日本耳鼻咽喉科学会会報
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100 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 声帯粘膜乾燥による変化
    田中 和成, 北嶋 和智, 片岡 英幸, 片岡 健一, 田中 浩子
    1997 年 100 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    単位声門上下圧差変化あたりの音声基本周波数 (F0) の変化率 (dF/dP) についてstiffnessによる変化を調べた. 硫酸アトロピンを正常人に投与し, 喉頭を乾燥させ声帯硬化をシミュレートした. 声門上下圧差はマウスピースに取り付けたシャッターバルブを部分的に閉鎖して得た. 投与前, 投与後とも, dF/dPはF0の上昇に伴い低下し, 負の値の最低値をとった後再上昇するパターンをとった. 投与前に比してdF/dPは最高値, 負の値をとる最低値の絶対値がともに小さくなった. dF/dPが声帯粘膜のstiffnessと相関を持つ可能性が考えられた.
  • 吉田 知之, 小柳 泰久, 吉田 ひかり, 丸岡 秀裕, 伊藤 博之, 井上 斉, 武藤 功太郎
    1997 年 100 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌は上部消化管とくに食道癌の合併率が高い. そこで下咽頭癌で食道抜去した30症例を対象として検索を行った. その結果, 下咽頭の病期がIV期になると同時性食道重複癌が高頻度にみられた. 内視鏡下ヨード染色検査で不染域が半周性以上で多発, 3cm以上では癌が高頻度で発見された. 同時性食道癌の深達度はほとんどがsmまでに留まる早期食道癌であったが多発するため食道を残さない術式を考慮する必要性が考えられた. 異時性の場合は単発のものが多いため早期のものは局所治療の良い適応になると思われた. 上部消化管スクリーニングの重要性を認識するとともに, 下咽頭から食道までの粘膜の多中心性発癌の母地としての可能性が示唆された.
  • CT画像のデジタル処理による
    東 博二, 磯野 道夫, 村田 清高, 伊東 明彦, 木村 裕毅
    1997 年 100 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    側頭骨高空間分解能CTをコンピュータに取り込み含気蜂巣の立体化構築像を作製した. その立体化構築像の形態的特徴を検討し, 形態的に分類することを試みた. 対象は正常な33例52耳である.
    含気蜂巣の前方方向への発育は外側と錐体尖方向の2方向が見られ, 錐体尖方向への発育が大きい程, 内側方向への蜂巣が多く見られた. 後方への発育は大小の差はあるが, 全例で見られた. 含気蜂巣の上下方向への発育は前方方向への発育が大きい程大きかった. 上記の形態的特徴を考慮し, 5つの群に分類した.
  • 鈴木 直弘, 中林 成一郎, 中塚 滋, 高坂 知節
    1997 年 100 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    通年性鼻アレルギー患者を対象として, 鼻腔洗浄液および鼻粘膜組織中の各浸潤細胞を免疫組織学的に比較検討した. さらに抗原チャレンジ即時相における各浸潤細胞を同時に検討した. その結果, 鼻腔洗浄液中と鼻粘膜組織中では, 各浸潤細胞は数, 分布とも大きく異なった. そのため各浸潤細胞は, それぞれの部位で各自の生理学的な役割を, 複雑なネットワークを形成しながら, I型アレルギー反応に関与していると推察された.
  • 大木 誠, 中村 正, 青柳 優
    1997 年 100 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    46例の脊髄小脳変性症 (SCD) について眼運動所見とMRI上の小脳・脳幹の萎縮程度との関連について検討した. その結果, rebound nystagmusを認めた群では小脳半球, 虫部で, 方向交代性上向性眼振を認めた群では小脳, 橋, 被蓋, 延髄で萎縮傾向が強く, これらの部位はこれら眼運動障害に強く関与するものと考えられた. 滑動性眼球運動検査, 視運動性眼振検査で非常に強く障害されていた群, 及びvisual suppression testで固視時に眼振が増強していた群で, それぞれ橋に強い萎縮傾向が認められた. 一方, 衝動性眼球運動において速度低下が認められた例では, 小脳に比べ橋に強い萎縮傾向が認められた. これらは従来の神経生理学的知見と一致していた.
  • 山本 潤, 中島 務, 柳田 則之
    1997 年 100 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    中耳血流は外頸動脈系, 内耳血流は椎骨脳底動脈系と異なる血流系に属しており, その様態にも差異があると予想される.
    我々はモルモットを用い10%CO2+90%AirによるCO2負荷と呼吸停止負荷時の, 中耳・内耳血流, 血管径の変化を顕微鏡下直接観察法, レーザードップラー法にて検討した.
    中耳・内耳血管径はPCO2の上昇により拡張したが, PO2が極度に低値の呼吸停止負荷時は, PCO2が上昇しても逆に収縮した. CO2負荷, 呼吸停止負荷ともに, 中耳血流は10~30%減少し, 逆に内耳血流は10~40%増加した. これは低PO2や高PCO2の状態においても, 内耳血流は自己調節機構が関与し, 中耳血流と本質的に異なった性質を持つことが示された.
  • 手術適応決定における有用性と限界
    加藤 昭彦, 山田 弘之, 山田 哲生, 石永 一
    1997 年 100 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    当科において超音波ガイド下吸引細胞診 (FNA) を施行し, 手術により組織学的に確認された甲状腺腫瘍333症例につき検討を行った. 正診率は92.4%, 特異性は100%, 感受性は88.3%であった. またFNA陽性例のうち2回目以降に陽性となった症例が24例 (12.8%) あり, 反復穿刺が重要であると思われた. FNAを手術適応の決定に際し重視することで, 甲状腺手術例における悪性腫瘍の割合が増加し, 不要不急の手術を減少させることが可能になるものと考えられる. 一方, 超音波ガイド下にFNAを行うことで, FNAの診断精度を上げる努力をするとともに, 偽陰性例を見逃さないような総合診断を心がけるべきであると思われた.
  • 自発放電数の変化について
    越智 健太郎, 大橋 徹, 加藤 功, Eggermont J.J.
    1997 年 100 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    サリチル酸, キニンを猫に投与し, 聴皮質における単一ユニットの自発放電数の変化を検討した. サリチル酸投与2時間後から20-30dBの閾値上昇を認め, 回復は認めなかったが, キニン投与の場合は1時間後から10-40dBの閾値上昇を認め, 4時間後から回復傾向を認めた. 単一ユニットの自発放電数は両薬剤ともに全体としては有意な変化を認めなかったが, 高発火群 (>1 spike/s) と低発火群 (<1 spike/s) に分類すると, 高発火群は減少し, 低発火群は増加する傾向を認めた. 両薬剤はともに人間において大量に投与すると難聴と耳鳴を起こすことが知られており, 今回の自発放電数の変化が耳鳴発生に関与していることが示唆された.
  • 周 莉新
    1997 年 100 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    下咽頭扁平上皮癌培養細胞を用いて, いくつかの下咽頭癌細胞の生物学的特性を検討した. 今回の下咽頭癌培養細胞は, 5-FU, CDDP, ADMの抗癌剤に対してはある程度の感受性が認められたが, PEP, MTX, CPXには抵抗性であった. また他の頭頸部癌培養細胞と比べて, 温熱処理に対して耐性であり, ICAM-1の発現が低かった. また低濃度のEGFの添加によって, DNA合成が促進され, EGFRの発現が強いことが観察された. この下咽頭癌培養細胞でcyclin D1の過剰発現が認められた. 今後予後の悪いこの癌の予後を決定する増殖, 転移因子をコントロールする新しい治療法の開発が急務と考えられた.
  • 閉塞型睡眠時無呼吸症候群
    朝倉 光司, 形浦 昭克
    1997 年 100 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1997/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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