日本耳鼻咽喉科学会会報
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101 巻, 5 号
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  • 郭清例の術前画像診断についての検討
    奥村 耕司, 藤本 保志, 長谷川 泰久, 松浦 秀博, 中山 敏, 甲村 孝秀, 小川 徹也, 寺田 聡広, 松塚 崇
    1998 年 101 巻 5 号 p. 573-577
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    当科では中•下咽頭癌の進行例において原発巣切除,頸部郭清術に加えて咽頭後リンパ節の郭清術を行っている.
    今回我々は,1992年から1996年に当科にて咽頭後リンパ節の郭清を施行した中咽頭癌H例.下咽頭癌29例に臼後三角癌2例を加えた計42例について咽頭後リンパ節転移の有無および術術前画像診断の検討を行った.
    画像の診断基準はCT,MRIともに長径10mm以上もしくは中心壌死を認めるものを転移陽性として診断した.
    42例中の6例(14.3%)が病理組織診断で咽頭後リンパ節転移を認め,その6例中の5例は,CT,MRIのいずれかで術前に咽頭後1タンパ節転移陽性と診断することができた.
    画像診断の成績は,CT(感度100%,特異度100%,精度100%)およびMRI(感度83.3%,特異度100%,精度97.0%)とともに良好で,術前画像診断の有用性が示された.
  • システム紹介と本邦における使用経験を中心として
    河野 淳, 舩坂 宗太郎, 冨澤 文子, 力藤 朗夫, 椎田 宏, 博久 詠司, 佐藤 千穂, 鈴木 衛
    1998 年 101 巻 5 号 p. 578-585
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    Clarion16人工内耳は,米国において開発されすでに米国FDAにおいて認可を受けている.蝸牛刺激装置,スピーチプロッセッサとヘッドピース,その他にプログラミングシステムと携帯型テスターから構成されている.特徴の一つに刺激コード化法があり,連続インターリープサンプリング(CIS)と圧縮アナログ(CA)がある.いずれも最大8つのチャンネルで刺激することができる.我々は2例の臨床応用を行った.手術は1996年10月に施行し,いずれも8対16個の電極が蝸牛内紅挿入された.マッピングは手術3週後に行い,いずれも早期より人工内耳のみでopen-setでの聴取が可能であった.刺激コード化法では,CIS方式が主でCA方式は使用するに至つていない.
  • Neoadjuvant Chemotherapyを中心に
    菅家 稔, 藤井 正人, 大野 芳袷, 徳丸 裕, 今西 順久, 冨田 俊樹, 犬山 征夫, 神崎 仁
    1998 年 101 巻 5 号 p. 586-594
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1983年から1996年までの14年間に当教室で初回治療を行い治療後6カ月以上追跡できた舌•紺腔厩編'桝二皮癌40例について統計掌的検討を行った.Kaplan-Meier法による各Stakeの累積5年生存率は,Stagel:100%,StageH:77.8%,Stage III:60.60.StageIV:44.4%であった.初回治療後の再発は肺転移1例を倉な13例で,局所再発3例は後のsailvage手術により全例生存しているのに対して,〓部再発9勢1ではS例が死亡し予後不良であった.この結果は,舌•目腔綴癌の治療において頸部リンパ節転移の制御が重要であることを示している.当料の治療法の特徴として.手術において積極的に予防的頸部郭清術を施行してきたこと,また化学療法に裏おいてはNACを積極的に導入してきたことがあげられる.宿坊的鋤部郭清術は17鋼に施行し,郭清した側の頸部再発例は認めず,頸部リンパ節再発の郷制に効果力があったと考えられた.また,微小転移の制御や機能潟存を目的にNACを26例に施行し,効梁糊定可能であった24例について検討を行った.NAC施行群の中でCRを示した2例がともに機能温存可能であったが,PRではh例中4例のみであった.これは,NACでCRを示した症例はその後の保存的治療により機能温存が十分期待できるが,PRを示した症例はCRに比較し機能温存の可能性は有意に低下することを示している.また,NACの効果+Jの生存率においreponder群(CR+YR)が88.9%,non-responder群(NC-PD)が15.0壇,でresponder群の予後が著明に良好であった.これは,治療前の背景因子をえ裏た多変量解析においてもresponder群は有意に予後良好な結果を示し,NACの効果が治療開始後の独立した予後因子になりうることが示唆された.また,今後はnon-responder群に対する治療法の再考が必要と考えられた.
  • 免疫組織化学法を用いて
    小川 徹也, 長谷川 泰久, 中川 敏, 藤本 保志, 松浦 秀博, 松浦 秀博, 越川 卓, 宮田 英雄
    1998 年 101 巻 5 号 p. 595-601
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    甲状腺分化癌の病態とRB, bcl-2遺伝子との関係についての報告は少ない. 本研究ではこの関係を調査する目的で, 免疫組織学的手法を用い, 再発の有無, 他の臨床的予後因子との関係,生存率との関係を検討した. 対象は1980年から1990年の間に愛知県がんセンター頭頸部外科にて手術された甲状腺分化癌 135例(乳頭癌1311例, 濾胞癌5例)で, 少なくとも5年以上経過観察し得た症例を対象とした. 免疫組織化学法はABC 法 (Abidin Bint Peroxidase Complex methrod)に従い染色を行い, DAB (dlanobenzine,3, 3'ージアミノベンチジン)反応を行い, 発色を行った. その結果, RB蛋白陰性例では, 陽性例より有意に再発率が高かった. またRB 蛋発現と臨床的予後因子については, 年齢, N分類, M分類が統計掌的に有意な関連性を認めた.RB蛋白発現と生存率では,陽性例は陰性例より生存率が有意に高かった. 一方bcl-2白発現と臨床的予後因子についてはT分類で統計学的に有意な関連性を認めた. しかしbcl-2蛋白発現と再発率,生存率との間には有意な関連性は認めなかった.
    以上の結果より, 免疫組織化学法による RB 蛋白発現の評価は甲状線分化癌の病態を反映すると考えられ, 今後, 予後因子としての活用が期待されることが示唆された.
  • 中咽頭扁平上皮癌の臨床統計学的検討
    今西 順久, 藤井 正人, 徳丸 裕, 菅家 稔, 富田 俊樹, 神崎 仁, 大野 芳裕, 犬山 征夫
    1998 年 101 巻 5 号 p. 602-614
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的:今後の中咽頭癌に対する治療方針決定の参考にすべく,その予後因子の解析及び治療方針と成績に関する統計学的検討を行った.
    (対象)1981年7月から1996年6月までの15年間に当科で治療した中咽頭扁平上皮癌91鯛,性別は男性83例,女性8例,年齢分布は29歳から84歳,平均62.7歳であった.病期分類は1期:11例,II期:12例,III期:30例,IV期:38例,進行期(III+IV)が納7500を占めた.原発巣に対する一次治療の内訳は,化学療法併用例とsalvage surgery施行例を含む根治照射群が72例,術前照射と術後照射施行例を含む根治手術群が14例,化学療法単独群が5例であった.NeoadjuvantChemotherapy(NAC)は50例に施行された.
    (方法)単変量解析として背景因子別に粗累横生存率を箪出し,Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析により予後因子の独立性及びハザード比を検討した.また根治照射群と根治手術群の一次治療方針別,さらにNACの有無別及び効果甥に生存率を比較検討した.
    (結果)全体の5年生存率は55.6%で,単変量解析では(1)T分類(p=0.0075),(2)年齢(p=0.0274),(3)亜部位(p=0.0400)が予後因子と考えられ,多変量解析の結果T分類が独立した予後因子と判定された(p=0.0253).治療方針別生存率の検討に統計学的有意差は認められなかった.再発に対するsalvage surgeryが根治照射群の生存率の向上に寄与しており,特に上壁型は適応が高いと考えられた.NACの葵効率は85.44%と良好であったが,生存率改善に寄与した統計学的証明は得られず,効梁別の比較でも奏効群と非奏効群の生存率に有意差は認められなかった.
    (結論)今後の治療成績向上のためには,予後不良因子である(1)T4,(2)70歳以上,(3)前壁型に短する治療を強化する必要があると同特に,積極的かつ適切なsalVage surgeryが不可欠である.放射線療法の占める比重は大きいがその適応と限界を正確に見極めるべきである.
  • ミトコンドリアおよびNa+,K+ATPaseの局在からみた検討
    西山 康之
    1998 年 101 巻 5 号 p. 615-619
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    耳下腺腺1ンパ腫のシンチグラフィーにおけるテクネシウムの取り込み機序を明らかにすることを目的として,テシネシウムをを取り込む正常耳下腺線条部導管細胞と線ワンパ翻腫瘍細胞との類似性1こついて形態的および機能的見地から比較検討した.耳下腺腺リンパ腫症1例10例と同一症例の正常耳下腺組織および他の耳下腺腫瘍症例から得られた正常耳下珪泉組織を対敏とし,比較検討した.形態的には,マイタロウエーブ照射間固定後水溶性樹脂包埋法を用いて細胞内ミトコンドリアの存在と分布の類∬又性を検討し,機能的には,Nパ,1やATPaseの局在についての類似性を比較検討した.その結果,形態的には両細胞ともミトコンドリアが豊欝で,機能的には腺リンパ腫の円柱細胞の基底側に局在するNa+,K+ATPaseが認められ,両者の類似性を認めた.そしてこの両者は,高いNa+,K←ATYase活性による2次姓能動輸送を介して,Clの代わりに,Cl-とほぼ同様の動態を示すテクネシウムを取り込むものと考えられた.また,腺リンパ腫のhistognesisについては,線条部導管との形態的類似性から,線条部導管に分化能を有する介在部導管予鯖細胞由来の腫瘍であるとするbi-cellular theory力縦来考えられてきたが,この研究により機能的見地からも線条部導管に類似していることが示され,この仮説を支持する結果であった.
  • 木村 恭之, 古川 仭
    1998 年 101 巻 5 号 p. 620-626
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    嗅上皮でのセカンカメッセンジャーとしてイノシトール三燐酸(IP3)が注目されている.IP3が関与するならカルシウム•バインディング•プロテーインの存在が必要である.今回カルシウム•バインディング•プロテインの中でもEFハンドファミリーに属するカノレレチニンの〓現をマウスの嗅上皮•嗅球において検討し,興味ある知見を得た.材料は成熟雄マウス,生後1•3•10日の幼齢マウスを用いた.方法としては免疫組織化学的に行った.結果は以下の通りであった.1)嗅上皮:成熟マウスではカノレレチニンは嗅上皮では嗅細胞体•樹状突起•嗅小胞に陽性であったが,基底細胞•支持細胞では陰性であった.上皮下の軸策およびそれが集まった神経束も強い陽性所発がみられた.生後1日のマウスでは嗅上皮内にも取り込みがみられたが,主として上皮の遊離縁に近い側1/2に陽性であった.それに対して,生後3日では鶴性所見は基底層近くまで広がっていた.カルレチニンという物質だけの判断であるが,この間に嗅上皮の成熟という点で大きな変化が生じているものと考えられた.2)嗅球:成熟マウス,幼齢マウスとも嗅神経線維層•傍糸球体細胞の細胞体および樹状突起に陽性であった.また一部房飾細胞と思われる細胞も陽性であったが,僧帽細胞は陰性であった.
  • アポトーシス
    中島 寅彦
    1998 年 101 巻 5 号 p. 628-631
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
  • 第27回日本耳鼻咽喉科感染症研究会
    西村 忠郎
    1998 年 101 巻 5 号 p. 632-633
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
  • 西村 忠郎
    1998 年 101 巻 5 号 p. 633-634
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
  • 山下 敏夫
    1998 年 101 巻 5 号 p. 635-636
    発行日: 1998/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
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