であった。全症例の 5 年粗生存率は 73.6%であった。術後合併症は、遊離皮弁による再建を行った症例で重篤な合併症が出現した。救済率が比較的良好であったのは、再発が前方に生じた例が多かったためと考えられた。以上の結果を、今後の症例の初回治療の選択、救済手術を行うかどうかの参考にしていきたい。
  • 藤本 保志, 藤井 正純, 亀井 譲, 八木 俊路朗, 斎藤 清, 平松 真理子, 西尾 直樹, 丸尾 貴志, 中島 務
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S57-S63
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    上顎扁平上皮癌 T4 における頭蓋顎顔面一塊切除の手術成績を検討した。1990 年から 2011 年までの 21 年間で 34 例の前中頭蓋底合併切除を行った。全 34 例の 5 年粗生存率、5年無再発生存率はそれぞれ60.3%、43.7%であった。再発例、断端陽性例では有意に生存率が低下した。T4a とT4bの比較では 5 年粗生存率、5 年無再発生存率ともに有意差を認めなかった。一方で、海綿静脈洞合併切除を伴う切除は 5 年生存を得られず、合併症も術後脳梗塞を含む重篤なものがみられることから、現在は手術適応としていない。海綿静脈洞浸潤例を除く現在の手術適応で検討すると、5 年粗生存率は 72.1%、5 年無再発生存率は 47.7%である。前中頭蓋底合併切除術は側頭下窩や眼窩尖端に浸潤した上顎扁平上皮癌 T4 症例に対して、有効な治療法である。
  • 林 隆一, 西野 宏, 宮崎 眞和, 本間 明宏, 藤本 保志
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S64-S73
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
III. 頭頸部癌の個別治療にむけて
  • 猪原 秀典
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S74-S75
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
  • 竹中 幸則, 猪原 秀典
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S76-S80
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    進行中咽頭癌に対する治療として従来、手術、術後照射が行われてきたが、近年は臓器温存を目的として化学放射線療法が頻用されつつある。しかし、化学放射線療法による急性期、晩期の有害事象により癌が治癒しても quality of life が大きく損なわれる場合が少なくない。近年、HPV 陽性の中咽頭癌が急増しつつあるが、HPV 陽性中咽頭癌は HPV陰性中咽頭癌と比べて、放射線感受性が高く、非常に予後が良好なことが知られている。予後を悪化させることなく、治療の後遺症を軽減させることを目的として、HPV 陽性中咽頭癌を対象とした低侵襲治療の臨床試験が行われている。
  • 鈴木 秀典, 長谷川 泰久
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S81-S83
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    下咽頭扁平上皮癌にて FDG-PET/CT により計測される原発腫瘍の FDG 集積が、生命予後と関連があるのか検討した。対象は、治療前に FDG-PET/CT を施行され、根治治療を受けた 31 例。FDG 集積には、SUVmax を使用し、粗生存率はカプランマイヤー法にて算出した。結果は、SUVmax13 以上の患者群は、ログランクテストによる単変量解析で有意に生命予後不良であった。さらに臨床的 T 因子や N 因子、治療法と独立しているかを Cox の比例ハザードモデルで検定し、SUVmax が独立した生命予後因子である知見を得た。FDG-PET/CT により計測される下咽頭癌の FDG 集積は、今後の重要な臨床研究対象となると考えられた。
  • 猪原 秀典, 竹中 幸則, 鈴木 秀典
    2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S84-S96
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
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