耳鼻と臨床
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60 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 佐藤 方宣, 安松 隆治, 藤 賢史, 中島 寅彦, 小宗 静男
    2014 年 60 巻 5 号 p. 163-167
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    近年、抗 IL-6 受容体抗体は抗リウマチ作用、抗炎症作用を有しており、関節リウマチ(以下、RA) 患者に対する抗サイトカイン療法に用いられている。今回、RA の治験薬として使用された抗 IL-6 受容体抗体投与中に発生した急性喉頭蓋炎の 1 例を経験したので報告した。症例は 42 歳、男性。既往歴に RA を認めており、抗 IL-6 受容体抗体を投与されていた。喉頭蓋の著明な腫脹を認めたが、血液検査で白血球や CRP の有意な上昇を認めなかった。呼吸困難が増悪したため、受診後に気管切開を行い術後 12 日目に退院となった。抗 IL-6 受容体抗体投与中は、感染症を併発しても炎症に伴う臨床症状や CRP 上昇が潜在化されることが指摘されている。このような症例においては詳細な問診および炎症所見が反映されていない可能性があるという認識をもって診療に当たる必要があると考えられた。
  • 吉福 孝介, 西元 謙吾, 松崎 勉
    2014 年 60 巻 5 号 p. 168-172
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus : 以下 VZV)による脳神経障害では、下位脳神経障害は、比較的まれであるとされている。今回われわれは、嚥下時痛、嗄声を主訴として当院で診断加療した 57 歳、女性の喉頭帯状疱疹の 1 例を経験した。VZV-CF 抗体価は当科入院時(発症 10 日目) 64 倍、発症 21 日目 32 倍と 2 回の測定で抗体価が 4 倍以上上昇しており、当科入院時(発症 10 日目)で VZV-IgM 抗体価 9.66、VZV-IgG の抗体価 128 以上であり VZV 再活性化と診断された。抗ウイルス剤、ステロイド剤を使用し、後遺症なく完治することができた。
  • 松原 茂規
    2014 年 60 巻 5 号 p. 173-182
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010 年版」の治療アルゴリズムに沿って重症度を評価し、中等症以上の成人鼻副鼻腔炎患者へ cefditoren pivoxil(CDTR-PI)を投与した時の有効性、安全性と「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010 年版」の妥当性について検討した。「投与終了時」のスコアリングによる効果判定では、「著効」または「有効」が 100%(49 例/49 例)であり、高い改善率であった。主治医による効果判定では「治癒」は 83.7%(41 例/49 例)であった。菌の消失率は 92.0%(46 株/50 株)であった。今回検討した症例では、特記すべき副作用は認められなかった。これらの結果から、CDTR-PI は中等症以上の成人鼻副鼻腔炎患者の治療に対する第一選択薬として適した薬剤であると考えられた。また、「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010 年版」の成人治療アルゴリズムが妥当であると推察した。
第 29 回西日本音声外科研究会
原著
  • 福村 崇, 後藤 理恵子, 印藤 加奈子, 森 望
    2014 年 60 巻 5 号 p. 185-190
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    声門癒着症は比較的まれな疾患であり、癒着の部位によって前方癒着と後部癒着に分類される。原因としては長期の気管挿管の既往が最も多く、癒着部位によっては診断に苦慮することがある。今回われわれは声門後部癒着症の 1 例を経験したので報告する。症例は 39 歳、男性。呼吸困難感を主訴に当院を受診した。喉頭ファイバー検査で両側声帯の正中位固定を認め、気管孔からの観察で声門後部の癒着が確認された。全身麻酔下で癒着部の切離を行い、術後 10 カ月の時点で再癒着なく良好に経過している。
  • 安達 一雄, 梅﨑 俊郎, 菊池 良和, 小宗 静男
    2014 年 60 巻 5 号 p. 191-198
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    喉頭外傷(喉頭外損傷)の 1 例を経験した。受傷直後に受診し、即時的整復を勧めたものの、本人が希望しなかったため、治療時期が遅延し、陳旧性外傷となった状況で治療を行わざるを得なくなった。受傷後経過観察をしていたが、日常生活に支障が出るとのことで、受傷 8 カ月後に音声の改善を希望したため、甲状軟骨を再骨折させ、開大するとともに、チタンプレートにより固定し、音声を治療前より改善させることができた。陳旧性外傷は時間経過とともに創部が癒合し瘢痕形成を来し、治療に難渋することになるため、受傷後早期に治療を開始することが重要であり、特に本症例のように甲状軟骨骨折を伴う場合、golden time を逃すと改善が非常に困難となると考えられる。
抄録
臨床ノート
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