耳鼻と臨床
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64 巻, 6 号
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原著
  • 山野 貴史, 西 総一郎, 杉野 真理子, 梅野 悠太, 坂田 俊文
    原稿種別: 原著
    2018 年 64 巻 6 号 p. 209-214
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    当科で内視鏡下鼻内副鼻腔手術(ESS:endoscopic endonasalsinus surgery、以下 ESS と略す)を施行した歯性上顎洞炎症例について検討した。歯性上顎洞炎であっても上顎洞のみに炎症が限局しているのは半数以下であり、半数以上は他の副鼻腔にまで炎症が波及していた。また、ほとんどの症例で鼻腔形態改善のために下中鼻甲介形成や鼻中隔矯正などを併用していた。さらに根尖性歯周炎の診断から抜歯した6例中3 例について、抜歯のみでは症状が改善せず、抜歯後に ESS に至っていた。保存的治療で改善を認めない歯性上顎洞炎に対しては、複数の副鼻腔を扱い同時に鼻腔形態改善手術の併用できる ESS を中心とした治療が有用であると考える。

  • 奥田 匠, 川畑 隆之, 井手 慎介, 梶原 啓, 東野 哲也
    原稿種別: 原著
    2018 年 64 巻 6 号 p. 215-222
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    当科では進行上顎洞癌に対して CDDP 100mg/m2/回を毎週−隔週で投与する RADPLAT を行っている。2011年2月から2017 年8月の間に経験した 25 例について組織学的治療効果を検討した。40 Gy 照射時点の RECIST による評価で CR 例はなく、PR 23 例、SD、PD が各1例で70 Gy 根治線量による制御は困難と考えられたため全例で手術を行った。頭頸部癌取扱い規約の組織学的治療効果判定ではほぼ半数の 13 例で腫瘍が消失したGrade 3 であったが、Grade 2が10例、Grade 1も2例あった。Grade 1 a の1例(T4a、動注 4 回)で上顎洞後壁断端が陽性のため唯一 30 Gy の追加照射を行った。T 分類や動注の回数、腫瘍の分化度と組織学的治療効果判定との関連には一定の傾向はみられなかった。 また、RECIST による評価と組織学的治療効果判定には相関がみられない例があった。

  • 安松 隆治, 佐藤 方宣, 若崎 高裕, 古後 龍之介, 中川 尚志
    原稿種別: 原著
    2018 年 64 巻 6 号 p. 223-227
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    2007 年 1 月から 2016 年 12 月までの 10 年間に、初回治療開始時に精査を行ったにもかかわらず原発巣が不明であり頸部リンパ節転移を認めた 26 例を対象とした。内訳は N1:1 例、N2:23 例、N3:2 例であった。遠隔転移を認めた症例は 4 例であった。26 例のうち、原発巣が初回手術後に判明した症例が 4 例、治療終了後経過観察中に判明した症例が 2 例、原発巣が不明のままであった症例が 20 例であった。全体の 3 年粗生存率は 52%であり、N 分類の進行とともに予後も不良な傾向であった。免疫組織染色が可能であった 22 例中 7 例(32%)において p16 陽性所見が認められた。7 例中 5 例で最終的に原発巣が判明しており、内訳は中咽頭(扁桃)4 例、下咽頭(梨状陥凹)1 例であった。原発不明癌頸部リンパ節転移症例で p16 陽性であった場合、p16 陽性中咽頭癌と同様に取り扱うことが妥当なのか大規模な検証が必要と思われる。

  • 山内 盛泰, 峯崎 晃充, 佐藤 有記, 倉富 勇一郎
    原稿種別: 原著
    2018 年 64 巻 6 号 p. 228-236
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    2015 年 5 月から 2017 年 8 月までの 2 年 3 カ月間に当科でレンバチニブ治療を行った甲状腺癌 8 例について検討を行った。性別は男性 5 例、女性 3 例。年齢は 59 − 77 歳で中央値は67.8 歳。組織型は乳頭癌が 5 例、髄様癌が 2 例、扁平上皮癌が 1 例。治療対象病変は一次根治後の再発病変が 5 例、一次非根治病変に対してが 3 例であった。生存期間中央値は 12.9 カ月であった。最良総合効果は PR が 6 例、SD が 1 例、PD は 1 例であり、奏効率は 75%であった。有害事象としては高血圧、疲労、手足症候群、下痢は全症例でみられ、悪心・嘔吐は 6 例、血小板数減少は半数でみられた。全症例で経過中に休薬、減量が行われていた。レンバチニブ治療によって病勢のコントロールが得られなかったのは 1 例のみで、5 例では 1 年以上の PR 維持が可能であった。扁平上皮癌症例についてはまれであるため症例を提示する。

症例報告
  • 小宗 徳孝, 松本 希, 土橋 奈々, 吉田 崇正, 中川 尚志
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 64 巻 6 号 p. 237-241
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    2014 年の「小児人工内耳適応基準」の改定により、「音声を用いてさまざまな学習を行う小児に対する補聴の基本は両耳聴であり、両耳聴の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない」と記載されたことで、本邦でも両側の人工内耳植込み術症例が増加してきている。両側人工内耳植込み術には、逐次手術と同日手術が存在する。いずれも、両側の人工内耳が左右対称に植込まれるように術者は配慮するが、整容的に左右対称に植込むことは実際には容易ではない。今回われわれは、当科で施行した両側人工内耳植込み術の際の、整容面に配慮するための術前の工夫について報告する。

臨床ノート
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