日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
100 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 武林 悟, 浅井 美洋, 野末 道彦, 峯田 周幸, 竹下 有, 竹山 昌孝, 黄永 信理, 細川 誠二, 渡辺 高弘
    1997 年 100 巻 3 号 p. 295-298
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    近年, 突発難聴で発症する聴神経腫瘍 (SDAN) の存在が知られているが, 今回我々は, SDANと突発性難聴 (SD) の聴力像を谷型を中心に比較検討した.
    1984-1992年の9年間に, 浜松医大と関連4病院を受診したSDAN13例とSD493例を比較すると, 谷型はSDAN中10例 (77%, 以下谷型AN), SD中40例 (8%, 以下谷型SD) を占め, この差は統計的に有意であった (Fisherの直後確率計算法).
    谷型ANと谷型SDの各周波数別聴力レベルを比較検討すると, 谷型ANでは125, 250, 500Hzが, 谷型SDに比べ障害されにくかった (p<0.001 t検定).
    谷型の突発難聴, 特に低音域障害の軽微な例は, 聴神経腫瘍の存在を考慮しなければならない.
  • 堀内 譲治
    1997 年 100 巻 3 号 p. 299-306
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    小脳橋角部や側頭骨内の腫瘍摘出術や外傷などにより顔面神経が広い範囲にわたって損傷され, 端々縫合や神経移植ができない場合の次善の策として舌下神経―顔面神経吻合術, 副神経―顔面神経吻合術が行われる. しかし両術式による神経再生についての詳細な検討はなされていない. 本研究ではY型チューブを用いて舌下神経―顔面神経吻合術と副神経―顔面神経吻合術を同一条件下に同時に行える動物モデルを考案し, 両吻合術における神経再生の程度を比較検討した. 神経再生に関しては舌下神経―顔面神経吻合術の方が副神経―顔面神経吻合術よりも優れることを組織学的, 電気生理学的に明らかにした.
  • 走査電子顕微鏡 (SEM) 所見との比較
    柘植 勇人, 植田 広海, 小塚 誠, 藤浦 一喜, 柳田 則之
    1997 年 100 巻 3 号 p. 307-315
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    高気圧負荷をかけ内耳気圧外傷の発生したモルモットを使用し, 負荷後7~11日目のCAP, CM所見とSEM標本とを比較検討した. その結果, 得られたCAP域値より高度障害群と軽度障害群に分かれた. CAPの高度障害群ではSEMにおいて聴毛の高度障害を認めたが, 軽度障害群では正常所見であるにもかかわらずCAP域値の上昇しているものがあった. つまり, SEMにより形態的に聴毛は正常であっても, 完全な聴力回復が得られていない可能性がある. また, 一部の例のCAPとCMの域値には, 高音部に30dB以上の解離を認めた. この理由として, 高度障害時の受傷様式の多様性を考察した.
  • 安田 秀男, 菅野 秀貴
    1997 年 100 巻 3 号 p. 316-325
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    EPはanoxia負荷により負の電位negative EP (-EP) となり-EPの発生には蝸牛有毛細胞が密接に関係していると考えられている. 内耳障害モルモットを用いて, 有毛細胞障害の程度と-EPの変化動態を比較検討した結果, 総外有毛細胞消失率は-EPの最大値 (max-EP) と最も強く相関していた. これはK+などのイオンの拡散が主に外有毛細胞内を通って行われることを意味するものと思われた. また, max-EPはhookから第2回転までの外有毛細胞消失率と最も強く相関しており, 経正円窓法で測定された-EPがhookから第2回転までの外有毛細胞障害を最もよく反映することを意味するものと思われた.
  • スギ花粉飛散数と気象因子
    田村 嘉之, 小林 良弘, 渡辺 修一, 遠藤 圭介
    1997 年 100 巻 3 号 p. 326-331
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    〔目的〕神奈川県伊勢原市のスギ花粉飛散数と気象9因子 (平均気温, 最高気温, 最低気温, 気温差, 平均湿度, 最低湿度, 平均風速, 最大風速, 風向き) との関係を1991年, 1992年, 1993年と1995年の各年度で検討し, 毎日の各気象因子の測定値より翌日のスギ花粉飛散数の予測が可能な気象因子の検討を行った. 〔結論〕スギの植林地域からの風向きとともに最高気温や平均湿度は1日の花粉飛散数の増加と密接に相関しており, 伊勢原市またはその周辺の毎日のスギ花粉飛散数の予測はスギ林の位置と風向きを考慮して, 最高気温と平均湿度から行うべきと考える.
  • 藤原 満
    1997 年 100 巻 3 号 p. 332-341
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    新生仔マウス嗅部の細胞を脳アストロサイトと共培養することにより, 嗅細胞の分裂, 成熟から細胞死の過程を直接観察することが可能となるin vitro実験系を作製し, 嗅細胞の増殖, 分化の機序についての解析を行った. この実験系では新生嗅細胞が形態学的な分化とともに神経細胞のマーカー蛋白であるGAP43, NFP, PGP9.5, OMPを発現すること, そして分化した培養嗅細胞は比較的安定であることが示された. またそのほかに基底細胞のマーカーであるケラチンを発現する細胞群の存在も確認された.
    培養細胞での細胞増殖因子受容体の発現をRT-PCR法により検索したところ, 線維芽細胞増殖因子 (FGF) の受容体であるFGFR2, FGFR3の発現が検出され, さらにbFGFの発現も確認されたことから, 嗅細胞の増殖, 分化の制御にFGFが関与している可能性が示唆された.
  • 洲崎 洋, 和田 仁, 大山 健二, 小林 俊光, 朴沢 孝治, 高坂 知節
    1997 年 100 巻 3 号 p. 342-350
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    レーザードップラー振動計と複合顕微鏡を組み合わせた計測システムを用い, モルモットの中耳振動様式を検討した. 直径20μmのグラスマイクロビーズを置いた鼓膜の4点および各耳小骨の6点の振動速度を入力音圧60dBSPL下に測定した. 鼓膜の4点の速度は, 0.1kHz~3kHzでそれぞれ異なった. 低音域では, ツチ骨・キヌタ骨はツチ骨頭とキヌタ骨短脚を結ぶ軸の近傍を中心に回旋運動を示した. 中音域では, 耳小骨全体が鼓膜方向にピストン運動を示した. 高音域では, ツチ骨とキヌタ骨は耳小骨に垂直の軸の近傍を中心に回旋運動を示し, アブミ骨は蝶板様運動を示した.
  • 加藤 昭彦
    1997 年 100 巻 3 号 p. 351-356
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    エリスロマイシン (EM) およびクラリスロマイシン (CAM) が, 摘出イヌ気管粘膜におけるイオン輸送に及ぼす影響について, Ussing chamberを用いて検討した.
    EM, CAMともに, 摘出イヌ気管粘膜の漿膜側投与, 粘膜側投与のいずれにおいても20分間の観察では短絡電流の変化はみられなかったが, イソプロテレノールに対する反応性は保たれていた. さらにアミロライド, ブメタナイドにより前処置を行い, 同様の検討を行ったが短絡電流の変化はみられなかった. 以上よりEMおよびCAMは, 摘出イヌ気管粘膜におけるイオン輸送に対しては少なくとも短時間では影響を及ぼさないものと思われた.
  • 喉頭癌
    岩田 重信
    1997 年 100 巻 3 号 p. 358-361
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
feedback
Top