耳鼻と臨床
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60 巻, 2 号
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原著
  • 山下 道子, 花井 敏男, 中川 尚志, 小宗 静男
    2014 年 60 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    平成 24 年度に福岡市立心身障がい福祉センター療育 2 係に難聴を伴う重複障害児として在籍し、補聴器装用開始から 1 年以上経過していた 43 例について、補聴器装用状況・コミュニケーション状況を検討した。重複障害児では、医療ケアの優先や聴力の経過観察のため難聴診断から補聴器装用開始までに時間がかかる傾向がみられた。補聴器装用を開始しても、場面装用や装用中止となる例が多くみられた。コミュニケーション手段として音声言語を用いていたのは、聴力レベルが 90dB 未満の児であった。110dB 以上の児は手話を用いていた。精神遅滞の程度では、軽度から重度の児で、音声言語や手話などの言葉でのやり取りが可能であった。文字や絵・写真・身振り・指さし・実物でのコミュニケーションも大切な方法であった。最重度の児で、本人からの表出が困難な場合、周囲が表情や体動の変化を読み取りコミュニケーションを行っていた。
  • 西山 和郎, 安松 隆治, 橋本 和樹, 田浦 政彦, 藤 賢史, 中島 寅彦, 小宗 静男
    2014 年 60 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    当科にて 2009 年から 2012 年の 4 年間に原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)と診断、手術を行った症例について検討を行った。対象は 27 例、年齢は 23−82 歳、性別は男性 4 例、女性 23 例であった。最終病理診断は 26 例が腺腫、1 例が過形成であった。術前検査として頸部エコー、頸部 CT に99mTcMIBI シンチグラフィ、TL201-Tc99m サブトラクションシンチグラフィを組み合わせることで局在診断が可能であった。手術は 22 例で副甲状腺 1 腺摘出、1 例で両側副甲状腺 2 腺摘出、4 例で甲状腺半切とともに 2 腺を摘出した。 16 例で、術中にintact PTH を測定しその低下を確認した。術後 26 例では速やかに血清カルシウム (Ca) 値の正常化が認められたが、1 例では正常化には至らなかった。合併症として、反回神経麻痺は認めなかったが、6 例で術後にテタニー症状と血清 Ca 値の低下を認めた。pHPT の手術において、責任病巣が特定可能であれば、病巣を摘出した上で術中 intact PTH を測定し、その低下を確認することが有用であると考えられた。
  • 吉福 孝介, 西元 謙吾, 平瀬 博之, 松崎 勉
    2014 年 60 巻 2 号 p. 60-66
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌において下咽頭癌は、診断された際には既に進行癌であることが多いため予後不良な癌である。このため、より早期の発見が望まれる。耳鼻咽喉科医にとって Valsalva 法を用いた下咽頭の観察は頻繁に行われているが、頸部回旋を併用することで下咽頭のより詳細な観察および下咽頭病変の発見が可能な症例も存在すると考えられ、下咽頭の観察の際には、頸部回旋を併用した Valsalva 法を施行することが有用な方法の一つであると考えられた。
  • 吉福 孝介, 西元 謙吾, 川俣 洋生, 金澤 絵莉, 高濵 哲也, 松崎 勉
    2014 年 60 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    Mohs 軟膏は、表在癌を化学的に固定切除し組織の病理学的所見で腫瘍細胞がなくなるまで、固定、切除を繰り返す chemosurgery に使用されており、皮膚科では皮膚悪性腫瘍患者などに対して Mohs 軟膏を使用し、その有用性についての報告も散見される。近年では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科からも Mohs 軟膏の有用性についての報告が見られる。今回、出血を繰り返す中咽頭癌頸部リンパ節転移症例に対して Mohs 軟膏により、出血を制御でき、quality of life (QOL) が改善した症例を経験した。制御不能な頭頸部リンパ節転移症例に対する Mohs 軟膏の対症療法は QOL を改善する一つの方法と考えられた。
  • 成山 謙 一
    2014 年 60 巻 2 号 p. 72-79
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科医は、日常診療において、多くの口腔、咽喉頭粘膜病変を経験する。その中で尋常性天疱瘡は、皮膚、粘膜に病変が認められる自己免疫性水泡性疾患である。難治性で予後は悪く、早期診断、初期治療が重要である。今回、われわれは口腔、咽喉頭、食道内に発症した尋常性天疱瘡の 1 例を経験した。治療開始当初は、炎症性疾患を疑い治療していたため、確定診断に 3 週間を要した。確定診断後、ステロイドを増量投与した結果、以後は口腔、咽頭粘膜病変は寛解した。耳鼻咽喉科医が口腔、咽喉頭粘膜病変を診療する際には、頻度は低いが難治性であり、早期診断、治療が必要とされる本疾患を鑑別疾患として念頭に置くべきである。また本疾患の診断、治療に当たっては、皮膚科をはじめ他科と連携し、治療にあたることが必要である。
臨床ノート
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